2021/07/17 のログ
ロイス > 冒険者は、チャンスだけは転がっている世界だ。
多くの場合、そのチャンスを掴み取れないだけ。
そして、フリージアは、その掴み取れるチャンスを大幅に広げてくれた。

「(他のパーティも欲しいだろうなこの子。
彼女がいるだけで、魔術戦がぐっと楽になるし、性格面にクセもない……。
優秀で賢くて普通に良い子ってのが、ならず者ばかりの冒険者社会じゃどれだけレアって話だよ)」

正直、便利屋扱いの自分には勿体ない。
自分といなければ、彼女はきっともっと上に行ける。
それは自虐ではなく、長年の経験から導き出した事実としてそう思う。
だからこそ。感謝していると、ずっとお世話になろうと言われた時、一瞬、驚いたような表情を見せてしまった。

「……そっか」

心のなかで、色々と思う。
それは、彼女を縛り付けている罪悪感はある。
だが、それ以上に感じるのは安堵と、油断すると頬が緩んでしまうほどの、正体不明の嬉しさだ。
本来なら、もう少し突っ込んで、将来の話などもするつもりだったが――何故かそんな気持ちが、萎んでいくのを感じる。

とはいえ、何時までもそんな呆けている訳にもいかないので、「いや、変な事聞いたね」と気を取り直して、

「俺はもう少しお酒頼もうかな。どうせ明日は休息日にする予定だし――君はどうする?」

と、フリージアに聞いてみて、ふとそう言えばと思う。
今日は、フリージアの飲酒量をあんまりカウントしてなかったなと。
彼女の方も大分ギルドや酒場の雰囲気に慣れた頃合いだったので、油断してしまっていたが。

「(まあ、大丈夫でしょ。その辺は管理できるだろうし――酔いつぶれたとしても、部屋とって、彼女を寝かせても良いわけで)」

フリージア > 不慣れな仕事を彼のお陰で慣れる事も出来。
そこそこに実績も積め。他のパーティに参加も打診された事もあるがそれはきっぱりと断っていて。
純粋に冒険者という仕事は稼ぐためだけにやっていて評判などは二の次。
そして信用できる彼と組んで切れば気が楽という考えもあって、それがどんな仕事であっても…。

「それにまだ…恩も返してない。
だからお世話になっていたいけど、いいよね?」

この街、国にも慣れたとはいえ分らない場所も多く、彼といれば安心できるという事が大きく。
なので一人暮らしをするという選択は全くなく。

「私ももう一杯だけ。そうじゃないと帰れないよ」

元々多くは飲まないが今日だけは後一杯だけ飲もうと告げ。
ギルドや酒場の雰囲気に慣れはしたが飲酒はいまだになれていなく。
彼が酔った時に連れて帰らなければいけない、そんな事もひそかに考えていて。
彼が飲むというのは止めることなく料理に手を付けていて。

ロイス > 「大分返してもらってるけどなあ……」

収入増、生活上の雑用、話し相手。
すでにして男やもめの冒険者が聞いたら、殺意を抱かれかねない生活環境である。
そもそも、経緯こそ特殊だがフリージアは自分の後輩であり、面倒を見るのは当然である。
だが、だからこそ、いいよねと言われたら、こう返すしか無い。

「勿論。君が良いなら。出て行きたくなったら、何時でも言って……とはいうけど」

と、いった所で。
頼んでいたお酒が来た。
男が飲むのは、ウィスキーのオンザロック。
そろそろ大分酔いも回ってきたので、この一杯で止めとこうと思っていたら、彼女もまた同じ感じらしい。

「(まあ、後一杯でどうこうって事もない……あれ、でもそういや、もう一杯って言うけど、フリージアが二杯以上飲んだ記憶ってあんまないな)」

実際は、あんま、ではなく全く、なのだが。
しかし、酔った頭ではそこまで考えに至らず。
今日は多めに飲みたい気分なのかも知れない、自分もそうだしと、そう納得してウィスキーをゆっくりと傾けた。

フリージア > 「そう?全然足りてない」

彼は助かっているというかもしれないが自分としては全然。
何しろ何も知らないままに押しかけて教わっている立場なのだから。
後輩として面倒を見てくれている事には本当に感謝していて。

「私が良いから今のまま。ならないと思うけど」

つまりは出て行けと言われるまでは居座るつもりな事を告げ。
そうして居ればお酒が運ばれてくる。
それを受け取ってじっとグラスを見つめ。

「おいしそう、頂きます」

普段は絶対に飲まない二杯目。
でも今日は良いだろうと口をつけては普通に飲んでいき。
グラスが空になれば白い肌は赤く染まり、ふらふらと揺れ始めて。

ロイス > 「解った。じゃあ、暫くはこのままで」

と、そう言って、そういえば、と思う。
このままずっと一緒に暮らしたとして、それは周りから見た時どうなるのだろう。
三十歳男性が、十代女性を囲い込んでいる……いやいや。それはあまりに一方的な物の見方である。
しかしながら、もしも本当にこのままの生活が続くのであれば、それは周囲から見れば同棲と言えるものに――

「……考えすぎ、っていうか悪酔いのし過ぎだな」

彼女も、そこまで考えて言った訳ではないだろう。
あくまで今の所の話であって、未来の話ではないのだ。
例えば、どちらかが恋人を作ったりすれば、自然住居を移す事になるだろうし。
不愉快ではないが、頭の痛い問題は酒に流してしまおうと、グラスに残った酒を一気に煽った。

「(流石に、多少視界が揺れるな……これは本当に此処までにしとかないと、家に帰れなさそうだ)」

そう思い、フリージアに声をかけようとした所で。
彼女の顔が、にわかに赤く染まっているのが見えた。
顔が赤く染まっているのは、まあいつもより多めに酒を飲んだせいだろうが、目の焦点が合っていないように見える。

「……フリージア、大丈夫?」

何となく不安になってきて、心配そうに声をかけてみるが……。

ロイス > 【中断します】
ご案内:「設定自由部屋」からロイスさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」からフリージアさんが去りました。
ご案内:「街道」にジェイクさんが現れました。
ご案内:「街道」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「繁華街の大通り」にジェイクさんが現れました。
ジェイク > 王都マグメールの平民地区。
富裕層でも、貧民層でもない、名前の通りに平民の多くが生活する地区は、
王都の中でも最も面積が広くて、人口も多い賑やかな場所である。

老若男女、種族も貧富の差もなく大勢の人々が往来する繁華街は
一見すれば貧民街より治安が良く、富裕区よりも便利で、住みやすさを感じさせる事だろう。
衛兵の詰め所も存在する此の地区では、必然的に街中を警邏する兵士の数も多くなり、
行き交う人々の不審な行動には絶えず彼等が目を光らせている。
だが、その瞳が必ずしも治安維持のためだけに輝いているとは限らないのがマグメールの所以でもあり。

「おい、――――そこのお前。少しだけ良いか?」

なめし革の胸甲を身に纏い、腰に剣を佩いた警邏中の兵士風の男が
繁華街の大通りを歩いている女の後ろ姿へと声を掛ける。
ちらりと覗いた横顔が好みであったのか、或いは、顔見知りだったのか。
口端に滲んだ嗤みは、この後、彼女に降り掛かる災厄を象徴しているようであった。

ご案内:「繁華街の大通り」にルフィナ・エニコフさんが現れました。
ルフィナ・エニコフ > 王都の中でも最もありとあらゆる商店が軒を連ね。
そして一般的な冒険者とも距離が近いこともあり、珍しいものが集まりやすい平民地区。

そんな街の繁華街で買い物を済ませ、何かほかに面白いものでもないか街をぶらつく。
先ほど買ったものは屋敷に運ぶよう頼んでおり、こういう時に貴族の身分は楽なもので。

そんなことを考えながら街を歩いていればふと一人の衛兵に声をかけられば振り返り。
上背のある相手の顔を気の強そうな目で見上げながら首を傾げ。

「何かしら?見たところ衛兵のようだけれど、私に何か用?」

白銀の髪を軽く書き上げて耳にかけながら返事を返し。
此方から見たところは初対面ではあるだろうが、貴族の身分でもあるし、相手がこっちを知っていても不思議はないだろう。

ジェイク > 振り返り、強気な視線を向けてくるのは身形の良い女。
その出で立ちや立ち振る舞いから、平民とは異なる身分である事を容易に察する事が出来る。
即ち、王都の中でも王宮付近、富裕地区にて暮らす貴族の一員であるのだろう。
彼女に声を掛けた後、辺りへと視線を配らせると護衛や従者の類が居ないかを確認して、

「あぁ、俺はこの地区の衛兵隊長でジェイクという。
 実は最近、富豪や貴族の子女が身代金目当てで誘拐されるという事件が頻発している。
 見たところ、護衛や従者の類を侍らせて居ないようだが?」

ならず者ではないという証に、身分を明かして名乗りを挙げて、
更には声を掛けた目的として半ばでっち上げの理由を告げる。
尤も、100%嘘ではなく、この街での誘拐など日常茶飯事で、然程、増えてもいなければ減ってもおらず。

「これから何処に行く予定なんだ? 治安の為、良ければ同道させてもらいたい」

ルフィナ・エニコフ > 「ジェイク……ね、覚えておくわ」

相手の名前を聞けば反芻し。
装備を眺めてもそれなりの品質であることから雑兵ではないことは確実だろうと考え。

「従者がいると、自由に動けないから邪魔なのよ。
 それにある程度は自分で身を守れるし。

 ふふ、それにエニコフ家の人間を襲おうなんて……私は嫌いじゃないわよ、そういう人間」

なんて、強気な笑みを浮かべつつも、楽しそうに返し。

「けどそうね……ちょうど話し相手も欲しかったところだし。
 貴方の申し出、受けてあげるわ」

ジェイク > 自身の身を守れるという身のこなしへの自信と告げられる家名に双眸を細め。
それでも、笑みを浮かべた彼女の返答に軽く頭を下げて。

「そりゃどうも。……治安維持への協力に感謝する。」

何処まで本心で、何処まで偽りなのかが曖昧な感謝の言葉を口にする。
王都の平和に何の関心もありはしないが、下手な事件でも起きれば、
厄介事が最初に舞い込んでくるのは彼ら、衛兵たちであるのは間違いなく。

其の侭、賑わいを見せる繁華街を、彼女に連れ添い歩き始める。
彼女が隙を見せるならば好からぬ邪念を抱くかも知れないが、
一先ず、王都の治安維持に貢献を果たす心算で――――。

ご案内:「繁華街の大通り」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「繁華街の大通り」からルフィナ・エニコフさんが去りました。