2015/11/15 のログ
ご案内:「骨董屋”影の国”」にスーさんが現れました。
スー > 平民地区にある骨董屋は、本日は開店。
最近は、閉めていた。
理由は、これから波が来そうだと思ったからだ。
商いの、匂い――

そのために準備はしてきた。武具に、食物、いろんな骨董――
そして、調教用の――

「さぁ、夜に光るものはたんと用意した。あとは、来るのを待つだけ――」

一応。看板に、試着、試飲、試食者募集中
とは書いておいた。まぁ曰くつきも多い。雇は継続だ。

そろそろ、誰か従業員を雇ってもいいかもしれない

そんなことを思いながら、今日も人を待つ。

客を、実験を受けてくれる人を、待つ……

スー >  
「今日の薬は3つ――」

ことり、ことりと置いていく。
曰くつきのオスにする、もしくは生やすもの。
発熱、絶頂に胸から何かが出るようにするもの。
もう一つは、子袋がタレ出るようにするもの。
あとは玩具が数点……特売の、商品。

夜の曰くつきの玩具は、この世の中よく売れる。

武具の方も、もちろん売れるが。活発な大きな何かがなければ
買い手はここまで来ることもない。
まぁ、特別なものを探しているなら別だが――

「どんな奴が買う、もしくは使う、使われるのかね」

妖しく嗤う。効果はまだ、試してない。
でも、きっと予想以上に効果を発揮してくれるはず。

そう確信していた

スー >  
そういったものが売れるのは、きっと殺すよりも有益だからだ。
雌はいかようにも使える。最近は女でも強い奴は多い。優秀な雌は子孫も残せる。
男は労役として使える。女に比べて殺すことは多いだろうが――

「それに死ななくても、こっちなら魔族にも効くときた」

これからのことは分からないが、あまりに強力ならば
そっちにも使える。
世の中バランスが大事だ。殺しすぎてもダメなのだ。

そういういみでは戦争とは難しいのかもしれない。

まぁ、減っても今はまだ問題にならないだろうが

スー >  
「まぁ、そういう意味でもためしてみるのが必要か」

そろそろ行き当たりばったりじゃなく、そういったものを買うのも視野にいれるべきかもしれない。
まぁ、志願者がたまにいるのでそのまま募集中にしてという形で。

「まぁ、いろいろ難易度は高そうだね」

なにせ、こんな自分に見られながらだ。
久々に、鏡を手に取る。そして、自分を写せば――

”映らない”

そういう呪いだ、これは。

にしても、久々に開けたのが悪かったか
今日は普段以上に静かだ。

「……潰れたと思われたかな」

しっかりと宣伝もしたほうがいいか。なんていうのも考える。
店は潰れることはないが、取引先も――

ご案内:「骨董屋”影の国”」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > 「よう婆さん、邪魔するぜ」

入ってきたのは大男。
大剣を担ぎいかつい軍服に身を包んだ男は、この骨董屋に似合わないことこの上ないだろう。

男はスーの居る方まで遠慮なくずかずかとやってくる。
まるで用があるのは店ではなくスーだと言わんばかりに

「ちょっと聞きたい事があってなぁ」

スー >  
「おや、いらっしゃ――」

目を見開いた。糸目から金色をしっかりと見せて。
その男は、王都にいるなら聞いたことのあろう。
なにせ、この王国の、将軍。
特徴的な大剣、人一人では到底振るえないほどの。
目の切り傷、間違いない。

「――まさか将軍様がこんな場所に御用とは……一体。何の御用で? ただの老婆にお話とは」

ごくりと息を呑む。
ただの老人。
それには余る、高名のものだ。

もちろん、力も。

オーギュスト > 「なに、そんなに構えんなよ、すぐ終わる」

目の前まで来ると、オーギュストは懐から短剣を取り出す。
見れば、微かに魔法の宿ったものだと分かるだろう。
無骨な短剣で、かかった魔法も土属性のもの。
実用一辺倒なものであり、値段はそこそこといった所か。

「こいつは俺の部下が二週間ほど前にここに売ったってもんだ。
見覚え、あるか?」

スー >  
「はぁ……」

すぐ終わるなんて言われれば、そう息を吐くしか無い。
差し出された短剣をよく見る、目は悪くない。
属性までは分からないが、確かに値打ちのある曰くつきだ。

「二週間ほど前、ですか。どうだったでしょうか
 少し店を空けてまして、そのあたりの記憶はどうも……
 今日短剣を買っていったものはいませんので、買ってなければ、そこの曰くつきの武具のスペースに固めてはずですが――」

指をさして示す。灯りの少ない場所ではあるが確かに雑多においてある武具がそこにあった。

「――それはなにか、大事なものでしたので?」

オーギュスト > 「いやな、そいつの売った武器はこれで間違いないんだよ」

言って、剣の柄を器用に外して見せる。
そこには、彼の所属と名前とが刻まれていた。

「で、ここからが本題なんだがよぉ……この短剣、ある冒険者が俺に届けに来たんだよ。この軍団の物で、『遺品なんじゃないか』ってな」

あぁ、その兵士は生きてるよと付け加える。
男は話続ける。何故遺品などと思ったのか、そして何故冒険者の手に渡ったのか……
そして、何より

「この短剣、どこにあったと思う?」

それが本題だとばかりに男は続ける。


「――宵闇城キルフリート。何と魔族の国のど真ん中だ」

オーギュストは肉食獣の笑みを浮かべながら老婆を見つめた。

「何で、この店に売った物が、そんな場所にあるんだろうなぁ?」

スー >  
――あぁ、なるほど……

流石に、気づく。
その視線。その話の内容。
あぁ、まぁ、そろそろかとは思ってはいたがいやはや。
まさか、商いの匂いがするこのタイミングでくるとは思わなかった。

そろそろ、”将軍”も忙しくなる頃だろうに。

さぁ、正念場。
深呼吸なんてしない。身構えたことを悟らせるな声に出すな。
いつも通り、普段通りに。

「……はぁ、そんなこと言われましても。魔族の国なんて、こんな老婆には徒歩、馬車でなど行けるわけもありませんし……戦う心得も人並ですし……」

――あぁ、でもなんとなくわかる。この男はきっと。

「なんて――いったところで、どちらにせよ将軍様は私をこのままにしておくつもりなんてないのかもしれませんが」

どう弁明したところで、口にしたこところで。
きっと、なにかしら牙をむく。

野放しにはしない。したところで特はない。
当たれば儲けもの、当たらなければ――それまでの話。

「……なにはともかく、とりあえず、帳簿を確認しましょ。買ったなら、買った契約書があるはずですし
 売るときはサインなんてもらいませんから、証拠にはなりませんが、もし買っても居なかった場合は――濡れ衣ということで」

――もし、買っていたなら

「満足するまで、好きにするが良いでしょう。たかが老婆。老い先短いですしね」

オーギュスト > その言葉にオーギュストは確信した。
たとえこの短剣の事が何かの間違いだとしても。
この老婆には『何かがある』と。

「なるほどな。
じゃあ、ちと待たせてもらうとするか」

若い時はさぞ別嬪だったのだろう、それだけが惜しい。
強烈な意思を感じさせる女性というのは、得てして美しいものだ。
室内の椅子に適当に座り込む。
あたりを見回すが……武器、防具ともに、掘り出し物がありそうだ。
こんな用事でもなければ、思う存分物色する所だが……

「あぁ、茶はいらねぇからな、はやいとこ確認しちまってくれ」

スー >  
「はい、ただいまお持ちします」

文字を描く、置換の文字。
魔術の基礎の基礎。

「なにか偽られたと思われるのは心外なので。目の前でするとしましょう」

ぽんっと手元にやって来る、契約書の束。
この店を始めてからずっとの。

「どうぞ、ご一緒に確認くださいな」

さて、この行動は吉と出るか、凶とでるか。
どちらにせよ、スーにはこれくらいのことしか出来ないし。
なにより、嘘は嫌いだ。あったなら、覚悟を決めよう。
まぁ、何があってもしゃべるつもりは、全く無いが――

そしてめくる、めくる……

さて――……

オーギュスト > 「どれどれ……」

帳簿を覗き込む。
めくっていく中にはいくつか逆に気になるもの……もあったが、それは今はいい。
あの兵士の物は……

「――婆さん、本当すまねぇなぁ」

丁度二週間程度前の、一枚の契約書。
そこに書かれていたのは……

「俺の部下、学がなくてなぁ。
字が汚ぇんだ、本当」

そこに書かれたのは。
「7」という文字と、ミミズののたくったような筆跡の、解読すら困難な名前。

「でも、この『7』の書き方は間違いなく、俺の部下だな」

スー >  
「おや、そうでしたか」

ならばしかたのないことだ。
運が悪かった。それだけのこと――
まさか、そんなものがあるとは思ってなかった。
ならば。しようがない。

「商人は口にしたことは曲げはしませんよ。どうぞお好きに」

――といっても、何故そこにあったか。なんていうのは知りませんが

付け足して、帳簿を閉める。

「――こうして書かないと客の顔も覚えていられない年でしてね。いやはや、年は取りたくないものです」

灯りが徐々に消えていく。
文字を描けば、そっと商品たちにホコリよけの毛布がかけられて。

「さて、どこにでもどうぞ。あとは私達が出れば、店は閉まります」

よっこいせっと、椅子から立ち上がり

オーギュスト > 「――なぁ、婆さん」

潔い奴は嫌いではない。
何より、老婆のした事だ。生活もあるし、事情もあるのかもしれない。
それに……

「俺は婆さんをいたぶる趣味はねぇんだ。
キルフリートへの行き方か、もしくは買い付けに来てる魔族か……その情報さえ渡せば、目を瞑ってやるぜ?」

この男にも、温情などというものがあるのかは分からないが。
それでも、男は老婆に逃げ道を用意する。

スー >  
「あっはっは、ねぇ、将軍様」

快活に嗤う。しゃがれた、壊れた鈴のような音はなんとも不愉快極まりない。
醜悪な、しわしわな顔を向けて。

「商いは、信用信頼が命だよ。それはご存知だろう」

この店をやってから、かけた年月がある。
それを、この疑いがかかり、捕まり出所したならきっと店は潰れること間違いないだろう

もうこの時点で、崖の淵。いや崖のそこなのだ。

「だからね、もう遅いのさ」

きっと、この将軍は2週間前に”種”を撒いたのだろう。
スーは必ず鑑定したものを隅々まで見る。
もちろん、ロザリアに渡す時も。

”迷惑”がかかるのは、彼女にだからだ。
それだけは、ダメ。故にの、チェック。その時に文字なんていうのは見つからなかった。
どういう細工かは知らないが、売られた時には既に仕込まれていたのだろう。
なるほど、将軍の頭脳は明晰だ。

「まぁ、あんまり激しくはしないでおくれよ。ぽっくり逝っちまいかも知れない」

まぁ、実際はそんなにやわじゃないが。

「――私は何も知らないよ。きっと買っていった奴がそのなんたらという城でくたばったんだろうさ」

店じまいのルーンを刻む。
それとともに、鍵の消失のルーン。刻んであった”予防策”
それを流れるように、店じまいに紛らせて、描き

「もう一度言うよ。物覚えが良くないんだ、客のことなんて覚えちゃいないよ」

さっきの有様、もう忘れたのかい?

なんて――金色を覗かせて

オーギュスト > 「――ちっ」

喰えない婆さんだ。
この分じゃあ、喋るまい。
確かに短剣は兵士の物、手の感触からして間違いないそうだが……
名前を彫らせたのは、手元に戻ってきてから、オーギュストの思いつきでだ。
ここで吐かせれば目的は達成。婆さんも老い先短い命を惜しむだろうと踏んだのだが……どうしてこの老婆、なかなか肝が太い。

兵舎まで連れ帰って尋問してもいいが、それこそ老婆の言うとおりぽっくり逝ったら、折角見つけた糸が途切れてしまう。
あるいは全てオーギュストの思い込みで、この老婆はただの骨董商という可能性だって残っている。

要は、オーギュストはカマをかけたのだ。
となると、開き直られてはどうしようもない。

しかし、冒険者と兵士が出会って見つけた、微かな、そう、奇跡のような確率での、『魔族と人族との繋がりの手がかり』だ。
ここで殺してしまうわけにもいかない。
この場は、オーギュストの負けだ。

「ちっ、わーったよ婆さん。
お前に牢の中で死なれでもしたら面倒だ。
あれだ、顧客名簿とかねぇのか」

スー >  
「おやおや――」

目を見開く、ポカーンと口を開けて。
ふむっと、顎に手を当てた。

「あるよ、もちろん。持って行くかい?」

再び、置換のルーン。
もちろん、正真正銘の本物だ。

「持って行くかい?」

細工なんてしない、する必要もない。
なにせ、あの取引は全て”友人ゆえの口約束”という名の完全に信用と信頼でなされたものなのだから。

「……手ぶらで帰るわけにも、いかないだろ?」

にこっと微笑み。

「あぁ、でも変な噂がたてられちゃ困る。帳簿だけで帰ったりしないという信用が前提だが」

オーギュスト > 「まぁ、婆さんが魔族と繋がってる、なんて可能性より、顧客に魔族が混じってる方がまだ信憑性があるだろ」

この老婆ならあり得るとは思うが、とにかく証拠が無い。
顧客名簿でも持って帰って調べた方が、まだ有意義だろう。

「あぁ、持ってかせて貰うぜ。
あと、変な客が来たら第七師団まで通報を頼むぞ」

それだけ言うと、オーギュストはあたりを見回し……

「ちゃっかりしてやがる……あぁ、そこの剣、結構いい魔法剣だろ、言い値で買うよ」

積んであった剣の一本を掴むと、老婆の前に置く。
これ経費で落ちるかなぁ、サロメの奴怒るよなぁ、などと考えながら。

スー >  
「えぇ、街を守ってくださるし、今後”良い顧客”となってくださる師団でしょうから――」

――仲良くさせていただきますよ

そう告げて。
将軍が示した、剣を見て――

「ならば、これでいいですよ。ガラクタと見向きもしない可能性のある品ですし」

随分と、思ってたよりも安い値段を提示する。
サービスというやつだ。

「今後共、ご贔屓に」

オーギュスト > 「へぇ……安いな」

迷惑料ついでにそれなりにふっかけられても払うつもりだったが、存外に安い。
これで魔族云々が無ければ贔屓にするとこだが……

――その時。
ゾワリと。彼の背中に嫌な悪寒が走った。

「――あぁ、頼む。
ちと近いうちに世話になるかもしれん」

戦いの予感だ。それも、大きな。
彼のこういう感は、ほとんど外れた事がない。
近いうちに、大きな戦いが起きる。

「邪魔したな」

それだけ言うと、オーギュストは買った魔法剣と帳簿を持ち、扉へ向かう。

スー >  
「えぇ、お気をつけて。これからくる波に、乗る用意ができてなかったら――」

――夜に輝く品を思い出してくださいませ……

そっと、仰々しく頭を下げて。
静かに静かに。

「またのご利用、お待ちしています」

ご案内:「骨董屋”影の国”」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「骨董屋”影の国”」からスーさんが去りました。
ご案内:「骨董屋”影の国” 奥の間」にスーさんが現れました。
スー > 将軍が去った後、これ以上店は開けてられないと店を閉めて。
そっと奥に逃げるようにして引っ込めば。
尻もちをつく……

汗が滲み、動悸が変に乱れ――どっと全身が鉛のように重くなる。

逃げ切った? こっちの勝ち?

いいや、何を馬鹿なことを。今回は”波があったから見逃してもらった”だけだ
次はもっと確実な手で来る。間違いなく――

なにせ、こっちが警戒した以上に、向こうはこちらを”識った”。識られた。
ならば、あとは狩られるのみ。時間の問題。でも――……

負けてはならない。これは呪いだ。いいや祝福だ。

友という絆を、失うくらいなら。あの、悪友に涙を流されるくらいなら――失望されるくらいなら――

「死んだほうが、断然マシ……」

あぁ、でも。慕ってくれた子を置いていくのも、怖いな。

「――何か、考えておかなくちゃ」

きっと、いつかは負ける。そう遠くない。
なにか考えなくては。でもいまは――

つかの間の休息を――

老婆はそのまま、ゆっくりと意識を手放して……

ご案内:「骨董屋”影の国” 奥の間」からスーさんが去りました。