2019/08/07 のログ
ご案内:「とある部屋」にセシリーさんが現れました。
セシリー > 「――――――ッひぁ、あ、あ、ぁ………!」

他でも無い、己自身の唇から迸った、甲高い悲鳴に覚醒を強いられた。

シーツも上掛けも清潔な香りのする、柔らかな弾力が心地良い寝台の上。
肌触りの良い寝巻きを着て、たった今、そこから飛び起きた―――それだけなら、
慣れ親しんだ自室での、覚醒の瞬間と思えたかも知れない。
しかし次の瞬間には、下腹が、足の間が、じっとりと湿り気を纏っていることに気づく。
見えぬ双眸を見開き、寝台の上に上体のみを起こした体勢で、
震える手指をそっと胸元から腹へと辿らせ―――触れる。

「ひ、……… ん、っあ、ぁ………」

途端、びくん、とまた一度、弾んだ腰が寝台を軋ませた。
一拍遅れて、じわり、じわりと、下腹部に温かい湿りが広がる。
ねばねばと指先に絡みつく滴りと、鼻腔を衝く独特の匂い。
俯いた頬が紅潮し、余りの羞恥に、視力の無い瞳から大粒の涙が零れた。

「ま……た、わたし、こんな……どうして、………」

夢の所為だ、と思いたいけれど、それにしては余りにも生々しい記憶が、
今も、己の鼓動を乱れさせている。
恥ずかしさだけでは無いものに、肌は内側から炙られていて、
―――明るい陽射しが差し込む、清潔な部屋の中で。
己だけが未だ、夜に、闇に、捕らわれているようだった。

此処、は己が、修道院に与えられた部屋の筈。
けれどもしかすると未だ―――此処も、闇の延長線であるような気さえする。
もう二度と、戻れないのではないか、とさえ―――。

セシリー > 嗚咽に乱れる呼吸が鎮まるのも待たず、寝台の上で蹲る。
上掛けを巻き込み、胎児のように身体を丸めて、再び、硬く瞼を閉ざし。

何もかもを残酷に暴き立ててしまうであろう、日中の光から身を庇って。
現実から眼を背け、ただ只管に、己の内側へ逃れるように。

逃れた先にはまた、悪夢が大きく口を開けていると知っていたけれど―――。

ご案内:「とある部屋」からセシリーさんが去りました。
ご案内:「夢のつなぎ目」にボブさんが現れました。