2017/05/11 のログ
ご案内:「荒野」にマティアスさんが現れました。
ご案内:「荒野」にエアルナさんが現れました。
マティアス > ――特に依頼を請け負ったわけではない。

荒野に跋扈する大小さまざまな魔物の中で、特に危険なものは冒険者たちに討伐依頼が発せられる。
今宵はその手の要件とは別に、敢えて無防備に彷徨うには危険な領域に足を踏み入れる。
……力試し? いいや、違う。鬱憤晴らし? それも違う。
溜め込むのは主義ではない。
まして、溜めるようなものがあれば、誰も死んでも困らぬ悪逆の徒を以て憂さ晴らしに勤しむのが最良とも言える。
ひとえに、訓練であり、教練であり、実力の水準を保つために必要な作業である。

「――束ね番えるは光陰の矢。五つ連ねて放ち、穿て」

低く紡がれる呪句を以て魔力を練り上げ、青く光る五本の矢として狙いをつけて放つ。
遠く据えた照準の先に見えるのは、四つ足の虎狼の如き魔物である。
高速の連弾がその魔物の頭部を連続して穿ち、斃す。時折見える街道筋に姿を現し得るものを的確に討つ。
人によっては、間引きとも言えるかもしれない。一気に群を滅ぼせない以上、限度はある。

「しかし、適度に間引くついでなら……訓練としては有用だね? 動かない的を狙っても仕方がないし」

地に突き立てた鞘に納めた剣を杖の如く左手で支えつつ、伸ばした右手を下ろして言葉を零す。
今宵は良い月が出ている。月光の光があれば、視線を通すには困らない。自分にも。獲物にとっても。

エアルナ > 「ギルドにも、討伐依頼は出てましたよ?いちおう」

街道筋の安全確保ということで、時々出されているものだ。
まぁ、それだけ危険度はあるという場所になるだろう、このあたりは。
月光の下、今夜も傍らに白狼を供に注意深く周囲を見渡しながら、青年に応えて。
たしかあの魔物は、群れを作る習性があるのでは?と見れば、背後の岩陰にも動く影。

「まだいそうですよ――氷の矢、解き放たれかのものを撃て」

かざした右手の先、鋭い氷の氷柱がいくつも顕現され、岩陰から躍り出る同種の魔物を穿つ。
喉と頭をやられ、其れもまた、こちらに敵意をむき出しにする前に倒れるが。

マティアス > 「そうだったかな? そうだったかもしれないし、そうでないかもしれない。とりあえず――だ」

携える剣に備わる能力の助けを借りるまでもない。
十分に距離を保ったうえで、魔術をつるべ撃ちにすればそれこそ下手な弓兵の集団にも勝ろう。
だが、万事有効ではない。兵種として編成するとなると、練成に時間がかかる。
さらに近接戦闘に持ち込まれた場合、縦横に戦えるものがどれ程居るものか。
同行する狼を連れた少女の戦果を遠目に確かめ、右手を挙げよう。今はこれまで、と言うように。

「さて、これ位やっておけば、血の匂いを嗅ぎつけてやってくる魔物も居ることだろうね。
 その上で、エアルナ嬢。今一度おさらいと、それを踏まえて今後の方策を考えようじゃないか」

鼻先にずり落ちた眼鏡を押し上げ、そのレンズ越しに相手に呼び掛けよう。
目元に宿る光は穏やかさを潜めた、学究の徒らしい冷たくも厳しいもの。かつ、と。鞘先で地面を叩いて。

「君の得意な術の傾向は大体見てきたつもりだけど、他の術はどうかな?」

まずはそこだ。今まで見てきたのは大体が氷系を起点としたもの。他は、どうか?

エアルナ > 「ええ、このへんは…餌になる動物の数も多くはないですし。
…はい。この前の、ヒュドラの一件ですよね」

おさらいと方策。青年の毅然とした態度に、こちらも姿勢を正して応える。
年齢も経験の差からしても、彼が師匠株。
教えを乞うことに、抵抗はないし、進んで吸収したい知識の持ち主でもある。
…いろいろな、意味で。

「よく使うのは、氷系ですが。光、風、水、氷系はだいたい使えるようになっています――回復系の術式もそれなりに。
召喚系の魔法も使えますが、すこし他と比べると時間がかかるので…普段は使わないことが多いですね」

それに、魔力もかなり消耗するのだ、自分の召喚術は。
一度見せた方がいいかと、首をかしげてみよう。

マティアス > 「……成る程。その上で一番使い慣れているのが氷の系統、ということだろうね」

然り、と小さく首を縦に振りながら、聞く言葉を受け止めて思考を回す。
魔術にも得手不得手があるのは、もっともだ。
色々なことが出来る人間もあれば、一つのことしかできない人間もある。
その一つを究めつくせる人間もいれば、平均的であっても複数出来る手を組み合わせる才覚を持った人間もいる。

「では、その氷の術を例に問うよ? この類の術も色々なのは知ってるね? 
 たとえば、表面から凍らせてゆく術、一気に周囲から熱を消して凍らせるもの、色々だ。さて、君はどこまで網羅できているかな?」

問うべきは、それだ。どれほどまで究めつくせているか、ということである。

エアルナ > 「一番周囲に影響を残さない術式、というのもあります」

青年の言葉にこくり、と頷いて付け加える。
氷は融ければ水になり、乾けばその痕跡をほとんど残さない。
けれど炎は焼き尽くし、跡形もなくしてしまうことが可能だ。
森の精霊の血筋にとっては――自然、融和性があるのはどちらかという話になる。

「分類すればどうか、ということですね?
基本は凍結、氷結。大気中の水分から熱を消して生み出す術。
これは礫の大きさから氷柱まで、主に固形を生み出すもの。
応用で大地などから氷柱を生み出し、檻としたり、橋としたりということも。
対して、生命体または個体の中の水分を凍結させる術は…
表面から凍らせて動きを止める系統と。
さらに深く、主に血を凍らせることになる、決まれば一気に命を絶つものがあります。…あまり好きではない、ですが。
氷を解かす術は、あらかじめ湖などに張っておいた氷の上に標的が来た時などに有効か、と。
仕掛けの大きさによっては――山の雪崩れ、でも可能です。
…こんな感じ、かと。」

どうだろう、と。採点される生徒の気分で、青年を見上げる。

マティアス > 「――あぁ、うん。一気に纏めてきてくれたねぇ」

その血統に由縁するもの、というものもあるだろう。草木が育つに必要なのは土に加えて水と光であるが故に。
頷きつつも、滔々と紡がれる言葉に頬を掻きながらどう返すか思考を回す。
一先ず、全て言い終えたと思しい気配を感じて、かつかつ、と。剣の鞘の先で地面を突いて。

「基礎と、応用と、それらから派生する奥義があるのは分かった。
 では、エアルナ嬢。質問しよう。僕らより大きく、強度が高く、内外からの冷気の侵入や魔法自体への耐性がある。

 ……そんな獲物に対して、最適な解は何が挙げられるかな?」

表情にはやや、厳しさが増す。手札は分かったが、前回の戦いに対して最良とはいずれも言い難い。
故に問おう。考えを促そう。それ次第で教授すべきものは変わる。

エアルナ > 「大きく、強度が高く、内外の侵入に加えて魔法に耐性――これって…」
指折り数えてその特徴を考えれば、思い出す魔物がいる。
最強の生き物の一つ、ドラゴン。竜。
そしてその眷属――先日。撤退せざるを得なかった、あのヒュドラ。

これは、と考え込む。
「魔法だけで、そういうものに対抗するのは難しいです――まずはその強固な壁を崩さないと、そもそも効果が及ばない。
武器を、強化したうえで切り裂く。または貫く。
たとえば…柔らかい部分、口の中や、眼を狙って。」

どうでしょうか?と。
自分なりに思考した回答を差し出そう。