2020/01/26 のログ
ご案内:「平民地区/宿の一室」に獣魔目録さんが現れました。
獣魔目録 > ――とある宿の一室である。
小さな通りに面していて立地としては悪く、大通りから一つ路地をぬけないと宿を見つけることすら出来ない、穴場と言えば穴場な宿である。

利用者は冒険者や魔法学校の学生や騎士見習いと、あまり懐グワイが宜しくない者が利用している安宿なのだが、どの部屋も普通の宿よりは心持広い良い宿でもあった。

さて、今宵はそんな宿の角部屋に備え付けの家具に異変がある。
よく利用する者ならわかるが、基本的に宿の忘れ物は見つけた者のモノとなる暗黙のルールがあるが為に、忘れ物は滅多にないのだが、何故か木製の机の上に1冊の魔導書が……。

触れば高級な革製品と同等の触り心地のする魔獣の革に装丁され、その表紙には【獣魔目録】と赤い染料で書かれている大変希少な魔導書である。

古今東西、大陸に住まう魔獣で一度でも人の眼に触れた事がある魔獣であれば全て網羅され、その生態から繁殖方法から弱点まで書かれた魔導書であり、頁に記述された魔獣であれば召喚術の適正がなくても、その名を認識するだけで召喚できテイマーでなくても一度だけ交渉することが可能という、ある意味で希少であり貴重であり容易く力を手に入れることが出来る可能性を秘めたものである。

もうひとつ付け加えるなら書は、求められることを好む。
もし目的を持って書に触れるのであれば書は触れた者の目的を読み取りそれにふさわしい魔獣の頁を開いてくれるだろう。

ともあれ魔導書が一目に触れやすい場所に姿を見せるのは非常に珍しい、若しかしたら本当に誰かの忘れ物かもしれない、が……。

ご案内:「平民地区/宿の一室」にリィナさんが現れました。
リィナ > 寮暮らしの少女が、安いといっても宿に泊まることは普通なら滅多とない。
たまに研究に没頭して、学院の研究室で寝泊まりすることはあったとしても。
それとて、本来の規則ならば追い出されてしまうところ、お目溢しを貰っている状態。

けれども、さすがに門限を過ぎてから出入りを許してもらえるほどには甘くはなく。
街の外にある遺跡から、どうにか帰ってきたのは日が暮れて随分と経ってから。
その結果、はらぺこ状態ではあったけれど、食事代を宿代に回して寝る場所を優先することに。

(寒いから温泉! ……っていう選択肢もあるけど、節約しなきゃだよね。)

遺跡に見つけた諸々を売れば少しは生活費の足しになるだろう。
それまでの我慢。実際に値が付くかどうかは明日の交渉次第。
寮の部屋よりも、心持ち広く感じられる部屋に入ると、ぼすんとベッドに倒れ込む。

(あれ……? 忘れ物かな…?)

重たい頭を持ち上げた先に、ぽつんと1冊の本を見つける。
宿にそんなものが備え付けられているはずもないから、前の客の忘れ物だろうと思って身を起こす。
売れるものなら儲けもの。そうでなければ、宿の人に渡しておこうと思って、手を伸ばし―――

ご案内:「平民地区/宿の一室」からリィナさんが去りました。
ご案内:「平民地区/宿の一室」から獣魔目録さんが去りました。