2017/04/23 のログ
ご案内:「九頭竜山脈の奥地」にレイカさんが現れました。
レイカ > 精霊たちの力を感じ取れる場所は、この森にはいくらでもある。
私が警護している里も、マナが充満することはあるけれど、頻度はそんなに高くはなかった。

だけれど、この場所はいつでもマナの力が満ち溢れている。
九頭竜山脈奥地にある、樹海の開けている場所。
ここはいつも、火の光も月明かりも差し込みやすくて、明るいときに来ればいい森林浴の場所になる。
だが、夜に来ると月明かりのせいで、非常に神秘的な場所になる。

この場所は、私の瞑想場所にぴったりだった。
いくら魔力を得て、精霊たちの力を具現化できるようになったとはいっても、毎日の瞑想を怠れば一気に劣化する。
――今の私には、強い強い力が必要なのだ。

「すぅ―――――――――…。はぁぁ――――――……。」

切り株の上で、私は心も頭も空っぽにして、精霊たちの声だけに耳を傾ける。
胡坐をかいたまま、目を閉じゆっくりと大きく息を吸い込み、そして時間をかけて吐き出す。
自分の中にある魔力、それを常に放出しこの場所に充満しているマナを取り込む。
それを、自分の中で魔力と混ぜ合わせ、より強い力に変化させる。
自然界との一体化、この瞬間だけ私の存在は、この世からなくなる。
とても心が落ち着く、静かな静かな、私の訓練所―――。

ご案内:「九頭竜山脈の奥地」にカナムさんが現れました。
カナム > ミレー族の里の元へ食材の猪を持ってやって来たのが一刻前
けれど目的のレイカが不在だった
どこにいるか聞いてみればどうにも森の奥で修行をしているらしい
樹海の奥の開けた場所、マナに溢れる場所と言われたので勘を頼りに森を進む

「マナ…マナって何なんだろ?」

魔力なら分かるけれどどうにも魔力とは別物らしい
高い気を見つければ上に登って開けた場所を探す
やっとの事でそれらしい場所を見つけて足を運べば切り株の上に彼女を見つける

「………」

声をかけようと思ったがかなり集中している様子
確か修行と言っていたし邪魔はよくない
小さく欠伸を漏らしつつ彼女が動くのをじっと待つ

なんだかここは静かで昼寝にはもってこいだ

レイカ > マナを自分の中に取り込んでいく感触。
自分の中に、自然界の力、エネルギーが満ち溢れていくのがわかる。
私の体は、決して大柄なほうではないし、むしろ小柄だ。
そんな私が取り込めるマナは、とても純粋で不純物の一切ないもの。

大きく息を吸い込みながら、最後の仕上げにぐっと息を止める。
眼を開けば、私の中で新しいマナが満ち溢れ、私の力になっているのがわかる…。
これで、さらに強い力を使えるようになったと感じれば修業は完了だ。
後は、もう少しこれを研ぎ澄ませれば扱うこともできるようになるだろう。

だが、馴染ませるには少々時間がかかる。
何しろ一新した精霊の力だ、別の意思が働いている間はむやみに使うものではない。
だが、これは里に帰ってからゆっくりとやっていけばいい。

さて、そろそろ帰ろうかと立ち上がった際だった。
その目の前に、あくびをしながら一人の少年が、私の目の前にいた。
その人物を見て―――私は、静かに微笑んでいた。
敵対するものではない場合、私の素は決していつもの冷たいものじゃない。

「カナム君、こんばんわ。
どうしたんですか、こんなところで会うなんて……。」

奇遇、というには少しできすぎている感じがする。
確かに、里も九頭竜山脈の奥地であるのは間違いない。
だが、この場所はその里のさらに奥、だれも知らない私だけの修行場。
そこに彼がいる、ということは里に一度立ち寄っているということだろうか。
そんなことを考えながら、眠りそうになっているカナム君に、少し歩み寄った。

カナム > 「んぁっ…邪魔しちゃった?」

確かにレイカの視界の内側には居たけれどこんなにすぐばれると思っていなかった
昼寝はお預けだけれど待つ必要がなくなった
自分も立ち上がると彼女がこちらへやって来て

「ご飯食べさせてくれるって言ってたでしょ?
だから材料持ってきたんだ」

と、ここに来るまでの経緯を説明
村に寄り大雑把な情報からここを探してやって来たと

「レイカは何してたの?
修行って聞いてたし集中してるみたいだったけど見た感じ昼寝だし」

マナを感知していない自分にとってレイカの瞑想は昼寝に見えてしまう

レイカ > 「いえ、ちょうど終わったところですので気にしなくてもいいですよ。」

邪魔をしたかと聞かれると、その返答はノーだ。
修業している間は、精霊の声以外は聞かないようにしているし、目を閉じているので周りも見えない。
ただ、意識を集中しているので、精霊の声以外に雑音が入れば気にはなる。
しかし、カナム君がそれらしいものを立てていなかったので、私は何ら邪魔されることなく修業を終えた。

「ああ、なるほど…そういうことでしたか。
其れじゃあ、里に帰ってまたご飯作ってあげますね。」

先日あったときに、今度はお土産を持ってくるとカナム君が言っていた。
そのお土産、料理の材料を持ってきたと聞けばそれはどこにあるのか、と気になる。

一度、里によりここのことを聞いたとなれば、里の皆もカナム君のことは認知しているということか。
…まあ、私が見送ったのを見られているし、敵ではないのは明白か。
ここに来るまでの経緯を聞けば、その材料というのはすでに里に運ばれていることなどすぐにわかる。
なら、帰ったら里の解体人がすでに捌いてくれているだろう。

「ん、私ですか?
昼寝じゃなくて、こうして自然の中にいる精霊と話をしていたんです。」

魔力のある人物、感知できる者ならこの場所に、マナという自然界の力が満ち溢れているのがわかるだろう。
視認できるなら、この辺りは満面蛍が飛んでいるような。
幻想的な光景を見ることができるのだが…カナム君は、どうやらそうではない様子。
なので、確かに彼にしてみたら、切り株の上でお昼寝をしている私、という図面になるのだろう。

カナム > 「そう?じゃぁ良かった」

邪魔はしていなかったらしい一安心だ
彼女に嫌われるのはあまり嬉しくない

「やった!
でかいの捕まえたから沢山食べられるよ」

お土産の食材は2m近いサイズの猪
血抜きもしていないので処理はミレー族に任せている
恐らく里に戻る頃には食べられる状態にはなっている筈

「精霊……ってなに?」

またもや知らない単語が出てきた
精霊、その存在を知らないカナムにとっては未知の存在
勿論周囲を漂う光にも気付いておらずよく分かっていない様子

その中で彼女の目には火の精霊だけはカナムに余り近寄ろうとしていないのが分かるかもしれない
少し遠目にカナムを観察している。そんな様子だ

レイカ > 「あら…じゃあ里の皆で分けてもいいですか?
今日は猟が不作だったらしくて、小さいのを捕まえてきただけなんですよ。」

小川の魚も捕まえたけど、とても里の皆の分には足りなかった。
どこかで買い付けるようなことができれば、賄うこともできるのだろうけれども、あいにくあの里は自給自足がモットーだ。
足りない時もあれば、取れすぎることもある。
幸い、野菜は備蓄があるのでそれを削れば、何とかみんなで食べる分はある。
あまり、豊かな生活ではないにしろそれなりに生活をしている。
皆で力を合わせながら暮らしていると、なんだか昔を思い出して懐かしかった。

だが、カナム君が捕まえてくれたイノシシがあれば、里の皆も植えることはなさそうだ。
大きさを私はまだ知らないが、そんなに大きいものなら、皆で食べても問題はないだろう。
ただ、カナム君が嫌がるかもしれないが…。

「ああ、そこからですか…。」

いや、その疑問はもっともだ。
一般人や、カナム君が知っているようなものは、おそらく少ない。

「精霊っていうのは、ものに宿る小さな…魔法のようなものです。
それぞれがちゃんと生きていて、気づいていないだけでごく自然に、そばにいたりするんですよ?」

知らないのも無理はない、気づこうとしても精霊たちは皆恥ずかしがり屋。
それを見ることのできる人は、高度な魔術師であってもごくごく少数。
私でも、ついこの間まで耳飾りをつけていないと話をすることすらできなかった存在だ。
カナム君が気付いていないだけで、その周りには風の精霊や、木の精霊が楽しそうにしている。

「………え?」

ただ、ふと見上げればそこにいたのは…火の精霊。
なぜだろう、この辺りには火の精霊はいないはず、ボヤでも起きていない限りは。
ただ、そこにいる火の精霊はこちらに近寄ろうとせず、まるでおびえたように。
警戒しているように、遠巻きにこっちを見ているだけだった。

カナム > 「別にいいよ。処理してもらってるし」

手伝ってもらったのだから分け前を渡す位構わない
それに自分はそこまで飢えている訳でもない
ただ料理を食べたいだけなのでそれ以上何かを求めている訳でもない

「だって精霊なんて知らないんだもん」

ムスッと頬を膨らませる

「動く魔力みたいな感じ?」

意思を持って動く魔力
魔法なんて碌に使えない自分でも面倒そうなのが分かる
自分で制御しきれない力なんて危なっかしくて何だか怖い
もしかして精霊の力をあまり見かけないのもそういう理由があるのかも?

「どうかした?」

急に自分とは関係ない方を見て驚く彼女に尋ねる
彼女の目線の先に何か居るのか…目を凝らしてもやっぱり分からない

睨まれたと勘違いして火の精霊がどこかに行ってしまうかもしれない

レイカ > よかった、やはりカナム君はちゃんと考えて行動できる子だ。
子ども扱いしているわけじゃないけれど、ここでもし自分だけで食べる、なんて言い出したらちょっと困っていた。
だけど、分け前をちゃんとくれるとなれば、私もほっと一息つける。

「そうですね、動く魔力のようなものと言ってくれれば…。」

意思を持って動く魔力、確かに少し面倒かもしれない。
でも、それと仲良くなれれば、きっと面白いだろう。
風がどの方向に吹いているのか、そして気がどんなことを話しているのか。
明日の木の実はどこが美味しくなっているのか、そんなことまでわかるようになる。
そして、有事の際にはとても頼りになる守護者になったりもする。
目に見えない分、わからない分、相手も対処が難しいのだろう。
そして、精霊たちの怒りは時に見えなくても、とある形で降り注ぐ。
例えば、火の精霊を怒らせれば…山火事になったり、風の精霊を怒らせれば、水の精霊と結託して嵐を起こしたり。
自然現象、災害として襲い掛かってくるのだ。

「………いえ、なんでも。」

だが、その火の精霊に視線を送れば、逃げて行ってしまった。
小火はない、だがあの様子からして確実におびえている。
強気な性格をしている火の精霊が、視線を送られただけで逃げ出すなんて…おかしい。
原因は何となく察することができるけれど…それを聞くのは、なんだか気が引けた。

カナム > カナムは確かに考えている
彼等が自分の持ってきた肉を食べて満たされれば誰が喜ぶのか
彼等が飢えて一番悲しむのは誰なのか
絶対に必要でもない食料を分けるだけで彼女が喜ぶのなら何も不満に思わない

「物凄く面倒そうだねそれって」

自分の武器や力がもし気分で動いていたら少し…頼りない
そう思ってしまうのは精霊の力をまだ知らないからだろう
それがどれだけ便利で強大な力でもまだまだ自分にとっては未知の力
それがどんな働きをしてくれるのか、これから理解していけば認識も変わってくるかもしれない

「そう?じゃぁ行こっか!」

彼女が何でもないと言えば里の方へ振り返り歩き出す
道行く最中、もしカナムの事を精霊に尋ねればこう答えるだろう

とても大きな翼、と

レイカ > 「ふふっ…でも、とても頼りになる力なんですよ?
例えば、カナム君が森で迷ったときなんかも、精霊に聞けばすぐに道がわかったりしますし?」

ただ、本当にその力を使いこなすのは難しい。
精霊の力、自然界の力をただの一個人が使うには、本当に労力を使う。
声を聴くだけでも、おそらく難しいだろう。

ただ、それを理解した時に、使いこなせるようになった時にはわからなかったことが、わかるようになる。
そして、精霊の目で物事を見れるようになれば。

「……ええ、また美味しく作ってあげますね。」

にこやかに返すが、私は精霊たちの声を聴いていた。
そして、その言葉に私は少し疑問を覚えた。

精霊たちに聞いたのは、カナム君がどう見えるかということ。
その視線は、私たちのような台地で生きている人間とはまた違った角度で見ることができる。
その視線から見て、カナム君は”とても大きな翼”ということだった。

大きな翼、どういう意味だろうか。
精霊たちは、いったいカナム君の波を見て、大きな翼と言ったのだろう。
やはり、疑問が尽きない…記憶を無くしているということもそうだ。

「……あの、カナム君。一つだけ聞いていいですか?
最近……大きな火を使ったとか、そういうことはありますか?」

精霊が怯える原因は、そのものがその精霊に悪影響を及ぼす、何か大きな力を使った形跡があるとき。
火の精霊が怯えたということは、何か大きな火を使ったことがある。
さっきの精霊の印象と言い…この子にいったい何が起きたのか。
私は、無性にそれを知りたくなった。

カナム > 「そっかぁ…嘘の道教えてりしないよね?」

そんな悪戯をされるのが少し心配
でもそんな事がないのならいつかその力を使ってみたい
全く自分が知らない力、興味を持つなと言う方が無理な話だ

「じゃぁ僕はたくさん食べるね!」

ルンルンと気分よく歩いている
生きる為に食べるのではなく美味しく楽しい料理
沢山食べようとどんな料理が出てくるのか考えているとレイカから妙な質問をされる

「大きな火?んー…別に大きくはないけど火はいつも使ってるよ?」

よっ、そう言うやいなやカナムの左腕が炎に包まれる
カナムは熱そうにもせずその肌も焼けている様には見えない

彼女にはその炎が精霊の力に近いものに感じるだろう
同時に、その力は周囲から集めているのではなくカナムの内側から発生していることも

レイカ > 「ふふっ……さあ、どうでしょうか?」

少しだけ、彼に意地悪をしてみた。
精霊たちは、親しい者にはちゃんと正直に答えてくれる。
けれど、その力の使い方を誤ったり、使いこなせていない場合は非常に悪戯好きな性格になる。
まあ、精霊の力を使えないならば、その声も聞こえないはず。
そんな悪戯をされる心配は、おそらくないとは思うのだが。

「ええ、たくさん作るのでたくさん食べてくださいね。」

里の料理は、いつも私が賄っている。
30人分だろうが、31人分だろうが作る猟にそこまで大差があるわけじゃない。
それに、大きなイノシシが取れているならばカナム君がお腹いっぱい食べても、おそらく大丈夫だろう。
あの食いっぷりに関して、少し不安が残るけれども…まあ、その時はその時だ。

質問を投げ、その回答で私はなぜ精霊が逃げたのかを確信した。
カナム君が左手に生み出した炎、その力はどこか精霊の力によく似ていた。
しかし…精霊の力にしてはその力は異質だった。

「………!カナム君、その力、いつから使えるようになったんですか?」

通常、精霊の力は外側から力を貸してもらう形になる。
だが、内部からその力を使うとなると、その体の中に精霊を宿しているということになる。
マナを消費している様子はない、だがそれによく似た、自然界の力。
それを内側から扱えるカナム君の体の中に、まさか火の精霊が取り込まれているのだろうか。
だとしたら、精霊たちが逃げ出した理由は…。

カナム > 「…自分の勘を頼るよ」

やめといた方がいいと結論付けた
やっぱり気紛れな力は怖い
自分で頑張るのが一番だ

「沢山食べて沢山寝るよー
もっと大きくなりたいしね」

よく食べてよく眠る
運動も間に挟めばすくすく育つはず
レイカの料理で美味しく元気になろう

「これ?
……最初からできてたし記憶なくなる前からじゃない?」

最初から感覚で使えたと答える
以前出会った時には確かに持っていなかった力
炎で驚いた様子の彼女を見て得意げに答える

「凄いんだよこれ。動物や山賊を燃やしたらご飯にできるんだ!」

山賊を燃やした炎が自分の体に入って来たと
その炎のおかげで口から物を食べなくても体が満たされると嬉しそうに語る
火の精霊達は確かに遠目に覚えている様だが精霊その物に害を与えている様子はない
勇気のある火精霊はカナムの腕に近付いて逃げたりを繰り返したりする者も

カナムの様子は親に褒めてと自分の偉業を報告する様に見える

レイカ > 「ふふっ……。」

やっぱり、この子は子供だと思う。
別に子ども扱いするつもりはないのだけれども、それでもどこか仕草が可愛い。
ちょっとだけ悪戯したけれど、そんな反応をしてくれると、私も少しだけ嬉しかった。

たくさん食べて、たくさん寝て…。
そしてたくさん遊んで、大きくなっていくこの子を見守るのも、悪くはないかもしれないと思う。
ミレー族に対しても、敵対心や差別意識を持っている様子はない。
里に迎え入れてもいい、そう思い始めているけれど…彼にも彼の生活がある。
それに…私はどこか、恐れてもいた。
むやみに人を増やし、それが元で争いが起きるのではないかと。
そんなことはない、と絶対には言い切れないのだから…。

炎に関しても、以前はそんな力を持っているようには見えなかった。
以前、施設でうっかり戦闘になったとき、彼の力の強さには驚かされた。
しかし、あんな炎を出すようなことは一切なかったはずだ。
相手を燃やした炎を体内に取り込み、それで満腹感を得ている…?
まるで、相手を取り込んでいるようなそれに、私はどこか恐怖すら抱いた。
火の精霊が、近づこうとしてはその強さに逃げ回っている…。
この力が何なのかはわからないけれどもその表情を見ると……。

「そ、そうですか…。で、でもカナム君、その力はあまりむやみに使わないほうがいいかもしれませんよ。
ほら、それでお腹がいっぱいになると、私にご飯が食べられなくなるかも、ですし。」

まるで、褒めてほしいと言わんばかりの笑み。
大きな翼、その言葉が意味するものは何なのかはわからないけれど。
間違いなく、今のカナム君は何か得体のしれない、大きな炎の力を持っている。
そのことを、私は確信していた。