2016/12/03 のログ
ご案内:「設定自由部屋2」にロレンスさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋2」にユノさんが現れました。
ロレンス > 屋敷に戻り、ゆっくりと時間を過ごす一幕。
贄姫と印を刻み込んだ愛らしい娘の手を引いて、北方にある別荘へと彼女を連れ出した。
深窓の令嬢と、大事に育てられた彼女は外の世界をあまり知らなさ過ぎる。
それ故に、自分の言葉に堕ちて、こうして傍らにいてくれるわけだが。

「寒いから、ちゃんと厚着するんだよ?」

身支度をさせて、彼女にそんな注意を促してから転移の紋を踏み、別荘へと二人は出かける。
冬到来と一面の銀景色が望める丘の上、そこに建てられた別荘の前に辿り着くと、冷たい空気があたりに広がっていた。

「ユノは雪もちゃんと見たことないんじゃないかなと思ってね、特にこんな一面雪の世界とか…彼処なんかは湖なんだけど、水面が凍って分厚い氷になってるんだよ」

雪景色の向こう、それほど遠くないところに薄っすらと雪をかぶった湖がある。
水面の揺れはなく、かちりと凍りついた水面が白く染まりつつある。
そんな説明を楽しげに語る彼も、ここでの寒さ対策はしっかりと行っている。
いつもの格好に防寒の厚手のコートと、革の手袋。
シンプルながらに冷気を確りと遮断していた。
こんな景色に少しは心躍るだろうかなんて思いながら、彼女の方を見やる。

ユノ > 「はぁい。けれど、どこにいきますの?」

厚いしっかりとした生地で作られた、白茶色を基調とした長袖のワンピース。
動きやすさのために裾は膝が隠れるかどうかという長さ。
白い足は、黒いタイツで覆われブーツを履き普段と比べると露出は少ない。
その上から、ベロアのコートを羽織って準備ができました、とロレンスのもとへと近寄りその腕にすりよってゆく。

「わ、ぁ…」

転移の紋からの瞬間移動。
目を開けば白銀の世界が広がり、少女は感嘆の声を漏らす。
つん、と冷えた空気と白く輝く世界が少女を包み込んで。

「ちらちらと、お空から降ってくる雪はみたことがありますけれど、こんなに真っ白なのははじめてですわ。
 キラキラして、とても綺麗…。
 湖ですの?湖みたいな大きなお水が凍りますの??」

寒さとそれを上回る興奮に、頬を紅潮させ瞳を輝かせながら初めて見る光景に少し早口になりながらロレンスを見上げ。

ロレンス > 「ユノが見たことがない、冬の世界だよ」

何時もより露出の少ない、しっかりと寒さを遮る格好だが、それでも可愛らしく出来上がる姿に笑みが溢れる。
連れ出した先は、雪降り積もる白い世界。
寒さに震えるかなとおもっていたが、感動と興奮にそれどころではなさそうだ。

「やっぱりそうだったんだね。ここは王都から北に進んだところにある山の裏手でね、雪も積もるとこんな景色になるって見せてあげたかったんだ」

王都でも雪はふるが、積もって白い景色を生み出すことは稀な方だろう。
それだけ人の手が行き届いた便利な場所ということだが、事景色をみるには、手が行き届きすぎている。
興奮気味な彼女へ楽しげに微笑みながら、優しく黒髪を撫でると、そうだよと頷く。

「寒ければ湖の上の部分だけでも凍るんだよ、見に行こうか?」

小さな手を握りしめたまま、ゆっくりとエスコートして雪の上を歩く。
ぎゅ、ぎゅっと雪が圧縮される音を響かせながら、真っ白な一面に二人だけの足跡を残す。
不慣れな雪道は、箱入り娘の彼女にはあるき辛い場所だと思うが、そんな苦労も彼女には良い経験だろうなんて思いつつ、転ばないように気を配りながら、一歩ずつ湖へ向かう。

ユノ > 「もう随分とここも冬だと思うのですけど」

暖かな温度管理のされた屋敷の中だと実感は薄いが、外はすっかりと気温が下がり紅葉も終わりかけている。
見たことのない冬の世界ってなんだろうと、言葉に首を傾げていたがその疑問も、一瞬で吹き飛んでしまう。
つん、と鼻が痛いほどの冷気、ばささっと木から雪が落ちる音。
しん、と音を雪が吸い込んでしまう静寂感。
それら全てが初めての経験で、瞳を輝かせて。

「雪が葉っぱの上に積もって白くなるのとか、少しだけ地面が白くなるのとかは見たことがありましたわ。
 でも、風邪をひくからと雪の日は外に出てはだめだと言われてましたの。」

雪が降り積もっても、ここまで白銀の世界を作り出すことは王都ではない。
同じ量の雪が積もったとしても、これだけ美しい光景を見ることはまず王都では叶わないだろう。
撫でられる黒髪も、冷気にひやりと冷えて。
その仕草に嬉しそうに目を細めて、手袋に覆われたその手に擦り寄る。

「凍ってしまったら、お魚さんたちは大丈夫なんでしょうか?はい、見に行きたいですわ。上を歩いたりできるのかしら?」

普段は湖の上を歩くなんて、魔法でも使わなければ不可能なことだが凍っているなら出来るだろうかと興味津々で。
そちらへと、ぎゅ、ぎゅっと雪を踏みしめる二つの音が響くがそのうち一つは、規則的とは言い難い。
沈んでいく雪に足をとられてよろけながら、エスコートする手にしがみついて。
けれど、よろけたりするのに楽しそうに声をあげて湖へと歩いてゆく

ロレンス > 最初はキョトンとしていたが、周囲の音を吸ってしまう雪から生まれる静けさは、特に王都では体験することのない世界だろう。

「それぐらいは王都でも目にすることはあるかもね。やっぱり…ユノは大事にされてたんだね」

大切な一人娘が病に倒れたら…なんて過保護な彼女の父親の言葉が聞こえる気がする。
だが、この子は淫魔の血を引いているし、殺そうとしても殺せるものではない身体も持っているのを知っている。
だから遠慮なく寒い雪の世界に連れ出せる。
手に擦り寄る彼女を何度も撫でながら、言葉は続く。

「氷の下は変わらない湖の世界があるからね、氷漬けなんてことはないよ」

彼女の脳裏に浮かぶのは、上から下までしっかりと凍りついた湖だろうか。
そんなことを考えつつ、行こうかと歩き出すも、速度は遅い。
ふらつき、しがみつく彼女を支えながら一歩ずつ進み続ける。

「楽しそうだね? あと、湖の上は…多分歩けるよ、でも、ところどころ薄い場所はあると思うから気をつけないといけないけどね」

初めてのことが新鮮で楽しい、雪の上を歩くだけでもそう思ってもらえるなら、連れてきた甲斐もあるもの。
時間を掛けて湖まで辿り着けば、ちょっとまってねと告げてから手を解くと何歩か先に進んだ。
軽く足で雪を払いながら確かめると、彼女へと振り返る。

「…ここなら平気かな、もうここは湖の上だよ?」

彼が立つ場所、そこは既に凍った水の上だ。
歩けば分かるが、雪の柔らかな感触とは別に、かつりと硬い感触もあるだろう。

ユノ > 「でも、窓から雪がちらちら舞っているのを見るのは好きでしたわ。
 連れてきてくださって有難うございます。ロレンス様」

父が全てであった頃は、逆らおうなどと欠片も思うことなくそれが少女にとって『当たり前』の事だった。
けれど、こうやって額縁の絵を眺めるように窓ごしに見る雪と実際に踏みしめる雪では大いに違う。
空気の冷たさ、雪の眩しさ、全てが新鮮で彼はいろんな経験を少女に与えてくれる。
撫でる手に心地よさそうにしながら、新しい世界を教えてくれる人にそう礼を言って。

「そうなんですの。でも、凍った湖の中だなんてお魚さんもさぞ寒いでしょうね。きゃっ、ふふふ」

氷漬けではなくても、氷水の中で泳ぐ魚を想像すると自分が寒くなってしまいそうだ。
慣れない少女に合わせる歩調はとてもゆっくりで、なんどもよろけれは楽しそうな声をあげる。

「だって、楽しいですもの。歩けますの?すごいすごい」

漸く湖の前へとたどり着くと、手が解かれて彼が歩いていくのを見守る。
ロレンスのいうことに間違いは無いだろうけど、氷の上を歩くという行為に割れてしまわないかとドキドキして。

「本当に氷の上に立つことができるのですのね。……きゃっ」

少し先で、ロレンスが立っているのはまごう事なき透明な氷の上だった。
足元の雪が払われ、少しだけつるりとした湖面が見えているのに大きな瞳を、更にまるまると大きくして。
そろりとそちらへと慎重に歩み寄ると、雪とは全く違う感触とともに、つるりと足が滑って再びロレンスにしがみついて。
慣れればそのうち、上手にバランスをとることができるようになっていくか。

ロレンス > 「ふふっ、夜に降る雪も、街並みに溶け込んで綺麗だよね。ユノが楽しんでくれて、何よりだよ」

吐く息が白くなり、入り込む酸素は肺で解けていくように冷たい。
雪も積もった上で歩けば、今にも転びそうになる。
当たり前のようで、彼女には当たり前ではない世界。
お礼を言われた自分も、彼女を通して、そんな飽きそうな世界に新鮮味を覚えられる。

「全部凍らせるのは大変だからね、っと、ユノも雪まみれになって風邪引かないでね?」

よろければ、ぎゅっと抱きしめて体を支える。
楽しそうな微笑みにつられて、こちらも微笑みながら戯れるように頬にキスをしてからゆっくりと腕から開放していく。
再び手を握って歩けば、湖はすぐそこだ。

「水溜りの氷と違って、厚ぼったい氷が張ってるからね…おっと!?」

足を滑らせてしがみつく彼女を支え、氷の上を歩くのも一苦労だろう。
それでも、徐々に落ち着くようになれば、足元の雪をどかしていき、綺麗に凍りついた一面を見せていく。
酸素を閉じ込めず、透き通った氷は緩やかに揺れる水面を時折移しながら、密着した水の中を晒す。

「もしかしたら…魚の姿もみえるかもね」

クスクスと微笑みながら、彼女の興味を擽ろうとしつつ、するりと後ろから抱きすくめていく。
元気いっぱいに楽しむ彼女の愛らしさに、嬉しさと同時に可愛がりたいと、温もりを求めながら抱きしめていく。