2020/12/26 のログ
ご案内:「龍王山・最奥部」にソラムさんが現れました。
ご案内:「龍王山・最奥部」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 「………」
どこだここは。
確か昨日は依頼で街の外…街道沿いで野宿をしたはずだ。
テントを張って、寝袋にくるまってそこまでは覚えている。
そこまでは覚えているのだが、起きたらなんか天井が岩だ。
洞窟?
いや、よくわからない。
わからないというか…知らない。なんでこうなっているんだ?
体を起こせばキョロキョロとあたりを見回す。灯りは…あるのだろうか?
■ソラム > 「........起きた、みたいだね」
男____ブレイドの隣にお手製のランタンを置くと近くにあった岩に座る。
ブレイドを連れてきたのは彼女であった。
一時的に足を龍の形状に変形させて強引ながら彼を寝袋ごと掴んで自身の住処である洞窟に飛んできたのだった。
■ブレイド > 「あぇ…?」
間抜けな声が出た。
見知らぬ場所、よくわからない状況…そこにいたのは以前酒場で話した少女だ。
確か、名前はソラム。
なぜ彼女がこんな場所にいるのか…いや、なんで彼女が自分のそばにいるのか
未だに理解が及ばない。
「あー…っと、ここは…」
■ソラム > 「ここ....?家だけど....」
間抜けな声を出すブレイドに首を傾げながらそう答える。
事実ブレイドには申し訳ないと彼女は思っているようだが、感情を顔に出さないため伝わりにくいようだ。
■ブレイド > 家。
そういえば招待するなどということを言ってたような。
むしろ不思議そうに返す彼女の言葉にはぽかんとして。
「いや、いやいや…っつか…オレ、野宿してたはずなんだが…」
なんで家にいるのか。
というか、なんで彼女がそばにいるのか…
色々聞きたいことはあるのだが、なるほど、聞いたとおり変わったところのようだ。
■ソラム > 「........強引に連れてきたの...。寒そうだったから」
実際外は寒く、放置していたら凍えそうだったので外で寝るよりはマシであろう洞窟に連れてきたので一応御免と言ってペコリと頭を下げた。
■ブレイド > なるほど。
野営しているところをたまたま彼女が見つけたのか…
それとも、なにか目印があったのかはわからないが
自分を発見し、約束通りに家へと連れてきたというわけか。
合点がいった。が、その手口には流石に苦笑するしか無く
「や、いいけどよ…今度からはひと声かけてくれよな」
良かれと思ってしたこと。そしてこちらも特に被害がないのなら、何を怒ることもない。
だが…
「確か、あんたの家って九頭龍の洞窟…とかいってたな?
引きずってきた…ってわけじゃねぇよな?」
その割には体に痛みなどはないし。
■ソラム > 「....えーっと.....引きずっては、来てないよ」
どうしようと思いながら言葉を濁してそう言う。
龍化して正体を見せるか、このまま隠し続けるか、どのみちバレるのは時間の問題だろう.....。
■ブレイド > 「んじゃ、魔法かなんかか?魔力がどうのとか言ってたからな
っつか、酒場からも消えるようにいなくなったし、それと同じやり方かなんかか?」
以前別れたとき、彼女が酒場から出てすぐに妙な音がして
彼女の姿は消えていた。
おそらくはそれ…だとおもう。
それにしたって、なんで洞窟でなんか暮らしているのか…
先日言ってたことが事実であることにさらに謎が深まる。
「まぁいいや。たしかにここは寒くねぇ。ありがとよ」
■ソラム > .......腹を括ろう。
そう思った彼女は岩から降りて少しだけブレイドから離れると、少しだけ深呼吸し
「.......少しだけ、目を瞑ってて、くれない?」
ブレイドが目を瞑ったのを確認すると龍の血を全身に流し、龍化する。全身を銀色の鱗で覆い隠し、15メートル程の巨体にまで巨大化すると翼を折り畳む。
「.......いいよ。目、開けても」
深紅の瞳でブレイドを見据えてそう告げる。
■ブレイド > 「んぁ?目を?種明かしか?」
色々と気になることはあったが…まぁ、いいだろう。
言われたとおりに目を閉じる。
気配には敏感な方だ。彼女が何かをこちらに仕掛けようとするならば
反射的に動けるだろう。気を張っていれば。
しかし、なんだか…様子がおかしい。
目を閉じしばらくすれば、妙に空気が重く…いや、圧力を感じる。
だが、こちらに何かをしようという気配は見えない。
大きな物が動く音…いったいなにが…?
しばらくして、いいよと声がかかる。
ゆっくりと目を開けてみれば、そこには…
銀の鱗に紅い瞳、そして見上げるほどの巨体にねじれた二本の角…
何よりも、その大きな翼…
「は?え…な、ド、ラ…ゴン…?」
■ソラム > 「うん、そう.....だけど?」
パチクリしながらも首を傾げる。少女だったら些かマシだっただろうが、今の彼女はドラゴン。可愛さの欠片もない。
ポリポリと爪で地面を掻くと申し訳ないといった解釈でクルルと鳴く。
■ブレイド > 「……」
再度目を閉じ、また開く。
駄目だ、ドラゴンだ。幻覚ではないらしい。
しかし声の調子は、先程まで話していた少女…
驚きはした、驚きはしたが…どうやら自分を食うためにさらったというわけではなさそうだ。
「そっか。なるほどな…そりゃ驚いた。
んじゃ、オレが隠すのもフェアじゃねぇ」
そう言うと、フードをおろして猫の耳を見せる。
彼女は知っていたようだが、まぁ、けじめのようなものだ。
■ソラム > 「........あぁ、今思い出した。昔ここを訪れていた種族」
ブレイドの猫耳を見ればいつの日かここを訪れてきた種族____ミレー族が脳裏に浮かんだ。
「.....なんだ。近くに居たんだ。ブレイドって....」
ポツリと言った言葉はブレイドにどう捉えられるのか、彼の反応を見てみる。
■ブレイド > 「そうか、それでオレの魔力の感じもなんとなくわかったってとこか」
昔。
彼女の言う昔がどれだけ途方のないものかはしらない。
しかし、この山に住まうドラゴンというのであるのならば
土地をおわれたミレーがその存在に救いを見出すのもうなずけるか。
ましてや彼女はこのように話せるたぐいの竜。
自分たちの集落とは別の連中が彼女のもとに訪れていてもおかしくはない。
「…?ここがどこかはわからねぇが、集落は近いかもな」
彼女のつぶやきには不思議そうに応えて
■ソラム > 「ここから近いのは......ゾス村.....だっけ」
聞いたことのある村の地名をあげてみる。実際ゾス村には訪れたことがあるが、あんまり印象は薄い、特に変わらない普通の村だった。
「ミレーの村は.....行ったことない、ね」
ミレー族との交流はあったもの、彼らの居住地には足を運んだことがなかった。
■ブレイド > 「いや、わかんねぇけど…
ここ九頭竜のどこだ?」
自分は知らないうちにここにつれてこられた。
彼女が酒場で九頭竜山脈にすんでいたという話をしていたから
そのあたりだとは思うが…山脈のどこであるかは全くわからない。
「オレもここのところ帰っちゃいねぇ…ってか、それなら…
近くにいたってのは…」
ミレーと交流のあったドラゴン…だが、自分はその存在を知らなかった。
彼女の言葉の真意はつかめない。赤い瞳を見上げるが、彼女の体は大きすぎて首が疲れてしまう。
■ソラム > 「......ここは龍王山の最深部、餓龍洞。王都では立ち入り禁止区域エリア、未だに調査が進んでいない......って言ってた」
龍から人間の中間移行形態と彼女は呼んでいる龍人形態に戻ると岩の上に置いていたコートの中から黒いファイルを取り出すとペラペラと軽くページを捲る。
■ブレイド > 「近い、なんてもんじゃねぇな…
全く知らねぇ場所だ」
彼女の姿がドラゴンから異形の人型へと姿を変えれば
ようやく見上げるのを止める。
疲れた首を回しつつ彼女の方へと再び目を向けるが…服はどうなっているのだろう。
竜の魔力で再構成されたりするのだろうか?
ともあれ、思わぬところにつれてこられてしまった
しかし…
「そんなとこに、なんでつれてきたんだ?
っていうか、招待するって言ってたけど…」
結局なぜなのか…それがわからない。
■ソラム > 「........これ」
そう言って取り出したのは赤い石と黒い石で作られたブレスレット。赤い石には龍の瞳のような模様が浮かんでいる。
「....ここの石だけで作ったの」
ブレスレットをブレイドに投げ渡すとコートを着てコップを二つ取り出す。
薪に指先で発生させた火を移し、即席の焚き木を作るとお湯を沸かし始める。
「......ブレイドと話したいの、昔の話」
焚き木の前に座るとブレイドにも座ったらと誘う。
■ブレイド > 彼女が取り出したブレスレット。
石で作られたそれは何やら神秘的な気配を感じられるが…
過去、ミレーと交流のあったこととなにか関係があるのだろうか?
「へーぇ…きれいなもんだ」
投げ渡されたそれを受け取ってまじまじと見つめる。
誘われるがままに、彼女の側…焚き火の前へと座る。
お茶もご馳走してくれるというのであればいただこう。ドラゴンの用意する茶葉がどのようなものかはしらないが…
「昔の話?まぁ、話してぇってなら断る理由はねぇけど
オレはソラムほど昔話が得意ってわけじゃねぇぜ?」
■ソラム > 「.....話してくれるなら、それでいい」
そういうと沸いたお湯をコップに入れると少し茶色の茶葉を入れるとあっという間にお湯が麦茶みたいな色に変わる。
「.......熱いから」
そういうとブレイドにコップを一つ渡し、彼女はコップに入っているお茶を啜る。
■ブレイド > 「こんな人の立ち入らねぇところまで連れてこられて歓迎までうけてんなら
話を聞かねぇわけにも行かねぇよ」
冗談めかしつつコップを受け取り、息を吹きかけて少し冷ます。
彼女も普通に飲んでいる…いや、怪しんでも仕方がない。
相手はドラゴン。その気になれば自分などそれこそひねるように殺せるのだから
茶に細工などしなくてもいい。
自分も、ソラムに習うように一口啜った。
「で、昔の話ってな一体なんだ?」
■ソラム > 「うーん....、どこから話そう」
そういうとコップを置くとふうと軽く息を吐く。
彼女は相当の歳月を過ごしていたため、かなりの話があると思うがどれから話そうと悩み、結局決められず。
「.......どんな話から聞きたい...?」
ブレイドに決めてもらうことにした。
■ブレイド > 「え?オレがきめんのか?そう、だな…」
どこから聞きたいと…聞き返される。
彼女の言う話とはなにか重要なことなどではなく
単純に話し相手が欲しかったと言うだけなのだろうか?
竜も意外と寂しがりやなのかとおもいつつも、彼女の問に悩む
「そう、だな。まずはあんたの話を聞きたいところだ。
何者か、とか…他には…これのこととかさ」
投げ渡されたブレスレットを見せつつ。
■ソラム > 「私の....わかった」
そういうと少し間を置き話し始めた。
「........昔、この九頭龍山脈では大規模な地殻変動があったの....、朧気だけど覚えてることは......、生まれた直後からこの洞窟に居たってことぐらいしか.....故郷もわからないし出自もよく、わからない。自分のことなのに、ね」
その言葉には龍の落ちこぼれだ、という意思感じ取れるだろう。情けないと笑われても仕方ない、彼女はそう覚悟していた。
■ブレイド > 「それでずっと一人で暮らしてきたってわけか。
ま、それなら寂しくなるわけだな。
ミレーも最近じゃ全く来ねぇだろうし」
立ち入り禁止区域ではまともな人間が来れるような場所でもない。
そんな中で独り…どれくらい長い時間そうだったかはしらない。
一時期はミレーが来ていたと言っていたが、それも、忘れかけていたほどだ。
竜であっても、知性ある生き物。寂しさを感じるには十分だったのかもしれない。
「じゃ、しばらくは話しようぜ?
寂しがってる女放っといたんじゃ男が廃るってもんだ」
■ソラム > 「.......ありがと」
彼女は素直に感謝の言葉を述べた。初めて述べた言葉は少し、彼女に安らぎと温かい気持ちを与えた。
「お茶.....まだ飲む...?」
飲むなら又お湯沸かすけどと言葉を付け足しそういう。
自慢ではないがお茶を人へご馳走するのも初めてで飲めるか彼女は心配でならなかったが、普通に飲めているようで安心していた。
■ブレイド > 「いいって。王都に降りてきたのは最近のことなのか?」
初めてあったのは王都の酒場。
やはり話し相手を探しに来たのだろうか
それとも他の目的があったのか…
「ん?ああ、もらうぜ。これってなんの茶なんだ?」
味は悪くないお茶だ。
だが、なんの葉を使っているのだろう?
このあたりに生えているもの…とかであれば、王都にはないものなのかもしれない。
■ソラム > 「これ....?近くの野原にある葉っぱから作ってるけど....」
お湯を沸かしながらそう答える。誰も来ないので生えっぱなしなので、少しだけ摘み取って使っているとブレイドに説明した。
「王都に....?最近...だね、うん。ぼうけんしゃ...っていう人達のことが知りたくて下りてきたの」
他にも用事はあったけどねとつけたしつつ沸いたお湯を注いでお茶をいれなおすとブレイドにコップを渡す。
■ブレイド > 「ふぅん、人がいねぇとこういうのも自生すんのかな…」
なにか特殊な効能がある…というわけでもなさそうだが
自分の知らないものである可能性は高い。
とはいえ、厚意でもらってるものだし、何より不味いものでもないので抵抗はないが。
「冒険者ね。まぁ、金もらって何でもやる…チンピラより少しマシ程度の連中さ。
オレも含めてな。…特別な集団ってもんでもないぜ?」
他の用事…?と、不思議そうに見返すも、新たに注がれるお茶、ソラムに軽く頭を下げて一口いただく。
■ソラム > 「うーん....、いまいちピンと来なかった」
よくわからなかったと結論付けると不思議そうに見返すブレイドに少しだけ恥ずかしそうな顔をして、
「その......同族というかなんというか........私みたいな人がいないかなって、探してたの」
不思議な雰囲気が一気に委縮したように思えた。
こんな話もすることはないだろうと思っていたが、ついに話してしまったと少し苦笑気味にポリポリと頬を掻いた。
■ブレイド > 冒険者のことはいまいちピンとこなかったようだが…
竜…いや、竜人の少女は恥ずかしげに
口下手なのだろう。とつとつと語った。
竜ともなると同族などそうはいないだろうに…
「それで、オレ…か?竜って感じじゃねぇとは思うけど…」
たしかに、自分は吸血の姫に噛まれたせいで、少し普通のミレーとは違う。
違うが、彼女ににてるとはおもえない。
何か、彼女の中で琴線に触れるものがあったのだろうか?
「でもそうだな…話してぇって思われたってなら悪い気はしねぇな」
頬を掻く彼女に微笑んで見せて。
■ソラム > 「.......ブレイドは、興味本位で話しかけたの、懐かしい感じがして、ね」
いつの日だったか、ミレーの住む村の近くを飛んでいたとき、ブレイドに似た少年が手を振っていた、そんな光景が彼女の脳裏に移ったからこそブレイドに話しかけたそうで。
「全然見つかんないよ、やっぱり皆いなくなったのかな.....」
彼女の近縁である竜たちはいまだに見つかってないらしく悶々と彷徨った末に王都についたらしい。
■ブレイド > ミレーは国を追われた…いわば棄民だ。
そして、ドラゴンも魔物。今のマグ・メールからすれば敵対存在。
ミレーは飼われ、踏みつけられた。彼女の同種たる竜もまた人と土地を捨てたのかもしれない。
何年生きてきたかわからない。
何年孤独の中にいたかわからない少女の声は不安そうで、寂しげで…
「そっか…」
言葉が見つからず、少女の頭に触れた。
寂しさを紛らわせることができるのであれば、そうしてやりたかった。
■ソラム > 「.......っ」
頭を撫でられ、何かの感情が抑えきれなくなり、彼女はブレイドの胸の中に飛び込んだ。
「.......少しだけ、こうさせて」
ブレイドを抱きしめながら小声でそういう。自分でも気づけないくらいに寂しさは溜まっていたんだ、これが悲しい、寂しいって感情なんだ。
悠久の時を生きた彼女は初めて、その二つの感情を知った。
■ブレイド > 「っと…」
やはり竜といえど、長きにわたる孤独は堪えていたようで、少女は体をあずけるように飛び込んできた。
お茶の入ったカップを傍らに置き
少女の背中を撫でるように抱き返す。
「ん、いいぜ。同族の代わりにゃなんねーが…
少しでも気が紛れりゃよ」
少しだけという少女。竜とは思えないほどに小柄だ。
先程見た姿は大きなドラゴンのものであったが…。
大きかろうが小さかろうが、寂しさは変わりはしないのだ。
■ソラム > 「.......強いね、ブレイドって」
ブレイドの胸に身を預けながら彼女はそういった。
彼女にとってブレイドは少しだけ強く見えた、迷いがあるものの、それを乗り越えられる心があるように感じられた。
少し微笑みながらブレイドの肩に顔を埋めた。
■ブレイド > 肩に顔を埋める少女。
深く抱き合い、なだめるように少女を撫で続ける。
少女のつぶやきには微笑んだままに
「そうでもねーよ。
何年も何年も独りだったら、ソラムよりずっと早くに音ぇあげてらぁ」
理不尽に立ち向かう。
ミレーでありながら人の中で身分を隠し生きている自分にはそういう強さがあるのかもしれない。
だが、少女の強さも強い。孤独に耐え続けたソラムも。
■ソラム > 「ふふ、そう.....」
もう大丈夫と言ってブレイドから体を離す。
少しは寂しさは和らいだようで表情が少し柔らかくなっているように感じ取れるだろう。
「.....少ししけた話になったね....。何か楽しいこと....あっ」
そう言えばといった顔をして頭を抱えた。
楽しいこととはいえ何もすることがないということに気づいてしまったのだった。
■ブレイド > 体を離し、頭を抱える少女。
無口で、柔らかく少女らしい表情を浮かべてはいるものの
楽しいこと…なるほど。
ここは洞窟。
娯楽的なものは何もなく、それこそ、お茶くらいしかない。
そこに思い至り頭を抱える少女の姿は、少し可笑しかった。
「ははっ、んじゃーそうだな…ソラムがしたいこととかなんかあるか?
話の続きでもいいし、寂しかったってなら、手ぇつないでてもさっきみてーにしててもいいさ」
■ソラム > 「......何も、ない」
王都で何か買ってくるべきだったかなって思っていた矢先、思いついたことがあった。
「......模擬戦とか...あとは...武器の見せ合いっこ....とか?」
思いついたことはとにかく体を動かすことぐらいしかなく、自分の脳筋ぶりが見えてしまった。
■ブレイド > 「模擬戦に武器の見せあい…」
なかなかにワイルドと言うか、なんというか…
そういうことも独りではできないことではあるが
細く小さな少女の姿…
ドラゴンであることを考えれば自分よりも強いことは確かだろうが
そうだとしても、そうでなくともこの姿の彼女と戦うのは気が進まない。
「武器っつってもオレは市販のもんだしな…」
もう一度少女を撫でてみる。
■ソラム > 「だから.....こっち来て」
そういうとブレイドの手を掴み奥のほうに引っ張っていく。
奥にはもう一つの部屋があり、そこには剣やら槍やら盾やら大量に且つ無造作に置かれていた。
「皆置いて行ったの.....誰も来なくて日の目を見れてない武器だってあるのに....」
近くに突き立っていた片手剣を右手に持っては軽く振って、ブレイドのほうを見る。
「これだけあれば、ピッタリな武器、あると思う.....」
選んだら?と首を傾げて問う。
この武器たちの持ち主はとっくに死んでしまっているが....。
■ブレイド > 「お?おう」
だから?
市販の武器に興味があるのだろうか?
そんなことはないと思うが…手を引かれてやってきた奥の部屋…
そこには、様々な武器。見せあいというか、見せたかったのだろうか?
「へぇ、すごいもんだな。こういうもんって…なんつーんだ?
マジックアイテムってやつも混じってたりすんのかね」
ドラゴンはそういう、財宝と言えるものを集める癖があると聞いたことがあるが…
彼女もそうなんだろうか?
しかし、彼女は見せるだけ…というつもりではないらしい。
「あ?なんだよ…ぴったりって…もらってっていいのか?
いいって、なんもかえせるもんねーしよ」
自分は二本の大型ナイフで戦う。
流石に二本もってくわけにも行くまい。
自身で言うように、対価として払えるものもない。
■ソラム > 「.......お礼だから、さっきの」
慰めてもらったお礼としてだからと付け足し、決まったら戻ってきてと告げさっきの部屋まで戻り、焚き木の傍に座ってブレイドが帰って来るのを待つ。
持ってきたら肩慣らしの模擬戦、そのあとはレクチャー....などなど、これからのことを考えていた。
■ブレイド > 「べつにいいってのに…」
置いていかれてしまった。
残ったのはずらりと並ぶ武具と自分だけ。
何か礼が欲しかったわけでもないので、少しだけ困る。
できるだけ、価値が低そうなものがいいだろうか…
自分のスタイル的に似たようなサイズで、装飾のあまりないようなものがいいか
適当に選んだ二本のショートソード。
できるだけ重さを利用できる肉厚のやつを。
だが、ふと手元にあるものを思い出す。
「なー、そういやこのブレスレットって」
■ソラム > 「.......それ?お守り、何かあったら....ね?」
それに何かかっこいいでしょ、と少し自慢げに話す。
実際、そのブレスレットには特殊な加工がなされている。特に瞳のような赤い石には彼女が守護魔法を模倣した魔力が込められていた。
「運気が上がる......かもしれない」
保険でたぶんというとブレイドと軽く____5メートル程遠ざかると、
「......模擬戦、やろう?」
そう言って腰に吊っている鞘から純白のエストックを抜く。背中のバスターソードを抜かいのは手加減か、はたまたフェイントか。
■ブレイド > 「お守りか…そうだな」
なんかもらってばかりでなんとなく悪い気がする。
ならば、彼女の求めに応じるべきだろう。
自身の手にブレスレットをはめて二本のショートソードを手にする。
この剣は一体どのような剣なのか…
付与する魔力を通してくれるならいいのだが。
「お手柔らかに頼むぜ?」
こちらも軽く構えるが、どちらかといえばリラックスしたようなスタイル。
脚を使うのがこちらの戦い方。さて…どういくか。
■ソラム > ......昔、誰かが彼女に向けて言った言葉を思い出す。
相手が短剣使いなら______、
「........っ!」
_______先手を取れ、と。
ブレイドとの差をあっという間に1メートルまで縮めると、エストックを前に高速で三回突く。余りにも振るのが速すぎるのか、エストックの刺突は一回で三発に見えるほどの速度だった。
■ブレイド > 相手はドラゴン。
手抜きは…できない。
構えた直後から集中、イメージ、とある魔族から教えてもらった付与術。
詠唱をせず、魔力での肉体強化、そして属性付与。
だが…
「はっ…!?」
疾い。
さっきまで数歩先にた彼女が瞬時に目の前。
しかも、エストック…だと言うのに手数が多い。反応速度の強化が間に合ってなければ
三度の刺突を一度のものと錯覚していただろう。
一段目を右手、二段目を左手でなんとかさばくも、三段目は…なんとか致命傷は避けたものの肩を貫く
■ソラム > 反射速度はまちまち、だがそれでも二回は防いだ。
「......まだ、準備段階...だからね」
ブレイドが痛いと言わないように素早く抜き、距離をとる。
次はそっちの番だよと言わんばかりにエストックの刃をちょいちょいと上下に振る。
ミレーとの初めての戦闘、少しだけ、高揚感を覚えたが、すぐに抑え込む。まだ相手の手の内がわからないからこそ冷静でいようと考え直す。
■ブレイド > 「っ、そりゃどうも…」
模擬戦、ではある。
種族としてのアドバンテージも圧倒的に向こうにある。
手にしている武器は慣れないものだ。
だからといって…
「(なめられるのは面白くねぇな…)」
息を吸って、吐く。
そして、身を低くして、床を滑るように疾走る。
強化した脚力、そして筋力
「つぁっ!!」
右手のショートソード、下からすくい上げるように…狙うのはエストックの切っ先。
それに追従するように更に半歩踏み込めば、更に下から左の剣。少女の体をかすめるように振り上げる。
■ソラム > 「.......そう来る...!」
そう呟くとエストックをわざと手放し左の剣を避けるように飛び退く。弾かれたエストックは両者から離れた場所に突き立つ。
「戦闘の勘は、ある.....ね」
そういうと背中のバスターソードを抜き放つ。
■ブレイド > 「こす狡い剣でわりぃな」
飛び退く少女…大ぶりの剣を引き抜く。
当然、背中の武器にも警戒はしている。
むしろ、おそらくは向こうが本命だ。だが…更に踏み込む。
そう、剣は大ぶり。
ならば相手の懐に潜り込む。だが、切り込まない。
ソラムの速度…エストックなどという取り回しの悪い武器ですらあれだ。
あの大型の剣も並の速度の斬撃ではあるまい。
しかし、大ぶりの武器故に超接近戦であれば真価は発揮できないはず。
「今度はっ!!」
こっちが驚かす番だ。
■ソラム > 「超近接戦なら私のバスターソードは不利だって思ってる.......でしょ?」
そういうとバスターソードをかついで跳躍する。
並大抵のジャンプではないが上からバスターソードを振り、自身の魔力を増幅させた刃の残影を降らせる。
■ブレイド > 「っ…!?」
上!?
あんなものかついで跳ぶなどというのは予想外。
そして上から…どうくる?
わからない。だが、振りかぶった瞬間、体は反応する。
踏み込みから一転、思い切り後ろへと飛び退くが、つっこみすぎた。
魔力の斬撃が、額と防御のためにかざした右腕を縦に切り裂く
「ぐっ!」
傷は浅い。だが、このあと、どうする…?
ご案内:「龍王山・最奥部」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「人通りの少ない路地」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 住宅街として繁栄を見せる前に、此処を取り締まる貴族や富裕層の汚職が発覚したために開発途中で宙ぶらりんとなった路地。
立ち並ぶ建造物はほとんど空き家で見た目ほど住人はおらず、市場までも遠いため、物静かな景観の住宅地となっていた。
「う~~~~んしょっ…ぅん、っしょっ…!
…ううぅん、なかなか、お店のテントをたてるのにイイところないなぁ…」
そんな街の通りを、縦にも横にも1メートルを超えるような大きな旅用リュックを背負って歩む小さな薬師の子。
普段の住居とし、店舗ともしている折りたたみ式テントと薬屋としての商品・器具の一式をぱんぱんに詰めたかばんを背負って、
テントを設置するのに最適そうな空き地や、許可を貰えそうな私有地を探し回っていた。
王都の外では、街道や野原、ダンジョン前などにも店を開くたくましさを持ち合わせてはいるが、
商売道具・家財道具一式を小さく幼い体に背負っての大移動はさすがに重労働で。
「どこか空き地でもあれば―――っと、ぅ、ぅあっ!?」
華奢な生足が歩行の疲れでもつれ、かくん、と膝から力が抜けてしまうと同時に、
ぼすんっ!と背にしたリュックが重力に負け、石畳の地面に落ちる。
「う~~~っ…どっかで、ちょっとでも休まなきゃ… っと、ぁ、わ、うあっ!?
………~~~……」
小さな薬師は転倒…というには深刻さが足りない間の抜けた仰向け姿で、
背負った重量級のリュックに地面に縫い付けられたように起き上がる気力もすぐにはわかず、
裸に桃色のシャツ一枚のみの開放的すぎる装いで、ぴーんと足を天に向けたまましばらく呆然と空を眺めていた。