2019/01/15 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 郊外の丘」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 港湾都市ダイラス。商船・客船・貨物船――多くの船迎え入れる港を内に抱えた広大な都市。

その都市から少し距離のある郊外に、その都市を見渡すことのできる牧草地帯めいた丘があった。
冬空ながら高い空が晴れ渡って風もない、長閑な昼。白いハーフコート姿の背の高い女が、ゆっくりとその丘を登ってくる。

―――本当に羊くらい、放し飼いしされていたっていいんじゃないのか――

ふと足を止めて辺りを見回した。理由は解らないが、そんな動物は見当たらない。軽く、失望めいた溜息をついて、ゆっくりとした足取りで再び丘の頂上へと歩みを進める。

ジナイア > 頂上付近に辿り着くと、冬とはいえ昼の日差しが強かったようで、すこし額を拭う仕草をしてコートの襟をくつろげる。少し汗ばんだ赤銅色の首筋が晒されるが、寒さは感じないようだ。
適当に腰掛けられる岩を見つけると腰を降ろし、携行していた細剣を足元に置く。

遠くに見える港は、様々な旗印を掲げた帆船や小舟が行き来しているように見える。
これが毎日の景色なのかこの時期特有の者なのかは知らないが、兎に角、賑やかなことだ―――
その、賑やかさから少し身を放したくて、宿の主人に教えてもらって足を向けた場所である。

「ああ、きもちがいいな……」

誰も見当たらないこととで、草原を渡る風の香りに翠の双眸を細めると、そう、独り言を漏らし、そのまま腰掛けた平たい岩に仰向けになって、空を上げる。
高い空に、鳶か鷹が、弧を描いている―――

ジナイア > しばらくそうしてぼんやりと空を眺めた後、ゆっくりと身を起こして、これも携行してきた革袋から水を口に含む。

ダイラスも街中は一通り巡って、今日の予定は何も決めていない。もっと楽しむなら、地元にもっと詳しい―――出来れば特に雑多な部分について――――人間とでも知り合いになるか、紹介してもらわねばならないだろう。
しかし、全く算段は付かない。

一度、王都へ戻ってみるかな…

ジナイア > ―――或いは、此方の戦場に身をおいてみても良いかもしれない。
そう、一瞬思いを馳せれば熟れた唇は笑みを形作る。

身を屈めて細剣を拾い上げる。本来の自分の獲物ではないので実は全く役に立てられないのだが、威嚇くらいには使える。
立ち上がるとそれを再び腰に携え、少し遠回りをして帰ろう、と街に背を向けて、丘を下っていく…

ご案内:「港湾都市ダイラス 郊外の丘」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦を見下ろす丘」にノーガルトさんが現れました。
ノーガルト > 『ノル、魔族の動きがまた活発になっている……。』
「……………。」

(ダインの言葉に、ノーガルトはわかっていると心の中でごちた。
家から少し行った先、散歩に出ていたのだが…ダインが少しだけ、ここに様子を見に行ってほしいと。

魔剣……魔法の剣ではなく、「種族としての」魔剣であるダイン。
魔とついている以上、魔族に近い性質を持っている彼らは、魔族の気配を敏感に感じ取る。
タナール砦を見下ろせるその丘で、ノーガルトは冷たい風を浴びながらため息をついていた。

はっきりと思おう、この国がどうなろうと知ったことではない。
何か危ういと思えば、さっさと船でもなんでも使ってこの国から脱出することも視野に入れている。
ノーガルトにとって最も守るべきものは、この国ではないのだから。)

「………活発化しているというが…やはり、魔王軍か?」
『わからん。……我もそこまで詳しくはない。だが……。』

(つい先日、魔族と人間側が争った気配があるという。
例の、旧神の籠とやらでこちら側に来れるのは雑魚ばかりだろうが…その力が、いつ途切れるかはわからない。
だからこそ…いつでも逃げられるようにしておけ、というのがダインの助言だった。)

ノーガルト > 『………タナールといったか、あの砦…魔族が占領している機会が多くなっている。…それだけ、攻勢に出始めているということだ。』
「………しかも守りも万全ということか……。」

(これは、早目に王都を離れておいて正解だったかもしれない。
今は、郊外の丘の上に居る。
王都の騒ぎは見聞こえはするだろう、しかしそれだけだ。
対岸の火事、というわけではないが。自分たちには無関係である。

だからこそ、逃げる時には素早く行動も起こせるだろう。
この国にはあまり未練らしい未練はない、護るべきものはそこにはないのだから。)

「逃げる算段は……しておいたほうがいいのか?」
『………用心するに越したことはない。』

ご案内:「タナール砦を見下ろす丘」からノーガルトさんが去りました。