2017/03/27 のログ
ご案内:「小屋」にオーベさんが現れました。
■オーベ > 庭に出したテーブルの正面に座る物体は言葉こそ話さないが眺めるに飽きることがない
身体は自分より一回りほど大きく、無口で出したお茶にも一切、口は付けないが大人しくしている所を見ると、
まあ、悪い気分でもないのだろうと思う。話しかけると何か言いたげに見えるがそれも自分の気の所為かもしれない
「俺もほうぼう旅をしたけれど、君みたいのは初めてだな…
…で、時々、出すその胞子みたいの辞めてくれないか?鼻がムズムズする」
返事はない
それも当然、相手は自分の身の丈より一回りは大きいキノコなのだから
せっかく、彼だか彼女だかに出したお茶の入ったカップにも薄っすらと胞子が浮き台無しに思える
話しかけると時折、ふわっ、と返事をしているつもりなのか胞子を撒き散らすので、
自分のカップに胞子が入らないように手を翳すのが酷く面倒くさい
…なにはともあれ、陽気な日差しの下、庭にテーブルを出し珍客のキノコ人間とテーブルの下で
うたた寝をしている老犬とで庭に咲いた白い花なんぞを眺めながらちょっとしたお茶会の時間であった
キノコが、花を愛でるかどうかはわからないのだが、少なくともお茶を嗜む文化は無いらしい
■オーベ > キノコにはよくよく見ると軸の部分に手のような部分があり、石づきの部分には指のない足のようなものが見える
それで此処まで歩いてきたようだが、何をしてに来たのかは皆目検討もつかないし、
聞いてもキノコ氏は何も答えないので、目的も不明である
暖かくなってきたので、散歩でもしていたのか?と聞いてみたが二度ほど胞子を撒き散らすきりであった
仕方ないのでテーブルと椅子を小屋から引っ張り出し、椅子を勧めるとずるずる、と足を巧みに使い、
歩いて椅子まで寄っていったので、此方の言わんとしていることは通じているらしい
魔物や悪意何かがあれば、テーブルの下で寝ている老犬や自分の影に潜む召喚獣が反応するので大丈夫そうである
森の事柄に詳しい自身の影に潜む召喚獣にこのキノコ氏が何者であるか知っているか?と尋ねてみると、
『何年か前に見かけたような気がするが何かは知らない
キノコのお化けじゃないんです?』
と言ったきり思い出す努力すらせず、家族自慢が始まりそうな気配だったため、影の中へ戻ってもらった
自分よりも遥かに長命な召喚獣が知らん、というので、ボケているんでなければ、本当に知らないのだろう
長生きしても知恵は伴わないのだなあ…と、口に出さないまでも思いつつ、少しでもこのキノコ氏の
情報を集めようとしげしげと眺めながらお茶を飲むに至ったのである
「………―――無口だなあ」
眼というか瞳に相当する器官も見当たらないのでどこを見ているのかもさっぱりわからない
そもそも、椅子に座ってはいるが正面を向いているのかさえも怪しいところである
■オーベ > こうして、キノコへの観察は突然、立ち上がったキノコ氏が森の中へと戻っていくまで続く
結局、キノコがなんであったかわからなかったが貴重な経験だったなあとか、ぼんやりと思うのだった―――
ご案内:「小屋」からオーベさんが去りました。