2018/09/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にジードさんが現れました。
■ジード > 貧民地区の中でも一層治安の悪い路地裏の片隅。
ちょうど平民地区と貧民地区とを繋ぐ裏道に当たる路地に怪しげな露天が構えられていた。
「はい、毎度あり。効果のほどは保証するよ。
気が向いたらまたどうぞ」
そこに響くのは明るい声。店で買い物をした客に対して商品の入った紙袋を手渡して、
少々胡散臭そうな表情の男性客を営業スマイルで見送った後、
その姿が見えなくなると一気に気を抜いて若干陰鬱そうな表情を浮かべ。
「やれ、客が少ないねえ。普段はもうちょっとめかし込んでる奴が多いのに」
何か景気の悪くなることでもあっただろうかと訝し気に、
未だ棚に多く並んだ売り物――大半が薬品類を眺めて首をひねり。
■ジード > 「ひょっとして例の化け物騒動かな。
騎士とか兵士とかそういうのは出払ってるだろうしねえ」
そうなれば普段よりもかなり実入りが少ないのもうなずける話だ。
自分は実際に出くわしたことは無いが大きな騒動になっているのは耳に入っている。
「こういう時普通の商人なら書き入れ時かもしれないけどね、
傷薬でも作ってみるかな」
売れるかどうかは別問題だがと頬杖を突きながら漏らし。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にアリゼさんが現れました。
■アリゼ > 商人の前に現れたのは一人の女騎士だ。
彼女は棚に並んだ薬品類をしばらく眺めた後、頬杖を突いている商人へ
顔を近づけて小さな声で囁いた。
「……解呪の薬はあるか?副作用や反動があってもいい、
なければ自分の魔力を抑えられるような……一時的に無効化できるものはないか?」
そう告げる女騎士の表情は硬く、真剣に探していることをうかがわせるものだった。
■ジード > 現れた人影に視線を向けると見知らぬ女性が立っている。
真に迫った様子の言葉に驚いた様子を見せながらも、
ちらりと商品棚を一瞥し。
「呪い?ああ、それならあるけど…呪いと言っても効果がどこまであるかは呪いの程度によるね。
魔力を何とかするような薬というなら幾らか用意があるけど、どういうのが所望かい?」
■アリゼ > 商人の返答に気をよくしたのか、アリゼはさらに身を乗り出して事情を話す。
自身が魔族に命を賭けた呪縛を施されたこと、その呪いは極めて強力なものであること。
そして自身の魔力すらその呪いの維持に使われ続けていること。
呪いの具体的な内容は避けて説明すると、アリゼはさらにこう続けた。
「材料が必要ならば私が取ってこよう。とにかく、一刻も早くこの呪いを止めたいんだ」
■ジード > 「そういうのだとすぐに薬や魔法での解呪というのは結構難しいかもしれないな。
何せ呪いってのは魂に直接傷を刻み込むようなモンだからね、
下手に弄ると別の所に影響が出かねない。
呪いを解いて結果として四肢が動かなくなりましたは困るだろう?」
相手の言葉を聞いて少し考えながら言い返す。
当てが全くないわけではないのだが、すぐに何とかするのは
難しそうな案件だというのは詳しい話を聞かずともわかる。
「そうだね、足りないものはお願いするとしようかな。
とりあえずは魔力を抑える薬、でいいかい?
そこそこそれでも値は張るよ?」
そういいながら薬を取り出しながら提示したのは新品の武具を買っておつりがくるほどの値。
薬一つにつく値段としては成程破格に高いといえる値段だ。
■アリゼ > 「ああ、構わない。元から代金の値引きはしないつもりだ」
そうアリゼは答えて、紐で括られた布袋から提示された分の代金を迷わず取り出す。
武器や防具を買い替える費用や、手入れの費用は一切かからない分金は貯まる一方だったのだ。
「飲み方や一緒に食べてはいけないものに決まりはあるのか?
もしくは月の満ち欠けに左右されるとか」
魔力が関わるものは不思議なルールに縛られることがある。
満月に飲むべし、魚と一緒に食べてはならない、男女で半分ずつ飲まなければならないなど……
解呪のためにそういったことをある程度旅の中で学んだアリゼは、念のために聞いておくことにした。
■ジード > 「そこを割り切ってくれるお客さんはこっちとしても大歓迎だよ。
別に値引きに応じないつもりもないけどね」
笑って言いながらも代金を受け取れば、毎度ありと声をあげながら袋に
薬を包んでからそのまま相手に手渡して見せる。
「いいや、そういうのは特にないよ。
今渡した薬は体内の活力を、魔力以外の場所に回す薬でね。
早い話が力の分配法を変える為のものだ。
本当は、魔法何かが使えない戦士何かに使わせる薬なんだけどね」
つまるところ、魔力として返還される活力を身体能力に振り分けるという完全に戦闘用のポーションである。
そんなデメリットなど付けてはいられないと笑って首を横に振って言い返す。
魔力は弱まっても別に困らない、という物たちに使わせるものである。
「効果は1瓶半日。症状を聞くに飲んだら目に見えて呪いの効力が弱まると思うから、
効き目に関しての目安は解りやすいと思うよ」
■アリゼ > ふむふむとアリゼは頷き、薬を腰の革袋にしまった。
泊まっている宿で飲み、効果を確かめるつもりのようだ。
「それなら騎士としての責務も果たせるというものだ。
……名前を教えてくれないか?この国には来たばかりなんだ、商人の知り合いが欲しい」
商人というものは品物に加えて噂や情報を持っているものだ。
アリゼはここに来るまで何度となく行商人やキャラバンの護衛をしては噂話に耳を傾け、
呪いを解く術に繋がらないか注意深く聞いてきた。
この国でもやることは変わらない。商人たちの耳はどんな王よりも大きいのだから。
■ジード > 「へえ、この国の騎士なのかい?そりゃ見ない顔だ。
とっ捕まるのはちょっとごめん被りたいけど」
おや、と相手の言葉に目を瞬かせて言い換えながらも顎に手を当て、
改めて相手の事を上から下までしげしげと眺め。
「ジード、というしがない商人だよ。よろしくね、ぜひご贔屓に」
そういいながら右手を差し出して笑顔を向ける。
ある意味商人らしい、といえば実に商人らしい笑顔である。
■アリゼ > 「……アリゼ・アルクールだ。騎士と名乗ったが
実際はしがない冒険者さ、今はもうないが、ある国で騎士だったんだ」
そう言ってアリゼは着ている鎧にある紋章を見せる。
交差する二振りの剣が刻まれたそれは、騎士の紋章らしく勇ましい見た目だ。
「この近くの宿に泊まっている、解呪に関することを聞いたらすぐに教えてほしい」
籠手を脱ぐのではなく、ずるりと溶けるように鎧の中にしまわれる。
そうして染み一つない白い肌の左手を差し出された右手に重ね、固く握手した。
■ジード > 「よろしく、アリゼ。それともアルクール卿と呼んだほうが良いかな?」
なるほどと相手の身の上を聞けば納得した様子で頷きながら、
少しだけからかうように言い返しながら言い返し。
「承知したよ、何かわかったら必ず。
ああ、後は呪いの解呪の為の薬は用意しておくから、
その準備が整ったら声をかける」
ある程度の時間は必要だけどね、とも付け加えて返し。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からアリゼさんが去りました。
■ジード > 「――さて、っと。それじゃこっちもそろそろ切り上げようかな」
もう少しいい場所を探そうかと漏らしながら立ち上がり、
埃を払いながら荷物を片付ければ軽い足取りで細い路地へと姿を消していく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からジードさんが去りました。