2022/12/17 のログ
■メイラ・ダンタリオ > 山岳部の城塞都市
堕ちない其処はもはやタナールが奪い奪われなだけに、マシに思える。
そして、何よりも攻め入ることができた。 それが大きい。
少し前から粉雪が静かに降った後な為か、黒い地面が薄い雪で覆っている。
これも状況が悪い 降っていなかった場所が白く染まる。
それは数ある防寒具や鎧姿を丸写しにする 白が黒を選り分けるように。
最も、焚火を焚いている時点でそれも当然か。
メイラは葡萄酒の傍で黒真銀の鎧に熱を与えるかのようにしながら
その体は心が冷めない限り、凍えることもないように地面に落としている、真上を向いた槌の柄を撫でる。
城塞の門が開くか 城壁周辺を探り入れる敵でもいない限り、役割は薄い。
巣穴から出てくる獲物を待つ獣のように、周囲は殺意を無くす。
殺意も怒りも欲望も、使うべき時に使う。
そうでなければいずれ消耗して、消えるから。
崖から落ち、余命いくばくの鹿を前にして、身を丸めて体を休める狐のように、ジッと待つ。
ふとそこで、メイラと共に火を囲み、外で周囲を伺っていた一人が声を出す。
『姐さん 誰か来ます。』
「ん―――。」
人数 一人 そこまではシルエットでわかる中、メイラの半魔の赤い瞳が細まる。
白い吐息を吐きながら、槌を軽く握り目を凝らすと、その陰に対し、フッと握る柄を緩めた。
「殲滅姫じゃありませんの。 何をやってますの、一人で。」
メイラと行動している集団の一人が、なんだそれ?と声を出す。
『白薔薇騎士団に所属してるクールビューティだな。無表情で強い。
姐さんとはある意味逆な位置で、そんで近しいお方だそーだ。
王族だ、姐さんに任せて下がるべ。』
メイラの人格上 王以外 皆平等
その在り方は周囲と繋がりが強く、上から下まで、関りがある。
このマグメールでの王族貴族は、触る近づくは決定事項以外は避けたいところだろう。
清廉潔白という言葉がべったりと付いているでもない限り、は。
そして互いに、距離も近くなろうか。
同輩部下は近くに焚火をもう一つ拵えて移り、メイラとノイア 二人だけとなる。
焚火の傍に来たノイアは、実に凍えた表情ながら、メイラの黒い全身像と対峙し
メイラは鎧姿故にカテーシはなく、しかし跪くことはない。
「ごきげんよう、殲滅姫 御一人でお散歩だなんてもったいないことですわ。」
貴女は、そんな駒ではないでしょうに、とメイラはギザ歯を見せる笑みで囁く。
最も、城壁の外で暴れること以外認められていない現状
彼女のように城壁周辺を含め探りを入れる者は多い。
出てくる者は須らく 敵 という対象にしてもいい状況なのだ。
ノイアもおそらくは、この待ちの現状の中で見つかりにくいよう、一人で動いていたのだろう。
■ノイア >
「……」
視線の先で会話が交わされるのを確認し、わざとゆっくりと歩を進める。雪が降ればこの姿も紛れるかもしれないが今は白い外套と立場を示す紋章はある程度の距離であれば十分確認できるだろう。
こんな状況だ。歩いている間にあちらとしても色々と準備もあるだろうし、下手に急に近づけば攻撃の意図ありと火先に晒される可能性すらある。この腐敗しきった国の貴族など、何の信用も得られない。ましてやこの戦は大義名分すら危ういのだから。
「邪魔をする」
そうして丁度良いタイミングを見計らって小さく告げる。正直に言うとこの寒さの中、僅かに焚火に吸い寄せられた気もある。が、それ以上にしばしば着飾った貴族たちによる蔑称を耳にする人物が目の前にいる事に興味をひかれたというのがこの場合は大きい。戦場においてそのような理由で近づくのは全く持って愚かな事と言われるかもしれない。戦を知らない貴族の物見遊山などと揶揄されるかもしれないが別に戦上手と言われたいわけでもない。元々指揮系統からはじき出されているうえに硬直状態の今、交戦に巻き込まれる可能性は高いとは言えない。つまり相手はともかくこちらは今は完全に非公式な状況なので……
「私は今この状況において名前負けしている。
……この場において些末な儀礼は不要。
前線を支える義務を成すときに機能すればそれで良い。」
内心上手くコンタクトできたとほっと胸をなでおろしながら、癖になっている突き放すような言葉選びと共に離れていった彼の人物の部下達を一瞥する。
躾けられているように見える行動だが、実際はこちらに対する警戒と防御も兼ねての事だろう。難癖をつけられて邪魔をされてもかなわないというところか。笑える話だがこの国の王族に対する対応としては極めて妥当と言える。
「怪力令嬢の噂は聞いている。
各地で戦果を挙げていると」
正面に立ち、特徴的な笑みを浮かべる人物は狂犬、狂人とすら囁かれるダンタリオの騎士。黒く特徴的な鎧に身を包み戦場で威を轟かせる戦士はこちらの素性を早々に把握し、その上で慇懃といっても良いほど堂々としており気おくれした様子もない。まるで掲げられた切っ先のようだ。
前線を知らない貴族には評判が悪いがその行動理念は頑迷にして明白。キレのある猟犬ゆえに指揮官としては使いづらいが、友軍としては高く評価される彼女とその部隊には彼らなりの法があると推察される。現在有効に機能しているそれを邪魔するのは本意ではない。とはいえ緊張をほぐすほどのコミュニケーション能力は持っていなかった為
「――状況の共有は可能だろうか」
口をついて出たのはそんな言葉。恐らく彼の人物もここで期を待ちつつ観察といった所。
新しい発見や兆しはあったかと短く確認を行う。
■メイラ・ダンタリオ > 怪力令嬢 殲滅姫
物騒な二つ名が二つ並ぶ お互いを知る者がいたら
それこそマニアックに深掘りした知識があればある意味、上等な場。
しかし殲滅姫は怪力令嬢の噂を度々伺っているという状態であり
怪力令嬢に至っては、その内包する力への飢えから来る一家の狂気的忠義 其処から来る答えは一つ。
しかし、ノイアのことをどこまで知っているか それはこの場ではメイラ本人のみである。
近しいという言葉を使った同輩部下以下の一人もまた、メイラから何か小話を聞いた際だろう。
名前負けしているよ、と硬い口を動かす様子に、クスクスとメイラは貴族令嬢のような振る舞い
口元を手で隠す素振りを魅せながら、全身の首下甲冑と叩き潰す戦場の鉄槌を携えたまま焚火の傍へ案内した。
「お互い、アスピダで生かしきれないこの状況 わたくしも名前負けですわねぇ。」
首級 力 忠義 それらで勝ち取った座にいるのがメイラを含めるダンタリオ家
今のこの状況 場が動かない限りは名前負けはメイラも同じながら
それを考えると、ある意味で役に立っていないという認識は新鮮である。
―――が、出てこない理由は互いを含める敵が城壁の外でこうして存在しているからであり
最早山脈の盗賊何某は全て粛清対象としてはキツイ締め上げを食らっている。
居るだけで、役には立っているのだ お互いに。
「ふむ。」
共有は可能だろうかというそれは、しっかりと仕事をしている認識
そして無表情な殲滅姫の噂と同じくコミュニケーションの低さが伺えた。
メイラは顎に手を添えながら、ノイアを2秒眺めて結論を出す。
「お前達。」
『うっす。』
砕けた口調 貴族の三男坊 落ちぶれた貴族の子息
優秀な戦士 メイラという狂気の背中に魅入られた野犬。
メイラに付いてこれる者らである面子に、この場を任せたメイラ。
ノイアを仮眠用の天幕の一つ メイラの場所に案内した。
・
・
・
・
・
・
―――天幕内 メイラの寝床。
内部は天幕の中 冷えた空気の発生源である地面は剥き出しではなく藁状の枯草が敷き詰められている。
寝袋上の寝床が置かれた一段上の場所以外は腰を下ろせるものが二つか三つあるだけだ。
天幕の中で火を用いるなら、それこそパイプと鉄窯が必要なだけに互いは別の方法で耐えるしかない。
「お座りになって、ノイア嬢。」
そう言って、メイラもまた鎧姿のまま腰を下ろす、。
革袋にある葡萄酒の中身を三口呑むと、ノイアに手渡して飲むように言うだろう。
「群れていれば自然と中も温まりますし、酒で体は発熱しておきなさいな。」
そう言って、状況の話を始めるだろうが、これは簡潔としたもの。
城壁周り 門前 この二か所以外今は用がないせいか、隠れ潜んで時折狩り続けるばかり。
無駄に群れていれば壁の向こうで矢を射るか礫が投げられてもおかしくはないのだ。
「ノイア嬢 暇ならわたくしと居なさいな。」
メイラの提案は、まるで引き抜きの様にすら感じる言葉。
白薔薇から正式部隊名すらない 斬りこみ隊 遊撃部隊 のようなメイラの場所に
此処にとどまっていればいいという。
案内し、酒を振る舞い、体を整わせるのも、有効的と見なしているから。
メイラ・ダンタリオは戦場で無駄に過ごさない それを周囲も知れているから
こうして任せて天幕内で身を温めさせているのだろう。
■ノイア >
「そもそも私は信用されていない。
大層な通名も私の功ではないと考えるのは将としては妥当」
淡々と実情を評価する。自身の実績は基本個人ではなく、部隊に付与される。それは表向きは献身の騎士としての在り方を謳う規律によるものであり、実際はその功罪を所属する者達に自由に振り分けるためのもの。それらは半ば公然の秘密であり、自身の能力を信用されている訳ではない。実際に砲火を揮ったわけではないこの戦場において自分の見た目も相まってその能力は信用されていない。
「威嚇としては実績のある貴官がいれば十分ともいえる。
私は戦果を期待されてはいない」
彼等からすれば儀礼部隊所属のボンボンが記録上手柄を上げた事にするため顔を出したくらいの認識。手柄を横取りする上に実際には戦わないお子様のお守りなんかやっていられるかと隠し切れない苦い笑顔を思い出す。
「?」
別にそれ自体は構わないのだけれどと内心独り言ちるも招かれる様子に僅かに首を傾げる。
思考しすぎて現実がおろそかになるのは悪い癖だ。
連れていかれた場所は極めて質素な野営地だった。最低限の機能を有し直ぐに撤去し移動できる。実に実践的なたたずまいにほう、と吐息を漏らし、導かれるままそこに腰掛ける。本格的な情報共有を行うのかと思えば差し出されたのは酒精の香る革袋。
「了」
一瞬疑問符を浮かべそうになるがそういう作法なのだろうと受け取ると少しだけ口にする。前線で多用される少し強めの葡萄酒のかぁっと喉の奥を焼くような感覚は久しぶりだ。表に出さないようにしているが魔力過剰による頭痛が酷く僅かに耳鳴りもする。酒にはあまり強くないけれど、寒さを和らげ感覚を鈍らせる酒精は今この場では丁度いい。
などとのんきな考えは少しの間をおいて告げられた言葉に打ち砕かれた。続いた言葉に一瞬静止し、口元を抑え静かに咽せる。
暫くゴホゴホと肩を震わせた後口元を拭いながら眼前の人物へと視線を戻す。こちらを見つめるその瞳には錯乱などの気配は感じられない強いものだが……。
「……正気?
その提案自体は魅力的であり、可能。
…けれど」
思わず目前の人物へ疑問を投げかける。
この場で求められている事はお人形としてふるまう事。
事実このまま偵察を済ませ、陣営に戻れば架空の敵軍と交戦し情報を持ち帰ったなどと記載されるだろう。記録上は拍が付くわけだ。そうなればさっさと帰還することになる。そのタイミングを計る手間を省いて差し上げようとこうして偵察に出たわけだが……。
「恐らく指揮系統による思惑とは一致しない
彼等は私がここにいる事を快くは考えていない」
形式上戦場に顔を出した。一応の義理は果たしたと言える。であるならば恐らくこの場を離れるのが模範解答。無駄に将がいれば指揮系統が混乱する上にあちらもやりにくい。その空気位は流石に察する事が出来た。もしこの提案を指揮系統が聞いたなら、頭を抱えて転げまわっている。そしてその事を歴戦の彼女が理解していない訳もない。
「場合によっては指揮系統から睨まれる事になる」
それは使えない貴族などという高いリスクを抱えて死地に自ら飛び込むようなもの。その死地から何度も生還しているという実績を、ある意味対局の経歴を持つ相手であることは確かだが……
■メイラ・ダンタリオ > 葡萄酒の熱で、熱い吐息を漏らす様子
白い吐息が天幕の中で、白く霞む。
メイラに至っては、自身の体の造り 鎧の特性 酒精
それらが発熱を帯びるかのように、今だ歯を鳴らすことすらしない。
過小な評価 現在状況 名前負け
色々聞いていても、メイラからしてみればそれはいつもの事。
腐った貴族が続けられる理由は金の回し方と、手柄の横取り。
様は、根は腐れど立場が腐れなければ立っていられるわけだ。
木だって倒れなければ 真っ二つに分かれなければ朽ちていると気づくのは遅れるものである。
しかしメイラの一言
今のこの時この場所この戦場で、メイラと共に居ろという発言
これにはさすがに鉄面皮ともいえる表情も崩れた。
酒で咽る様子 メイラはからかいでもなく、ただ欲するのは本当なような表情
酒を受け取り、グビッと甘い葡萄酒を呑む。
寒い土地では味の濃いものや、食事で体の熱を高めることもあるせいか、葡萄酒の度数もやや高い。
ハァッと白いギザ歯から白い吐息が零れるのは、臓腑が熱いからに他ならない。
「だから?」
メイラは言う だから何だと。
指揮系統 まともな理屈なら良い。
しかし手柄横取りの肥え豚貴族の所にいるより好いじゃないかと。
しかしそれでは、実行制圧力と手柄横取りの根腐れとの混ざり合ったバランス
それが崩れて一部弱くなる可能性すらある。
そんな話だってあるだろう。 しかし。
「だから?」
それがなんだと。 またメイラが述べる。
戦場では真面目なタイプだろうメイラでもそれは理解している。
しかし、この場所はアスピダである。
「だって、わたくしに意見できる者が何人おりますの?」
バランスを欠くのはよろしくないと、まともな指揮系統が述べるのは理解できる
しかしここはアスピダ 攻め入る場所は限られており分散されたバランスは必要ない。
強固な面よりも図太く鋭い穂先を求めるほうが効率がいいではないかと。
零さず余さずでいいだろうと、理想論。 城塞内部へ発動する際
逃げ出し、出てくる者が何人も出てくるだろう。
しかし首魁と主要な戦力をメイラを含める実行制圧力が挑む場合
有象無象は零れても構わない素振り。 徒党を組んだ盗賊のきれっぱしに興味はない。
その程度にすら勝てぬ者にも興味はない。 戦力が減るのではない 人数が多少減るだけだ。
そして罵倒してくる貴族 王族がいた場合。 メイラが相手では向こうも強気になれる者は少ない。
王に泣きつくことすらもうできず その王を蔑ろには絶対にしない相手が目の前のメイラ・ダンタリオなのである。
権力でも立場でもなく在り方が疎まれるメイラだからこその、言葉だろうか。
「殲滅の名と背中に背負う剣は伊達ではないのでしょう?
わたくしと居なさいな、ノーティリア・グートシュタイン。
その剣も、貴女から感じる“魔”も、わたくしとなら上手くやっていけますわよ。」
ダンタリオ家は魔族とある意味深め合う 力と忠義に没頭する余り。
そのメイラが、近しいという言葉は、文字通り 互いは近しい造りなのだろう?と
知れているものを堂々と口にする。魔を忠義の為に求めるならば、ノイアですら対象者
もしくは観察に値する者であった。故に知っていたし、野放しにするには惜しい
殲滅を手元に置こうとする これが真面な部隊に組み込まれていたなら手を出す可能性も低かった
肥え豚貴族らには皮肉な話である。
「別に手に入れようというわけでもありませんもの。
嗚呼でも、欲しくなったら攫いますわね。」
轡を並べていたわけではない それは知れば知るほどになってからである。
■ノイア >
酒を傾け、熱のこもった吐息を吐き出しながらもしがらみなど歯牙にもかけないと言い切る彼女に何ら衒いも躊躇いもない。自明の理と言わんばかりの反論にう、と言葉に詰まる。この目には保身や形式に捕らわれるなどという概念は映っていない。
「……その意見に反論する材料を私は持たない。
事実、この場所において貴官に抗する手段を持つ者は多くはない。」
暫くの沈黙の後、小さく告げる。
不利もリスクも踏み越えて、いや、踏みつぶして忠誠を誓った主に捧げる者達がダンタリオという存在。彼等には力があり、意見を通す手段もある。
それは自らの在り方にも通じるものがある。渡りに船とはまさにこの事であり、その選択が可能であるというならばその手を掴むべき。選択ができるというのはそれだけで幸福な事なのだから。目的を果たすためなら、その過程に何を問おうや。……それに目前の人物の瞳の奥に映る冷徹とまで言える方程式は……
「……」
じっと伺うように見つめる。それはシンプルかつ判りやすい戦場の掟。有象無象の事情など、戦場では何の盾にもならない。彼女は問うているのだろう。私という存在が、個として利用するに足る存在なのかと。他人の価値観や倫理など置き去って、嘲り笑いながら足蹴にする、他人をその個としか見ていない瞳は何処か安心感すら感じさせた。
「その判断権限は、私には与えられていない。
功罪は歴史が評価するものであり我々の関与すべき事象ではない」
ダンタリオ家のの在り方的にもさもありなんといったところ。ただ認識されていたことは正直意外だった。
ダンタリオ家の在り方自体は知らないものすら少なく、戦場においてその苛烈さは疑うべくもない。目の前にいるのは美しいとすらいえる程鍛え上げられ体で屈強な鎧を纏い、実際に誰もが疑うべくもない戦果を上げ続けた女傑。
かたや秘匿され、年相応より小さな体に剣ダコすらない柔らかい手、砲火飛び交う戦場における戦傷どころか陽にすら焼けた事のないような肌の持ち主が近しいなどと誰が信じようか。この秘密は王国の中でも当時を知る存在下ごく一部しか知らないとされる事象とはいえ、知っていること自体には驚かない。ある意味相手は”私達”の上位互換。秘匿し隠蔽されなければいけなかった自分達とは違い、正しく取り込み、王国に取り込まれ、そして成果を上げ続けている。それが判ったうえでの判断だというなら。それでもなお、私達を個だというのなら。ああ、そういう事かと今更ながら理解する。成程、この人物は確かに、まごう事なき狂犬だ。
……嗚呼、彼女なら正しく、そして冷徹に私達という”道具”を揮ってくれる。
「……了」
徐に地面に正座し座り込んだ状態から腰元の剣を一振り外し、地面にその鞘の切っ先を立てた。柄に額を当て、剣に縋るように身を寄せると目を閉じ、薔薇の乙女として騎士に捧げる礼の姿勢のまま硬質な口調で告げる。
「特地における独自継戦指揮権限
及び、我が家名における守秘義務において
これよりメイラ・ダンタリオの指揮下に入ります。
”我ら献身の剣であり、災禍の盾”。
……貴官が王国の善き切っ先であることを望みます。」
■メイラ・ダンタリオ > 紡いでいく言葉は忠義の塊
絶対君主の狂犬の言葉。
それに対し人形同然 傀儡
ガワだけしか意味のなかった殲滅姫の呟き。
メイラは余りノイアのことを知るわけではない。
しかしノイアはメイラの事を二つ名から在り方まで、知っている。
表立って暴れ“尽くし”続けている結果だろうか。
広めようとなんてしていない 広まっただけの結果の怪力令嬢 そして、ダンタリオ。
最後には、膝をつき、剣を掲げてこのアスピダ戦に於いて、ノイアはメイラの元にいることを誓う。
最初、メイラは誓う姿勢に自身は座ったまま ノイアは膝をつき、まるで主従の近いにも似ているものの
内心肩をすくめて大げさですこと、と思う刹那
この何時か まだわからない城塞都市戦線
この期間の間、ノイアはメイラの元にいると その殲滅を怪力令嬢の元で暴れ尽くすと決めたのだ。
これを理解したとき 一時居なさいな は 限りなく遠く限りなく短い時間の間 共にする結果となった。
メイラはギザ歯の表情を笑みで浮かべ、王を想う。
「承りましたわ これからよろしくお願いしますわね ノイア。
殲滅姫がどれほどのものか、貴女のその小さな在り方、きっと変わりますわよ。
だって―――きっと王は、お喜びになりますもの。
この長ったらしいアスピダの戦いも、こう考えると王に利が生まれるというもの。」
国の為など反吐がでる。
王がお喜びになることを想えば、国を守ろうと思うし、国を栄えさせる一撃を与える気持ちが生まれる。
立ち上がったメイラは、ニコニコと上機嫌に、手元にやってきた力を歓迎した。
後に、天幕の外に出れば、上機嫌でノイアがメイラの手元にしばらくいると同輩部下に伝え
葡萄酒を ブゥウウウ と吹きだす者らが、続出し、後々の元ノイアの現場の衆に対し
強引にメイラが攫って行く結果は周囲に伝わり、より疎まれることとなるものの
便利な道具でしかなかった殲滅姫が、怪力令嬢の元で自由度を手に入れた
それだけでも恐ろしいのに、一定の意を以って付き従っているとまで付けば歯噛みしたという。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」周辺」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」周辺」からノイアさんが去りました。