2018/11/26 のログ
ご案内:「どこかの高い山の上」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 外出の用を済ませた帰り道。暗くなる前にお店に戻ろうと急いでいたら、どこからか漂ってきた霧に視界を覆われた。それでも歩き慣れた道を間違えるはずがない。ちゃんといつもどおりに帰ったはずだった。
しかし霧を抜けても帰るべき店の姿はどこにもない。代わりに目の前に広がっていたのは遠くまで続く青々とした尾根だった。
夢でも見ているのかと眼鏡を持ち上げて目を擦る。それでも見えるものが変わらないから瞳の力を使って周囲を眺め回す。わかったのは、自分がなにかに惑わされているんじゃないというという事くらい。
夢のようだけど現実だと理解して、こめかみをおさえた。瞳に入る情報が多くて頭が痛くなり、この状況を受け止めきれず眩暈がしそう。
空を見上げてみると、普段の生活で見るより雲が近くに感じられた。
どこかはわからないけれど、本当に高い山の上にいるんだと実感が伴ってくるにつれて胸が高鳴る。生まれてから今まで王都を出た事がなかったから、戸惑いより高揚感が強くなってきて。
ご案内:「どこかの高い山の上」にザイヴァーさんが現れました。
■ザイヴァー > どこか、高い山の上。そこに生えた一本の木の根元。そこで眠るは一人の冒険者風の男。
そして、傍にはサーベルが置かれていて。
『おい、ザイヴァー……寝てて大丈夫なのか?』
なんて、剣のバスカードが寝ている男。ザイヴァーに話しかけるが…
「黙れ愚剣。俺は今、休暇を満喫することに忙しいんだ」
そう言って、目をつむったままま、頭の後ろに組んだ手を枕に、目をつむっている男。
彼にとって、今日は数少ない休日なのだ。
しかし、そんな彼がなぜ、どことも知れぬ山の山頂にいるのか…
少し時間はさかのぼって、王都。
そこを歩いていた休暇中で、冒険者風の姿をしていたザイヴァーは、不思議な霧に包まれて…
気が付いたらここにいた。混乱はしたが、とりあえず、寝ることにしたのだ。
『まったく…そんなこと言ってると、王都に戻れないかもしれないぜ?』
「大丈夫だ。あの霧は恐らく、包まれるとどこかに飛ばされるという霧だろう。
で、その霧から戻ってきた者の話も聞いたことがある……
だから……ん?」
ふと、人の気配がした。
どうやら、ここに迷い込んできた人が、もう一人いるようだ。
とりあえず……待ってみよう。
その相手がだれであれ、この木は目立つ。きっとそばに来るだろう。
だから、それまでは……ゆっくりとしていようと。目をつむる…
■ミンティ > 魔物に出くわしたらどうしよう。このまま帰れなくなったらどうしよう。いつもなら真っ先に浮かびそうな不安も今は頭になかった。
おそるおそる傾斜のきつい、ほぼ崖のようなところまで歩いてみて、そこから景色を見渡す。こんなに高いところから下を見た経験がなかったから、そのまま吸いこまれそうになって、あわてて後ずさった。
怖さもあるけど、やっぱり胸の高鳴りがおさまらない。胸元を両手でぎゅっと押さえて、深呼吸をする。
「……すごい」
今までは本で読むか空想するしかなかった景色に自分が立っているのが信じられなくて、小さく呟く。それだけだと喜び足りなかったから、その場で何度か飛び跳ねた。
そういえば前に、お店に買い取りを依頼しにきた冒険者から不思議な霧の話を聞いた事がある。自分が潜り抜けてきたものが同じなら、帰るための霧も近くにあるのかもしれない。
それを探して見つけたら、もっと安心してこの景色を楽しめるだろう。そんな風に考えながらあたりを見回して、木々が集まり森となっている場所が白く霞んでいるのに気がついた。
聞いた話どおりに帰れる保証はないけれど、まずは胸を撫で下ろす。
そしてそのすぐ近く。大きな木の根元に眠る人の姿が見えて、肩をびくつかせた。浮き足だって忘れかけていた、本来の臆病な自分を思い出す。
危険がないか判断できるまで距離を取っておきたいけれど、後ずさると崖下に転落してしまう場所に立っている。迷った末、こわごわと距離を縮めて相手の様子をうかがった。
■ザイヴァー > 少しだけ、気配が近づいてきた気がする。だが、一気に距離が近づかないあたり、
相手は好戦的ではない、あるいは、あまり人慣れしていないのだろうか…?
いや、こんな場所で眠ってる冒険者風の男だ、怪しいと思われたのかも…
何て色々考えつつ、ゆっくりと目を開く。
少し天気の良さが目に染みるが、それに慣れれば、山の上にはあまり似つかわしくない、
だが、町中から迷い込んだのなら納得の服装の女性が…
「…やあ、こんにちは」
とりあえず、声をかけてみることにした。
ゆったりと、リラックスした口調で相手を驚かせないよう注意しつつ、話しかけて。
「その服装を見るに、君も、俺みたいにここに飛ばされたのかい?」
と話しつつ、立ち上がる。パッパと服に付いた葉をはたいて…
此方からは近づかない。自分は男。ここには二人っきり。もしかしたら、怖がらせるかもしれないから。
「……良い場所だね。ここ。なんていうか、リラックスできるっていうか」
なんて、話して…
■ミンティ > あまり足が早くないし、この草むらを自由に走り回れるような服装もしていない。万一の場合に逃げるためには、かなりの距離を確保しておかないといけないだろう。それでも捕まってしまう可能性の方が多いのだから。
そんな風に考えているせいで、歩いた距離はほんの数歩分くらい。間違って崖下に落ちないように背後のスペースを空けただけで、またじっと相手の様子をうかがった。
自分自身は王国の外に出る機会もなかったけれど、冒険者とは仕事上の付き合いもあって、そういった人たちの服装も見慣れている。木の根元にいる男性も、おそらく似たような職業の人だろうかと首をかしげた。
「……っ」
臆病に観察を続けていると、眠っていた男性が目をさます。声をかけられて、また身体を震わせた。あわててながらも挨拶くらいは返そうとしたけれど、口下手なせいで咄嗟に声が出ず、代わりに会釈を繰り返す。
話を聞く限りでは、相手も同じような事情でここにいるらしい。でまかせにしては突拍子のない話になってしまうから、その話は素直に信じられた。
「……はい。あの、霧の中を……迷っていて。それで、ここに…」
あいかわらず距離は保ったままだけれど、やっと声が出るようになった。相手の機嫌を損ねないように最低限の返事だけになってしまうのは悪い癖。親しげに話しかけてくる人を相手にそれは失礼な態度に思えて。
「……わたしは、こういったところには…今まで来た事がなかったので…
落ち着くというか、どきどきします…けど。…きれいで、いい場所だと思います」
おそるおそるながらも自分なりの感想を相手に伝える。高いところは酸素が薄くなると聞いていたけれど、本当にそうらしい。すこし話しただけで息が上がる気がして、肩を上下させた。
■ザイヴァー > たどたどしいしゃべり方の相手。どうやら、大人しいというか、人慣れしていない人の様だ。
それとも、自分が怖いのだろうか……まあ、冒険者など荒くれの仕事。その職業の人間と一緒にいれば、
女性は怖いものか…
なんて考え、ふっと笑んで。
「そうか。俺も、霧の中で迷てってね。気が付いたらここにいたんだ。
まあ、とってもいい場所だから、つい眠たくなっちゃってね…」
そう、できるだけ相手を不安がらせないよう、少し慣れない柔らかな言葉づかいで話して…
バスカードも、空気を読んで黙っている。
「…すこし、近づいてもいいか?
ああ、もちろん。俺が怖いなら、この距離で話そうか……」
そう言いつつ、返答を待って。
ふと、相手の方が上下しているのに気が付く。空気が薄いのか、それとも緊張でかい気が上がっているようだ
「まあ、とりあえず、自己紹介だね。俺はザイヴァー。まあ、冒険者だね」
本当は将軍だが、わざわざ言って怖がらせることもないだろう。
冒険者と言うことで通す。
「もしよかったら、俺の話、聞く?
これでも、色んなところ行ったことがあるんだ」
なんて、言おうか…
■ミンティ > 金品でも身体でも狙って襲ってくるつもりがあるなら、とっくにそうしているだろう。いつも人の顔色をうかがっているから、相手がこちらに気をつかってくれているのは、よくわかる。多分、悪い人ではないだろうと判断したけれど、それだけで人見知りが解消できたら苦労はない。
あまり失礼な態度にならないようにと気をつけて、安心した分だけ距離を縮めるのが精一杯だった。
「霧……って、あそこの…ですよね。……わたしも、噂には聞いた事があったのですが。
…眠く?」
すこしずつ声を返して、森の方に目をやった。消えていたらどうしようかと思ったけれど、帰り道の可能性がある霧は今も漂ったままでいる。同じような境遇の人と出会えて、やっぱりあの噂どおりなんだろうと思うと安心した。
自分よりも外の世界に慣れていそうな人がこれだけ寛いでいるんだから、そんなに危ない状況じゃないのだろう。ほっとしたら、のんきな相手の様子に小さく笑って。
「え、えと…、はい、……いえ、わたしが、そちらに。ここは…危なそうなので。
……あ、すみません。申し遅れました……、ミンティと、いいます」
いくらか距離を取ったとはいえ、まだ崖に近い場所に立ったまま。こちらに歩いてきてもらうよりも、自分が近寄った方が安全だろう。そのための勇気を振り絞ろうと、深呼吸をしてから、そろそろと歩き始める。
先に名乗られてしまうと、あわてて頭を下げ、自分の名前を口にした。
あとすこしで大きく広がった木陰に入りそうなところまで近寄って、大きく息を吐く。男性の傍らにある剣を見ると、すこし緊張がぶり返しそうになるけれど。
「……お話、ですか?」
お店にやってくる冒険者の話を聞くのは好きだった。多分、酷い事をするような人でもないだろうと考えて、小さく頷く。そのころには緊張も抜けてきていたから、木陰の下まで移動して、草むらに腰を下ろした。
それからしばらくは、男性の話を興味深そうに聞いていた事だろう。帰る時には一人でか、二人でか、それはお互いのみが知る話で…。
ご案内:「どこかの高い山の上」からミンティさんが去りました。
ご案内:「どこかの高い山の上」からザイヴァーさんが去りました。