2020/08/23 のログ
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
食事を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。
「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」
などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。
「あっちよりは出会いの期待値が低いが、まああそこら辺はしょうがな──て、おや?」
その視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり自分以外は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。
「……やあやあドーモッ。湯加減いかがですかな?」
と、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。
■エレイ > その後、男と先客がどういったやり取りをしたのかは、当人達だけの知るところで──。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「平民地区/路地裏」に獣魔目録さんが現れました。
■獣魔目録 > 平民地区のとある裏通り。
通りから通り、通りから酒場や宿や冒険者ギルドのある区画へ、富裕地区から平民地区へとを結ぶ細い通り道である。
その裏通りは確かに各方面に移動するには近道となる通りなのだが、その呼び名の通り【裏】酒場や宿屋諸々の店の裏手を通るからなのか、薄暗く、人通りは殆ど無い治安的にもあまり宜しくない通りなのだが、今宵もまたポツンと人影がひとつ。
――…その人影は人通りなんて殆ど無い裏通りなのに何かモノを売っているようで、敷物も敷かず地面に直接正座をして座り、代わりに自分の前に小さな敷物を敷いて其処に商品を並べて、裏通りをぬけようとする者が通りかかるのを売り物に興味を持つものを待っている。
灯りを照らすなら、その人影は酷く小柄で少年少女あるいはドワーフなどの背の低い亜人のように見えるが、全身を襤褸切れのように穴の開いたローブを身にまといフードを被り口元以外をすっぽりと隠し覆っていた。
「……魔導書に絵本。お土産に1冊如何ですか。今なら魔導書の買取も魔導書の解読も行っております。」
路地裏に静かな声色ではあるが以前よりハッキリと人影は売り物をアピールし、ちらりと見せる口元に笑みを浮べては誰も居ないのに笑みを絶やさない。
声質も何処かよりヒトに近づいたような、けれども耳の良いものが聞けば気持ちをざわつかせ微かにノイズに似た歪み交じりの声ではあった。
さて、そんな笑みで声で売ろうと露店で扱っている商品は数冊の本。
動物の書かれた図鑑
表紙も中身も真っ白な本
恋愛小説らしき掌サイズの本
無論魔獣の皮で装丁された魔導書も並べられている。
もし、通りかかった人間が本を手に取り中身が読みたいと言えば、人影は喜んで本を渡しどうぞと頷くだろう。
もし、ほしいと言えば喜んで人影はその本を売るだろう、翻訳も買い取りも喜んで。
どの本を選んでもそれはもう嬉しそうに人影は応える。
■獣魔目録 > いつもならもう暫くはこの場所で粘るのだが、今宵は早々に引き上げることにした。
何せ本の天敵である湿度が高すぎる。
売り物も自分も得意ではない湿度に仕方ないと一言呟くと、頬を指先でカリカリと引っ掻きながら、売り物である魔導書を1冊1冊丁寧に積み上げると、敷物に包み込んで良いしょと背負う。
そして人影はふわりとその場から掻き消えるのであった。
ご案内:「平民地区/路地裏」から獣魔目録さんが去りました。