2021/02/09 のログ
ご案内:「隠れ家的レストラン」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「隠れ家的レストラン」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > なんやかんやあったが、最終的に落ち着いたレストラン。一見すると民家のようで知る人ぞ知るという感じだ。
寒風の吹きすさぶ外から暖炉と厨房からの熱で暖められた室内に入ると、ふう、と無意識に力が抜ける。
今はまだ、春の足音が遠い夜。
「ふーん……こんな所にお店があったのねえ、気が付かなかった……」
近くを通りかかることはあっても、おいしいホットワインが飲めるお店がこっそりと佇んでいるとは初めて知った。
落ち着いた感じの店に珍し気にきょろきょろと首を巡らせて、席へと案内されると窓際のテーブル席に腰を落とすと、
「ホットワインとー……あと何がお勧め?」
てっきり酒場やバー的な場所に案内されると思っていたが、レストランだった。となると飲み物だけともいかないだろう。対面に着席して小首を傾げた。
■クレス・ローベルク > 内装は、ベージュの壁紙に、シンプルな木椅子と、白いテーブルクロスがかけられた机。
灯りは暖炉のものの他は薄布を掛けられたランプが天井から掛けられていて、大人の社交場というよりは、ゆったりできる喫茶店に近い雰囲気だ。
実際、メニューを見ると勿論お酒も置いてあるが、お茶や料理のメニューも中々種類が豊富だ。
「看板は出してるんだけど、見た目が殆ど民家と変わらないからねえ。
値段もちょい割高だし」
と言いつつ、机の上に置いてあるメニューを一つ、ティアの方に差し出す。こちらもメニューを広げて、ぺらぺらと捲る。
割高、と言っても、2割、高くて3割ぐらいの差なので、お互い出せない程ではないだろう。
「うーん。此処でご飯を食べるつもりなら、オニオンソース風味のミートパイとコンソメスープのセットか、粉チーズのボロネーゼかなあ……。
軽く食べるなら、此処はジェラートが美味しいけど……ああ、でも今は林檎か、苺のタルトがお勧めみたいだ。ハーフでも頼めるらしい」
慣れているのか、さほど考えもせずお勧めがパッと口に出る。
相当、此処に行き慣れているらしい。
こっちはもう決まったのか、メニューを閉じている。
「ティアが注文決めたら、店員さん呼ぶねー」
■ティアフェル > よそ様のお家にお邪魔したような感覚の民家レストラン。
たまにはこういうアットホームな雰囲気の店もいいもので、落ち着いた内装の様子など見廻して表情を綻ばせ。
メニューも甘いものから食事系など、小さな店にしてはいろいろと取り揃えているようで、目移りする。
「ほんとね……目立たないくらいが、程よく空いてていいわね。
席数もそんなに多くないから、そんなにお客で一杯にしたくないのかな」
客入りは程々でいい、繁盛店となると忙しなくて料理の質にも影響が出る、と敢えてひっそり営業する店もあるが、そんなスタンスなのだろうかと考え。
「んー……軽くでいいかな。デザート……いや、甘いものは女の子と一緒に食べよう。その方がテンションあがる、し……夜のお菓子は危険だしな」
ふむ、心惹かれるが、デザートは断腸の思いで控える。ワインには合わないかも知れないし。
よし、決めた、とホットワインとクリームチーズに苺を添えたものを注文しようと思ったところでちょうど店員さんと目が合ったので、お願いしまーすと片手を挙げて、オーダーを。
■クレス・ローベルク > 「俺的にはもう少し商売頑張って欲しいんだけどね……。
なくなって貰っても困るし。
後、ティアはもう少し肉付いても十分綺麗だと思う。っていうか、冒険者にしちゃやや痩せすぎだと思う、寧ろ」
ティアが手を挙げると、会計用のテーブルを兼ねたカウンターテーブルの向かい側から、店員がやってくる。
此処の主人らしき40歳ぐらいの婦人で、「クレスさんこんにちは。人を連れてくるなんて珍しいわね」とだけ挨拶する。
「まあ、ついでというか、そんな感じで。んで、注文は……俺もホットワインの林檎とシナモン入りと、それから……ほうれん草とベーコンのバター炒めと、白パンを貰える?」
ティアの方の注文も聞くと、彼女はカウンターに去っていく。
お互い、そこまで手間のかからない料理なので、直ぐに来るだろう。
腹には溜まらないが、それは後で追加注文するとして、
「それにしても、まだ寒いねえ。俺の方は海沿いだから、此処より更に寒いんだよなあ……俺寒いの苦手なんだけど」
帰りたくないなあ等と、愚痴る様な口振りで会話の口火を切る。
実際、元王都の人間には、海沿いの街の寒さというのは結構応える物がある。
勿論、寒さに耐える訓練は積んでいるが、それと好悪は別物で。
■ティアフェル > 「まあ、だから設定価格高めにしてあるんでしょ。忙しくなって味堕ちたなんてよく聞くし、お料理がおいしくなくなっても困るんじゃない?
――わたしくらいの年齢は、平均よりも痩せていたいものなのよ。もうちょっと肥れは悪魔の囁きとして、聞かなかったことにします!」
冒険者とは云えヒーラーなのだから華奢でいーのだ。うっかり間違えてムキムキになったらガチゴリラにしかならないから御免だ。断固として首を振って。
それから店員さんに珍しいお連れ、と云われてる様子に、オフで友達とつるまないのかな…と憂慮し生暖かい目をした。
「今度は昼間に甘いもの食べにこよーっと。ランチとかに手頃そうなお店だね。
――ん? ああ、そーね、ダイラスのほうだもんね。それにしてはよく見かけるけど……。転送陣でもあるの?」
頬杖をついて注文を待ちながら寒々と肩を縮めながら通りを行き過ぎる人々の横切る窓の外を眺めていたが、寒いのが苦手だと口にする様子に少し肩を揺らして。
それから家がある割にここら辺でよく出くわすのはショートカットの方法を持っているからだろうかと首を傾げた。
魔法は使えなかったと思うので何か小細工でもしているのかと。
そんな世間話の間に注文は運ばれてきて、わあいと頬を明るませ。
温めたワインの注がれたカップと包み込むとそのまま軽く持ち上げて、
「まずは、かんぱーい」
■クレス・ローベルク > 確かに、この味は適度に暇だから出せるものかもしれない、と男は思う。
それにしても、女の子の痩せたい願望というのは、男も決して知らない訳ではないが、相当なものらしい。
痩せてた方が、遭難時とかは生き残りやすいんだけどなーと思いつつ、
「ああ、そうだね。実際、昼の方が人多いし。
休日はティータイムセットなんかもあるし、そっちの方がお得はお得だよ。
……後、大体何考えてるか解るから言うけど、王都住みでこっちの雰囲気が好きそうな友達が居ないだけだからね?」
実際、仕事の仲間と言えるのは剣闘士と冒険者で、つまりどちらも酒好きでやや粗暴な連中である。
こういう、ゆったりとした空気に合うような人間は、実は周りにはあまりいないのである。
そう言って、抗弁している内に、こちらも料理が運ばれてきた。
「それじゃ、かんぱーい、と」
こちらもカップを貰って、そのまま軽く打ち合わせる。
運ばれてきた白身魚のトマト煮を、フォークで摘みつつ。
「いや、どっちかっていうと止むかた無くっていうか……朝早くの馬車に乗って来てるだけ。
スポンサーの接待とか、スカウトとか、そういう仕事で王都に来る事も多いからね。俺が王都の雰囲気の方が肌に合うから、オフでも来たりするのもあるけど」
だから、もう馬車に揺られて尻が痛くなるのも慣れっこさ、と苦笑いする。
実際、男はダイラスの人間にしては、王都に良く行く方という自覚はあるが。
「君の方は……あんまり、街の外とかには出ない感じ?
何度か闘技場の医務室に居るのは見たけど」
■ティアフェル > 時間に追われていては丁寧な仕事ができなくなってくるものだし――穴場的店はやっぱり穴場的店であってほしい。
いいお店のようだけどやたら吹聴して回らず仲いい子とだけこよう、などと考え。
「夜に空いてる店、となったらここに来ればいーね。
え? 察したってことは身に覚えでも? いや、女の子連れてくればいーじゃん」
勝手に見切られたらしく、ぼっちと思われたくないのかわざわざ否定して来る声に肩を揺らしながら揶揄うように云い出し、それから、云い訳めいた言葉に容赦なく突っ込みをいれる。
「んん、沁みるー。おいしー……」
乾杯を終えてワインを一口啜ると目を細め、ふぃぃーと息を吐き出し、しばしいい香りと暖かさ、仄かな甘みを堪能してしみじみと目を三の形状に固定させていた。
「馬車で? 安いけどそれじゃ大変でしょ。なんか、ほら、あの……飛べる幻獣的なもの利用すれば? お値段張るけどあるみたいじゃん? ま、わたしもあんまり乗りたくないけどさ……」
わざわざ馬車でこの距離を行き来しているのか、それはなかなかホネだな、とクリームチーズに苺を乗っけて頬張りながらうーん、と悩まし気にアホ毛を揺らし。
「いや、魔法使えなかった時は引きこもってたけど、今はまあまあ出るよ? 遺跡行ったりメグメールうろついたり……ただダイラスの方はあんまり行かないな。なんせ遠いし……これと云って用もないから」
■クレス・ローベルク > 「み、身に覚えなどは……うん、ごめん実はある。
此処の店員さんにも言われた。『偶にはお友達連れてくれば?』とか」
勿論、男のさっきの言も別に言い訳ではないのだが。
しかし、それは逆に言うと王都住みの友達があんまり居ないという事の現れでもある。
ダイラスの友人も、流石にわざわざ王都まで来ようという物好きはいないし。
「女の子かー……いや、だから君を連れてきたってのはあるんだけど。
そもそも、あんまり女の子の知り合いはいないんだよねえ。俺の職業ってほら、"色々な意味で" "有名"だからさ。
そういう知り合いも、多くはカジノとかバーとかそっちの方が好きって子が多くて……」
"色々な意味で有名"とは言うが、つまりは"性的な意味で悪名高い"である。
わざわざ暈したのは、店側の雰囲気を壊さないための配慮か。
こちらも、魚を口に運び、パンを食べて、その後ホットワインを啜る。
夕食のお供にしては甘いが、適度な甘さとアルコールが、口の滑りを良くしてくれる。
「あー…あれか。確かに一度使ってみたいとは思ってたんだけど。
俺一応モンスター・ハンター系の家系だから、ああいう幻獣特有の勘で、『良くも仲間を殺しやがったな死ねー!』とかなりそうなのがね……?」
値段については、経費として闘技場側にツけるとしても、その心配は割とあった。
ドラゴンとかユニコーンとかは、通常の人間では考えられない様な知覚能力を持っている事も多いし。
……まあ、男とて、殺気とか気配とか、曖昧な物を感じ取って戦ったりしてるので、そこは人のことを言えないのかもしれないが。
「まあ、確かに遠いねえ。
君カジノとか行かないだろうし、闘技場も仕事場って感じだろうしな。
ちなみに、マグメールを彷徨いてるって言うけど、ヤルダバオートは?俺は良く観光で行ってるけど」
お互い、あまり宗教という柄でもないが。
しかし、純粋に観光と割り切れば中々面白い街だと思うので、彼女も行っていたら感想を聞いてみたいと思い。
■ティアフェル > 「素直か。……まあ、今日連れてきた訳だし、いーんじゃない。それに友達は量より質よ」
広く浅く付き合うのは悪いとは思わないがやはり、友人はやたら多ければいいってものでもない。案外正直に白状するもので、一瞬目を瞬いたあと、くすくすと笑声を零し。
「わたしも噂程度で耳にしてた時には――絶対近づかないようにしよう、とは思ってたわ」
ふむ、得心顔で首肯をひとつ。よく知らない内は遠ざけようとするような人であることは間違いない。もう慣れたからへっちゃらだけど。
身持ちの硬く古めかしい考えのお家の娘だときっと一緒にいるのですらアウトになってしまいそうだと納得。
「はん、んなのお互い様でしょ。向こうだって散々人間ぶち殺しといてそりゃないわよ。
そんなこといったら冒険者のほとんど利用できなくって職業として成り立たなくなるでしょ」
ちょっと考えすぎではないのかね、と首を捻りながらワインを啜り。それならば事前にそんな仇討要素のない業者をピックアップしとけばいんじゃんか、と抜本的な突っ込みも添えて。
「カジノは、自腹で行こうって気にならないからねえ。一瞬でお給料消えちゃうとかやってられない……。
ヤルダバオードは全然行ったことないわ。観光に行こうとか頭もそもそもなかったかも。
何があるの? 名所とおいしいものある?」
純粋に骨休めに観光旅行とか、そういえばしようと思いついたこともなかったかも知れない。遊山に出かける余裕すらないとまではいかないが発想がなくて。そうか、観光かと云われて思い当ると、どんなところが面白いのだろうと興味を惹かれたように。
■クレス・ローベルク > 「こういうのは、後でバレるのが一番居た堪れないから……。
量より質か。君とも斯くありたいもんだけど」
強がっても良いことがないというのは、今までの経験で良く解っている。
友達付き合いが苦手というわけではない(本人の価値観)が、じゃあ休日に遊ぶ友人に困らないかと言えばそうではないのだ。
「剣闘士としては風評被害と言いたいけど、友人として言うなら――正しい判断だ。
それこそ、闘技場の連中にも、結構厄介なの居たんじゃない?
まあ、流石に医療班にレイプするほど見境無いやつは……きっと……多分……いないと……」
思う……と語威が段々弱まってくるのは、剣闘士の中には居ないと言い切れないものがあるからだろうか。
実際、わざわざ冒険者ではなく剣闘士の道を選ぶ様な連中である。
それは、いろいろな意味でアクの強い人間が集まるわけで。
「まあ、それは確かに。
牛や羊だって、食われもするけど人間に懐いたりするしな……」
この辺りは、持ちつ持たれつというか、自然の掟が入り込む部分なのかもしれない。
知性が高い=仲間意識が高いという訳でもないし、確かに考えすぎたかもしれない、と。
なら、今度使ってみようかな……と頷いて。
「まあ、そう思えるのは健全だよ。でも、それじゃあカジノは向いてないねえ。アレは一瞬でお給料が消えるのを楽しむ場所だし」
と、苦笑いする。
男の言は、極論ではあるが、しかしギャンブルの興奮の一端でもある。
大事なものだから、それを失ってしまうかもしれないリスクを楽しめるのだ。
「ヤルダバオートは、ノーシス教以外にも多くの宗教施設があるから、見てるだけでも結構面白いよ?小規模ながら、お祭りや観光客が参加できる儀式をやってる所もあるし……。
料理も、色んな宗教が集まってるからか、バリエーション豊かだ」
精進料理とか、宗教都市だからこそ、っていうのもあるしね、と纏める。
実は、結構食を楽しみにヤルダバオートに出入りしている部分が多い、罰当たりな男なのだった。
■ティアフェル > 「そりゃ確かに。隠し事ほどバレるものだしね。
んー。今のところだいじょーぶよ。ま……、わたしが窮地で、そこへの助っ人みたいなポジションが固まりつつあるけど……」
それは良質な友人の在り方と云えようか。議論の湧き上がるところである。
少々渇いた笑いを浮かべて、少し冷めてきたワインを口にし。
「あんだけやっといて何が風評被害なのかね……。
わたし、不能スキル持ってるの敢えて広めてるから……そういう輩は避けて通っていくわね。
たまに手伝いに行くくらいだから良く知らないけど……軽いセクハラで倍返しはちょっと、やってられないよねえ」
にこにこと屈託ない間での笑みを湛えてのたまうことは基本的に物騒だった。
確かにお盛んなタイプが多い事は否めないが、そんな連中の中でも涼しい顔して仕事している女は――むしろ触れたくない存在として定着しつつあった。強姦魔も跨いで通る。
「いちいち馬車移動もきついだろうから、徐々に慣れた方が良さそうよね。
わたしはどうにも苦手だから利用してないけど」
不慣れさ故にやらず嫌いの気もあるけれど。そんなに頻繁に利用するような機会もない。
肯く相手を見てむしろ往来が多いのならばひとっ飛びしたほうがよかろうなとは思う。
「一瞬で消えること10回、一瞬で増えること1回って感じよね。店側が儲かるようになってるものだから、絡繰りが解ってればなかなか」
一度当てる快感を知ってしまえば病みつきになるのだろうが……たとえ当たっても自分のお金で再トライって気にはならない堅実な思考。
「宗教か……髪を隠したりロングスカートじゃなきゃ駄目だったり、宗教施設に入る時にはそこそこ面倒なことが多いからなぁ……。逆に無宗教だと、色んな所見学しやすそうだけどね。
おいしいものがあるなら行ってもいいな……」
色気より食い気。観光には食がつきものである。珍しい料理があるなら行っても悪くないだろうし、特定の宗教に傾倒していないのだから、様々な宗教施設にも出入りしやすいだろう。
少し気を引かれて、暖かくなったら考えてみようかと。