2019/08/13 のログ
■ノヴェ・ルア > 「……ふぁぁ。」
右手を口元に添えながら小さく欠伸をする。道具の整理も終わってしまったし、客が来ない夜というのは本当に退屈で仕方がない。大きな天蓋付きのベッドに仰向けになって寝転がれば、手櫛で髪の長い部分を梳いていく。
「……ムラムラするけど、1人でシてるのバレたら怒られちゃうし……」
もぞりと膝を立たせて太腿をぎゅっと閉じる。奴隷娼婦とはいえ別に気持ちいい事が嫌いな訳ではない。立場に満足している訳でも無いが。尻尾でぱしぱしとシーツを叩きながら、退屈と体を持て余す。いっそ怒られるくらいなら街に抜けだす事も考えたが、外では金が貰えない。我慢して、布団に包まる。
■ノヴェ・ルア > 「もう少し……、したら、諦めよっかなぁ……」
また店の手伝いをする方が稼げるかもしれないと眉を寄せて小さく溜息を吐く。もう少し、もう少し、と頭の中で繰り返しながら、室内の壁に飾られた時計を見る。時計の針はもうてっぺんをすっかり過ぎている。一度起き上がればベッド下から綺麗な箱を取り出して、糸と穴の開いた玉が詰め込まれたそれをベッドの上に置く。それから玉を選んでは、適当に糸に通していく。客は男性だから喜ばないのだが、娼婦仲間に売ると少しだけお金になる、ささやかな趣味―――手作りのアクセサリーを作り始める。
■ノヴェ・ルア > そうして、いつの間にかアクセサリーを作っている途中で力尽きたように倒れてしまっていた。遂に待ちかねて眠ってしまったらしい。資金集めの道のりは険しく、目標にはまだ程遠い。明日こそはと夢を見て、今はただ静かに寝息を立てるのみ―――……
翌日客を取れなかった事を女主人にこってりと絞られ、罰として無賃でトイレ掃除をさせられたのだった。
ご案内:「娼館「山猫亭」」からノヴェ・ルアさんが去りました。
ご案内:「看板の無い店」にソルシエールさんが現れました。
■ソルシエール > その魔女は、店の奥の広々とした来客スペースに独り、居た。
毛足の長い絨毯が敷かれ、中央には足の低い厚ガラスのテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで、クッションが柔らかい上等の横長ソファーが一つずつ。
魔女が座すのはその内の一つ。適度な弾力の背凭れに体重を預けて足を組み。
店の出入り口には魔女の魔術が施されており、無意識の内に波長が合ってしまった者は、
ふらふらと入口を潜り、商品陳列エリアを通り抜け、奥の来客スペースへと入室するだろう。
一種の洗脳の効果が店自体にかけられているのだ。そして、魔女の獲物となる……。
魔術の抑制が効かない危険な者が入って来る事も有るが、滅多に有る事象ではないし、
とタカを括っている。永い時を生きた人ではない種族特有の増長と言えるだろうか。
店の洗脳効果を察知し、洗脳されずに踏み込んで来る輩も、稀に居るのだから──
洗脳効果を受けた者は、魔女の傍まで来た時点で効果から解放されて我に返るだろう。