2022/09/15 のログ
ご案内:「王都平民地区 酒場「快賊」」にガッツァさんが現れました。
■ガッツァ > 酒場の中に、燕尾服を着た一人の青年が入ってくる。
黒い革手袋と黒いブーツと、とにかく、夜であれば目立たない服。
顔立ちは堀が深い、20才半ばといったところだろうか。少々、変な前髪をしている。
空いているカウンターに座ると、店内の看板を見上げて。
新顔なのだろう。どこか落ち着かないように店内を見渡して。
「マスター。ナッツ類の詰め合わせ、それとエールを一杯。あと、マッチを1本頼む」
低い声を出して、何かを刻んでいる店主へとそう注文する。
こんな時間に来るにはいささか珍しいと言わざるを得ないが。
マスターからマッチを1本もらえば、懐から少し席の離れた男とはまた違う。
構造としては一緒なのだろうが、それよりは若干形が整っている煙草を咥えて火をつける。が……。
「…………?」
火が付かない……いや、そもそも青年を見ていればわかるが、火の付け方がなっていない。
ファッションか、そもそもこのやり方以外の煙草を吸っていたのかもしれないが。
少なくとも、今青年が咥えている煙草はそんな火の付け方と吸い方はしない。
「……ダイラスの方とは違うのか、この煙草」
そう呆然と呟くように、口から煙草を外して見つめて。
ちらり、と他にこの店の客を見渡して、同じように吸う男を見て。
「なぁ、おっさん。これの吸い方教えてくれないか?一杯代わりに払うからよ」
■エドガー > 酒はエール 琥珀酒 ワインといろいろとあるだろうが
この王国ではラムの消費が一番早い。
エールは安酒で好まれるが、海の酒といえばこいつだろう。
黒いラムを片手に煙草のキャップを指で挟むようにして時折煙が燻る。
壁にはアスピダ城塞に関する傭兵募集を切り口に、山賊街道のルートでの護衛賃金が増している様子だった。
港湾都市は陸路よりも海路があるせいか、陸路での運搬が勝手が悪すぎる。
「ガウルス…、…。」
二年前の出来事の前に引退している身
直前を知っていればまだ鎧を脱いでいなかっただろうなと思う反面
他人事と他人じゃなかった事 薄情な気持ちが混ざり合う。
目の前に居たらどうなるかわからないが、酒の味がまずくなることはなかったまま
ラムが半分ほど減ったところでピクルスと煙で燻した鳥が出てくる。
「お、って野菜多くないか?」
年を経ると、揚げ物よりもタタキや燻製 濃いソースより塩だけのような
そんな味付けのほうが舌と意に馴染むせいか、野菜多めに若い時ほど嫌悪はないものの
酒を片手にぼやけば、野菜も食べろと店主は客に向かってというよりも、年下になるエドガーの身を気遣うような素振り。
仮にも互いに中年といえど、向こうの方が年は上。若い頃は大盛り飯にも厄介になったと思えば
ぐぅの根も言えずにザクリとピクルスと燻製鳥を食べながら、案外悪くない味つけだし、脂もすっきりしている。
「昔の焼いた肉の重ね盛りや、肉一枚で白麦一合食べてたころが懐かしいな。」
中年にはよくある、昔と今の食べ方の変わりようを話すと、耳慣れたように親父は ふんっ と鼻で笑って返事をした。
中年同士の分かり合う会話。
そんな言葉の中で骨を一本更に置いては、一気に食べるつもりもないように、再び酒を呷る。
「もう一杯くれ。」
空の杯を出し、黒いラムを注いでもらう傍ら、厚いなめし革の小袋に捨てた煙草
もう一本、キャップに取り付けてからマッチを擦ると、新顔が顔を出す。
髪色や顔付きは中々箔になっている。
だが、燕の尾がついた服とは浮いたものだった。
どっかの富裕地区の小間使いかなんかかと思っているエドガーは
一々ジロジロと男と小娘を見る趣味もない。
ジリジリと燃える煙草と共に、煙を二度吹かすと再び煙草と酒の時間に浸る。
しかし、若い男がカウンター数席挟んでドジを踏んだ。
まるで若い頃の連中を思い出す。
しかも気前の良さからして、平民よりマシなようだと、経験からエドガーは察した。
「若い坊主に奢ってもらうほど寂しくないんでな。 どれ、こっちに来い。」
隣に座れと催促し、ダイラス産とは違うというセリフ
王都産の煙草の吸い方とは言うものの、紙巻と細巻の純粋葉とかの差だろうか。
煙草を見ながら、嗚呼、と察しがつき。
「こいつは火で焦がしてても中までいかないんだ。
一回外を焦がしてから吸いながらやってみな。」
火は広くな、とマッチを縦にではなく、横にして火を大きくしろとアドバイスして
ようやく火が付いた様子なら、互いに煙と共にエールと黒いラムを片手にしだすだろう。
「愛煙家が広がるってのはうれしいもんだ。
意外と煙が嫌いな奴が多くて困っちまう。」
エドガーと変わった髪型の男
二人は酒を片手に煙を出せば、吸い殻入れにと革の小ケースを真ん中に置いた。
■ガッツァ > 自身の目前に今いる、日焼け肌の男。
先ほど店に入る際に歩き方、そして体つきから元々は戦う者であったと察したが。
まぁこの場では互いに酒と肴を楽しむもの同士、ましてや夜だ。
思うだけで何も言わないし、興味もない。今興味があるのは、興味の煙だった。
「そうか、っと。ありがとな、おっさん」
こっちに来いと言われれば、素直に歩みを進めた。
そうして中年の男と隣り合わせに立ち、男の方が吸っているものを見つめる。
俺が買ったものとはまた違うようだがやはり、それも吸い方が違うのだろうか。
「ん、焦がしながら吸うのか……わかった。やってみる」
頷いて、マッチを横向きに、煙草の先に火を当てながら吸う。
そして自身の肺一杯に満ちる白い煙を感じて、人差し指と中指で煙草を挟みながら味わう。
「すぅ……へぇ、こっちの煙草の味はまた違うんだな」
どこか嬉しそうな顔を浮かべて、一息誰もいない方向に顔を向けて息を吐き出す。
久方ぶりの煙草は思っていたよりも体に染みて、美味いものだなと感じる。
同時に、中年の男が差し出して来るラム酒に、自身のエールが入ったグラスを軽くぶつけて。
「ま、においがつくって言って嫌う奴も多いしな。
俺はまぁ、昔の仲間に味を教えてもらったから好きなだけだし」
その中年の男が出した小ケースへと、その煙草を置いて。エールを一口飲む。
「親切なおっさんと会えて俺としては嬉しいよ。ん、こっちの酒も結構美味いな」
■エドガー > 酒と煙草
二つが揃えば互いに不和の切っ掛けがなければ馴染みやすい。
若手と中年 若手というには箔がついた年の様子のエール男
煙草を片手に咽るどころか味わう様子には、本当に勝手の違いだけだった様子。
エドガーも、そんな様子に互いに紙巻を燻らせながらタンッと自作の小ケースに灰を落としながら
黒いラムを手にグビリと、常温の温度、酒の熱を喉と胃袋で味わう。
すきっ腹よりも、ゆとりを持たせるほうが酒の味も呷るよりも舐めるように感じ取れた。
「坊主はダイラス出身か。
観光は好いが、服を崩さずにくるなんて自信家だな。」
ダイラスに居を構えているような口ぶりに、今じゃアスピダのことがあるせいか
王都よりもダイラスはピリついているだろう。
快楽と海の都も、今では立派な最前線都市と隣だ。
そこからやってきた割りには、立派な服装だと述べる。
中年の趣味と実益に準じた格好よりも立派な衣だ。
その恰好は懐の厚さを語る。
平民地区でぶらつくには不用心だ。
昼ならお使い 頼まれごととあるが、夜は目立つ。
暗い夜に潜むにしてもだ。
自信家という言葉は、絡まれごとへの対処への評価である。
「腰の物がない辺り素手ってところか。」
単発銃は勘定に含めない。
一発だけのジョーカーは常設にはなりえないからだ。
酒をまたグビリとやってから、王都のエールの味に舌を打つ姿にふときいてみた。
ダイラス出身ならよく聞かれるだろう。
「あっちの様子はどうだ。
近頃はいろいろと厄介だろう?」
そう言いながら、昔の記憶と重なるせいか、ラムの減りが早い。
ザクッとピクルスで口と胃を一度洗うと、三杯目が満ちても手を出さずに済むのは
口を寂しくさせない煙草のおかげだろうか。
■ガッツァ > カリ、とナッツを口の中でかみ砕き、その味を感じながらもう一口エールを煽る。
それらに舌鼓を打っていると、中年の男から飛んでくる言葉に顔を上げる。
「ん、あぁ。まぁ故郷はダイラスであってるよ。
…………ま、この服は俺の、尊敬する人の影響さ」
懐かしむわけではない。どうやら、ダイラスから出てきたのは最近のようだった。
自身の装いが、少々目立ち気味なのは自覚しているようで口を開き始める。
「ま、ちょっと前までいたところの上司がいろいろと厳しいところだったんだが。
ちょっと俺がヘマして、てんやわんやでな。ほとぼりが冷めるまではこっちにいよう、ってなったのさ」
そう言って自分がここに来た理由を簡単に説明する。
下手に黙っているよりは、こうして互いの話のタネにした方がいい。
ましてや、こうして親切に煙草の吸い方を教えてくれたのだ。
黙っている方がむしろ、無礼だと感じて。
「基本は素手だな。武器も使えなくはないが、性に合うさ。使える武器があるなら使うけどな?」
片頬を吊り上げて笑い、その顔には確かな自信を覗かせていた。
口だけ、という風には少なくともっ見えないだろう。
「厄介……そうだな。最前線になってるってのもあるが、どこもかしこも空気がピリピリして敵わない。
そこに住む人や、漁師は勿論。そこを拠点にする荒くれ者も全員含めてな。
嫌な世の中になったもんだよ。……前の方がマシ、っていうにはちと物騒なことに変わりないがな?」
最後にそう言うと、エールを飲み切り、もう一杯とマスターへ告げて。
「そういうあんたはどんな仕事を?ここら辺に慣れてるみたいだし、顔も利くみたいだが」
■エドガー > 煙草に黒キャップを取り付けたそれを咥えたまま、ゆったりと吸いながら吐き出す
片手には黒いラム 舌が辛くなれば舐める程度にしながら、来た理由 向こうの状況
それらは凡そ予想 現在状況と変わりなかった。
港湾都市から王都への移民の少なさは、今のところ“最前線故に儲かる”という
必要性に駆られた需要の良さと羽振りだろう。
辛い現実を忘れる要素は必要だ。
ハテグでも、娼館があったのだから同じようなものだ。
愛国心なんて無い奴が多い。
現実と快楽で歯車を回すような現場の中で、エドガーも殴り続ける毎日だった。
昔を思い出すのが濃くなるのは、年を食った証拠かと、酒を飲むと
喉が熱くなったところで、不意に己も尋ねられたようなら、鼻をスンと指で撫で。
「しがないグローブとブーツの店さ。
店を構えたのは古くないが、中年になるまで張り切ってたせいで、顔なじみも増えた。」
そう言って、煙草を小ケースに押し付けるようにして吸い殻を弾く。
革職人と言えばなじみ深いものだろうが、エドガーの刺青の入った両腕の筋肉は
しがない革職人とみられなかった様子だった。
無論、昔の話をするつもりもないエドガーは肉を食み終わると空の皿を親父に返し。
「俺も素手のやりとりはよくやったもんさ。
グローブくらいなら融通してやる。新しいのが欲しくなったら来ると良い。」
そう言って新しい煙草をキャップに取り付け、咥えながらマッチを擦ると
シボッと燃えるそれがマッチを擦れば、腹も熱もいい具合になった。
今の季節には少し暑いくらいだ。
「親父、勘定。」
そう言って、ゴルドを渡せば若手に未来があるようにと、豆だけではなく
先と同じスモークチキンを出してやってくれと言って、多めに払い、肩をポンと叩く。
「吸い方も覚えたなら、娼婦にも笑われんだろうさ。 じゃあな、坊主。」
そう言って、煙草を咥えたままカツ、ゴツとブーツの音を出して外へと歩いていき、最後に
首を向けながら渋い顔に見合うような、唇だけ少し上がった笑みで煙を纏わせながら。
「そのそら豆みたいな髪型、直しといたほうがいいぞ。
チャームポイントにしちゃ服と同じで目立ちすぎだ。」
後ろから聞こえる怒声と共に、クックック、と若い頃を思い出す時間だったと
エドガーはその場を後にして自宅に戻るだろうか。
「ほんの少しだけ、若返った気分だったな。」
若い奴の傍にいただけでそんな気分になるとは
俺もまだ枯れてないんだな、と歩きながら夜の涼気に浸って、ほろ酔いでの帰路を満喫し。
■ガッツァ > 「ふーん、グローブとブーツ、か」
興味があったようで、それ以上を聞こうかと思ったが。
思っていた以上に、中年の男は自分のことを語らない性格であったらしい。
いや、ある意味予想通りだったかもしれないが。
前髪をイジりながら、最後のアーモンドを嚙み砕く。
思ったよりも話が楽しくて、食べる手が進んでいたようだった。
別のつまみを頼むか、同じものを頼むか。そう考えていたが、男が立ち上がる。
「んじゃ、今度お言葉に甘えるとすっかね。両方とも新調したかったところだし」
どうあれ、このおっさんが作るものなら信用できるだろうと考えて。
二杯目のエールを手に取り、その安酒を一口飲もうとすれば、新しいモノを男は注文してくれたようで。
「っと……ま、年上には素直に甘えておこうかね……。
―――余計なお世話だぜ。おっさん」
女の話を持ち出されるとは思わず、口を少しだけ尖らせる。
しかしまぁ、悪い気分では不思議となかった。嫌味な男ではないのもあるだろうが。
軽く手を振って見送っていると、ふいに男が振り向いて。
「―――あ”ぁん!!?この俺のイカしたヘアースタイルにケチつけやがったなぁ!!?」
ダン!とテーブルを叩いて立ち上がろうとするが。
すぐに出て行ったその背中を、ぐぎぎ、と歯を食いしばって。
「……はぁ。くそ……。久しぶりに誰かにおちょくられちまったぜ」
疲れたような顔をしているが、不思議と今日はいい出会いだと感じられた。
またこの酒場には、気が向いたら来るか。と内心思って、スモークチキンを見つめるのだった。
ご案内:「王都平民地区 酒場「快賊」」からエドガーさんが去りました。
ご案内:「王都平民地区 酒場「快賊」」からガッツァさんが去りました。