2020/04/02 のログ
ご案内:「月の見える丘」にノーガルトさんが現れました。
ノーガルト > (今日は、月がよく見える。
そろそろ春先、温かくなってくるころなのだろうけれども、まだまだ肌寒い。

自宅からすぐ近くの丘の上に、ノーガルトは座っていた。
特に何かを思っているわけではないが、まあなんだ。
要するに、することがなくて少しだけタバコを吸いたくなったから。
傍らには空き瓶、中には吸いきっているタバコがいくつか。
娘が生まれてから、ずっとこうして隠れてタバコを吸っている。)

「…………ふぅー……。」

(煙を吐き出し、一服。
なかなか吸う機会もめっきり少なくなってしまったので、この一本はなかなかうまい。
タバコ代も随分と使わなくなってしまった。
その分、酒代は増えたわけだが。)

ノーガルト > (タバコを吸い終えて、軽く月を見上げているさなか。
背後から声がして、振り向けばそこには。)

「……ああ、分かった。すぐに行く。」

(父親であるノーガルト、ゆっくりと自宅へと戻っていくのだった。)

ご案内:「月の見える丘」からノーガルトさんが去りました。
ご案内:「平民地区 大通り」にリスさんが現れました。
リス > マグメールの平民地区、その大通りとは、この国の一番重要な場所と言って良いだろう。様々な人が行き交いったり、物資が運ばれたり、している場所故に、とても、とても活気がある。
 楽しそうにしている人も、イライラしている人も、悲しそうな人だっている、中央にある噴水広場の周りをぐるりと様々なドラマが起きているのだろう。
 そんな平民地区の大通りをとことこと歩く少女、珍しく護衛などはおらず、その恰好も気軽な物。
 他の人々に溶け込んでいるその少女はリス・トゥルネソルという名前の少女であり、この近くにあるトゥルネソル商会の娘。
 人々の合間を縫って、のんびり歩く姿は、市井の女の子でしかなく、少女自身そのつもりでしかない、今宵はお気に入りの藤籠を持って、お散歩兼ショッピングに来たのである。
 大商会の娘だから、と買い物をしないわけでは無いという事である。鼻歌を歌いながら機嫌よく歩く。

「~~♪」

 大通りからならば、何処に行くにも行きやすく、さて、今日は何処に行こうかしら、とその青色の瞳はきょろり、と見まわす。
 今日は、人が多いわね、と、人込みに感想を覚える。身長が低いので遠くまで見えないわ、とも。
 取りあえず、通りに噴水広場に出て、通りを眺めましょうとそんな風に決めて進んだ。

リス > 「うーん………。」

 通りから見えるのは、やはり、酒場などのある商店街、他には城に続く道、其処は富裕地区を通っての話になる。
 他にも、レストランなどが集まる場所もあれば、娼婦たちの集まる歓楽街もある、町の外は……却下、怖いし、散歩に行くべきではない。
 九頭龍温泉宿のある方面もあるし、仕事に戻るという選択肢も無いわけでは無いけれどお休みしたいし。
 選択肢の多さに、少女はうむむ、と小さく唸るのだ。今日は気軽に遊びたいし、とうろうろと、わんこのように右に行ったり左に行ったり。
 どうしましょう、ナンパでもしちゃおうかしら、ふんす。

 ちょっと、小腹が空いたし……軽く何か食べちゃおう、そう決めた少女は、先ずは……酒場のある商店街へと足を向けようとして。

「……?」

 食べ物を売っている露店を見つける、肉を焼いている、串焼肉だ、そういえば、娘とか妹かが良くこの辺で食べてるのを思い出す。
 私もちょっと試してみようかしら、と好奇心がむくむくと。とことこ、と道路を横断して、串焼肉の店に一直線に歩く事に。
 ドラゴンお肉大好きー。

ご案内:「平民地区 大通り」にラフィティさんが現れました。
ラフィティ > (奴隷商人の折から逃げ出して、今日で何日目かを数える余裕なんてない。
毎日を生きるために必死で、どんなことをしてでも生きなきゃいけない。
いつか必ず家に帰るんだと、怯えた少女はそう決めた。

だが、ここでは人間があまりにも多すぎる。
縞模様のしっぽも、頭の上から生えている耳も目立つ。
両手で耳を抑えながら、物陰にじっと息をひそめていた。

その視線の先には、串焼きのお店。
猫のミレー族だから、肉系統にはどうしても目が行ってしまう。
美味しそう、とつぶやくものの、出ていけばどうなるかなんて痛いほどわかっている。
見つかったらどうしよう、また檻の中に入れられちゃうと、恐怖心と不安が募る。)

—————…………っ……。

(それを上回ったのは、やはり空腹感だった。
少女は、串焼きの匂いにつられたリスの行動を凝視する。
串焼きを手に取ったら、それを盗んでしまおうと狙っていた。

ピンと、しっぽが立つ。
耐性を低くして、両手を地面につけていつでもスタートを切れるように。)

リス > 「これ、下さいな?」

 末妹や末娘が良く使うからであろう、店主さんは、少女の顔を知っていたみたい、其処迄似ているわけでは無いのだけれど、愛想よく対応してくれた。
 串焼肉、二・三本……はしたないかしら、まあいいよねと思うのは、少女が貴族ではなくて唯の一般市民だから。
 ゴルド金貨を幾つか払って、串焼きのお肉、焼き立てのそれを受け取る。甘いたれがしっかりと掛かっていて、とても美味しそうな匂いをさせている。
 有難う御座います、と店主に礼を言ってみるものの、流石に立ったままではと思うので。少女は、移動することにした。
 向かいの噴水のある広場、其処にベンチがあり、其処ならば座って食べられそうである。

「ふふ、楽しみですわ。」

 嬉しそうに目を細めて少女は串焼肉を持ったままで、とことこ、と歩くのだ。
 自分を狙う視線に気が付いていない少女は、鼻歌をルンルン歌いながらの移動。
 彼女からしてみれば、隙だらけにも見えるはずだ、実際に隙だらけなのだから。

ラフィティ > (じぃっと、少女はそれを目で追っていた。
手に渡されて、公園のベンチのほうへと向かうリスの後姿を、しっかりと目に焼き付けていた。

行くなら今しかない、ここを逃せばたぶんチャンスはない。
そう思った少女は、だッと駆け出し人込みをすり抜けて、リスのほうへと走った。
身軽に、疾走する猫のミレー族。)

——————……ごめんなさいっ…っ!

(が、その手から攫う時に不意に出たその言葉。
たれのかかった串焼きをさらうその時に、謝罪の言葉が一つ飛び出した。

わかっているのだ、これはきっと悪いことなんだと。
人からモノを盗むのは、たとえ種族が違っててもだめなこと。

だけど生きるためには、仕方がない。
少女が串焼きを一本横取りして、リスの横を走り抜けていく———。

が、この時少女は大失敗を犯していた。
串焼きをさらった時に目をつむって、疾走していたのだ。
そしてその目の前にはベンチがある、そしてその勢いは急には止まれない。)

わっ………わあぁぁぁっ………——————っ!!!

(後は、ベンチに激突して、盛大にひっくり返る。
手にした串焼きは、そのまま彼方へと飛んで行ってしまった。)

リス > 『——————……ごめんなさいっ…っ!』

 そんな声が聞こえた、え?と少女は首を傾いで、振り向こうとするのだ、其処には、物凄い勢いで走って来る一人のミレー族の少女。
 ネコのミレー族は、基本的にすばしっこく、瞬発力に長ける、なので、お客様の元へ駆けつけるのに適しているし、身軽なので店内での連絡にとても適性がある。
 それ以上に可愛らしい子が多いので、受付とかそう言った処が一番いいのよね、とぼんやりと走り寄ってくる彼女を眺めるのだ。
 その女の子の目的が判らなかった。きょとんとしている少女の手から、取り上げられたのは―――。

「あ。」

 串焼肉、たった今買ったばかりのそれであり、そして、三本あるうちの一本、熱々で美味しそうなたれがたっぷりついた、お腹に美味しい一本だった。
 彼女はそれを奪い去り、呆気に取られている少女の脇を走り抜けて、行こうとして。
 少女は見た。

 どんがらがっしゃんと、言う擬音が正しく聞こえてきそうなくらいに勢いよくベンチに足をぶつけてすっころぶ少女の姿。
 驚いたのだろう、彼女、串焼肉がすぽーんとどっかに飛んでいきました。
 運がいい人が居ればその串焼肉を無事にキャッチするのでしょう、運が悪ければ―――お察しください。
 それはそうとして。

「―――大丈夫?」

 少女はものすごい勢いですっころんだ少女の近くに歩みより、彼女をじい、と空色の竜眼で眺める。
 敵意は無いというよりも、空腹の末の行動に見えたのである。
 まあ、罪や罰に関しては後で問う事にして、今はまず彼女の容態の確認が先、という判断。

ラフィティ > ………——————……っ………——————。

(ほんの一瞬だけ、少女は気を失っていたようだった。
頭を打ったというよりも、ショックで記憶が一時的に噴き飛んだというほうがいいか。
ゆっくりと顔を起こすと、ふいに後ろから声をかけられた。

その瞬間、体中の毛がぞわっと逆立つ。
後ろにいる、逃げなければ、また檻に入れられる。
恐怖が極点に達し、逃げようとするが足が動かない。)

痛っ……———。あ—————……あ………っ。

(どうやら、転んだ時に足をひねってしまったようだ。
動かない脚、張って逃げようとしても相手はすぐ後ろ。
振り向き、怯えた瞳でリスを見ていた。

人間はみんな、怖いものだという先入観。
たとえそのように、心配しているような言葉を投げかけられても、先ほどやったことは盗み。
痛いことをされる、また檻に入れられる。
涙を浮かべておびえ切っている少女は、その場に固まって動けないでいた。)