2018/07/07 のログ
ロザリア >  
「気味は悪いかもしれぬがストレスにはならぬな」

ふっと唇を緩ませる
仏頂面がデフォルトの少女には珍しい光景である

「貴様は吾の叔母か何かか。やれやれ…。
 ──吾に人間の国を攻める理由などはない。
 血も…この城に踏み込んだ者と、時折王都へ遊覧する程度で事足りる」

事実、人間達に復讐しよう、などという気はまるでないのだ
人間が大嫌いであるということには変わりはないが、元々面倒を嫌う性格でもあった

「……しかしあれを止める理由もまたない。
 人間達が報復に訪れるかもしれぬが…先日と同じ結果になるだけであろう」

そう言葉を終え、ティーカップを口元へと運んだ

アザリー > 「ほ、ほら~あれですよ~適度なストレスは~適度な美容になるって~。」

愛らしい。仏頂面も色々理由付けも出来るから。
たまに見せる唇を綻ばせた姿は外見年齢相応の可愛らしさを見せてくれるのがまた、少女の魅力。

「叔母さんって年齢じゃないです~。……やっぱりロザリアちゃんは嫌がるかもしれないけど~。本当の意味で、『王』の器になってますね~。」

自分には彼女が眩く映る。嫌う物は変わらずとも、それを力に任せて蹂躙をしない。
自らを信じ従う者に対する振る舞いとそこに、差こそあれど。
無闇矢鱈な力の行使をしないのは、偏に魔族の側で未来を強く感じさせてくれる存在だった。知らず、微笑みは――瞳を見開き。
7色の輪が混ざり合う瞳を見せる時は笑顔が消える己が、微笑を浮かべ、さながら愛娘の成長を喜び、祝福するように微笑んでいた。

不意打ちのように手が伸びる。ティーカップを口元に運ぶ瞬間を狙ったかのように、だ。逃げない、迎撃しないなら、その成長著しい姿を見せた少女の頭を撫でようと――。

「まぁそうですね~。彼がそうしたいなら、そうさせざるを得ないでしょうし~。う~ん、美味しいお茶も頂けましたから~、この土地は余り荒らさないで欲しいものですね~。」

茶への返礼はするつもりだ。…仮に次に人間がこの土地を目指そうと。
空間に作られた落とし穴でタナール砦に送還されるような仕掛けを作ろうか、などと。閉じられた瞳の向こう側で思案をしていた。
ちょろい。

ロザリア >  
「阿呆、聞いたこともないわ」

小さく肩をあげてそう言葉を返す
少女の美容の維持は…あまり趣味の良いものではない
故にこの場では何も言うこともないのだが

「柄ではない。興味もない。
 そもそも吾は面倒事が嫌いなのだ──…ええい、撫でるでない」

一撫で二撫で、したあたりで煩わしそうにその手を払う
──単に恥ずかしかったのかもしれない

カップを置き、チェアの肘掛けに頬杖をついてやれやれと息をつく
城の近隣の者やたまに訪れる魔族等、謁見を迎えるだけでも面倒だと感じている少女からしてみれば、
王の器などと言われてもまるでしっくりこないのだろう

「降りかかる火の粉を払う以上のことはせぬ。吾の逆鱗に触れぬ限りは、だが」

過去に城下の村を蹂躙されたこと、それが切欠で第七師団との確執は始まった
──先日の攻防の結果を以ってそれで終わるなら、それが一番良いのだが──不穏の種は残っている

アザリー > 「えぇ~?私、騙された~?」

本心からの呟きではある。少女の美容については――噂話程度でしか知らない。この場でそれを口にださないならば噂話は真実なのであろう。

一つ、二つ。白磁の皮膚に残る質感は良く手入れをされた絹糸よりも上質な髪の質感だった。
素肌に触れると蕩ける様に髪は柔らかく掌に甘い弾力を返してくる。
無償でそれを体験させてくれたのは――大サービスにも思えてきた。
素直に手を払われると、ゆっくりと掌を戻し乍も。

「ふふ。そこから逃げる事無く~。責を放棄せず~友の、仲間の、領民の為を思える素敵さは~。誰も彼もが真似出来る様な物じゃないです~。
そして面倒ごとを~自分の配下に押し付けずに~ちゃんと自分で捌くのも~。」

本質的には遠い様で近い。お互いに、自らに火の粉が降りかからない限り、更に逆鱗に触れぬ限りは基本無害なのだ。
――――少女の、だが、という言葉から漂うのは、ほんの僅かな不安。
逆鱗に触れてしまう可能性の芽を摘みきれてはいないと言う事なのだろう。

「まぁ、誰かしら魔族さんも人間には警告入れてるようですし~。そうそう早急な戦争にはならないんじゃないんでしょうか~。
あんまり~追い詰めすぎると~暴発されちゃって面倒ではあるんですけどね~。」

まぁ暴発した程度なら。少女にとって敵ですらないだろう。不快な虫を潰すかのように軍勢を散らせることは可能なはずだ。
自分にとっても暴発されて――妹や。人間側の未来を期待させる人材を減らされるのも面白くはない。
この点では利害が一致しているだろうか。

「そうそう、近々~また人間さんの国にいきますけど~。何かお土産とかご希望ありますか~?お茶のお礼くらいは~したいな~って。」

ロザリア >  
「良さぬか、気恥ずかしい。必要とあらばやれる者がやるだけのことであるぞ…!」

次々に褒め言葉のようなものを挙げられる
そういったものがむず痒くてしょうがないのか、やや非難するような声をあげる

「どう警告をしようと、仲を取り持とうと、共に歩める道などはない。
 よしんばその道を誰かが見つけたとしても、別の誰かが潰してしまう。
 そんなもの、何百年もの間に幾度となく見てきた。…遅かれ早かれ、であろうな」

小さく溜息をつき、再びその手にカップをとる

「──と、いっても吾も人間の国に明るいわけではないしな。…何でも良いぞ」

いらない、と言っても無駄だろうと。何でも良いという言葉に変えてみる

アザリー > 必要とあればやれる者がやるだけ。さも当然というように口に出した事を実践し、完璧にこなせるのが何人いるだろう。
――口にこそ出さないが、少女は。暫く見ない間に素晴らしい成長を遂げている。周りにも恵まれたのだろう。
様々な出来事もあったのだろう。だがそれを負の財産とせずにいたから、今の少女がいる。

――ほら、こんなにも素晴らしい少女が君臨する土地に満ちるのは決して他では見る事さえ出来ない人々の活気。楽園ともいえる素晴らしい領地なのだ――。
口に出さないで微笑を浮かべて見守り続けたので却って居心地は悪くなるのかもしれないが。

「そうですね~。お姉さんの脳内会議でも同じ結論が多いんですけどね~。でも、もしかしたら。百年単位で無理なら千年単位で。それすら無理なら万年単位で――。一応、何人か面白そうな人間さんにはツバつけてますけど~。」

さぁ難題が振られた。というか次元間脳内会議が活性化するお題が振られてしまったようだ。
なんでも良いとは即ち、贈る側の器量が試される最大の難問なのだ。
忽ちに億を越えた論争が始められた。救いはこの場にいる2人には聴こえない声だという点だった。

「そうですね~。ふふ。土産などいらぬ、二度と来るな、なんていわれなくてお姉さんは嬉しいですよ~。甘い物は~御好きでしたか~?」

ロザリア >  
「…何がおかしい? …やれ、先の長い話であるな」

何やら微笑んでいると思えば数万年などと言い出す
確かにそれくらい時間が許すならば、色々な可能性も産まれるのかもしれないが…

「変に不意を打って抱きつこうとなどせぬならばまた茶で迎えてやろうぞ。
 ふむ、甘いもの…か」

じっ、っと己の手元。残りわずかとなった紅茶が揺らめくティーカップを見つめて

「嫌いではない、しかし茶葉と違い茶菓子はなかなか手に入らぬ。
 ──何か、紅茶に合うものでも見繕ってもらうとするかな」

単純な砂糖菓子等なら兎も角、意匠を凝らした甘味などとは程遠い土地である
以前色んなものを城に贈ってくれていた商人も随分と姿を見ていない

アザリー > 「いえいえ~。おかしい、じゃなくて嬉しい、ですね~。
良いじゃないですか~。先は多少長いくらいの方が、私も~ロザリアちゃんも~時間はあるのですから~。」

可能性の芽は潰したくない。
寧ろ育てたいのだ。幾つもの芽の一つだった少女が、今、こうして在ると言う事を踏まえた上で。

「うっ、うっ、お姉さんはロザリアちゃんを抱きしめたいだけだったのに~。
ふふ、それなら――ロザリアちゃんの分と。お友達やお仲間の子と食べられるように、少し多く。それと、日持ちのするものを選んで来ますね~。」

言葉に出さないが、お城の皆や――この分だと恐らく。茶菓子が手にはいりにくいなら、領民達にも少しは行き届く様に購入しておくのも良さそうだ。
少女を敬愛するここの領民達ならば。何れその茶菓子について色々と考案を練るのかも知れない。
そこから新たな茶菓子が生み出され、少女が喜ぶ姿を見れるかもしれないのだから。

「うん、お茶も美味しかったし~ロザリアちゃんの顔も見れたし~声も聞けたし~。お姉さん、今日で10歳は若返った気分だな~。」

飲み干し終えたカップを名残惜しげに戻す。お茶会は楽しい。だが、だからといって余り長引かせても少女の足を引っ張ってしまうことになる。
時々、遊びに来て少女の成長を楽しんだり――今みたいに、お互いに変に気を使わない間柄が、自分と少女にとっては一番心地良い距離感なのかもしれない。するり、と衣擦れの音はドレスと椅子の奏でた別れの音楽。

「それじゃ、ロザリアちゃん。今日はご馳走様~。次は~お土産沢山持ってくるからね~」

ちなみに、神罰移しの箱については箱を開けるだけで良い簡単仕様。
もし――あの傷を癒す手段が無い場合。少年の体の一部こそ箱に吸い込まれるが、神罰から逃れられたなら。後は少女が彼に魔力を注ぎ込めば復元は容易いだろう

ロザリア >  
「数万年とか抜かした者がたった10年若返ってどうこうなるものでもなかろうが」

じとっとした目でつっこんでやるのも、ロザリアにとっては数少ない相手かもしれない

「うむ…吾も随分とおしゃべりになってしまった。
 人間の国へと征くならば気は張っておくのだぞ。何があるかは、わからぬからな」

立ち上がったアザリーへとそう告げて、カップを手元へと置く
魔族である以上、あの国の領内において力を満足に発揮できないのは間違いない

──横へとおかれた箱をその手に携える
これだけでも、彼女が今日訪れてくれたことを感謝すべきだった

「土産を愉しみにしておるぞ」

けれど素直に言葉を投げられる基質でもなく、淡々とした言葉を手向け見送るだけに留まるのだった
その声色は、僅かながらに弾んでいるようにも聞こえた──かもしれない

アザリー > 「いいの~!こういうのは気分なの~!」

それは少女にとって数少ない相手でもある以上に。
自分にとっても数少ない、きちんと自分に合わせて突っ込んでくれる、何よりも得難い存在だった。

「心配ありがと~。大丈夫よ~こう見えてお姉さん、か弱い一般魔族なんだから~」

支離滅裂な言動は先ほどのお土産論争が続いている影響かも知れない。
魔族ではなく人間に体を組み変えるとは言え、大幅な制限が掛かってしまう。――それこそ、強力な人間相手では面倒な事態になりえる程に。
箱を素直に手にとった少女に、今日此処に訪れる事が出来て良かったのだと。心からそう思えた。

「ふふ~任せて~。お姉さんは~期待は裏切らないから~。またね、ロザリアちゃん。次に来る時は~なるべく欲望は抑えるから~」

抱きつこうとしない努力は約束しよう。努力は。
少女の声が僅かでも弾んだように聞こえたなら。スキップを踏むようにしてその場を立ち去る一人の魔族。
静けさを取り戻したその場に、次ににぎやかしのお…お姉さんが来るのは何時になるか。それは今は語られないだろう――。

ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からロザリアさんが去りました。
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からアザリーさんが去りました。