2022/06/26 のログ
ご案内:「朝駆けのタナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > 朝方のタナール砦
この時期の空は早い 暗い夜があっという間に 白くなり 青くなっていく。
寒いといつまでも暗いのに 暑いとあっという間に白んでいく。

この時期最も動きやすいのは この端と端の白み具合だろう。
ど真ん中に太陽が居座っている時にやり合っては無駄死にかと言わんばかりに、強襲。
タナール砦の鐘が打ち鳴らされる。

敵が攻めてきたという知らせと共に、鎧を着こんでいた軍勢 メイラと轡を先端にさせる者が数人
戦でしか存在意義を示せないような 大馬鹿野郎の成れの果てらがそれぞれ一部隊を率いる。


「深追いは禁物 後で奥で茹だって斬られ死ぬくらいならば 砦を枕に死んでやりなさい。」


動きやすいからと、暴れやすいからと あの猛暑の中で動き回るそれに比べてなんと調子よく動けることかと思う面子に
日照りで鎧を炙られながら 熱の中で剣と槍の切っ先に貫かれて死ぬような そんな餌畜生の真似をみせるくらいなら
ここで全部済ませてしまえと、メイラは後ろに控える馴染らに語った。

愛馬の首を撫でてやる。
首の半ばから貌がない 銅板で蓋のされた奇々怪々
首無しの黒馬が逞しい体を伴って、巨剣擬きを携えるメイラを支える。

見える向こう側。
忍び寄るでもなく 隠れ潜むでもなく 一番調子のいい時間に攻めてきた様子。
暗がりの夜の中での、魔境もこの砦ではいつものこと。
なら夕暮れとは違う、朝方で見える逢魔が時もいつものこと。


                   「ダンタリオが  参りますわよッッ!!」


厄介者が通るぞと宣言しながら、巨剣を背中の支えから抜き取り、片手持ち。
ズシリとした重量感と身幅のシルエット
白み光る日がまだ頭の先を覗かせる以前のような、空の白み具合の中で
赤い瞳とギザ歯を剥き出しに、寝ていたのか覚めていたのかすらわからないような イカレ伝染りの塊
それが砦から見える先で、事を始めだした。


「―――アハハハハハハハハハッッ!!」

メイラ・ダンタリオ > 防衛線
砦という陣地を生かし、削り切り、兵の消耗を防ぐように本来ならば突撃なんてしない。
それを、砦の入口に群れるか上るか はたまた破壊するか。
それをやられる前に、メイラを含む二名の突出した者らが隊を率いて突撃する。

砦本陣の防衛戦力こそ残していても、攻撃力と言う面では失えば損失は大きいそれに対し
迷いも 躊躇いも 恐れも無い。 メイラの高揚と止まらないうねりが、丹田の底から笑い声となって襲っていく。
巨剣擬きと呼んでいる真っ直ぐなグレートソード大 それを片手に、或いは両手に携えて愛馬の首がないという振り幅の制限の無さ。
其処を用いて、横薙ぎに向こう側の群れを叩き落とすように 切断ではなく ぶつけるような一撃。


「―――うぉら゛ァ゛ッッ!!」


一番の先端と先端がぶつかり合えば、メイラは一番の先端の図を削り取り、台形のようにしてしまう。
馬は群れと群れの間を縫い、左右に振り続ける巨剣擬きの質量攻め。
怪力と重量 二つを合わせたそれで馬の上から落とし続ける騎馬と騎馬
しかし本命は馬ではなく徒歩兵 それらに対し、振り上げるように切っ先を地面へと向けて振り上げれば
数人のシルエットが上空へと放り上げられる。
先端が食い込んで上半身のどこかが割れればいい。
割れ斬ることがなければ陥没と、逃げない威力が対象を上へと抛り飛ばすようにしてしまう。


騎馬を散らし、徒歩を乱れさせながら、メイラが叫ぶ。


「弓ィッ!! わたくしたちごと射貫きなさいッッ!!」


諸共に降らせろという弓への号令。
怒声のような大声に、徒歩が鈍る。
矢が降ってくると思わせながら、メイラが大ぶりのそれと共に、号令を掛ければ全員が盾や斧
剣や革で弓に対し引き際と共に前を向いたまま構える。


時間差で降り注ぐ矢の群れ。
馬にさえ施し手有れば構わないというように、盾に弾かれ 突き刺さり、斧の身幅で弾ける音。
メイラ自身、鎧に身を任せるかのように馬と頭部しか守らない。

棒がいくつも飾られる躯が増えたのなら、メイラを含む斬り込みにきたイカれの群れの後ろから、弩を携えた軽騎兵
それらの一整列射により、上を終えた次は前からも射貫かれていく。

数という攻めを散らかされた場所を、余計に散らかしていくのならば、メイラはやっと背を向けるときとなる。


「全員後退ですわっ! 弓ィッ! 存分に嫌がらせなさいっ!!」


向けた背中を射抜かれる前に、矢が射貫いていく。
幾つかが突き刺さる者らが出てきたとしても、何か仕込んでいたか
それともハイになった頭ではかすり傷と言わんばかりに、戻っていくだろうか。

ご案内:「朝駆けのタナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。