2022/07/05 のログ
ご案内:「宿屋『貴婦人と一角獣』」にリレイさんが現れました。
ご案内:「宿屋『貴婦人と一角獣』」にエイプリルさんが現れました。
■リレイ > ハイブラゼールから予定通りに帰ってきた男。
夢のような時間が終われば、また日常だ
もちろん、遊んできたばかりではなく、きちんとお店のためになりそうな情報もある
ただ、活かそうとするとなるとアイディアが中々浮かばない
ここ数日、それでこうして悩んでいるのだった
「う~~~~~ん……」
既に客を見送った深夜である
業務自体はすべて終わり、後は寝るだけ…ではあるのだけれど
悩んでいる男は、自分が所有する店の1階。
その酒場のカウンターに突っ伏して唸っている
辺りにはカンテラの薄い明りがあるのみ
…早く寝ないと、それはそれで共同経営者に心配される
ただ、頭の中を整理するかしないと寝れそうになかった
結果、こうして…誰かに見られれば幽霊とでも勘違いされそうな唸り声を響かせることになっている…
■エイプリル >
「――はい、どうぞ」
軽食とアイスティーが差し出される。
酒場の締め作業を終えて、手慰み程度に拵えたものだ。
「帰ってきてから、ずっとその調子ですね?
相談してくださってもいいんですよ」
まだ若く、理想の高いオーナーが、自分に心配をかけないように、負担を掛けないように、頑張っているのはわかるのだが。
一人で悩みこんでしまう所があるのが、どうにも放っておけないのだ。
■リレイ > 「あ、ありがとう、エイプリルさん」
締め作業を終えたらしい見知った女性があたたかなアイスティーと軽食を出してくれる
少し驚きはしたものの、この女性は何かと世話を焼いてくれるため慣れ始めてはいる
(…エイプリルさんこそ、いつ休んでるんだろうなあ…)
ありがたくアイスティーをいただきながらそんなことを思ったが
とりあえずは質問に答えよう
「あはは…、そのー…エイプリルさんにはもう色々頼りっきりなので。
これ以上負担をかけるのも…。
ほら、俺がやってることって言えば外回りくらいですし」
その点、目の前のほわほわした雰囲気の女性はその印象に反して一日中お店のことを見てくれている
それがどれだけありがたいことか
彼女が居なければ、きっとすぐに理想は諦めていただろう
「……。ただ、そのー…流石に行き詰ってきてるので…
娼館に、こんなベッドとか服装とかどうかな、って。…意見を聞きたい…です」
しかし、少し間を置いてから。
この姿を見せているほうが心配をかけると判断すれば相談を持ち掛ける
まずは身振り手振りで自分の考えていることを一生懸命伝えよう
ハイブラゼールで見た、シーツを前面に出せる丸いベッドや…体を申し訳程度に隠す衣装について
装飾を華美にはしないが、部屋ごとにある程度個性を出したらどうか、など
ふんわりとしたイメージだが伝えていく
その後
「あ、そういえば、食堂の方で何か困っていることはありませんか?俺、あんまり見れてないので」
などと、続けて聞いてもみよう
■エイプリル >
「いえいえ、そんな負担なんてありませんよ!
食堂も酒場も楽しくやらせてもらってますし、経営もなんとか黒字になりましたしね?」
青年が苦く笑うのを、むしろ慌ててフォローする。
エイプリルの方こそ、自分の能力を生かせる場所を作ってくれたことに感謝してるくらいなのだ。
「外回りだって、簡単なお仕事じゃありませんよ。
うちのキャストの子たちは、オーナーの人柄を信じて集まった子たちなんですから、ね?」
大丈夫ですよ、と、隣に立って青年の頭に手を伸ばす。
よく頑張っている青年を褒めてあげたくなったのだ。
「はぁ――確かに伸び悩んではいますけど――」
うーん、と首を傾げる。
業績は、安定はしたものの、低空飛行で伸び悩んでしまっている。
しかも、娼館部分の収益は若干マイナスと言ったところだ。
キャストを守るための費用と客入りで言えばやむを得ない所ではあるのだが。
「――設備の問題ではないとは思うんです。
もちろん、需要があれば対応できるプレイの幅を広げるのは大事だとは思いますけどね」
それよりも、宣伝の方が問題になってきている、だろうか。
実際、店構えや経営方針の有り方から、娼館としての認知度が足りていないのは少々困りどころなのである。
宿と食堂は無難に黒字を出している所からも、数字にも表れているのだ。
「――うーん、イメージはわかりますけれど、この街でそれをやっても、他の娼館と変わりませんし。
同じ土俵で勝負しても、先達――しかも、手段を問わずに利益を出している所には勝てません。
うちは、うちの持ち味を出せる方法を考える必要があると思うんです」
青年の隣に腰掛けて、思い悩む青年を落ち着けるように、その手に両手を重ねて。
「――はい?
こっちでですか?」
聞かれると、答えに困ってしまう。
素行の悪いお客様は力づくで退店してもらっているし、他店からの嫌がらせも、今のところはあしらえる程度である。
「そうですねえ。
時折、熱烈なお誘いをお受けする事くらいでしょうか。
邪険にするわけにもいきませんし、少しだけこまってしまいますね」
と、眉をハの字にして微笑んだ。
■リレイ > 「それは…なんというか、いつもありがとうございます…って、もー…子供じゃないんですから」
黒字となっているのは、目の前の女性の尽力が大きい
その影響か、本人の雰囲気か…少し逆らえない…というより甘えてしまうことがある
だから今、文句を言いながら軽く下げた頭を撫でられているのも、仕方ない。仕方ない
大したことはしていないつもりだけれど、共同経営者にここまで褒められると頬も少し緩む
「…ただ、うーん、宣伝の方は俺が駆けずり回れば少しはマシになると思いますけど…持ち味かー」
それこそ宣伝は足を使えばいい
99人にそっぽを向かれても1人に好意的に取ってもらえればそれで集客+1
更に気に入って貰えれば口伝で広まる可能性もある
しかし持ち味…と頭を悩ませる
確かに今のところは皆頑張ってくれているが、特色というと難しい
クリーンな身売りなんていう相反する事を商売としているのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが…
「っ」
と、そこで手を握られてびくっとする
この女性は、何かと甘やかしてきたりと距離が近い気がして未だに少し慣れない
「あ、あはは…。エイプリルさん、美人ですし。
地下で娼館をやっているーなんて知ってれば、お誘いしたくなる気持ちはわかる気がします、よ?」
釣られて話題を転換しつつ…、彼女が客を取っていないことは良く知っている
男の印象としては単純に身持ちが堅いんだろうなあ、という程度ではあるが…
それはそれとして、彼女はスタイルも良いし朗らかな笑みは人を魅了するのもまた理解はできる。
女性のことは大事にしたいとはいえ、自分も男だし、たまにドキッとはしているし。
「それなら、ほら。えーっと、少しの間だけでも一緒にお酒を飲んだりして酔わせてしまうのはどうでしょう
エイプリルさんの分だけ水や果実水にしておけば、潰されることもないでしょ?」
だから、望まない接客をさせるつもりもない。
しかし、言われた通り邪険にするのも評判に傷がつきそうではある
なので…はぐらかしてしまうのはどうだろうと思いつきを喋ってみよう
■エイプリル >
手を重ねただけで肩が跳ねる青年を、やっぱり可愛く思ってしまって。
くすくす、と小さく笑ってしまう。
「もう、そんなお世辞を言っても何もでませんよ。
わたしなんかより、ずっと魅力的なキャストの子達が揃ってるじゃないですか」
と、謙遜する様子じゃなく、本心からそう思っている様子で。
相変わらず、自己評価が低いのが見て取れるだろう。
「んー、お酒ですか。
ザルなお客様もいますし、売り上げに貢献はしてもらえますけど、次の日にはまたけろっといらっしゃるんですよね。
まあ、困っちゃいますけど、悪いお客様たちではありませんから、いいんですけどね」
どうやらお酒に関してはすでに試しているらしい。
それだけ、熱心にアプローチを続ける客が居るという事だろう。
なお、こっそり可愛い少年を連れ込んでいたり、そんなアプローチに応えたりしていたりもするのだが。
気づかれていなければ、していないと同じなのだった。
「――そういえば、そんなお客様からのお声って聞いた事ありますか?」
と、指を立てて、話し出す。
「うちのお店が好きでいらしてくださるお客様は、うちのスタッフも、キャストの子も、みんなが『働かされている』様子じゃなくて、楽しそうなのが居心地がいいって仰ってましたよ」
この宿のスタッフから、娼館のキャストに至るまで。
誰もが自ら働きたいと望んで働いている子たちばかりだ。
そして、その気持ちに十分報いれるだけの報酬も支払っている。
青年の理想に寄り添った形の経営なのもあり、少々経費が嵩みはするものの。
それが『いい』と思って通っている客が多いのも事実なのだ。
「うちの持ち味、と言えるかはわかりませんが。
伸びしろを見出すのでしたら、そういう所じゃないでしょうか」
と、指先をゆっくり振りながら、ふんわりと微笑みかけた。
■リレイ > 「あー。…言わなくても出てくるのがエイプリルさんですからね
…ただまあ、美人だーって褒めたのは本心からですよ?」
反撃とばかりに、じ、と見つめてみたが敵いそうも無かったので数秒見つめ合って視線を外した
色事をしろ、というわけでもないけれどもう少し自信を持ってもいいんじゃないかと常々思ってはいるし。
こうして言ったりもしているのだが、この自信のなさはどこから来るのだろう
「そ、そーですか…
でも、もし本当に困ったら相談してくださいね!」
とは言っても、何ができるかと言えば具体的には言えない
この人なら、自分よりいい解決法を見出すだろうし…。
ただただ、この愛らしくも聡明な人が困っているなら何かしら力になりたい、という思いで力強く断言した
「…なるほど。確かにエイプリルさんの計算もあって、恐らくは十分なお給料もお休みも出せてるし…
伸びしろ…そっかぁ…」
理想には程遠いと自分で思っていたけれど、そういった声があるのなら、少しは誇っていいのだろうか
ついついにんまりとしてしまってから、表情を引き締める
「なら、そこを特色に…いつでも笑顔で楽しめるお店!をもっとアピールしようかな…
やっぱり、娼館も…暗いキャストよりは明るい子の方が楽しめるでしょうし」
間違っているかもしれないが、そう呟いて…そこではっ、となる
元気溌剌かというと少し違うが、ハイブラゼールで相手をしてもらった狐人も常に笑顔を浮かべたり自信ありげだったりと…
どちらかと言えばプラスの表情をしていることが非常に多かった
強要はできないが、自然とそうなれる環境をもっと作るのが自分の役目なのかもしれない
事実自分も、悩みこそあれど…あれからかなりすっきりした心地で仕事ができているし
「ただ、えっと。どういう時に笑えるんでしょう…。
エイプリルさんが自然と笑顔になれる時って、どんな時ですか?」
しかし自分は所詮男。
娼館程度しか女性とあまり関わったことがなく、女性が自然に喜びそうな凡例を知らない
だから、最も今近くに居る女性にストレートに聞いてみよう
■エイプリル >
「ええと――ありがとうございます」
本心だ、という青年にも、ちょっと困った顔で笑うだけ。
素直に受け取れていない事は明白だ。
「ふふ、だいじょうぶですよ。
オーナーったら、心配性ですね」
くす、と笑って。
再び青年に手を伸ばし、その頬に触れる。
「――うん、いいと思いますよ?
オーナーはあなたなんですから、思うようにやってみてください。
あとの事は、わたしがちゃんとフォローしますから、ね?」
と、青年の頬から、横髪をそっと撫でるように手を添えた。
青年の理想を後押しして、手助けするのが自分の役目。
それがエイプリルにとっての『楽しい仕事』なのだ。
――しかし、さて。
笑顔になれる時と問われたら、そんなエイプリルもきょとん、とした表情を浮かべてしまうだろう。
「それは、その、楽しいときじゃないですか?
あとはそう、嬉しかったり、幸せな時とか。
そんなに考えるほど難しい事じゃないと思いますけど――」
青年が何に悩んでいるんだろう、と。
不思議そうに首を傾げた。
■リレイ > 「あー…そ、そーいうことするから、熱烈なお誘いを受けるのでは…?
俺が狼だったら、ガオーっと襲ってますよ、二人きりですし」
頬に触れられて、酒精も得ていないのにかあ、と顔が熱くなる
わかってて揶揄われているのではないかと思うほどだ
もちろん、誰にでもするわけではないだろうが、そんな隙の多さが誘いを生むのかもしれない…などと考えている
「いつもそうやって…、はい、わかりました。じゃあ、引き続き頑張ります。
また外回りが多くなると思いますから…お店の事、お願いします」
ただ、真摯な気持ちのまま頬に触れられていた手を取ってぎゅ、と自分の両手で握って軽く頭を下げる
本当に頑張ってくれているのだ、この人は。
本人が嫌がるのは目に見えているが、もっと多くお金や待遇を渡したいぐらい
「楽しい…、そうですよね。それは、分かり切っているんですが…
ほら、俺、親の話したでしょう?だから、その…もしかしたら…
自分では楽しい場所にするつもりでも、いつの間にか親と同じような道を進んでるんじゃないかってたまに思っちゃうんです
でも、エイプリルさんのその反応なら、大丈夫そうですね」
あはは…と苦笑いした後
「もし、俺がそうなりそうだったら止めてください。それも、お願いします
…反面教師にするために親のあくどい経営をよく見てましたから、気をつけますけど…もしかすると影響がどこかに出てきちゃうかもしれません
その代わり、ほんと、ほんとエイプリルさんにも何かあったら言ってくださいね!?」
現在、最も信頼している相手に大事なお願いをしよう。
そして無欲すぎる相手に念押しも。