2016/05/28 のログ
ご案内:「奴隷市場」にアーヴァインさんが現れました。
■アーヴァイン > ――月末報告。
・山賊街道、山道での略奪行為の活発化により、寝台馬車の護衛の強化が必要となる。
・偵察班から魔法に優れたものを選抜し、狙撃魔法銃を装備しての前哨狙撃隊の結成。
・警備班の練度を強化し、護衛班へ編入し、統合する。
・ティルヒア戦争時、魔法銃部隊の亡命を引き受けた際に接収したマスケット型魔法銃の強化、改良。
・魔王軍の構成員が拠点、集落に侵入。居住者の安寧の為、警備を増員、先行して訓練を受けた組合員に狙撃魔法銃を装備。
……あげればキリがないほど、沢山の変化が訪れていた。
勿論悪いことばかりではなく、安全な行路確保のため、寝台馬車、乗合馬車の需要は増えている。
あれだけしっかりと護衛を付けて走らせると、余程のことがなければ襲わないと、金に余裕がある商人が安全を求めて御用達にしてくるからだ。
集落に出入りする人が増える分、組織としての収入は安定して増える。
黒字続きの中、現状の懸念材料を取り除くために彼が仲間を連れてやってきたのは奴隷市場だった。
元々目星がついていた奴隷を取り扱う店へと入ると、店主を呼びつけ、早速商談へ。
「ここの奴隷を全部買い取る、但し、3割下げてもらえるか?」
唐突な商談に何を馬鹿なと鼻で笑う商人へ傍にいた仲間が袋を差し出す。
それはゴルドの代わりに持ってきたのは高価な宝石が詰まった袋だ。
中身を見た瞬間、目の色を変えて袋を覗き込む商人へ、更に言葉をたたみ掛ける。
「ゴルドだと運ぶのが量が多い、それでいいか?」
金はあると確かめた商人はにやりと笑いながらも、首を左右にふる。
3割は無理だと、そうすると仏頂面だった彼がそうかと呟き、裏の方に見える檻の中で弱っている奴隷の方へと歩んでいった。
「全部といっただろう? 君らが処分する予定の奴隷も含めて全てだ」
使いものにならないものも引き取るから値引けということだ。
元々体が弱かったのだろうか、青白い肌で弱々しく息を吐く奴隷の頬を軽く撫でると、商人へと振り返る。
淡々と落ち着いた表情で妙な商談をふっかける姿は、商人以外が見ても奇妙に見えるかもしれない。
■アーヴァイン > 商品にならない奴隷の処分をするにしても、死体の処理やら何処かの山に捨ててくるにしても手間も金もかかる。
それすらもなくなり、それを差し引いても売り物にならない奴隷から僅かな儲けも発生する。
そう考えれば3割引きは悪くはないと、店主が揺らぎ始めたところで表情を変えぬままに語りかける。
「即決しないなら、別の店をあたる」
相手の判断力を惑わせるように即答を求めていく。
時間が経てば大きな儲けが何処かに流れ着くと、浅知恵に追いかけるなら、この揺さぶりでも十分効力はあるだろう。
結果、商人はいいだろうと彼の口車に乗せられていく。
「商談成立だ、まずは半分渡す。馬車に積み終えたらもう半分で完了だ」
積み込む間に小細工でもされたら面倒なので、金を人質に交換をスムーズに進める。
宝石の袋を受け取り、ご機嫌の商人の前で数人の仲間達が手際よく檻から彼らを開放していく。
近くに停めてあった馬車を近くの通りまで寄せると、そこへと導いて次々に乗せていった。
途中、ミレーの奴隷に悪態をつかれるものの、今は悪党のふりをしていたほうがいい。
やることを知られたら、この商人が話をひっくり返すかもしれないからだ。
「…立てないか、俺が運ぼう」
先程の青白くなった少女も檻から出したが、よろよろと足取りは覚束ない。
ひょいっとその体を横抱きに抱えれば、食材の入った紙袋でも運んでいるかのように軽々と馬車まで運び込んでいく。
通りを行き交う人々は店の引っ越しかと思うような光景が見えるだろう、今は淡々と彼らを馬車へと運び続ける。
■アーヴァイン > 全て積み終え、袋を渡すと馬車へと乗り込み、奴隷を連れてこの場を離れていく。
車内では悪態の限りがつかれているものの、苦笑いをしながら振り返る頃には王都の外へと抜けていた。
「覚えていないか? 以前、里と契約について伺ったことがあるんだが…」
彼らは隠れ里の中でも変わった存在だった。
仮に見つかっても、奴隷狩りの兵士達を血祭りにあげてしまうほどに腕っ節が立つ。
そんな彼らが根こそぎ捕まったと話が飛び込んだのはある意味運が良かった。
帰る宛のない彼らに提供する場所、そしてその悔しさの矛先。
同族を救うためにこうして仕事をして買い取って、仕事をしてと繰り返す話をするものの、彼らに問われた疑問が一つ。
「あぁ…渡った金か、それは心配しなくてもいい」
もともとあの商人は暗い噂が多かった、それをネタにしつつ、商人に渡した宝石を対価として国の兵士が接収する。
多少なりは奴隷市場に還元されるかもしれないが、それでも新たな奴隷を劇的に増やすには難しい。
そんな話を聞けば、枷を説かれた彼らがケラケラと笑う。
いいざまだと、ミレー族の割には言葉の乱暴な奴らだとこちらも悪態を笑みでつきながら進路は麓へ。
高い出費となったが、戦いを避けたミレー族を戦場に引っ張りこむよりは良い結果となるだろう。
ご案内:「奴隷市場」からアーヴァインさんが去りました。
ご案内:「どこかのお屋敷」に魔王リュウセンさんが現れました。
ご案内:「どこかのお屋敷」にアマンダさんが現れました。
■魔王リュウセン > 王都の下級貴族がよく住まう地域の一角。
ごく普通のごく一般的なお屋敷をとある伝で購入したんです。
ろくでもない伝にも近いけど 手に入れたのだから有意義に使わなければ。
元にあった王都での拠点は既に更地でもう今頃はだれか買い手がついたのではと思っている。
さて、造りも土地も周りに合わせてみたので 基本的な建物の階数は2階建で部屋数も多くもなければ少なくもない。
人間や獣人の部下が数名程 使用人としていたりとさも合わせました的な構成で
浮いていたとしたら 全く隠蔽スキルの無い主人―魔王リュウセンだけではと思われる位。
そのくだんのケモ耳魔王はリビングに当たる部屋でそわそわしていたり。
■アマンダ > リビングに続く扉が開かれ、使用人の一人と思われる獣人に案内された少女が足を踏み入れる。
魔王とは聴いていたが、住んでいる屋敷は少女の澄んでいるあばら家とは大違い。
すっかり場違いなとこに来てしまったと内心驚いている少女。
が、案内された先に知った顔を見つけると嬉しそうに近づいていく。
「こんばんは。 お招き頂きありがとう。」
部屋の中央でそわそわしている相手の前に近づき、にっこりと微笑む。
■魔王リュウセン > もふもふの狐耳と尻尾は丸まってそわそわ頻度が酷かった。
そこに 扉が開かれてびこんびこんと耳が丸まっていた状態から立った。
(…おおう、お越しに…うん、が、頑張ろう)気合を入れるとさも…いや
既にそわそわしていたのを目撃されているとは…気づかれているので椅子の上で正座状態だったのを座り直して よく来てくださった的に立ち上がろうか。
…色々と小物感満載な魔王(笑)ちょろいもふもふ担当とか言われる所以は此処か。
使用人は『何か飲み物を』とか言い残すと一礼をして部屋を辞していった。
「う、うん。よくぞ来て下さ…来てくれました。迷いませんでしたか??」
言葉がブレブレであった、どうも可愛らしく可憐な女性には緊張というか態度が揺れ揺れだったりする。さりげなくソファなり椅子なりを勧めよう。
■アマンダ > そわそわ動く尻尾と耳はしっかり目に入っていた。
使用人が部屋を出ると礼を告げて。
「ふふ。 僕相手にそんなに気を使わないでよ。 僕まで緊張しちゃうじゃない。
ちゃんと辿り着けたし、さっきの人もちゃんと対応してくれたよ。」
普段もっと凄い人を相手にしているであろう相手の様子に少女は笑いながら手を左右に振って。
促されるままにソファへと腰掛ける。
「リュウセンさんはやっぱり凄い人なんだね。 こんなに立派なお屋敷に住んでるなんて。」
ソファに深く腰掛けてから、部屋を見渡す。 壁から調度品まで自分の住処とは大違い。
これはうっかり家に呼べないなあと、思っている。
■魔王リュウセン > でも一応これ 魔王なんです。もふもふのただの子であっても。
ふわふわのもこもこの九つの尾は各々揺れており、耳も時折揺れる。
「え、い、いや、そのう。
…そ?あれは部下でして…飲み物は…酒は除外しておきます」
いつも?魔王とかどこぞの貴族とかどこぞの裏社会とかと
対峙しているのに何故か彼女と面すると ほぼ違う何かになってる現在進行形で。
彼女は確か酒は嗜まないと聞いているのを覚えていた。ジュース類を恐らくは使用人が持ってくるだろう。
と扉がノックされて入ってきたケモ耳使用人とワゴン。その上にはジュースが入った瓶各種とグラス。
幾つか リュウセンとやり取りをすると使用人は下がっていった。
椅子から立ち上がり ワゴンへと近寄ってから振り向き
「ではですね、何から飲みますか?
んー …一応 領主ですから。是位は持てと言われまして。」
ジュースはリンゴとかオレンジとか色々とある。彼女の希望を持ってグラスに注ぎたい。
領主って貴族でいえば子爵とか伯爵クラスである。屋敷の規模は子爵位にしたが微妙であっただろうか?
彼女の住まいを知らぬが為 嘘も偽りもなくあっさりと答えていく。
■アマンダ > 「この間の覚えててくれたんだね。 ありがとう。」
色々あってあまり話せなかったが、覚えておいてくれたことに喜んでいる。
そこへ、獣人の使用人がワゴンを運んでくるのをソファに座って眺めている。
ワゴンに近づく屋敷の主も目で追って。
「そうだね、まずはリンゴジュースから頂こうかな。」
うっかり自分でつごうと身を乗り出しかけるが、ここでは座って待つべきだろうと思い、座りなおす。
「領主様か。 リュウセンさんは凄いね。 あ、僕一応冒険者してるからたまにお仕事くれると嬉しいかな。
庭の木の剪定からペットの散歩までなんでもやるよ。」
領主を前に冗談交じりに売り込みをかける。
「僕の家に比べたら月とスッポンだよ。 僕の家なんてお客さん一人呼ぶだけで定員オーバーだからね。」
ふかふかのソファの感触を堪能しながら貧乏くさい話をしている。
少女の暮らしからしたら十分に殿上人である。
■魔王リュウセン > 「いやぁ それ位は覚えておかないと不味いっしょ」
温泉での出会いから今まで逢えていないのだが、その割には覚えていたのは酒は除外しよう、だった。
ワゴンに載っている冷却魔法が解けているらしくキンキンに冷えた瓶の一つの蓋を取り
二つのグラスへとそれぞれ慣れた手つきで注いでゆく。そして一つのグラスを手元に、一つのグラスを彼女の前にそっと差し出すのだ。
「どうぞ、姫君、なぁんて。」(微笑付きで。)
「仕事、ですかぁ… 色々とありますよ? 庭の木剪定…は前の拠点だったら喜んで頼んでましたが 今はいいか。
ペットの散歩。領土の島は遠いので…んーとどれ位のお力があるのか
それ次第でお頼みできる頻度が変わりますが。…お気づきでしょう、私の正体。」
何となくだが 滲み出まくっている魔王の魔力の濃さを彼女に聞いてみるのだ。
「じゃあ、呼べないじゃない、それって。どんな家に住んでいるの?」
一人呼ぶと定員オーバー。つまり あばら家では、と。いやいやいや、
潜入の仕事であればありがちだが、それがもし素であったのなら。
彼女の隣のスペースにさりげなく座ってみた。
料理を提供するのを忘れてまずはお話を、ですね…。
■アマンダ > 「そうかな。 別にお酒が出ても僕は頂いてたよ。 だってリュウセンさんが用意してくれたんだからね。
うわあ、流石だね。 グラスまで冷えてる。」
差し出されたグラスを受け取ると、その冷たさに舌を巻く。
氷らしきものが見えない以上、魔法で冷やしてあったのだろう。
「ありがとう。 でも、どちらかと言うとお姫様はリュウセンさんだよ。」
グラスを手に取りながら少女も笑みを浮かべる。
「ほんとにお仕事くれるんだ。 そうだね、僕の力で出来るって言えば空を飛べるくらいかな?
…リュウセンさんの力はこの間あった時から気付いてたよ。 僕なんかじゃ逆立ちしても勝てないって。
でも、リュウセンさんがいくら強くても僕が困ることはないんじゃない?
それとも、リュウセンさんは僕みたいな弱い奴は嫌いなのかい?」
ギンギンに冷えたリンゴジュースを口に入れながら、相手の顔を楽しそうに眺めている。
少女が口にした感想は真実。 それで目の前の相手が機嫌を悪くしてしまったのなら仕方ない。
その際は向けられる悪意も甘んじて受け入れるだろう。
「ご想像通りのあばら家だよ。 この間扉だけは直して貰ったんだけど、壁とかにはまだ穴が開いてるし。
でもいいんだ。 たまに帰るにはあれくらいで十分さ。」
隣へ相手が腰掛けると、相手の顔を見やすい位置に座る角度を変える。
■魔王リュウセン > 「どの道ですが、酒はもともとこの屋敷にはありません。
酒を購入しないと用意出来ませんので。…先週引っ越したばかりで何とも」
冷却魔法で諸共冷やしていたのだ、氷は飲み物の味も冷やすと同時に薄めてしまう。
それでは本来の味が楽しめないから 丸ごと冷やしてしまったと。
「…いやいやいや…」
姫様は己と言われても グラスを持つ手とは逆の手を左右に振って苦笑いを浮かべて。
「それ位しか出来ないし。空は飛べないですね…宙に浮くのは出来ないとして跳ぶのは術が一寸。
…ですか、まぁ隠蔽スキル全くないですしね、滲み出るのは暗黒魔導の力、万に一つ勝てない…でもないですよ。
そうですね、嫌いかどうかは、日々努力をし勝てぬ相手でも挑み続け、
己の意思で鍛錬をし いつの日にかのし上がるか頂点へと挑み続ける、
者であったのあらば それが弱者だろうが嫌いではない。
…かつての私がそうであった様に。ただ弱いと努力をしないものは嫌い等ではない、気にも留めぬ。」
一寸考えた。魔王として生まれたものの 血の滲む努力と鍛錬を経て今に至っている。率直な言葉を口にしよう。
何処となく魔王のような口調に途中からなったが 気が付いていない。
グラスの柄を持ち 少し揺らしてからジュースを口にし
「…穴は塞いでは? たまに帰る家でも 大事にしてこそ一国の主。
家を領土として考え 一人ならまだしも支えてくれる伴侶がいれば
それを守る者こそ 一人前と思うのだが。…が、それを言うと、
私はまだ独り身だぁぁぁぁ……」
あああ、とグラスを 目の前の何もない処にーコトッと置くように浮かせて 頭を抱えて俯いたり。
■アマンダ > 「まあ、僕はこっちの方が好きだしおいしいよ。 用意してくれてありがとう。」
氷が混じらずに冷えたジュースを飲むのは久しぶり。
かつジュースそのものもいつも飲んでいるものとはまるで味が違う。
幸福感に見舞われながら味わうように少しずつ飲んでいる。
手を振って否定する様子を楽しそうに見つめている。
「飛べるんだ。 ますます僕の立つ瀬がないね。」
ジュースを飲む手を止め、リュウセンさんの話をじっと聞いている。
「なら、僕はリュウセンさんの言う気にも留めない方に入っちゃうかもね。
僕はのし上がろうとかそういう気がないんだ。
今のあばら家での暮らしも好きだし、こうして友達と楽しい時間が過ごせたらそれで満足なんだけど。」
相手の言葉は全て正論であり、それ相応の努力をしてきたことが伺えた。
だが、少女はそういったものとは無縁の暮らしをしている。
悪く言えば向上心が無いとも言えるだろう。
眉の端を下げ、困ったような表情を見せる。
「そうだね、今度やってみるよ。 でも、僕主でもないし伴侶なんて…。
…落ち着いて、リュウセンさんなら直ぐに良い人が見つかるよ。」
急に落ち込み始めた相手の背中に頭に手を載せ、優しく摩ろうとする。