2015/10/28 のログ
■ロザリー > やれやれ、と全身で表現するようなリアクションを返しつつ、ソードの行動を見守る
なるほど、不揃いなブックの配置を整合性のとれるように置き換えることがスイッチになる、と考えたのだろう
しかしこれだけの古代図書館、それだけとは思えない
おそらく魔物化した本がトラップとして機能しているだろうし
そもそも古代文字が書かれた背表紙などはこの男には字体もよくわかるまい、
と思っていたが…当てずっぽうなのかどうか知らないが、意外と的確に本を入れ替えている
「勘の冴えている男だな」
ぽつりと小さくそう呟いて、部屋の中央にすとんと腰を降ろす
完全にお手並み拝見モードだ
■ソード > さくさくさくさく。
思い悩む様子はなく、物怖じしない常の態度をそのままに本を入れ替える。フットワークの軽さもあって、そのペースは随分と早い。
もともと、何かしらの知識的な根拠があっての行動ではないから、当然深い思考は存在していない。だから、悩む事もない訳である。
連れが完全に「見」に入ってしまった事にも、気づいているのかいないのか、鼻歌でも聞こえてきそうな上機嫌さで男はパズルを解いていく。
本当に、随分と楽しそうである。
が、極端な根拠で動いている分、動きそのものも極端。
ぴた、と、途中で手が止まった。
んー?と眉根に皺を寄せて首を傾げる。
手元には一冊の本。
しかし、次に抜く本が分からないらしい。
彼女の見立て通り、男には古代文字は読めないし、正直わかっていない。しかし文字には一貫性があり、同じ字でも書体やつづり方によって何となくカテゴライズできる。これだけの数の本があれば、それは間違い探しの要領で、男には見る事ができた。
装丁や製本の具合なども、規則性を守ればいいだけならば、男には直観と嗅覚でそろえられる。
られるのだが。
「あ、すまん、ロザリア。苦手分野だった。」
清々しい程。男は彼女を振り返って潔く、ギブアップ宣言をした。
つまり、そうした男に判断できる部分だけでできる事をやり尽くしたのだ。
ここからは、文字の意味や装丁の由来など、予備知識を要求してくる領域。
男はそれでも、気負った様子も気落ちした様子もなく。
「すまん。指示くれ。」
そう言って、本棚を見た。
■ロザリー > 「……そうだな…」
音も立てずにゆっくりと立ち上がり、ソードの近くまで歩み寄る
「こういったギミックは守りのためであると同時に、
『解いてもらうこと』を前提で作るものでもある。
万が一こうやって地下に埋もれた場合などに完全に失伝してしまうからな」
難読ではあっても答えが必ず用意されている
そういった意味では規則性に目をつけて本を並べ替えていったソードの嗅覚は流石と言える
「お前今手にしている本は古代ルーン魔術に関する本だ、
向こうの黒い背表紙の本が二つ並んでいる、あの横へ戻すがいい。
次にこちらの羊皮紙で綴られた書物は───」
古代語の規則性や書物の特徴に合わせ、テキパキと指示をしていく
なぜ自分でやらないのかといえば、上の方の本棚に手が届かないからである
「最後の鍵はこの本であろう」
パタパタと表紙の埃をはたく
くすんだ色のカバーがつけられたその本はサタニズムの教本だ
「この本だけは類似する書物がこの本棚の何処にもない、
となれば異教徒の書いたこの悪魔学の教本の位置は……」
神学の教本が並んだ本棚の正反対に位置する本棚を指差す
一箇所だけ、一冊分のスペースが空いている
■ソード > 「ほっほー。まぁ、アトラクションはアトラクションってぇ事だな。」
視線を本棚に向けながら、ロザリアの言葉に頷く。
普段の男の思考からしてみれば、解けるから解いて進んでいるというだけで、あまりそうした事は考えないのだから。
やがて彼女から指示が来る。
求めていた指示が。
「おーらい。」
動き出す。足取りは軽妙。
彼女がどんなペースで指示を出してきても、フットワークの軽さですべてに追いつく。加えて、二度剣を交えた経験が彼女の呼吸を男に覚えさせている。
躊躇う様子も疑う様子もなく、男は作業をこなしていく。
「つまり、これで―――、」
指示に従う。
悪魔を礼賛するその本を、本棚から抜き取り。
「ゲームクリアって事だ?」
すとん、と。
彼女が示したそのスペースに、それを戻す。
■ロザリー > 「うむ」
口元に勝ち誇った笑みを浮かべ、本が本棚へと収まる様子を眺める
やがてゴゴゴゴ…という物々しい音と振動と共に本棚の一角が揺れ動き、
更なる深淵を覗かせる階段が大部屋へと姿を現
……さなかった
しぃん…と鎮まりかえったままの室内
「……………」
■ソード > 「………………。」
沈黙。
沈黙。
沈黙。
あれ?と男は首を傾げて、周囲をきょろきょろ。
きょろきょろ。
あれ?ともう一度首を傾げて。
「うん、何か間違いだったみたいだな。」
あっはっはっはっは。
からからと笑いながら、男はやはりあっさりとそれを認めた。
この笑いが、照れ隠しでも何でもないのがこの男のアレなところである。
「んー?何か他に仕掛けがあんのかねぇ?」
光の速さで切り替えを終了して、男は室内をまた探索しようとし始める。
■ロザリー > 「……ど、何処か間違えたのではないか貴様!?」
ぱたぱたと本棚へ駆け寄り本の抜き差しを始める吸血姫
「いや整合性と見るならばこれで合っているはず…むむ……」
なんだか格好悪さを感じたのか、本棚との間をいったりきたりしている
■ソード > 「んー?いや、俺が見る分にはあれで完璧だったと思うけどなー?」
意味など分かっていないので、もしかしたら違ったかもしれない。
他の手がかりを探す傍らで、彼女が自分が熟した部分の添削を始めたのを横目に見る。
ただどうも、やはり間違ってはいなかったらしく。
「んー、魔法系じゃなくて物理なんだろー?……この本棚が仕掛けじゃないとすると……。面倒だな。いっそぶっ壊しちまうか?」
とっかかりを失ったからだろう。
ぼりぼりと頭を掻きながら一度立ち止まって、本棚の間を行ったり来たりしている彼女に、非常に頭の悪い発言をぶちまけた。
脳筋の面目躍如である。
いや、実際別に頭は悪くないハズなのだ。それを使う方向性に著しく偏りがあるだけで。
■ロザリー > 「となるとまるで別の組み合わせが…?この部屋の何処かにヒントがあるはず!」
広い部屋のなかを行ったり来たりしているが結局てがかりは見つからなかったらしく、
やがて仏頂面で戻ってくる
「そんなことをしたら仕掛けを作った者に敗北したと宣言するも同じことであろう!
……むぅ、とりあえず一休みだ」
すとん、と再び腰を降ろしてしまうのだった
何かこう、知的なものに対するプライドもあるらしい、魔術師故の頑固さだろうか
■ソード > 「えー。壊せる強度で作ってんだから、そいつの負けじゃねぇの?」
勝負感というか、意識している土俵の違いを浮き彫りにするような発言を投げながら、彼女を迎える。
まぁ、彼女がその力技プランに特に乗り気でないようであれば、男もそれを断行しようとはしないのだけれども。
彼女がその場で腰を下ろしてしまうと、男はもう暫くふらふらと室内を探索。
しかし、最初の直観から外れていて、その後の彼女の調査にも引っかからなかったという時点で、もう男に何かを見つけられる訳などなく。
何かしらのキッカケでもあれば別だろうが。
結局男は彼女の元へと戻ってきて。
「やー、いかんねー、どうも。」
そんな事を言いながら、どっかりと腰を下ろした。
当然のように彼女の隣だ。
それから周囲を見回して。
「どーなんかねー……。ああ、最後に見つけた本、あれだけスペシャルだったんだろ?ただ本棚に入れ替えるんじゃなくて、内容が関係あるとか?……ああいや、それだと魔法的な仕掛けになるかー。」
適当な事を言い以て、暫しの休憩モード。
■ロザリー > 「それなりに深くまで進んだのだから一服にもちょうど良い頃合いだ」
どこか捨て台詞にも聞こえてしまうようなことを言って体を休める吸血姫
「他の本棚にはない種別、というだけではあるがな。
しかし此処まで降りてきて尚、大した魔法書もないものだな。
ゴーレムも大した強さではないし、此処から先が本番なのかもしれんが」
やれやれという身振りをしつつ、ふと気づいたように
「というか貴様、依頼主がいるのならばあまり油を売ってはおれぬのではないのか」
■ソード > 「ちぃと草臥れたしな。」
空気を読む、などという芸当がこの男にできるかは甚だ疑問であるので、その同意は本音であったのだろう。
彼女の言い分に、こくちろ頷く。
「そんなもんか。
んー、魔導書の価値とかは俺にはわからんからなー。けどまぁ、俺らが簡単に降りて来られるところなんぞ、他にも簡単に降りて来る奴がいんだろから、そりゃしょうがねぇんじゃねぇかな。」
本の価値などさっぱりな男は、くるくると周囲の本棚に視線を移しつつ返した。
そんなトンでもない魔術書なら、妖気でも放っていて男にもわかるかも知れないが。
「あん?ンなもん別に構やしねぇよ。デートのが大事に決まってんだろが。」
とてもまっとうな彼女の言葉に、とても非常識な言葉を男は返した。
悪びれる様子もない。太陽は西に沈む、くらいの当然の事を口にする口調と声である。
■ロザリー > 「少なくとも吾が目をみはるようなものはないな。
この程度の古さの書物なら我が城の書物庫にも十分にある」
ぐるりと据わったまま、自分たちを取り囲む本棚を見回して
「……貴様はまだそのようなことを。
言っておくがこのような状況を吾はでぇとなどとは全く思っておらぬからな?」
勘違いするでないぞ?と釘をさす
しかしこのような行動理念ではそのうち信用がなくなり仕事がなくなるのではと思わなくもない
それこそ余計な心配なのであろうが
■ソード > 「そうか。……お前んちも広ぇもんな。やっぱ書庫とかあんのな。」
ふむふむ、と彼女の言葉に頷く。
城一つとって、広ぇもんな、も糞もないものではあろうが。
「はは、いいんだよ。俺にとっちゃデートなんだから。
けどまぁ、色気のあるデートもしてぇなー。おう、どこ行きてぇ?」
基本的に、他人がどう思おうが知ったこっちゃない男である。刺された釘は糠を打った感触を相手に伝えた。
先ほど一蹴された上にあきれられた話題をほじくり返し、彼女に問いかけを続ける。
彼女の懸念は最もであるのだろうが、男はあまり気にした様子はなかった。仕事がなくなればなくなったで、どうにかなるだろう、程度の考えしかないのである。そして現実問題、手に職さえあればどうにかなってしまうものなのである。「どうにかなる」の水準をどこに見るかの問題でしかない。
■ロザリー > 「吾は魔術師あがりであるからな。相応の書庫にはなっている。
そもそも此処へ潜るのも、古の魔法書を求めてのことなのだぞ」
いわば魔術師などは本の虫でもある
ヴァンパイアとなった今でも研鑽は続いているらしい
「貴様な…何処へ行くも何も今のこの世界では魔族のゆける場所などたかがしれておろう。
色気のあるでぇとのできる場所なぞ魔族の国やその近辺にあるものか」
呆れたように立ち上がろうとしてその手をつくと、
手をついた部分の石畳がガコンと音を立てて沈む
やがてゴゴゴゴ…という物々しい音と振動と共に本棚の一角が揺れ動き、
更なる深淵を覗かせる階段が大部屋へと姿を現した
「……………」
■ソード > 「まぁそりゃそうか。魔術師ってなぁ本読んで何ぼ、……っつか、知識量こそ、みたいなもんだもんな。
ちなみに、何かこういうのが欲しい、みたいなアタリはつけてきてんのか?」
自分はあまり魔術師の知り合いは多くない。過去に魔女の家にしけ込んでいた期間はあるが、概ね彼女は男の体質に関する研究に没頭していた。
まぁ、その彼女の家にも莫迦みたいな量の本があったのを思い出して、納得したように頷く。
デート場所について、彼女が言葉を返してくる。
男はそれに答えようとしたが、それよりも先に彼女の手が石畳を押し込んだ。
「………………。」
無言。
沈黙。
静止。
二人して、現れた地下への階段を見つめる。
「ぷっ、……あっはっはっはっはっ!いいねぇ、思ったよりイージーだったな!知恵より根気と運の勝負だった。
よぅし、階段も出てきたし、行くとすっか!」
呵々大笑。意気揚々。
暫しの茫然の後、男は立ちあがって、階段を下り始めようと歩き出す。
やはり彼女に先んじて。
■ロザリー > 「………ゆ、往くぞ。まったく、何がギミックだ…!」
憤慨した様子のロザリア
まあ往くぞと声をかける前にソードは既に前を歩いていて
「アイオーンの信仰が途絶える以前の書物を手に入れておきたくてな」
先の質問にはそれだけを答える
アイオーンの加護を完全に打ち消す手法の確立、その一助にでもなれば良い
が、これは人間の国を攻めるためのもの
半身とはいえ人間の側面を持つソードにそこまで言う気にはなれず
「もっともあの程度のギミックしか仕込めぬようではタカが知れているな。
更なる下層もあのような浅知恵のし掛けしかないようなら切り上げて良いのかもしれん」
よほど恥ずかしかったようだ
■ソード > 「はっはっは、いいじゃねぇかよ、別に。先へ進めたんだから。」
ご機嫌斜めなツレの少女。笑いながら男は後ろの彼女に言葉を返す。
「あいおーん?はぁん?何かよくわっかんねーけど、昔の本ではある訳だ。」
質問への答えには、首を傾げる。
そもそも、アイオーンという名前すら一般には流布していない。当然、この男とてその名は知らない。
男は確かに、目前の吸血姫を向こうに回して単独で大立ち回りをして見せる程度の武腕は持っているが、それとこれとは話が別という事で。
「さーなー。話によると、実際相当深いらしいからな。分かれ道も多いだろうし、行けるトコまで行って引き上げには違いねぇだろな。」
もともと、「目いっぱい」という話である。
より下層に降りる為のルートを常に選び続ける事は不可能だろうから、本当に深いところまで潜るのであれば何度も来た道を戻る必要も出て来るだろう。それこそ、何階層も降りた後、また昇り直して道を探す必要すらある。
更にその中から、本を探すという手間まで発生するのだから、必要な時間と手間は言うに及ぶまい。
ともあれ、それでもこの二人である。
たいていの敵はさして障害にはならない。それぞれソロでも進行できるところ、二人連れなのである。
彼女自身が協力的でなくても、男はきちんと彼女の呼吸を読んで合わせて動くし、彼女自身が協力的ならよりスムーズに障害は排除される。
トラップも、ギミックも、まぁ特筆すべきものでなければ突破は可能。
二人して着々と、進行深度を深めていく。
■ロザリー > 「アイオーンの名すら知らぬのか?」
ダンジョンを進んでいく中、吸血姫は驚いたような表情を見せる
信仰が失われていることは知っていたが、その名すら今の人間の世界には知れ渡っていないのだろうかと
だとしたら皮肉なことである
既に名も知られず誰にも崇められぬ神が、今なお人間たちを魔族から守っているのだから
「で、あろうな…。
何かめぼしい書物の一つでも思っていたが…ふむ」
事実、底が知れぬダンジョンには違いない
それだけに期待ももてるものだったが…
今自分たちが進んでいるのは明らかな未踏破エリア
誰も踏み入っていないエリアだとはっきりわかるほどに内部は荒れている
「……む」
ふと、埃に覆い尽くされたような本棚を見てロザリアが足を止める
■ソード > 「知らねぇな。有名人か?ああいや、信仰ってぇ事は宗教か。……やおるだばーと、ってんじゃねぇのか?カミサマは。」
驚いたような顔をする彼女に、男は首を傾げた。
200年前の徹底した歴史編纂によって、既にアイオーンの名は公的に存在しない。一部、何らかの方法で真実に触れた者であったりとか、歴史研究家等、特殊な事情のない者がその名に触れる事は難しい。
まぁ、男は現在主神として崇められる神の名すら「ややこしい」という理由で曖昧なくらいなのだから、推して知るべしである。
もとよりこの男は外様の外国人。
まれびと
なのだ。
「こんな図書館、誰が作ったのかね。それこそ、カミサマの所業だわな。」
ダンジョンを作りかえる、とか何とか言っていたイベント屋……否、黒幕志望だったか、の顔をふと思い出しながら、そんな言葉をかけた。
かけたところで、彼女の視線が一つの本棚に固定される。
お?と男は足を止めて、己もそちらを見つめて。
「あの本棚が、どうかしたか?」
首を傾げた。
■ロザリー > 「お前は此処の者ではなかったのだったか。
とはいえ傭兵稼業、嫌でも民間の常識くらいは身についていくものだろうが…。
ふむ、そうか……となれば人間の中でもアイオーンの加護の存在を知るものは多くはないということだな」
そこは、おそらく付け入る隙となり得るもの
おそらくは一部の王族か、その辺りまで
「さあな、日の当たらぬ場所に書物を保管するのは当然といえば当然ではあるが」
ゴーレムを放ち侵入者を迎撃する必要まであるというのは、面白い
一気に踏破はできずともいずれは
そんな中で目の止まった本棚
それは数百年の時を経ても僅かに残る魔力の残滓を感じたもの
「……魔法書…いや、禁書だな。それも相当に古い」
本棚へ歩みより、くすんだ茶色の背表紙の書物を手に取り埃を払う
「人皮で造られた表紙といい、相応に邪悪な代物であるようだな」
口元に笑みが浮かぶ
探究心が擽られるのだ
しかしロザリアがその書物を手に取ると同時、まるで雪崩れ込むようにゴーレムと人喰い書が押し寄せてくる
決まりだ、これはこの図書館にある目玉の一つに違いない
■ソード > 「ああ、流れだ。ははっ、つーか、地元がこの辺だったら、こんな歳んなるまでロザリアにちょっかいかけねぇわけねぇだろ。
つーか、おーい、何言ってんのかわかんねーぞ?何?そのアイオーンってのの籠がどうしたって?」
おそらく、酷く邪悪というか狡猾というか、人間的には歓迎し難い企み事が脳内を巡っているのであろう彼女に問いかける男は、やはり呆れるくらいに暢気であった。
「限度があんだろ。しかも広ぇ。」
日が当たらんとか、そんなレベルじゃねぇな。と。
しかし、そんな話も、彼女が一冊の本に眼をつければ切り上げだ。
彼女と共に本棚に近づき、その本を見れば男にも何となくわかる。
それがタダゴトな代物でない事は。
「お目当ての代物だったかい?しかし、人皮って、また趣味の悪ぃ代物だこって。
―――おっと、そいつぁマジでお宝のようだな?」
相手が手に取ったそれを見ながら問いかけ、感想を漏らす。
しかし、周囲からここに大量にゴーレムだの人喰い書が殺到して来たなら、ぼさっとしている事もなく。
抜剣。
両断。
両断。
両断。
間合いに入れば、男の剣がそれらを二つに分解していく。
問題は数の多さ。しかし、それだけだ。
それだけならばそれらは所詮、有象無象。
「で?そいつでいったん手ぇ打って引き上げるかい?まだ粘っとくかい?」
己だけでなく、彼女にも近寄れぬよう、敵を薙ぐ。
■ロザリー > 「そんなことを自信ありげに言うものではないぞ」
ちょっかい云々には少しだけ眉を顰めて
「うむ、これは貴重なものかもしれぬ」
迫り来るモンスター軍団!
は、いいとして、ソードがそれらの相手をしているのを尻目にロザリアはただただ本を読み始めている
「相当に古いがヤルダバオートが信仰される以前のもの、古代文字ではない。
しかしこの形式は今現在使われている文字と…む、なるほど、鏡文字か。
人間が書いた書物ではないようだな」
ぶつぶつとひとりごちながら読みふけり始めた
■ソード > 「何でだ?イイオンナがいたら、ちょっかい出すのが男だ。」
別に当然の事だ、と。
相変わらずの調子で男は首を傾げた。
さて。
何だかツレはお宝本を手に入れたようだが、襲って来る魔物など何するもの、とそれを読みふけり始めた。
おぉうい!?と思わなくもないが、まぁそんなものか、という気もした。
自分も、興味があるものがあれば、他は些末事になる方である。
ひとまず、ブロードソードを肩に担いで、周囲を睨めつける。
「悪ぃけど、ツレが読書中だ。……つーかあれだ、トショカンデハオシズカニ、だ。」
からりと笑い。
押し寄せる魔物を分解していく。
剣が縦に振るわれれば左右に。
剣が横に振るわれれば上下に。
魔物が二つに分解される。
本に夢中のオヒメサマの気がいったん済むのが早いか、この場の魔物が全て動かなくなるのが早いか。
どちらにしても男は文句ひとつ言わず、彼女が本を読み終わるのを待つ構え。今は待ち時間に、ちょっした作業があるだけの事だ。
■ロザリー > 「……うむ、間違いないな、これは過去に邪神を崇拝した神官の書いたものだ。
おそらくは魔族が……む?」
そう言ってパタンと本を閉じたのは数十分がしてからのこと
閉じた本を抱えて視線をソードへと向けて見れば、
あたりはゴーレムの破片と切り裂かれた人喰い書の残骸だらけであった
なるほど、この本に宿る邪気が魔物を集めていたらしい
本と閉じると同時に、湯水の如く湧き押し寄せていた魔物達がピタりと止まった
■ソード > 「―――おっと?」
ひらりと。
退屈してきたので、訓練がてら武技の傾向を変えつつやっていたのだが、突如として魔物が止まる。
男も止まって、普段はとっていない構えで残心。
「おー、ロザリア。もう大丈夫そうか?」
ツレが本を閉じたらしい。視界の端にそれを捉えると、いつものように剣を肩に担いで彼女に向き直り、問いかける。
先ほどまでは意識していなかったが、彼女が本を閉じた事で、何となく空気も変わった気がする。
「んで?ここらで引き上げるか?まだ進むか?」
この深層に用があるのは、彼女だ。
先ほどしたのと同じ質問を彼女に向けて、首を傾げる。
■ロザリー > 「此度はまぁこのへんで良かろう、収穫もあった」
当たりに散らばる戦闘痕を見回しながら、カツカツとソードへと向かって歩み寄り
「地上までは魔法で帰るとするか。
と、それは良いとして……」
ふむ、と顎に手と当てて思案する
さてどう言ったものか
「何か貴様に礼をせねばならぬところだな。
…いやまぁ吾一人でも此処には辿りつけたであろうが、それはそれとしてな」
■ソード > 「おーらい。んじゃあ切り上げるか。」
周囲の魔物がもう襲って来ない事を確認してから、右手の剣を鞘へと戻す。
「おー。便利だな、魔法は。」
そういえば、以前会った黒幕志望も魔法で街まで送ろうか、などと言っていた。
その時は断ったが、あらためて便利なもんだなぁ、と感心したように腕組みする。
と、そこで何やら相手が顎に手を当てて思案中の様子。
首を傾げて。
「何だ、そんな事か。別に、デートできたからいい、っつってんのに。
―――ああいや、けどそうだな、それならやっぱ、デートにしよう。色気のあるやつだ。
どうよ?」
ふぬん?と首を傾げたまま、何だそんな事か、と。
しかし、すぐに思い直したように首の角度を正して、常の笑みで問いかけた。
本日三度目である。
まぁここで断られたとて、男は最初の宣言通り攫いに来るのだろうけど。
■ロザリー > 足元に二人がちょうど収まるだけの魔法陣を展開してゆく
やはりアイオーンの加護もこのエリア、地下ともなると薄いものだ、魔法陣の展開にも特に支障は感じられない
帰還魔法がすんなり発動するところを見ると、特にそういったものへの結界がないことも確認できる
さらに深部がどうであるかはわからないが
「貴様はそればかりだな。吾を安い女と見るのであれば許さぬぞ、ソード。
……ま、よかろう。返礼は吾が言い出したことであるしな」
魔力が充填された魔法陣が光輝いてゆく
このまま何もなければ、無事地上へと二人を転送することだろう
■ソード > 足元に展開する魔法陣を見つめながら、おー、などと声を挙げる。
魔法を喰らった事も、かかった事も数え切れぬ程あるのだろうに、まるで子供のような顔をして。
「はは、安いとか高いとか、あんま関係ねぇだろ。
―――お?何だ、言ってみるもんだな。またケチな事言い出すかと思ったのに。」
思いのほか色よい返事が返ってくると、少し首を傾げながらも、からりと笑顔を浮かべて頷く。
そして転移の光が二人を地上にやる直前、男は思い出したように彼女を見て。
「ああ、そういえば。」
言葉をかける。
「あるぞ。色気のあるデートできるトコ。」
笑いながら告げた。
転移の光が、二人を地上へと運ぶ。
ご案内:「メグ・メール 地下図書院」からロザリーさんが去りました。
ご案内:「メグ・メール 地下図書院」からソードさんが去りました。
ご案内:「魔族の国/とある屋敷」にハスタさんが現れました。
ご案内:「魔族の国/とある屋敷」にガラテアさんが現れました。
■ハスタ > 人間の貴族が住んでいるとしたら、大凡こんな感じの屋敷だろうと思われるお屋敷。
ワインレッドな赤じゅうたん、やたらキンキラキンな装飾。
シャンデリアとか燭台とか、箪笥とかテーブルとか、やや暖色系の色合いの壁とか。
魔族である彼等にとっては非常にどうでも良いことなのだが、やたらめったら内装に拘っている。
誰にも知られていないのに。誰を招くわけでもないのに。正直言って資金の無駄。
その理由はと言えば、楽しいから。それ以上でもそれ以下でもない。
広大な敷地には、持て余す程度に十数人しかいない。
メインメンバーとしては、メイドっぽい格好の魔族、半獣の寡黙ながらギャグが分かるお兄さん、龍めいた羽根を持つ獣、
見るからに破戒僧な邪悪なオーラを放つ神官、雑用係のメガネ男、地味で影が薄いゴースト。
後はスクール水着なるものを着せられた淫魔と、物凄くダサいTシャツの巨躯のおっさん。
所謂誰がどうみても烏合の衆である。寄せ集めも良い所な変な軍団。
今日も割とゆるゆるな雰囲気の温い空気の中で、季節も気にせず能天気な作戦会議と言う名の御茶会が繰り広げられていた。
軍規もヘッタクレもない様な冥軍は、無論会議の時も皆座ってお話しているわけではない。
それは何も一部の不良や異端分子がそうだというのではなく。
「ガラテアたん!」
この統率者のおっさんもそうだった。
性懲りもなくしてしょっぱなから隠すことのないニヤニヤした所謂「厭らしい目」を向けるのである。
上司と部下との間でのコミュニケーションは必須だ。明るくアットホームな職場を目指さん。
「ははははは!やっぱり大きい事は、良い事だよなぁ!」
無駄に陽気な声を響かせながら、コミュニケーションは、必須である。それを周りに示すのである。
そのコミュニケーションとして挙げられる一つとして、スキンシップがある。
おっさんは御菓子の袋を片手に提げ、もう片手でスキンシップを試みようとする。
周りの目も気にせずに。強いてあげるなら周りの目は「お察し」の状態である。
これからどうなるかは大体皆さん想像済み。
■ガラテア > 「『必殺』っ!」
周りの部下たちも、もう慣れた様子だ。
迎撃する私は、たまったものではないんだけど。
「今日の夜はお預けですからね!ふんっ!」
「えーっと...何回目でしたっけ?会議を始めましょっか。」
「.........次、私のお菓子食べた子は、夢の中で搾り取りますからね。」
人間界に行く時もこの服装なんです。
商人仲間以外からは、未だにジロジロ見られるんですよ?
お菓子を買うのも一苦労なんです。
「それで、今回の議題は何でしたっけ?」
指で銃の形を作り、何時でも「必殺」を撃つ用意。
...まぁ、怯まないとは思いますけどね。
■ハスタ > 「―――アイタぁっ!?」
こうして、彼等の統率者はいつものようにお亡くなりになった。
この様に、彼が部下にセクシャルハラスメントを興じて殺されることは少なくない。
上司としてそれどうなの?って言われそうなのだが、そういう物である。
肉体が爆ぜ飛んで死亡したかと思いきや、すぐ再構成して元通り。
周りの皆さんは微笑ましくその光景を見たり、また見えないフリして御菓子を貪ったり。
憎たらしくも厭らしくニタつくおっさんが立つ。
防ぎようも躱しようもない攻撃はどうすればいいのかと言えば、
トラップもマジックも使わずこうしてライフで受け切るしかない。
次元の壁さえ超える超越的な攻撃は、そういう物である。
「ったくもう、冗談でもさあ、そうやって殺すの、ハスタさんは良くないって思うなぁ?
これ、アレだよ。ガラテアたん。反逆だよ、反逆!っつうか必殺やめよ?それ躱せないから。痛いから。
ハスタさん別に殺されたい人じゃないから。そんなねぇ、どこぞの無謀な洞窟探検者みたいにバカバカ殺されたくはないのよ。」
やれやれと頭を掻きながら、飄々と異界のメタフィクショナルな事をブツクサ言いながら引き下がる。
本日のコミュニケーションは諦めたらしい。
『多分26回目くらいですね。え、ガラテア様が搾ってくれるの?!ですか。』
あからさまに見え透いたホラを吹く破戒僧。こいつもこいつで色々とダメらしい。
ただ、見た目よりは割と上品なヤツなので半分くらいネタと冗談なのだが。ならもう半分は、といえばお察し。
「んー、まぁそんな事言わないで。ほれ、人間界のさ、芋を揚げてチップスにしたっていう塩味の御菓子。
あとね、これ。マシュマロって言うんだけど。これも結構美味しくってねえ。」
言いながら挙げた御菓子を食べる。話を聞かない。
「あはは。…議題?何だっけ?」
くるん、と各々好き好きな事をやっている烏合の衆の皆さんに視線を遣りつつ問い掛ける。
無論必殺される事に怯える様子はナシ。
■ガラテア > 「それは、文字通りの必殺技ですからね。」
「嫌だったら、ベッドの上だけにしてください。」
必殺を何回も用意したら、その回数ハスタ様は殺せると思う。
...何回で考え方を改めてくれるかはわからないけど。
こんの坊主が...「坊主殺し」の言葉唱えてやろうか。
私だって紛いなりにも上級魔族だ。
黒い霧を増やし「私」を形作る。
そこに意志を与えれば分身の完成だ。
その数、8人。今会議室にいる人数と一緒。
勿論全員私と同じ事が出来るから、こんなことも出来る。
「「「「「「「「『必殺』『生き殺し』」」」」」」」」
必殺は、そのまま撃つと空間を食い破る様に弾丸が高速で迫っていく。
生き殺し、少しでも動けば、必殺が喉元を喰いちぎる。
「貴方達はハスタ様と違って復活とは行きませんよね。」
「会議を、始めましょうか?」
...まぁ、この黒い霧にも弱点はある。
「ねーぇー、ガラテアぁ。私疲れちゃったわぁ。」
「一緒に寝ましょう?」
そう言って、私にすり寄ってくる分身。
必殺のコントロールはしているみたいだけど。
ある分身は胸に。ある分身は腰に。
所狭しと抱きついてきて、端から見ると、顔だけしか出ていないだろう。
いや、同じ顔の女が固まってるから不気味な印象が先かなあ?
どうして、私の分身なのにここまで違うんだろう...
■ハスタ > 「うるっさいなぁ。夜の事はプライベート、そんな良く淫らな事ばっかり言っちゃってたらモテなくなっちゃうよん?
タワワなオムネがあるんだしぃ。勿体なぁい。って―――んぎゃああああ!!」
死ぬ。死ぬぅうううう!!と言う実に悍ましい断末魔が叫んで他の皆さんに彼女に逆らったら今後どうなるかと言う未来を指示した。
喉元が張り裂ける。頭が吹っ飛んで炎のように消滅して―――。
「んばあ。ハスタさんふっかーつ!分かってるって。別に脱がすわけじゃないんだって。信じてくれよぉハスタさんを。上から触るだけ。ね、ねっ?まぁ今日は諦めるけどね。今日は。」
また出現する。生えるとか出てくるとかじゃなくて、出現する。
最初からそうであったように。
『会議、始めますわね…。お、おほほ。』
メイドさんが凍った様な笑みを浮かべ。
『―――。』
半獣のお兄さんが無言で頷き。
『そんな事より我は腹が減―――あっ。』
話を聞かず御菓子を摘まんだ龍めいた羽根を持つ獣が喉元を斬り裂かれる。
『う、うい。』
破戒僧なオーラの神官っぽい魔族が敬礼。
『はー、忙し忙し。』
雑用係のメガネはこの御屋敷の拭き掃除に奔走。
『あ!俺数えられてたんだ!やったぁ!』
影が薄いゴーストが死霊の癖に生き生きする。白色の霧が作った顔が笑みを浮かべるのは些か不可思議な光景。
「で。チミは何してんだいガラテアたん?会議始めんじゃなぁいのぉ?あ、こっちの黒い御菓子も貰っておくからね。」
そしてそれよりも不可思議な八重ドッペルゲンガー現象を見遣りながらまたニタニタと笑った。
■ガラテア > 「別に、私を押し倒したいだなんて物好きはハスタ様くらいですし!いいんですっ!」
「.........ほんとですよね?人前で肌を晒すなんて嫌ですよ?」
淫魔の姿だと、恥ずかしくて動けないことすらあるけどね。
さっき、そんなフラグを立てたせいだろうか。
ある分身の手が腋から入り込む。
何処触ってんのよこの女。
ある分身は
「『刺殺』。この包丁で、っと♪」
と、私の水着を切り刻む。
待って。待ってってばっ!
大事な部分が!大事な部分が見えちゃうって!
手から黒い霧をさらに噴き出し、身体を覆い尽くす。
でもこれ、魔力がどんどん減っちゃうんだよね...
し、しかもっ!
「あらぁっ❤︎だ・め・よ?」
この分身共が剥がそうとして来る。
普通、この霧は触れないはずなんだけど...?
「ハスタさまぁ〜っ!たすけてっ!たすけてくださいっ!」
■ハスタ > 「どうなのぉそれ?…いやあのさぁ、…はぁ。おじさんはねぇ、んな純情な子に宛がわれると困っちゃうのよ。あれよ?おじさん可愛い女の子大好きなのよ。…はいはい、了解了解。」
凄く困った感じに答えを紡いだ。
「もー、馬鹿じゃないのかキミらは。百合園を眺めるのも一興だけどさぁ。
せめて自分の術ぐらい自分で制御できない?
おじさん知らないからね。自分でやっちゃったんじゃない。
ってかね。人前で肌を晒しちゃダメでしょうが。あれよ。
さすがに胸見せたらおじさん流石に興奮しちゃうよ?おじさんこれでも男だもん。キャハっ。」
裏声で言いつつも、非常に強引な複合型のキャンセレート魔術を行使する。
ディスペル、アンチスペル、凍てつく波動、開錠、黒魔術から白魔術、時間遡行魔法まで。
魔力を払ったり、そもそもなかったことにしたり。色んな効能が込められていはいるが、
しれっとそれをぶっ放した。スターボウの様な大凡このおっさんに似つかわしくない淡く綺麗な光が黒霧を打ち払おうとする。
彼女は色んな方向から術を持っているから何処から突いたものか分からないが、
多分このどっかに引っかかって来るだろう。呆れたように立ち上がれば、わざとらしく溜息。
「あ。…はい、じゃあ会議は一旦中断してネー。おじさん下でガラテアたんをお説教しちゃうから。」
烏合の衆な幹部の一部の皆さんに向けて言い残した。
■ガラテア > 「私がガラテアを虐めてるのに邪魔しないでよこのブ男が!」
「『封殺』!『無差別殺人』!『皆殺し』!」
この影達、本気で抵抗してるんじゃない!?
封殺で魔法を封じる。それを無差別に、全てにひとつひとつ当てていく。
流石私。揉みくちゃにされる傍らでそんなことを考えていた。
とは言え、時間遡行には勝てなかったのだろう。
分身は巻き戻されて、元の黒い霧に戻る。
...あくまでも、撃たれたのは私ではなく霧なので、服は巻き戻っていないけど。
所変わって部屋の外。
ぷしゅー、と煙が出そうな顔と、頭をフル回転させて行った行為は
「あぅう...ふふーぅ...ふーっ...ふゆぅ...」
ハスタ様を、抱きしめていた。
切り刻まれ、服の意味を無くした水着のまま。
平時であれば、そもそも水着に服の意味が無いことに気付いたと思うけどね。