2020/12/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」にスピサさんが現れました。
■スピサ > 王都の外でも鉄を打つ音は小さく聞こえる
防音用に加工された内壁の中
普通の民家とは造りの違う鍛冶場工房
火明かりが強い工房は、余計な明かりがない。
熱せられた金属の色を見分けるためか、必要最低限の明かりしか存在しない
日向の明かりが差し込む昼間の中で、研ぎや修繕依頼を終えた空き時間
スピサは一つの防具に挑戦していた。
ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ
叩かれる音と、大きな金床の上で丸みを帯びた一つの盾
以前訪れた貴族の依頼主が報酬として置いていった、レアメタル〈希少金属〉インゴット
それを用いて作る試行錯誤の防具だった
大きさは上半身を隠すほどの丈を
上下左右は均等に広げられた真円を描く
希少金属というだけあって、金属が受け入れる熱や火種を見分ける作業にかかりきる
受け入れた熱と火があるならば、金属は火炉に沈み、色を変える。
形を変えんとヤットコで掴み、薄く曲線を描いていく物体を形成していく。
「……くっ!」
スピサというサイクロプスの腕力と、普段ならば隠している単眼はこの時は眼帯を外し、向き合っていた。
■スピサ > 盾は攻撃を防ぐ物
サイクロプスの工房用の大きなハンマーを声を漏らすくらいに、打ち付けなければ形が変わらない
高温 高熱 なにより火種も選ばなければいけなかった
質実や単純な鋼で、認められるものを作ることならば
何度も潜ってきているスピサ
盾に形成し終えたとき、一体それを何度叩いたかわからなかった。
形はいまだわずかな凹凸があり、これを整えなくていけない作業もある。
息切れをしながら、水を口に含んだ
「―――はぁ……っ!はぁ……はぁ……。」
汗を垂らし、頬は熱で火照っている
炉の前にいることでではなく、単純な形成するための往復作業で没頭したそれ
工房内は熱気に包まれ、外の空気が入れば漏れ出たそれは白く濁るかもしれない。
形を最終的に形成する際には、円を描くこの盾に手に持った先ほどよりは小ぶりなハンマー
先端は丸みを帯びたものを用いて、全身にズレを与えることなく〇の形に凹凸を全身につける。
円で薄く沈んだ中心と、伸びて張りができる周囲で形成を整える思考
「…………。」
炉に沈め、その金属が熱を帯び、受け入れる瞬間を待つ。
■スピサ > 熱の色が、受け入れる色になった
白と夕焼け色がまじりあったような、金属の熱
それを帯びた薄鍋の真円盾は、ヤットコで持ち上げられると斜めに支えられるようにされた曲線を描く台に乗せられる。
手が震えた。 一度でも間違えれば、再び炉に入れて伸ばさなければいけない
「ふー……っふー……っ」
落ち着け 落ち着け
深呼吸をしながらも、自身を整えてくれる時間を金属は待ってはくれない
こうしている間にも熱は逃げ、色がだんだんと白の夕焼け色から赤身を帯びていくからだ。
「……ひゅ」
息を止める
矢を用いる狩人のように、呼吸を止めてブレを止めた。
ヤットコで支える熱せられた未完成の円盾の端に、カァンッ!と音が一つ
〇が一つ浮かび上がる 連続して打っていく。
判よりも、まるで鱗のようだと打ちながら思った
ズレを許さず、少しずつ回しながら端から〇が増えていく
外側に帯びる〇の列 それはぐるりと一周しながらまた炉にくべる
熱が受け入れる色になったら、また〇を打ち付けていく。
やがて終わるころには時間はあっという間に午後になっていた。
全身にびっしりと、〇の凹凸を帯びた盾
金属の色を取り戻したそれが、円と、表面の凹凸仕上げで形成されたものになり、そこでやっと一息つく。
「……で、できた……。できた……!」
金属を鍛え、伸ばし、整える
これだけでここまで身を削ったのは久しぶりだった
これを火にいれ、硬化 そして粘りを出すための整えを窯で行えば良い
内側に取り付けた取っ手も思い切り引いてみるものの、熱を与えていないとビクともしない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」にアティさんが現れました。
■アティ > 寒さが日々強くなっていく日常は、冬の深まりを感じさせるかもしれない。
時折暖かい日は訪れても、またすぐに寒い日々が戻ってくるのだから、暖かな装備を欠かすことはなく。
何時冷え込んでもいいようにして、油断しないのは大事である。
そんな人々が寒さに追い立てられる中、いささか、いや、大分薄手な格好をしている兎は街の中を堂々と歩いたりすれば、目立ってしまうかもしれないが。
「んー…すでに何かやってる?」
そんな兎が向かう先は、人気の多い大通りなどではなく。
人気の少ない通りの裏の道を進んだ先なのである。
ただでさえ人気のない通りは、この冷え込みとなれば靴音が響くほどに静まり返っており。
目的なく踏み込む人は、この街の治安を考えればあまりいないといっても過言ではないかもしれない。
それでも、兎は明確な目的をもって、その足を進め。
人よりもよく聞き取れる耳を、欹てればやがて、ピクリと揺らしていくのだ。
「あ、とまった…?
何かできたのかな」
鍛冶場の入り口の前、あとは扉を開ければ踏み込める場所まで来たところで、一つ耳を扉に引っ付けて、中を兎は伺っていく。
けれども、そこでちょうど響き渡っていた音は、嘘のように静まり返ってしまったようだ。
邪魔をしないタイミング、を兎としても考えていたのだろう。
作業が終わりを告げているというのなら、遠慮なく踏み込むことすらしかねない性格なのだ。
一つ首を傾げたところで、兎はポンっと手をたたけば、静かにドアを開けて、忍び足で入っていくことにしたようである。
「やっほー、スピサ!
仕事の成果は上々?」
そーっとそーっと、気配を消して歩くくらいは、本職には勝てなくても、お手の物である。
人よりバネのある足腰で、低姿勢をとったままこっそりこっそりと、気配を消して進んでいく兎はそのまま、彼女の仕事場へと向かい続けていくことになり。
仕事をしていない、壊れそうなものを持地あげていない。
といった様子を確認できれば、少し元気よく声を出して、背中に飛び乗る様な感じで両手でもかけようとするだろうが。
■スピサ > 重さはそれなりにある
しかし単純な鋼の盾のような、素材と堅牢な厚みとは違う
やや薄く鍛えながら、撓まずいられる。
盾を眺めると、思わず笑みを浮かべた。
「革、どうしようかな。」
小声でつぶやいた一言
金属取っ手とつなげるための腕を通す革の素材
これに見合うものを見繕わないといけない
いっそ竜の革でも手に入ればらしいだろうか?
最も、鱗も革も含め、“竜に捨てるとこ無し”は常識だ
鱗状に凹凸のついた盾を眺めると、これの性質を整え、酸で不純物を洗い流し
後は革にもう一つしてみたかった秘密があった。
買取主も依頼主もいない、自己満足な盾ながら良い物にしてみせる。
そう思って気持ちを新たにうなずくと
『やっほー、スピサ!しg「わひゃああっ!?」
両肩に手を置かれ、ブツブツと自分の世界に入っていたスピサは滅多にない大声を上げる。
単眼を見開き、後ろを向くと、心臓をバクバクとさせればそこには慣れ親しんだ友人兼依頼者がいた。
「あ、ああ、アテ、ィ?」
盾を落とさなかったものの、コトンと盾を置くと工房内の熱気と、汗塗れなスピサ
頬の紅潮した熱こそ消えているものの、体は未だに熱い
静かな興奮と、熱があるのだ。
単眼を隠さないまま、なんでいるの?と言いたげ
冷静になると、ああ、忍び寄ってきたんだと分かると、むわむわな体のまま手ぬぐいを取り出して項や額の汗を拭い。
「い、いらっしゃい……どうした、の?」
そう言って、自身が作成した空を飛ぶ蛇を履いた兎女を上から下に眺め。
■アティ > 「わお、びっくり…」
彼女の驚きぶりに、まるでびっくりした。
といった様子を見せる兎は、驚かしたのは誰だ、といわれても言い逃れのしようもないだろう。
そもそも普段がおとなしい彼女のことである。
集中している様子のところに、殺気も何もなくとびかかったら、大きく驚きを見せても可笑しくないのだ。
彼女が丁寧に置いた装備へと視線を滑らせながらも、一仕事終えた様子がそれで確認もできたのだろう。
「ちょっと遺跡潜ったから…いくつか未鑑定品のお土産、と。
軽く挨拶のつもりでよったんだけど」
実はまだ一息ついた程度で、予想以上に忙しく仕事が立て込んでいるのか。
そこは見た目には判断しきれない場所であれば、挨拶もそこそこに兎は言葉をつづけるようにしたようである。
体格で見れば軽くとびかかった少女の重さなど、気にならないほどに軽いかもしれない。
両肩に手をかけたまま、兎は顔を覗き込み。
熱気冷めやらぬ彼女を見ながら、兎は言葉を続けていくことにしたようだ。
「まだ忙しかった?」
気を許した相手には、人懐っこいとも、なれなれしいともいえる兎女なのだ。
彼女が視線を走らせて言っても体を隠すこともなく。
相変わらずの軽装でいて、しっかりと彼女特製の装備はつけたままの姿をさらし。
改めてという様子で、手を一度はなし。
正面から抱き着きそうな勢いで、改めて肩に手を伸ばすすようにして身を寄せれば、そんなことを訪ねていくようである。
■スピサ > ほぼ抱き着くようにした相手に、驚きの声。
汗でべたべたなのに気にせず抱き着いてくる友人に、スピサはしどろもどろ
話を聞いてみると、タイミングを伺って入った後は移籍へ潜った後のお土産だといって渡されたブツ
気まぐれに顔を見せにきていたらしい。
工房には閉店の掛札もしていなかった
集中していたスピサがまだ悪いほうなのだ。
頬をくっつけんばかりにお互いで見つめ合うと、離れたところでもそもそと体を吹いていく。
しかし汗は未だ湧いてきていて、薄青の肌は火明かりの傍では照りがあるかもしれない。
正面を向き合うように立ち上がると、尚手を伸ばして抱き着くようにしてくるのには、なんら抵抗もなく。
10㎝差の身長では、サイクロプスのやや筋肉質な体とボフンッとオーバーオール越しの胸元に顔を乗せたアティ。
首に回されながら、首を振りつつ。
「そう、お、おかえり。
ううん……ちょっと、新しい素材に挑戦してただけ、だし。」
ひと段落ついているし、この盾を整える作業はまた別の空き時間かな、と思いながら。
手にはまだ未鑑定品というお土産を持っているだけに腕を回すこともできない。
両手が塞がっていて あうあう としていると、遺跡クエストを終えてきたらしい相手に、ん?と考える。
「……む、無名遺跡?
と、遠いね……?」
ちょっとした遠路だ
王都近隣や自然地帯のダンジョンとは違う
ブツを見てみると、遺跡産の鉱石類がごろっと入った革袋や古びたアクセサリー
未鑑定品と言っていたけど、呪われいないかとか大丈夫なのだろうかと思いながら少しチェック
大丈夫そうなら一回離すと、表の扉に閉店の看板
閂を下ろし、戻ってくる。
そのあと、ご飯食べた?や
とりあえず移動しよう、と寝室の二階へ案内し。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」からスピサさんが去りました。
■アティ > 彼女がやっている仕事は鍛冶なのだから、危険な時にはちょっかいを出したりしない。
流石に兎といってもそのくらいは心得ているのだろう。
だからこそ、今の様子を見ていれば、飛びついたタイミングに間違いなし、ということでホッとしている部分もあるのだろう。
相変わらずまじめに、それでいていい仕事をしていたのには町がない、そんな様子の彼女を見ていくが。
だからこそ多少汗に包まれていても、気にすることはないのだろう。
それだけ頑張っていた証、とばかりに、彼女の仕事ぶりに感心した様子すら見せつつ、もふもふと、服越しでも柔らかさは感じられる、胸の感触を楽しんでいるようだ。
「相変わらず、良い装備作りに余念がないね。
自慢の新作って感じになりそう?」
兎の装備を作ったり調整したり、色々弄ってくれている彼女である。
そんな彼女の挑戦と聞けば、うまくいけば名物になりそうな装備が生まれそうな予感すらするのだろう。
彼女の勢いとは裏腹に、兎は相変わらずテンションの高い様子を見せていれば、流石に一旦引っ付くのをそろそろやめることにしたようだが。
「そこもだけど、ちょこちょこちっちゃい遺跡くらいなら、意外に探すとみつかるしね、っと」
一旦一息というところだろうか。
彼女が軽い戸締りをしに行くのを見れば、邪魔することもなく。
やがて誘われるままに軽く携帯食をとりつつ、案内されるままに寝室へとお邪魔していったようだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」からアティさんが去りました。