2020/09/30 のログ
ご案内:「無名遺跡」にロイスさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」にフリージアさんが現れました。
■フリージア > ある場所にある遺跡の中。どの辺りか見当はつかないが深いと思われる場所にある通路。
その通路が突然にまばゆい光に包まれたと思えば後に残ったのは遺跡探索をするには軽装すぎる人影。
ゆっくりとした仕草で通路を見回すと手にした杖を軽く振るい明りを生み出し照らし。
「…ここ、どこ?もしかして失敗した?」
最後の記憶は研究所での魔術実験中だったはず。
その術を発動させた直後にこの場所にいた事からかなり悩んでからそう結論付け。
全く知らない場所に出てしまい。文字通りに右も左も判らない場所、途方に暮れたように壁に背中を預ける。
■ロイス > 久々に"活きた"遺跡が見つかったと聞いて、地図屋から地図を買ってやってきた男。
どうやら此処は魔術の研究所だったらしく、鍵付き棚から魔術触媒が大量に手に入ったりとかなりの収穫であった。
一部の壁に回路上の魔力光が走っていたり、モンスターが全くいないのが気にはかかるが――まあ、問題はないだろう。
とにかく奥に進むと、
「大漁大漁……ん?」
通路一面を塞ぐような、大きな扉が現れた。
取っ手もついていない――どうやら、魔術か何かで開ける扉らしい。
残念ながら、男は魔術の心得がない。一旦開けるのは諦めるかと、踵を返そうとして――ふと、扉の奥から人の声が聞こえた。
「もしかして、誰かいる?」
だとすれば、少し問題だ。
入り口から此処までは一直線で来た。裏道が無いのも確認済み。足跡の形跡もない。
とすると、扉の奥にいる誰かがもし、扉を開ける手段を持っていない場合、閉じ込められているという事になる。
杞憂かもしれない、と思考に前置きをした上で、男は叫ぶ。
「おーい!扉の奥の人ー!聞こえるかーい!」
■フリージア > 転移魔術はあくまで使えるかもしれないという実証段階。
まさか実験のミスでそれが発動したのでは、発動した術が違ったのではと考えが纏まれば本当に困った顔になる。
こんな事は想定外、少しでも譲歩を集めようと灯りを飛ばすと通路の片方には大きな扉。
その反対は通路が伸びている、ならば通路だけを警戒しておけばいいのである意味、気持ちは楽になる。
そしてこれからどうしようと考え始め、急に扉の向こうから聞こえた声にびくりと驚き。
「誰……?いるけど、ここは何処?そっちは誰?」
こういう時はうかつに何か言わない方が良いのだが驚きの動揺から扉越しにかろうじて聞こえる大きさで返事を返し。
思い切って扉に近づくと取ってのない表面を撫で、開けられるかと試していく。
■ロイス > あちらの声を聞き逃さないように、扉に耳を当てて会話をする。
あちらから聞こえてくる声に、どうやら気の所為はなかったと安心する。
そうなると、彼女は何らかの理由で此処に迷い込んだのだろうか。
或いは、この遺跡の関係者かも知れないが……だとしたら、そっちは誰はともかく、ここは何処、とは言わないだろう。
「俺は王都マグメール平民地区冒険者ギルド所属、ロイスだ!
此処には、冒険者としての探索に来た」
と、はっきりと声を出して自分の身分を言う。
今の所、相手にとってこちらは正体不明の存在だ。
ならば、正直にはっきりと答えて、少しでも信用を得ようと。
「そこから出られそうかい?出られ無さそうなら、出来る限り協力するけど」
尤も、その協力の手段は今の所思いついていない。
ただ、まさか全く扉を開ける方法がないという訳ではあるまいと。
■フリージア > 気配というものはさっぱりわからないが聞こえる声は一人分。
念のためと探知魔術を使ってみるもいるのは一人と判り、少しだけ安心できる。
ただここがどこか判らないという不安だけは残り。
「王都マグメール?冒険者ギルド?」
聞いた事のない単語を聞くもなにそれと判らない顔。
少なくとも知っている地域ではない事にどこに飛んだのか判らず。
その情報を得るためにも扉の向こうの相手に合流するのが最善と判断して。
「ちょっと待って。これは……大丈夫、開けれそう」
表面を撫でるように扉を確認し、指に辺りひっかっかり丁寧になぞればそれが文字と判る。
何度か同じ場所を撫でればそれが意味するところも判ってき、杖を扉に押し当て魔力を流していき…。
魔力が行き渡った扉は段々と淡い光を放ちきしむ音を立て左右へと開いていき。
完全に扉が開けば杖を両手に持った少女が立っているだけになる。
■ロイス > 「……?マグメールを知らない?」
と、怪訝な顔に。
仮に彼女が何らかの理由で海外から出てきたと仮定しても、マグメールの名前さえ知らないというのは少し考えづらい。
例え、王都の名前は知らずとも、マグメールと聞けばそこの事だという事ぐらいは解るはずなのだが――と思案していると、
「お?」
扉が開いていく。
扉の先にいたのは、思ったよりも年若い少女だった。
三角帽に、制服の様な衣服を着込んでいるが――
しかし、とりあえず今の問題は少女の格好ではなく、
「大丈夫だったかい?もう安心だ。俺が王都まで安全に護送する」
と、安心させるように少女に言う。
とりあえず、相手の氏素性は確認しない方が良いだろうという判断だ――少なくとも、彼女が自分を信頼するまでは。
■フリージア > 「えぇ、まったく」
マグメールも王都も全く聞き覚えがない。
本当にどこに跳んだのだろうと聞こえる内容に困惑するばかり。
だが今はその話す内容が一番の情報源、早く合流してしまおうと仕掛けを発動させて扉を開けてしまい。
「さっきまでの声、あなたであってる?」
扉が開いた先には金髪のそこそこの年齢の男性。
その服装は変わって見えるが先ほど聞いた冒険者なのだろうと直ぐに理解して。
「問題はないわ。安心できるかはこれからだけど、王都って…何処?」
少なくともこの男性に危険はない様子に小さく息を吐く。
ただ王都と言われても本当にどこか判らずに首を傾げてしまう。
■ロイス > 「ああ。さっきも言った様に冒険者のロイスだ」
と言って、とりあえず敵意はないというように腕を組んで見せる。
見る限り、不安そうな表情はない――クールなのか、それとも腕に自身があるのかは解らないが。
「さっきも言ってたね、マグメールを知らないって。
えーと、まずは此処はマグメール王国、んで、その首都が王都マグメールと言う」
と、首を傾げる少女に言う。
まあ、此処からの方角なんかの地理はとりあえず省くとして、
「君がどうして、知らないはずのマグメールに来てしまったのかはわからないけれど……。
王都に帰れば図書館もあるし、外国の事情に詳しい人も心当たりがある。多分、君の元いた国への交通手段も見つかるだろう」
と、楽観的な事を言う男。
まさか、異世界から来たとは思っていない。
何か事情があるにしろ、早く帰してあげないとな、と思っている――この時は
■フリージア > 「えぇ、扉越しに聞いたわ。私はフリージア、魔術師…かしら?」
今度は目の前で名乗ってくれる男性を真っ直ぐに見つめ。
敵意も怪しげな行動もないと見ると名前を告げ、職業に関しては少しだけ悩む。
「聞いた記憶はないから知らないわ。
王国っていうのは先ず知らないし……」
王国と聞けば驚いた顔を見せ、眉間に指を思い出そうとして。
しかしやはり記憶には全くなく戸惑いを隠せなくなる。
「来た理由は言えないわ。でも事故と言える。
それは本当に助かるわね。その王都まで送ってくれるのよね?」
男性の楽観的な言葉に困った顔に笑みが浮かぶ。
その通りならば良いのだがもし時間がかかりそうなら困る問題もあり。
「それを見つけるまでの間……宿はどうすればいいかしら…」
■ロイス > 「フリージアちゃんね。わかった。まあ、魔法を使える人って覚えておけばいいかな?」
と、取り敢えず適当な理解を示す。
男からすれば、魔法使いも魔術師も呪い師も、理屈はともかく大凡大して違いはない。
「うーん、とすると本当に遠くから来たのか。旅費がかかりそうだな。
勿論、それは約束する。そこまで遠くないしね。
困った時はお互い様、だ」
と力強く笑ってみせるが、宿をどうすればと言われると少し考える。
どうやら、この分だと路銀なども持っていないだろう。
とすると――
「冒険者として稼ぐ、かな。
魔法が使えるなら、多分それが一番手取り速いと思う。
冒険者ギルドに行けば、仕事は何かしら見つかるだろうし」
と言ってから、「取り敢えずこんな所で立ち話もなんだし」と言って、踵を返して外に出る通路に歩き始める。
幸い、敵は出ていなかったのだし、最低限注意さえしていれば、話しながら歩いていても問題ないだろう。
■フリージア > 「それで問題はないわ。魔術はそれなりに得意だから」
少し違う気もするがそのことを話し合うには場所も悪く。
一応でもあってればそれで良いかと流すこととして。
「聞いた事がないからかなり遠いと思うのよ。それだと旅費もかかるし…。
遠くないなら助かるわ。運動…苦手なのよ。あなた、いい人ね」
訳の分からない場所で最初にあったのが親切な良い人でよかったよ笑みを浮かべ。
ただ問題は滞在費だけで…。
「その冒険者っていうのがよく判らないの。
魔術でできる仕事なら助かるのだけど……ギルドで探す…の?」
取りあえずは稼ぐ方法はあるようだがそのシステムがどうにもわかっていない顔。
それを深く聞こうとするが男性が歩き出すと慌てて追いかけ横に並ぶ。
ただこんな場所は歩きなれていないので何度も遅れては小走りになってしまい。
歩きながらその冒険者ギルドのシステムやどういう事をするのかと事細かく聞いていくわけで。
■ロイス > 「いい人じゃないさ。人として当然の事って奴だ」
彼女があるきづらそうにしていれば、歩幅を調整してあるきやすくする。
女性のエスコートは慣れてないが、護衛対象と歩調を合わせると考えれば、このぐらいの気遣いは当然に出来た。
だが、どうやら会話の方が少し彼女にとっては飛ばし過ぎていたようで。
「って、冒険者も知らないのか。それは困ったな――」
揶揄している様にも聞こえたかもしれないが、しかし心の底から困ったという声を出す。
冒険者の事を知らないというのもそうなのだが、何よりそのレベルで一般常識に欠けている少女を放り出すのは、良心がとがめる。
「冒険者って言うのは、まあ個人的な浪漫抜きで言うなら、遺跡荒らしと魔物駆除の業者を兼ねた職業って事になるのかな……。
そして、その元締めが冒険者ギルド。魔術師は頭も切れるし、大体の場合研究している魔術を攻撃に転用できるケースが多いから、仕事がしやすいんだ」
と、取り敢えず彼女の疑問に答えていく。
ついでに、ギルドの大まかな仕組みや、実際の利用方法なども簡単に教えておいてから、
「でも、冒険者の仕事は割と多岐に渡るからな……最初の内は、君だと解らないことが多いかも知れない。
良ければ、俺が暫く案内役になろうか?こう見えて、十年以上のベテランだ。色々と教えられる事は多いと思う」
と、言ってみる。
とはいえ、これは表向きというか、彼女のプライドや不安を刺激しない方便のようなもの。
実際の所は、王都に巣食う悪人たちから守る為――であるが。
それを話すには、もう少し打ち解けてからの方が良いだろうと。
■フリージア > いい人ではなく当然の事。
その言葉に意外そうな顔をし、面白い人というように柔らかな笑みを浮かべ。
その言葉は取り繕っているのではなく、歩幅を合わせてくれる事からも本心なのだろうと判る。
「私のいた所にはない仕事だったの」
困ってるような揶揄っているような、両方に聞こえるが困ってるのだろう。
それは何となくわかり、同時に思っていた以上にこちらは自分の知らないことが多いことが判明して。
「浪漫な仕事になるのね?それを抜くと……つまりは何でも屋。
冒険者ギルドがその大本で、私みたいなのは応用がきくから便利なわけね。
大体は理解できたわ」
そうして疑問に答えてもらう。
どういう仕事を行うか、その仕組みや利用法は直ぐに判るものもあれば初耳なものまであって。
「えぇ、説明を聞く限りそうみたいね。実際にやってみないと判らないって事も多いと思うわ。
10年……ベテランなのね。だったら…迷惑じゃなければ案内役もだけど、私を雇ってくれない?
魔術師は便利なのよね」
男性の言葉はまさに渡りに船。
全く判らない場所でプライドに拘るよりも親切で助けてくれるという人に頼るべき。
まだ少し不安もありはするが男性がいない間の不安を思えば異性ではあるが思い切ってそう頼んでしまう。
■ロイス > 冒険者が居ない国、というのも相当珍しい。
恐らく、相当に魔物が少ない国だったのだろう。国軍で魔物討伐や管理が出来る程度には。
そう考えると、いよいよ以てこの娘を放置するのは躊躇われた。
だが、ロマンな仕事だと言われると、まるで少年のように目を輝かせ、
「そりゃもう、冒険者と言えば、魔物から弱者を守る最後の盾にして、自由に生きる流浪人。失われた財宝の発見者にして、逸史の暴露人。こんなワクワクする仕事は他にないさ!」
と、少しばかり口調が早口になる。
その口ぶりから、本当に冒険者という仕事に誇りを持っているのは伝わるだろうか。
「雇う……か。確かに、お金が必要だろうしなあ……と、ついたか」
締めておいた遺跡の出入り口のシャッターに辿り着いた。
此処を開ければ外である――だが、一度外に出れば、流石にこうしてゆっくり話はできないだろう。
だから、
「分かった。そういう事なら、俺のサポート役として君を雇おう。
流石に、安定してお給料をあげられる様なお金はないから、俺が受けた依頼の何割かをあげる形にするけど……それで良いかい?」
いわゆる、互助関係に近いものだろうか。
こちらは冒険者としての知識を与え、あちらは魔術の力を提供する――という訳だ。
■フリージア > 男性の説明を聞くにこの辺りはそういう仕事が必要な場所。
右も左も判らない場所で一人になっては帰る以前の問題になりかねない。
しかし急に眼を輝かせる姿には何が?と首を傾げてしまう。
「ロイス、落ち着いて。あなたが仕事に誇りを持ってるのは判ったわ。
それに……財宝の発見は少しだけ賛同できる」
急に早口になった事には驚いてしまい、落ち着いてと声をかけ。
熱く語る内容に本当に誇りを持っているのだと察することができて。
「私は今は無一文だからロイスに雇って貰わないとどうにもできないの」
そうして目の前に変わった扉が見えれば出口なのだろうと察し。
「ありがとう、助かるわ。
最悪眠る場所を提供してもらえれば十分だから」
報酬についてもそれで問題はないと頷いて見せて。
自分は男性に知識と安全な寝床を与えてもらい、逆に魔術、自分ができる事を提供する。
その関係に異論はなく、よろしくと手を差し出して。
■ロイス > 「ああ、ごめんごめん。まあ、そういう浪漫のある仕事なんだよ、うん」
と、取り繕って咳払い。
何せ、久々にこういう話をする。
同輩、後輩冒険者相手だと、雑談するにしてもどうしても実利的な情報交換とかになってしまうし、一般人と話す時は、相手に話を合わせてしまうし。
「眠る場所――無一文っていうなら、自力で宿は取れないか。
う、うーん。流石にこれでお給料を渡すのも納得いかないだろうし……何か考えないとなあ」
と、悩むが、相手が手を差し出せばこちらはそれを握り返して。
「それじゃあ、暫くの間、お手伝い宜しくね。フリージア」
と、微笑むのだった。