2022/12/13 のログ
■エネリ > 「はいです、ぷるぷるさんはお引取りしておきますねぇ。箱さんは……ちょこっと仕掛けをつけて――動作用の魔石ちゃんが幾つかあれば、と言う感じですからぁ……
えっとえっと、壊れた時計をお直しして、簡易魔法を入れた魔石ちゃんを用意するような感じと同じぐらい、なのでっ。そんなに高くならないと思うです。冒険用の手軽な治癒のお薬数本、みたいな感覚でできると思うですよ?」
もし使えるように直すなら、記録用、と観る用、に切り替えできるようにしつつ。記録を入れつつ動かす為の魔石。
ああ、取り付けた魔石に、眼鏡みたいなとこから覗いた景色を収めておいて、後でまた見たりできるような使い方の箱ですよぅ、と、詳細な使いみちをもしかすると説明してなかったかもしれない、と説明も付け加えながら。
「鑑定料と売値と同じだったら、頼まない方が良いぐらいですよぅ……そんなお店は怖いです!
――あ、本を買ってくれるですね、ありがとうですっ」
並んでいる魔導書類の中には、そのままページを破いて消耗品として使えるようなものもあるし、単純に指南書に近いものもある。
本格的に複雑怪奇なものも混じってはいるのだが、ある程度目を通して持ってきたのであれば流石にそういう危ないものではなさそうで。普通の書籍とそれほど変わらない程度で手に入れられるものの様子だろうか。
■ヴァン > 「治癒のポーション数本分か……なら、お願いしよう」
箱の使い方をきいてもぴんとこない表情をしていたが、斥候に持たせると便利そうだな、と呟いた。
他人が見たものを共有できる点に重きを置いているようで、過去に見たものを見返せる点にはまだ考えが至っていない。
本には紙が挟まっていて、数字が書きつけられている。どうやら値札のようだ。
「本代と修理の手付金からこの棒の金額を引いて……どれくらいかな?」
男が選んだのは指南書に近い、魔法理論を説明するものだった。
みたところ男は魔術にはそこまで詳しくはないようだが、興味はあるらしい。財布をあけて、少女が伝える金額を待つ。
「修理が完了したら、平民地区の神殿図書館か『ザ・タバーン』という宿屋兼酒場まで連絡をくれると助かる。
普段、平民地区でもこちらの方にはあまり来ないからね。ざっくり時期がわかれば、その頃に顔を出すが」
魔道具の修理にどれくらい時間がかかるかは想像がつかない。少女の言い方からするとそこまで大変そうではないように聞こえる。
とはいえ、数日はかかるだろう。簡単な武具の手入れのように数時間で済む、ということはあるまい。
■エネリ > 「わかりました、ですよぅ。細かい使い方もわかるように後で書き出しておくです」
こっちの箱ちゃんはお預かりです、と帳面に書き留めながら。
本の代金、ぷるぷる棒のぶん、修理の一応の初期費用のようなもの。これが幾らで、あれが幾らで――と頭の中でぐるぐるすると、一見混乱しているようにも見えそうだが、意外とその辺は全然間違えたりしない子であった。
「本代とかをいただいてもっ、それでもこのぐらいにはなるです!
……あ、もし後でもっと収入になった方がいいって思ったら、出来上がった箱さんを再度売るのを考えてもいいですよ、そっちは暫くごうゆ……豪遊?できるぐらいのものですしっ」
カウンターの裏側をごそごそすると、隠し金庫のようなものも幾つかあるようで。
ちっちゃい手には妙に大きく見えるが、実際にはそれほどではないサイズの袋に硬貨を数えながら入れていって、それを差し出してくる。
一般的な安めの宿でもあれば、なんだかんだで数日どころか一週は行けそうなぐらいにはなっている。
箱の方は、もし使える状態で売りに出すなら一級品の価値であって、だから売ったら勿体ないのです、と教えてもくれるだろう。最終的にどうするかは本人次第ではあるのだが。
「出来上がったら、図書館か……タバーンさんの所ですねっ。取りにきてもらっても良いですし、ご希望ならお届けもするですよぅ、その時はたぶんお姉ちゃんが行くです。
どっちでも……に、さん日ぐらいでたぶんできると思うです、もちょっとかかっても数日伸びるぐらいだと思うですよ」
■ヴァン > 「あぁ、助かる」
感謝の言葉を告げると、袋を受け取る。男が思っていた以上に買取価格は高かった。
「そうか。じゃあ、届けてもらおうかな。昼なら図書館、夜なら宿屋にいる。ヴァンに用がある、と言えば通じる。
昼でも宿屋の店長に言えば受け取りと支払いはするから、宿屋の方がいいかもしれないね」
硬貨が詰まった袋と本を鞄にしまうと、軽く手をあげる。
「それじゃあ、また。小さな店員さん」
挨拶をすると、穏やかなやりとりに微かに笑みを浮かべながら店の扉を開け、立ち去っていく。
■エネリ > 「ありがとうございました、ですよぅ」
お店番としてちゃんとお客さんとやり取りできると、やっぱり嬉しいらしく。
えへへ、と小さな見た目に似合う可愛らしい笑顔を向けつつ、帰り際の相手を見送って。
ぷるぷるする棒の方は、これはこれで再度売り物にするには説明書きとかお値段決めとかしなきゃ、と後ろの棚に一端仕舞い。
預かった、本来記録媒体である筈の箱は、オーナーに渡して使えるようにしてもらう、とメモ書きをぺたり。実際かなり大切な品だから、今のうちに一端しっかり鍵付きの中が見えない引き出しの方へきちんと仕舞い込む。
お届け先の方はしっかりと帳面の方に書き込んでおこう……きゅっきゅっきゅっ。
その後は、やっぱりもっと歩きやすいように整頓しなきゃ、とかえってやる気が出たようで。
ご案内:「王都平民地区/魔道具屋『透明な薔薇』」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都平民地区/魔道具屋『透明な薔薇』」からエネリさんが去りました。
ご案内:「王都近くの村」にテンドンさんが現れました。
■テンドン > 温かな湯気が噴煙が如きにくゆり立っている。
風の勢いは弱く、殆ど軽く撫でる程度、余り拡散しない水蒸気は立ち込める霧のようになっていた。
此処は王都マグメールから馬で半日程度をかけて来る距離に在る村の中、その名物の一つでもある温泉。
簡素な石垣で縁取られた中には今も刻一刻と湧き出し続けている熱い湯が一杯に満たされていた。
そしてその比較的に浅瀬に近い縁側の場所で背中を預ける形で湯中に浸かっている。
「…………あ゛ー……いい………お願いして良かった………此処に来るまで雨に打たれてひえっひえだったのも含めてベスト風呂コンディション…………てんごく……きもちよ………」
此処にはマグメールから配達に来てそれを遂行し。
そのまま帰ると暗く夜になってしまうので村の中に留めて泊めてもらい。
そこでお願いして教えて貰った村の秘湯に入っているという背景になる。
■テンドン > 「…とける……ぷやぁ……」
言語中枢の崩壊。
ずるずると五体五臓六腑隅々まで弛緩しきり座している状態から沈みかけるものの。
配達業務中にぎちぎちに封じ込められていたサラシの封印は解放され。
ぷかぷか浮いているボールみたいなメートル越えのうし乳が浮袋のような役目を果たし、何となく溺れずに済んでいる。
■テンドン > 「ぶくぶくぶく……」
鼻から下が湯面下に潜水し、結い上げるのがめんどくさくてそのままにしていた銀色の髪は完全に湯の中にとろけて海藻みたいに揺れていた。
お尻を泉底に乗っけて座り込んでいる姿勢から、此処まで一生懸命頑張って来た両脚を前にへと放り出して伸ばしっぱなし。
何度も地面を蹴り付けまくった足裏をぐっぱぐっぱと開いたり閉じたり。
湯船の熱にゆるく煮られて火照った眦は赤らみ、酔っ払ってるみたいになっている。
■テンドン > 「………」
ふうっ、と、不意に強めの風が吹いた。
肩まで完全に浸かっているので寒さ的にはノーダメージ。
睫毛に雫が結ぶ程に蔓延していた湯煙が束の間に払われた。
「…おつきさま」
暗がりを照らし付ける、昼にも迫るばかりの眩い月明かり。
水面の水鏡に盗まれた天体の数々が、瞬間に光の反射で映し出される。
「…あー…むり、掬えないや、あはははは」
両手を無造作に前に突き出し、目鼻先にある月の虚像を手の平で掬おうとし。
それはあえなくも手指から湯水と共に滴り落ちてしまう。
「もっとボクの手が大きかったらなあ……」
掲げて透かし見る指の股の向こうの夜空には、本物の月。
■テンドン > 「月見、湯船に浸かりながら一献…これが風流って奴なのかな…」
たらい船に乗ってふわふわと湯面に浮いている徳利を手に取った。
寒い所為か余計に空気は冴えて天蓋全てに鏤められている絶景の銀河の景観に眺む。
中に入っている地酒を手酌で盃に注ぎ、クッと其れを一杯。
■テンドン > 「お゛っげっっっっ!?げほ!!!がほがほがほごほごほ!!!っあ゛っ!!のっど!!灼けう゛っっ!?お゛ええええ゛っっっ!!!!」
滅茶苦茶に強い酒に咳き込む。ばしゃばしゃ揺れまくる水面に小波。
■テンドン > 「がらがらがらがらがら!!!!!」
慌てて湯水を口に含んで嗽し、ぺっっ!!!!とそれを湯船の外側にへと吐き捨てた。
「う゛っああ゛あー…思い切り鼻の方から喉奥までガッと熱くなって死ぬかと思っだ………むりむり、何この酒…人の呑むものじゃないよ、竜殺しって伊達じゃない銘柄だよ…!!!」
脂汗だらだら鼻水涎涙ぼろぼろ、喉をさすりながらたらいと強い酒を外にへとざばりと上げて。
「こーゆーのはボクにはまだ早いってことだね。上がったら牛乳分けて貰ってあっためよ…砂糖たっぷりで、うえええ゛」
じゃぼんっ、と、気を取り直すかのように深々と湯の中に浸かり直す。
■テンドン > 「よし…」
十分に体は温まった。風の弱い頃合いを見計らって湯中の外にへと迅速に脱する。
「今日はあったかくして早く眠って明日の帰りに備えよっ」
そのまま大急ぎで湯冷めをしないその内に脱衣所の方にへとダッシュ!
そして体を拭いて着替えを済ませた後に、一泊取った宿の暖炉で温められた部屋にへと戻って行く事になるのであった。
今宵は身を休めてぐーすかぴー、朝早くから村を出て王都にへと帰還するために、ちょっとした配達が小旅行を兼ねる時もあるという御話。
ご案内:「王都近くの村」からテンドンさんが去りました。