2018/10/31 のログ
エフル > 「――あ」

呼ばれた。
望まれた姿は、お母さん。
望んだヒトは、小さな子ども。
絆をたべる「わたし」に、その役割を望むのは。きっととても悲しいことだけれど。

「おいしそう、だなあ」

母親亡き子の母への想いは、いったいどんな味だろう。
偽りの母として美味しい美味しい絆を育むべく、世界の何処かに降りていく――

ご案内:「どこか」からエフルさんが去りました。
ご案内:「九頭竜温泉 ふたなりの湯」にリスさんが現れました。
リス > 九頭竜温泉、受付でお金を支払い、少女は温泉に身を任せていた。
 そして、ふと、視線をどこかに向ける。向けるだけで、少女はすぐに視線を落とす。

「―――――」

 口を開き、こぼれた声は、温泉の他の客の嬌声に溶けて消え、本人の耳にすら残らずに。
 再度、視線を動かせば、視線は入口の方へ。
 さっきから一人でこういうふうにお風呂に入って、誰か来ないかしらと、心待ちにしていた。
 ほかのところでは甘い声が聞こえて、肌を打つ音も聞こえる。
 羨ましいわ、なんて思い、ふぅ、と熱の篭った息を吐き出してみせる。