2021/05/23 のログ
ご案内:「娼館通り」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にオルティニアさんが現れました。
■オルティニア > ワンコが家出した。
最初のうちは強がって
「ハ、お腹が空いたら帰ってくるに決まってるわ。わざわざ探しに行くほどの事でもないわよ」
なんて憎まれ口も叩いていたが、このエロフ、見た目相応に生活能力に乏しい所がある。
別に料理が出来ないという訳では無い。むしろ、肉料理に関してはちょっとした物だったりもする。
洗濯だって人並みには出来る。
掃除だってやろうと思えばやれない事ではない。……多分。
足りていないのは経済観念と、亜人が人の世にうまくなじむための対人能力。
時に色々な幸運が重なって、実力以上の大きな稼ぎを手にする事もあったオルティニアが、未だに恋人だったワンコとのスイートホーム購入にこぎつける事が出来なかったのがその証左。
ワンコの家出はもしかしたらそんな駄目エロフに愛想が尽きたからなのかも知れない。
「うぅぅ……バカわんこぉ……一体どこ行ったのよぉ」
そうして最近ではあまり好きでもない酒におぼれて(といってもせいぜいがエール1.2杯という健康的なレベルだが)くだを巻く泣き上戸の飲んだくれエルフの姿をあちこちの酒場で見る事が出来ていたのだが
「――――いつまでもこんなんじゃダメよね。働かぬエルフはゴブリンにも劣るとかいう格言はぶっちゃけそんな訳ないでしょアホじゃないのエルフ様は働かなくてもその辺の王族よりよっぽど価値があるに決まってんじゃないって思うけど、働かないでダラダラしてんのはやっぱりダメだわ、うん」
と、ある朝正気に戻り、今日はちゃんと冒険者ギルドにやって来たのである。
まぁ、正直に言えば食って飲んでごろごろするという引き籠り生活を続けたせいで貯金が尽き、分不相応にお高い宿から追い出されたというバックストーリーが理由だったりもするのだけども。
■オルティニア > さて、そんなわけで平民地区の冒険者ギルドである。
「―――はぁ? あんた何言ってんの? このあたしが、エルフ様であるあたしが仕事してやろぉって言ってんのよ? こんなちんけな仕事じゃなくて、もっといいの出しなさいよ!」
エルフの長耳をぴこぴこさせて、全くエルフらしからぬ無駄に育った乳に手を当てたチビが、つんっと小生意気に顎を持ち上げ受付嬢に文句を垂れていた。
疲れた様な溜息を零し、受付嬢が改めて説明した所を要約すると、オルティニアのランクに見合った美味しい仕事は朝一番にやってくる勤勉な冒険者に取られていて、今残っているのは報酬は高くとも危険性の高い物か、仕事の難度に比べて報酬の安い塩漬け依頼か、後は精々常設依頼くらいの物。
こんなでも早々に駆け出しランクを抜け出し今やちゃっかり中級冒険者。
ちょくちょく失敗はしでかす物の、それでも悪さはせずにちゃんと生きて帰ってくるエルフはギルド的には一応有望株なのだ。
そんなエルフに危険性の高すぎる依頼を紹介する事は、無駄な損耗を嫌うこのギルドの方針で禁止されているので、結果的にあまりおいしくない物しか紹介出来ないというわけだ。
「ったく、使えないんだから。大体エルフ様がシルバーランクっていうのがおかしいのよ。普通は最初からゴールドとかプラチナ、てゆーか、あたしだったらいきなりミスリルとかにしたっていいと思うのに、人間ってホントあったま硬いわ」
ぷにぷにと柔らかそうな頬を膨らませ、文句たらたら掲示板に戻る。
あの小娘がまともな仕事を紹介しないというのなら、こっちで良さそうなのを見つけてやるまでだ。
腰に手を当て仁王立ちした小躯がエメラルドめいた翠瞳で張り出された依頼の数々を見上げる。
■オルティニア > 「ぬぐぐ……人間どもめぇ。大雑把そうな顔してる癖においしいきっちり仕事根こそぎにしていくなんてぇええ! ……ふん! いいわ、今日はこの辺で我慢してやるわよ!」
時に子供めいてぴょんぴょん飛んで、チュニックの胸元をたゆんたゆゆんっと揺らし、若草色のスカート丈をひらひらひらりんと捲り上がらせ、朝っぱらから飲んだくれるダメ冒険者の酒のつまみを提供しつつ隅から隅まで依頼掲示板の確認を行ったエルフ娘ではあったが、結局そのお眼鏡にかなうものは見つからなかったらしい。
常設依頼であるゴブリン、オーク、フォレストウルフなどの討伐依頼票を引っぺがして受付嬢の元へと赴き
『だから何度言えばわかってくれるんですかぁ! 常設依頼の紙は剥がさないで、討伐証明部位だけ持ってきてくれれば報酬払うって言ってるじゃないですかぁ!』
という受付嬢のお小言にも
「ふん、そんな面倒な人間の仕来りなんて知らないわ! 次はもう少しまともな仕事を準備しておきなさい!」
などという小生意気な捨て台詞を残し、徐々に日の高くなり始めた王都から近くの森へと出かけていくのであった。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」からオルティニアさんが去りました。
ご案内:「木陰で避暑」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都を見下ろせる草のしげる小高い丘の上には大きな木が何本も植えられていて、
その根本には、タオルケットで半身を隠しながら寝転ぶ、少女のような貌の幼子の姿。
自前の薬師のテントの中ではお昼寝には寝苦しく、風のよく通るこの場所で、
木陰と心地よい風の断熱を求めつつ、冷えすぎを防止するために下半身を布地で覆っているのだが…
「―――んっ…っふ、っく♥ぅう、ん、ふぁ… ううっ…んっ ♥」
どんな夢を見ているのやら、何やら悩ましげに吐息と、少女そのものの声を漏らし、
両足をこすらせるたびにタオルケットが盛大に皺を作る。
よくよく見ると両手はそのタオルケットから己の下半身へと伸びているのだが、
その布地の中で手指が何をしているのか…あるいは、何者かが布地の中に潜り込み、何かをしているのか。
まどろむ意識の中、タオルケットの中は少年の蓄え始めた熱でじわり、と暖かく熱がこもって…。
ご案内:「木陰で避暑」からタン・フィールさんが去りました。