2023/02/02 のログ
ご案内:「城塞都市アスピダ」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ > 城塞都市アスピダ
盗賊の本拠地 彼の英雄の再来
凍てついた空気が漂う場所での活動は過酷だった。
都市内部から出撃する者らと外側で構える者らは、与えられているものが限りなく違った。
肉の動き 温かい食事で潤った内臓 体から香る女の匂い
それらを感じるほど、王国側の兵らは進みづらい状況を憤るだろうか。
この時期 国で何かしらの賑わう出来事があるというのなら猶更か。
不真面目なほどに体は凍れ
生真面目なほどに体は疲弊し
狂真面目なほどに体は発奮する。
その中で、タナールで活動を再開していたメイラ・ダンタリオ
アスピダへと剣のようで鉄塊のような、その姿は実は槍身という大剣擬きを背中に
復帰した際の熱量は、体から湯気が出ているかのような有様だった。
煙のように、体から立ち昇る熱気
ギザ歯から豪傑馬の鼻息のように白い吐息がはっきりと出ている。
息がそれほどに、熱いと示している。
凍れる世界での白い吐息は敵に見つかる印の一つだという
それを微塵も隠そうとしないメイラは、唯々敵の中で暴れるのみ。
―――城門前にて
「―――(ギャリッ)」
女よりは背があり、男では物足りない背丈
黒い塊が二尾の黒革のマントを広げ、円を描く。
ギザ歯で噛みしめる圧力が、握力を上乗せし、その鉄塊の切っ先を真横に振いあげると同時
数体の統一性のない防具に塗れた者らが、赤と肉筒がまだ畳まれた状態で、頭上に廻った。
馬に跨ってではなく、二本の脚で踏みしめながら前進と、その力で何度も鉄塊を振るい切る
間合いの広さから続く者らは、横に広がってその狂気を呑んで動く者になるものの
一方向での鉄塊を振るって混乱を招く素振りは、伝染し、勢いを塗り替える。
■メイラ・ダンタリオ > アスピダから離れていた
最優先事項を放棄した
それはメイラに対し幾つもの罵声がありながら、メイラは鼻息一つで返した。
今の現状なら タナールの方がよほど恐ろしいと。
あそこの砦を魔族らに“肉付け”されるほうが恐ろしいと。
クシフォス・ガウルスがいるかいないかだけでしか
此処に優先する意思は当時もはやなかった。
現れたのは懇願でもクシフォスでもなく
適度な脅威者がいなかった王国側により、程よく脂が乗りかけている
そう鼻先に匂ったアスピダに再び敵意を剝いた為。
動機がまるで獣だった しかし、メイラは絶対の王に対する意思を
狂犬呼ばわりされる身は狂狷を示している。
読まれる文字は同じでも、獣の字に王と口と月を指し示すそれはメイラに狂おしい一途を示すには
適した表現だったからこそ、メイラは“きょうけん”呼ばわりがむしろ好いていた。
そんなイカれがアスピダに意思を向けたなら、それは絶対だった
今はアスピダを叩きのめすのが一番いいと王に示しているも同然で
同輩も部下も 傭兵も冒険者も 使える者は全て手を差し出すようなメイラが
織り交ぜた者らと城壁前で鉄の悲鳴と撓みを波打たせる独特な剣撃音を出しながら
今も鎧事千切り飛ばす質量武器の醍醐味を見せている。
「■■■■■ッッッ!!!」
吠えて、両手で握りしめる剣身が中心から切っ先が鋭く向き
赤い瞳は誰も彼も見ていない 見敵必殺 を示すように
前進しながら胴体を二つに分けて錐揉みさせていく。
城門前 城門は開かない。
もう戻れない其処。
開けたらおしまいなのだから、絶対に開かない。
だからこそ、殲滅と皆殺しが城門前は容易かった。
―――そう、今のところは。
■メイラ・ダンタリオ > アスピダはもう怖くない
城門から外側は未踏の領域ではない。
城門 城門前土 城壁 草 全てがもう赤くなっていないところがないほどに。
出てくる者らの中がクシフォス率いる何かしらなければ、盗賊でしかなく
それらを屠る手前、ネクロマンシーの存在すら疑っていた以前。
しかし蘇りがあっても、規格が変わらなければどうしようもない。
魔香漂うタナールの敵勢に比べ、アスピダに増えた脂も肉もこそぎ落とせばいい。
凍えた体に火を灯し 冷たい血に熱を帯びさせろ
臓腑から戦火を沸かせ 溢れ出るものを怒りに変えていけ
目の前の首を積み上げれば積み上げるほど 王はまた一つ声をかけてくださる
きっと死して目の前で頭を垂れたなら きっと。
それを信じて疑わないメイラが、一番槍を続ける。
臓腑でアドレナリンを沸かせ、ジュワリと食べた干し肉のスープが一瞬で溶けたと錯覚するのが分かった。
解けたそれが血肉に吸い込まれていき、ギシリと甲冑越しの腕が膨らむのがわかる。
イーヴィア・ヴァルケスの仕上げた黒真銀の鎧が軋みを上げて、白いギザ歯がトラバサミのように
開いた口から発奮する咆哮と共に、メイラは振いあげる剣撃と周囲の活動により
丁度目の前で一束になった者らに対して突撃した。
「ヴォ――――ッッッ!!!」
両足をバネにして、切っ先を目の前に向け 振いこむ力ではなく宙で剣を縫い付けるように
胸元で両手で握りしめる柄がビタリと剣を真っ直ぐに正眼させる。
一人で破城槌でも打ち込むかのようなそれが、ちょうど4人と線を重ねる。
鉄が裂け 肉に食い込み 血脂が滑らせ 次へと行くときは滑らかな音を生む
大剣擬き 巨人槍の穂先の本懐を遂げるような切っ先の強さ
貫かれた胴体が肉串のように連なっているのを、メイラはブラリと8本脚をぶら下げて
それを宙で維持したままで周囲に見せつけた。
ご案内:「城塞都市アスピダ」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。