2022/08/07 のログ
■エレイ > ともかく、男は客を迎え入れ。カーテンは再び閉ざされて──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 王都の北部に広がる喜びヶ原との異名を持つ広大な平野。
樹々が折り重なる森林地帯にて野営を行なう冒険者一行が存在した。
ギルドで同じ依頼を受けた彼らは全員がパーティに属している訳でもなく、
共通の目的の為に一時的な協力関係にある、レイドを組んでいた。
そのため、火熾しを終えて歩哨の順番を決めた後は気儘に思い思いの時間を過ごしている。
同じパーティの者達は薬品や荷物を融通し合い、道中で気が合った若い男女は木陰にしけ込み、
そうでない者達は自身の天幕で食事を摂ったり、装備の点検をしたり、早めに休んでいる事だろう。
冒険者は個人事業主で、得てして個人主義だ。個人が何をしようが無関係な他人が口を挟む事はない。
そんな仲間と呼べるかも怪しい同業者達を横目に中年冒険者が焚き火の前で革袋の酒を呷っていた。
「オークの討伐、か……。
キング級やジェネラル級の変異種が発生していないと良いんだが」
彼らが受けた依頼は近隣の村々を襲い、略奪や時には娘の誘拐に至るオークの討伐。
経験者が多いパーティではあるが、連携も取れない状況では全員が無事に帰れる保証は何処にもなく、
何事も起こらなければ良い、と熟練冒険者にあるまじき枯れた思考を抱きつつ酒に口を付けた。
ご案内:「設定自由部屋」にリアレアさんが現れました。
■リアレア > オークの討伐、それを引き受けたのは完全に気まぐれ。
だから道中口を開くこともなく、黙々と歩いていた。
時折喋りかけられても二三言で返して終わりだったのだが、
見知った中年冒険者を見かけてしまえば、視線はそっちに集中することになる。
そうして、火熾しを終えた後は焚き火の傍で酒を呷っているのを見つけ。
足音を立てながら近づいていく。
「ようトーラス。湿気た顔してどうした。アンタらしくもねぇ」
過去に、一緒の席で酒を奢ってもらってから度々一緒に組んでいるやもしれない。
であるから、性格も幸いし、友人のような気軽さで彼の隣に腰掛けるだろうか。
ここにきて、ようやくご機嫌そうに腰にかけてある革袋の酒を取り飲みだす。
■トーラス > 独り、焚き火の傍で酒を呷っていれば、
何の断りもなく隣りに腰掛けて気さくに声を掛けてくる女に視線を向ける。
王都の冒険者の中でも名の知れた上級に位置付けされる彼女とは、
しばしば、共に即席のパーティを組んで依頼をこなした間柄。
今更ながらに畏まる必要性もない気楽さに口端を緩め。
「リアレア、か。……、何、誰かさんと違って俺は繊細だからな。
今回のオーク討伐に良からぬ不安を感じて心配してたところさ」
街の酒場で陽気に酔っ払い、散財する普段の彼は繊細さからは程遠いのは間違いない。
革袋の酒に口をつけ、咽喉を焼くような酒精を流し込みながら、
冗談めかした口調ながらも、眼だけは酔いを見せずに火の粉が弾ける焚き火を眺め。
■リアレア > 共にパーティを組み、彼の腕を知っている自分からすれば
彼の、たまに話す言葉は真実味を帯びているし
信頼もしているのだ、だから他の連中よりも話しやすい。
口端を緩める様子を横目で眺め、続く言葉に双眸を細めた。
「誰が大雑把な大女だあぁん? てか、トーラスが繊細ぃ? ないない。
だれかにフラれたとかなら分かるけどな? ま、アタシも直感で不安は感じてるさ」
普段の彼を知っているから繊細さからは程遠いのは知っている。
だからイジられたお返しに盛大に笑ってみせたが、次には自分も酒を含み
嚥下すれば星空を見上げ。
「キング級がいてもアンタとアタシならどうにかなるさ。
だから少しは元気出しな。アタシ様がついてるんだぜ?」
不安は、彼と同じく感じている。
しかしそれを見せるわけではなく、笑い飛ばす。
彼の背中を軽く、元気づけようと叩こうと動かし、ゆっくりと息を吐く。
■トーラス > 「俺は一言たりとも、そんな事を言っちゃいないんだがなぁ。
お前さん、いつから他人の心を読める魔法なんて身に着けたんだ」
自身の身体的特徴や性格を話の種にする女の豪快さに、
わざとらしく肩を竦めて呆れたような素振りを見せる。
だが、もう一口、酒を呷れば、口端を綻ばせて笑い。
「まぁ、そうだな。
お前が居りゃ、キング級だろうが、ジェネラル級が束になっていようが、何とかなるか。
――――頼りにしてるぜ、リアレア」
王都でも指折りの冒険者であり、その実力は過去の経験から把握している。
相手と一緒であれば、難敵であろうとも遅れを取る事はあるまい。
その力を信頼している、と頷き掛けた所、背中を叩かれて思わず咽て咳き込み。
■リアレア > 「言ったね。心のなかで言ってたさ。アタシには分かる。
おや、当たりだったかい。ま、アタシが慰めてやるさ」
肩を竦め冗談を吐いたのだが、呆れたような素振りを見せられたので
少し目を細め、ジト目を向けたが、フラれたらしい彼に何とも言えないそんな視線さえ向た。
けれど、ようやっと口元を笑みの形にしたから嬉しくて、ニシシ、と笑うのだ。
「その通り、雑魚の方はそこらの冒険者に任せてアタシたちは大物狙おうぜ?
そんで追加報酬で飲み明かすのさ――……任せな、トーラス」
冒険者の中でも熟練の粋に達している彼は、肩を並べていて頼もしい。
だから問題なく"急な事態"が発生しても問題ないのだと背を叩いたら咳き込んだ。
おっと、強く叩きすぎたかと掌を見つめた後「悪い悪い」と豪快に笑おう。
「ったく、頼りねえぜ? 少しはシャンとしな。
アンタは熟練冒険者で腕も立つんだからよ」
余計な言葉を足しながら、彼へと視線を向ける。
法螺吹きだとか言われていても、自分はそうは思っていない。
全て真実を語っていると思うからこそ信用しているし、こうして隣りに座っている。
■トーラス > 焚き火から顔を上げるとレイドに参加している面々を眺める。
実際、キング級のオーク等が現れるようであれば、
全員が五体満足で帰還を果たす事は困難極まりない事だろう。
或いは、幾人かは命を落とす事になるかも知れない。
尤も、
「大物狙い、か。悪かないな。
お互い、生きて帰ったら、酒場で夜が明けるまで呑み倒すとするか。」
そんな無謀とも思える危険に身を窶してこその冒険者なのだろう。
鍛え抜かれた膂力による殴打を背中に受け止め、咳き込みながら、
謝り倒す女に片目を眇め、批難めいた視線を送れば、今度は演技でも何でもなく肩を竦め。
「ハッ、全く、そんなんだから嫁の貰い手がねぇんだぞ、お前は。
さて、寝ずの番までちょっくら休ませてもらうぜ。明日は頼むぞ、相棒」
革袋を逆さにして残りの酒を一息に呷り切れば、
腰を上げてひらひらと手を振りながら己の天幕へと歩き始める。
こうして、寝苦しい夏の夜は更けていき――――。
ご案内:「設定自由部屋」からトーラスさんが去りました。
■リアレア > 「それでいいさ、飲み倒そうじゃないか」
確かに、身を窶してこその冒険者であろう。
だから、明日はた揉むと言われてしまえば、問題ないと頷く。
「そういう事言うからトーラスはふられんだぜ?
あいよ、任せな。相棒」
ひらひらと手を振る彼を見送り、寝ずの番を続けよう。
酒はまだあることだし、と革袋の中を口に含んだ後は夜空を見上げる。交代が来るまで星を見ながら過ごし――
ご案内:「設定自由部屋」からリアレアさんが去りました。