2020/10/29 のログ
■シンディ・オーネ > 「うん、ありがとう。まってました。」
素材から防具を作るのにどれほどの時間がかかるのかは分からない。
感覚的には早いくらいなので、この場合の待っていましたは待機時間の長さでなく待ち焦がれている方の。
珍しく少しうきうきした顔で、それは気まずさを悟らせぬよう努めて陽性にふるまっているのもあるのだけれど、
そんな事をしているからノウブルが何か気付いたのには気付けず、
ハイコレと青のりと油の匂いがする屋台の紙袋をノウブルに押し付ける。
「ううん、もっと時間かかってもそんなものなのかな?ってくらい。
商売繁盛で何よりね。よくぞご無事で、おかえりなさい。」
これ?と布袋を手に取って、いそいそと半ば取り出すがここで広げるより奥でがいいか。
…何してたのかな?とノウブルが取り組む机の上をチラリ見るけれど、それより防具と示された一角に引っ込んだ。
「――親方… でいいのかしら、職人さんセールスポイントは?」
着てからの話かもしれないが気が早く、声をかけながらがさごそ。
魔獣のなめし革で作られたそれは、「胸当て」「コルセット」「腕甲」「レギンス」「ブーツ」のセットで、
全身スーツと比べれば当然防護範囲は狭まるけれど、もちろん通気性は良好。窮屈なんて事もないだろう。
「…そうか、インナー持って来ないといけなかったわね。」
むむむと唸るのは、どう着るか。
適当に考えて大工さん感のある普段着に下着もブラで来てしまって、タンクトップとかがあればなと思う。
レギンスは問題無いが、コルセットと胸当てに分離している上半身は、
シャツが値段と頑丈さで選んだ厚手で大き目なものであるためこのまま防具を着けるのは明らかに適当でなく。
いかにもな下着を着けたままよりは、いっそ素肌に装着した方が着た感じが分かり易いかなと――
「――おお。」
上半身裸でコルセットと胸当てを装着し、感嘆の声は乳房へのフィット感。
安物の下着よりよほど支えてくれて、肩が楽である。
「ノウブル女物大丈夫! 初めて作ったとは思えない着心地よ、あれ初めてではなかったっけ?」
慣れてないだけだっけ?と言いながら、これはいい!と全身装備でノウブルの前に立つ。
■ノウブル > 「防具自体は、もう少し早く完成して居たんだがな。
急ぎの討伐が…、……まぁ、其の辺りは兎も角。」
(理由は何にせよ、相手に不満が無いのなら僥倖だ
渡された紙袋を受け取り、何だ、と中身を確認すれば、食欲を刺激する香り
良いのか、と、軽く掲げて礼を告げながら、中の一つを軽く摘まんで齧れば
紙袋をテーブルへと乗せて。)
「――――最低限金属を使ってない分、今御前が使って居る防具と軽さは変わらん筈だ。
全身を覆ってない分、寧ろ軽いか。 ……其れと、丈夫だな。」
(――声は、然程響かせなくても通るだろう
相手が着替えている間、紙袋の中身を摘まみつつ、質問にはのんびりと答え。
採寸を可也精密に行ったからだろう、部位別に分けた事も要因だが
動きやすさ、と言う一転においても、全身スーツよりは楽な筈だ
元より通気性重視と言う側面があるから、防御面でのデメリットは多少あるにせよ
基本的な急所は確りと防護して在る為、荒事には問題無い
そして何より素材が、此れは偶々、だが――魔獣の毛皮が使われている
通常の獣革に比べて圧倒的に頑丈で在り、何かしらの「耐性」も在りそうだ
生憎、魔法や魔術の鑑定眼は持ち合わせてい無い故に、詳しくは判らないが。)
「子供用の服ならな。 完全な女物は此れが初めてだ。
―――ふむ、確かに、アレよりは夏場には良さそうだ。」
(――密封、と言った感じのスーツに比べて、着心地の面では頑張った、筈。
己は普段気に留め無い故に、実際相手が着て見るまでは判らなかったが
如何やら気に入って貰えたらしい事には、一安心だ
ただ――ただ、敢えて言うならば。
成程、実際に女が着ると、こういう見目に為るのか、と言うのには
作った己もまた、想像の及ばなかった部分は有る。
――中に肌着を着込む前提では有ったが、其の儘身に着けて仕舞うと、随分。)
「―――――……ただ、惜しむらくは此れから肌寒くなって来る所か。
普段着として着れるようにも作った心算だが…。」
(女の姿から、ふい、と視線を逸らしてテーブルの上へと落としたのは
普段不愛想な態度を考えれば、自然かも知れぬけれど)。
■シンディ・オーネ > 何を討伐してきたのとか土産話をせびりたくなるがそれはまた今度で。
説明に頷きながら、初めての防具をやや時間をかけてしっかり装着。
素肌に着てしまったのがアレだけど、女性冒険者の中にはもっとアレなビキニアーマーとか見かけるので
マグメール水準では何でもないと胸を張っておこう。
…いややっぱり照れてしまうけど。
「かさばらないインナーであったかいのにすれば、冬もいけるんじゃないかしら。
暑いのもそうだけど今のは少し窮屈だったし、コレでいられるならコレが楽ね。
普段着? は、うーん… 少しものものしい気がしなくもないけど、
でもそうね、悪魔に不意打ちされたりするし、これくらいの備えはしておいていいのかな。」
貴族のお抱え冒険者になったとか喧伝されて、つまらない難癖から喧嘩になるような事も少しずつあるかもしれない。
せっかくの防具新調なのに「しょうがないなあ」って顔になってしまうが、普段着と言うのにいけるわねと頷いて。
…ノウブルが視線を逸らしたような気がしたが、もちろん追及などしない。
少し思い当たる節があるとはいえ、自意識過剰かもしれないし。
ちょっと体を大きく動かしてみて、ドシンバタンしない程度に床を転がって。
「――うん、うん凄くイイ。…それでそのう、お代とかって、そのままで大丈夫だった?」
素材集めに協力してオマケしてもらう事になってはいたが。
物が物なので特殊な加工費とか発生してやしないかとか。
色々あったけれど、それでオマケしてもらうのもどうかというところで、動きながらも探るように見た。
■ノウブル > (マグメールの基準で言えば、確かにそうだろう
扇情的な衣装と言う意味で在れば、娼婦たちが着る衣装はにべもなく
ただ、其れは其れ、これはこれ、だ
そも、自分が作った防具が、そう言う着方をされると言うのも在り。)
「――――――嗚呼、それと、だ。
余った素材で、一つ作った物が在る。 此れは気紛れだ、遅れた分だと思えば良い。」
(――変わらず、視線は逸らし気味に。
されど、布袋とは別に、腰元から小さな布袋に入れて取り出したのは
魔獣の牙を加工して作った、腰や足に仕込める様な大きさの短刀
切れ味鋭く切ると言うよりは、裂く、と言った用途に近いだろう其のぎざぎざした刃は
主装備と言うには心許なくとも、狩った獲物を解体する、等の用途には使い易い筈だ。)
「余った魔獣の素材を売った分だけでも十分だ、寧ろ元手以上には入ってる。
……暫く、修繕出来る程度には残して在るから、必要なら言え。」
(手数料は付けるが、と、一言告げてから
視線が一度、女の方へと向いたが――果たして、女の方はどんな体勢になって居る事か)。
■シンディ・オーネ > 「――あ、そういえば。」
何か付けてくれると言っていたっけ。
それが何故かを考えるともやもやしてしまうけれど、好意として受け取っておこうと思う。
なにかななにかなーと正座みたいな姿勢に戻って、防具のどこかに飾るアクセサリーかな?などと思ったが、実用。
「…あ、ナイフ? え、骨? あ、牙か。いやこうして見ると、大きいわね、改めて…」
これが歯の大きさか、噛まれなくて良かったなと、更に痛そうな形になっているノコギリめいた刃をつんつん。
「――修理用! 売れるなら気を遣ってくれなくてもだけど… ありがとう。
貴族サマの私有地で見つかった未踏査遺跡の調査に、一応専属で雇ってもらえたんだけど、
荒っぽい所だったからもしかしたらすぐ依頼することになるかもしれない。」
もちろん追加の仕事としてお願いするのだから有料で。
…挙げた例は実のところ素直に喜べないやつなのだけど、具体的に損耗の予定がありますと伝え、
それでなくても冒険者稼業なら、すぐ傷めてしまってもおかしくないなと、惜しそうに撫でる。
――そんなちょっとちゃんとした話をしていれば、その間動きは止まるけど。
ノウブルが自分のカラダをイメージして作ってくれたのだなあ、とか。
大事にしなきゃなあ、とか思って、膝立ちでちょうど胸当てのカップをしみじみ撫でているところだったとか。
しばらくは確かな装着方法の確認などして、ハプニングがなければ健全な二人は、
今日のところはおかしな事にならず穏やかに別れられるか――
ご案内:「王都 冒険者宿」からシンディ・オーネさんが去りました。
ご案内:「王都 冒険者宿」からノウブルさんが去りました。