2020/11/07 のログ
ご案内:「人気の少ない路地」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都の一角、様々な露店や飲食店、雑貨屋が並ぶ通りの路地。
そこを、桃色のシャツを一枚素肌に羽織っただけという恰好の、
買い物帰りの薬師の少年が少しおっかなびっくりの足取りで歩んでいく。
(ううーっ… ここの道、ちょっとひとけが無くって、こわいんだよ…っ…さっさと通っちゃお)
普段、薬師として活躍している少年が手に下げたバスケットには、
粉末の香草やスパイス、きのこ、精油など薬の材料となる素材や食材がいくつか詰め込まれている。
それらは、ある種の香水と同じように、
8割の柑橘や花弁のふくよかな良い匂い
1割の、きつめの体臭や野生動物を思わせる悪臭
1割の、性の分泌物を思わせる淫靡な香り…という割合の異様な芳香を漂わせ、
路地を歩んだ少年の軌跡となっている。
その匂いにつられて、時折ひょこひょこと路地裏から野良猫や野良犬が幼子の跡をたどるように顔をのぞかせ、
裸足で歩む小さな子供のシルエットの後ろを、数m離れて犬猫の行列がひたひたついていくという、
どこか童話めいた不思議な光景がひろがっていた。
■タン・フィール > やがてその足取りは、少年の自宅と薬屋を兼ねたテントを設営している空き地への路地へと続いていく。
そこは、大通りや住宅地からさらに奥まった平民地区と貧民地区の丁度中間地点に位置していて、
廃墟となった建物はうず高く林立し、冷たい石畳の地面が続く先はさらに薄暗く、人々の営みの喧騒は、遥か後方へと遠ざかっていく。
代わりに、割れた窓から浮浪者めいた影がちらちらと覗き込んできたり、
娼婦や男娼が商売相手を探してうろついたり咥え込んだりといった怪しげな声や気配が路地の角からちらほら。
時折、薬師の背格好に食指を動かした熟した娼婦や紳士めいた人々に声をかけられるが、
顔を真赤にしてうつむき、あわてて走り去って。
(ひーーーっ…こわっ… この辺だとおくすり、欲しがってる人もいなさそうだし…さっさと抜けちゃお…っ)
人とぶつかってしまうかもしれないリスクも気にせずに、
小走りで曲がり角を次々と走り抜けていく。
ご案内:「人気の少ない路地」にリサ・エルバさんが現れました。
■リサ・エルバ > 娼婦の仕事と兼任されたもう一つの仕事を終えた日の夜。
自身の娼館に戻るべく細い路地を歩いていた時。
曲道の向こうから足音が聞こえれば手前で止まり。
その足音とテンポから子供であろうことは想像出来ていて。
現れた人影が留まれずにそのままこちらに向かってくればそっと衝撃を和らげるように抱きしめつつ動きを止めてやり。
「この道を走り抜けるのは危ないよ」
相手を解放しつつ。
そっと柔らかい声でたしなめるように言い。
ふわっと香る体臭は柔らかい香水の香りに行為によるものだろう淫靡なものが残りつつも、わずかに血の匂いも混じっており。
■タン・フィール > 「ぅ…わっ…―――!?」
後ろの気配や視線を気にして曲がり角の先をろくに見もせず駆け抜けた矢先に、
曲がった先に立つ人影に小さな体は飛び込んでしまう。
…しかし、衝突の痛みではなく、やわらかさとしなやかさを感じる挙動で受け止められれば、気の抜けた声が漏れた。
「――…ご、っ…ごめん、なさっ…!
前をあんまり、見て無くて……えっ…?」
ペコリと小さな体躯を折るように頭を垂れて謝罪し、見上げた相手の美貌。
それは、いつぞやの娼館で出会ったひとだと一瞬では気づけなかった。
その折の、酔ったような、心地よさのみを求めた美獣の側面とは異なる妖しさい声、物腰…そして、甘さと刺激臭の混じった香り。
「りさ… リサ エルバ…さん――? 」
と、相手の間違えようもない柔らかく湿る声を確かめるように、その晩確かに記憶した名前を訪ねておそるおそる見上げる。
薬師の少年の嗅覚は、その血の匂いも検知していて、
それが彼女の手傷なのか、あるいは…と、さまざまな憶測と心配が交差する。
■リサ・エルバ > 「あら、タン君だったの?」
相手の顔を見れば、以前肌を重ねた相手であることが分かり。
小さく笑みを浮かべながら相手の顔を見下ろし。
「ん~、悪いことは言わないから、こっちの道を通るのはやめて別の筋を通った方がいいよ?」
相手が観察すれば自身に傷がないことはわかるだろう。
どこか心配するような相手のあたまを軽く撫でてやりながら諭すように告げ。
■タン・フィール > 「う、うん…ひさしぶり…っ」
と、その日の倒錯的な一夜の過ごし方に思いを馳せて顔をわずか赤らめつつ、
猫毛の黒髪を撫でられれば、籠につめこんだ薬の材料の芳香がふんわりと周囲に香る。
「ぅ、うん…その…そんなところから来て、だいじょうぶなの…?」
と、彼女の警告に従ってくるりと曲がり角の反対側へ背を向ける。
それは丁度、彼女が戻ろうとしていた娼館への未知と同方向で…
「あれ、リサさんも、向かう方こっち?
…ボクの、お薬屋さんのテントも、こっちのほう。
娼館の近くの空き地で、テントをはって、お店してるんだ。」
と、少年の普段の仕事である薬屋のテントについて話しながら、
二人の歩む通りには、薬の素材と、血のかおりと、甘い肌の香りとが渦巻いて。
■リサ・エルバ > 「私はただの色狂いだと思ってない?」
相手の質問にははぐらかすように苦笑を浮かべながら返し。
一緒に道を変えて歩きつつ投げられる言葉には小さく首を傾げ。
「あ、そうなの?
そういえばこの間近くの屋敷が解体されてたからそこかな?
うん、私の店で良ければタン君なら特別価格で使えるように言っておいてあげようか?」
何て、年端も逝かない少年をからかうように言いながら道を歩いていき。
■タン・フィール > 「あははっ…―――すごかったから、
ちょっとだけ、そうおもっちゃってるかも」
と、冗談交じりに答えつつ、あの路地の先で起こったこと、あるモノ。
彼女がそれとの遭遇を避けたことを汲み取って。
色狂い…とは、今の路地を闊歩する姿からは思えないが、乱れに乱れた声や姿を思い出すと、どきどきと胸が高鳴ってしまい、
きゅっと桃色のシャツの裾を掴んで
「うんっ、じゃあたぶん、すぐ近くだねっ。
えっ…? つ、つかえるようにって…リサさんのとこの、お店…?
……ど、どんなことしてる、おみせなの…?」
と、どきりと小さな胸を高鳴らせつつ、
からかう相手の言葉尻にまんまと囚われてどぎまぎしながら、
そういえば、彼女の日頃の生活や店については、まだ深く知るところのなかった少年。
言葉の端々や、娼館と関わりがあることは知ってはいたが、
俄然、リサ・エルバという人物に興味を惹かれて訪ねてみる。
■リサ・エルバ > 「娼館だから、勿論女の子とエッチなこと出来る店だよ。
けど、ちょっと分かりにくい場所にある分、特殊なお店でね。
女の子が良い、っていえばお店からNGを出すことは無いの。
それこそ命に係わるようなことでもね」
表通りでは流石に話せないだろうが、此処は裏路地であるし。
何より、相手は子供とは言えかなり違法な薬も手配しているようであるから大丈夫だろうと判断し。
最後は身体を倒し、相手の耳元に口を近づけてからささやき。
言い終えればペロッと耳を軽く舐めてから身体を起こし。
「本来なら危険なプレイほど高いんだけど。
まぁ、世話になったからね。
タン君の薬師としての力に投資する形で何とか使えるようにしてあげるよ」
■タン・フィール > 「とくしゅ……っ…? …いのち、って…っ…」
ぽわり、と頬を薄桃色に染めながら、
その潤んだ唇とつややかな声が紡ぐ、エッチなことをできるおみせ、という言葉や、
どんな営業トークよりも、その陥落の花園に興味を抱かせる囁きに聞き入っていた少年が、
表立った娼館とは異なる、彼女の店特有の仕様に、ぎょっとしたように目を見開いて…
…しかし、少年も異様な薬を生成し、売りさばき、自他にも使用する魔性の子。
身長差を埋めるように倒れた彼女の体と耳元をなめる舌に、ひくんっと小さな体を震わせながら、
少女のように大きな目を細めて微笑し
「―――…っふふ、ますます、キョーミ出ちゃった…っ
…じゃあ、つれてって?
…もし、えっちな気分になるお薬や…いろんなコトに使えるお薬、お店がほしいっていったら…
…リサさんと、おねえさんたちのために、安ーく…どんなお薬でも、つくってあげちゃう。」
と、彼女の細腰に小さな手をきゅっと絡めながら抱きとめて、
薬師としてギブ・アンド・テイクを提案する。
そうささやきあいながらもう少しだけ歩めば、
彼女の娼館と、そこからほんの数十歩の位置にあるテントがたつ区画へとたどり着く。
少年は、その彼女の娼館をゆったり見据え、ついで彼女の顔を見て、連れて行ってもらうのをおねだりする。
はたから見れば、遊園地にでも連れて行ってもらうのをせがむ子のような無邪気さで。
■リサ・エルバ > 「ふふ、子供なのにしっかりしてるね。
焦らなくても案内してあげるから連れて行ってあげる」
しっかりと自分から出せるものは提案する反面、子供らしい笑みを浮かべる相手を優し気な目で見降ろし。
やがて娼館血月の館の前につけば相手の手を引いて店の中に入り。
受付に相手の事を紹介して、自分の知り合いで薬師であり。
店に必要なものを提供する代わりに自分の名前で安く使わせて上げれるよう手配を済ませ。
「はい、終わったよ。
これでお店は安く使えるようになったから。
もし気になる子がいるなら受付に在籍簿を見せてもらって自由に選んでいいからね」
そういいながら受付のカウンターに置いてある辞書のような大きな本を指さし。
相手と目が合えば受付の胸が大きな美女は微笑みながら手を振るだろう。
■タン・フィール > 「ぅんっ…ありがとっ」
優しげな目と声で、欲望の渦巻く館へと手を引かれ連れられる小さな姿。
館の中へと招かれれば、その内装や雰囲気、匂いに、はぁあ、と熱く甘い息を吐いてしまいながらきょろきょろと見回して…
そうして、リサが店の受付嬢と、おそらくは薬師たる自分のことや、
先に話していたことを説明しているのを見続けて、
相手方の微笑みと、優しげな手をふる動作にぺこり、と照れくさそうに頭を垂れて
「…ぅん! じゃあね、じゃあー……」
と、大きな本を小さな手で懸命にめくりながら、
まるでレストランでメニューを迷うかのような、この娼館で…その在籍簿を読み上げているとは思えない無邪気な声で
「……この、踊り子チームさんっていうの…どんなの…?
…踊り子さんの踊り…みてみたい…っ 」
と、もとより少年の第一の希望は、やはり彼女であって、
リサ・エルバの名が示された「踊り子チームとのコース」を指差して、これがいいと目を爛々と輝かせる。