2018/04/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 王立図書館」にルシアンさんが現れました。
■ルシアン > 其処に通りがかったのは偶然の事。
借りようとする本を探し、また他に何か面白い物でもないかと適当に歩を進めて。
立ち並ぶ本棚の間を、背表紙を流し見ながらゆっくり通り過ぎて行くだけ。
ふと、そんな折に人気もまばらな中、自分以外の人影を見つけ。
たまたま歩いてきた方向が、其方へ向かう方向だった。それを変える理由も特になく。
「……何か、上の方に取りたいものでもありますか?」
こつこつと足音が響けば、女性にも此方が近づくことは分かるはず。
その姿が本棚の上の方を見ているらしいと分かれば、そんな言葉をそっと投げてみる。
■オフェリア > 上から順に本へ目を配らせて、やがて目的の文字列を見出したのは、程無くして直ぐの事。最上段から数えて二段目の中間で目当ての題字を見付け、ゆるりと眸を瞬かせた。
口許に遣った手を下ろす。――しかし、書架へ近付こうとはしない。
傍に寄り、腕を伸ばして、それでも指先が背表紙の角へ届くか如何か。見上げた本は、そんな推察の先に在る。
広い館内の中腹程、此処から入り口付近まで戻って受付で見掛けた司書に頼むか、踏み台を探し自ら登るか。
思い当たる選択肢にほんの僅か息を吐き、先ずは周囲へと、目を向けようとした矢先――
「――…ええ、見付けてしまいました。 困った事に」
鳴る足音。只行き交う利用者の一人と、それだけならば身を交わし通路を譲るのみだった。掛けられた声が、女へ向けられた物でなければ。
振り返る先を其方へ定めれば青年風の男が一人。口許に淡く笑みを浮かべ傾けた首を静かな会釈とし、眉を下げて今一度棚の本を見上げた。
■ルシアン > 通りすがりに見つけたその女性も、それなりに長身の部類ではあるようだけど。
それでも一番上には届かないだろうか。なんてその視線の先を目で辿ってしまい。
近くには図書館の係員もおらず、踏み台も見当たらなかったように思う。
なら、どうにもおせっかいな気質で声をかけてしまうわけで。
「ん…一番上でも、自分なら何とか。どれです?あの赤い奴か、その隣か…」
手を伸ばし、軽く背伸びでもすれば何とか背表紙に手が届くはず。
女性の会釈にこちらも軽く一礼すると、その視線の先へ。
本棚の上の方に目を向けつつ、この辺りだろうかと当りを付けて指さしてみる。
「………あれ?貴女は……」
ふと、その女性の顔に目をやると首を傾げる。ずっと見続けるのも失礼だろうとすぐに目をそらし、呟く声も小さく。
――平民地区はよく買い物にも出向く場所。そこに店を構える人物であれば、顔を見た事はあるのだけども…とっさには思い出せていないらしく。
■オフェリア > 男が其の侭通り過ぎるようならば其れに備え、背後の書架へ寄りもう一歩通路を空けておいた。
人目が在る。殊更、無闇に腕を伸ばして背伸びは出来ない。梯子に登る事も、然り。
故に男からの申し出は女にとっては幸運な一言だった。―若し、青年が其の侭過ぎ行こうとしていたならば、呼び止めて助けを請う手間が省けた、とも。
「まあ、 ご親切に、有難う御座います。
…其処、の…――」
胸の前で音も無く両手を合わせ、白い貌へと微笑を咲かせて男へ振り向いた。合わせて書架を指差す方を見、同じく指で宙をなぞる。
恐らく元は、白。褪せて薄茶色に侵食された背表紙を示そうと淡い桜色をした指先を定める矢先。
不意に上げられた疑問符へ、女の貌が緩やかに、傾いて。
「はい、 …如何か、されました?」
■ルシアン > 「…これ、ですか?……っと」
女性ならはしたないとか、人目を気にするとか、淑女らしさとか、そういうモノがあるのだろうけど。
こういう時に若い男というのは気楽なもので。
軽く背伸びをし、ぐっと手を伸ばせば、古びたその表紙に手が届く。
そのまま引き抜き、手元へと引き寄せれば一息ついて。
「はい、其れではこれを……ああ、やっぱり。貴女、大通りの雑貨屋さんでは?」
軽く埃のついている本の表紙を軽く払いつつ、それを女性へと差し出して。
改めてその微笑みを見るに、納得したように少し表情がほころぶ。
女性にはどうかは分からないが、青年からすれば時折、客として世話になっている店の店主であったはず。
「貴女のお店には世話になってます。何か困ったことがあると、まず品物を探しに行く癖がついてるくらいで…」
あはは、と笑いつつ。
■オフェリア > 青年の手が、望んだ書物の背へ届く。其れが他の本の間から抜き出されると、彼が何事か言い掛けた不完全な言葉の続きは其の侭に、いつでも受け取れる様相手の仕草を見守った。
願った書物は、著名な作家が遺した詩集。管理が行き届いた書庫に於いても尚表れた変色具合が年季を語る。
本が差し出されればそっと両手を向けて其れを受け取り、胸元に抱え――
「―――…あら、 まあ、御客様、でしたのね。
御免なさい、気付きもしないで…――よく、来て下さるの?」
礼を告げるより前に、思いがけない句が男の口から放たれ、女の口唇の形は予定と異なった音を乗せた。
大通り、そう指し示された雑貨屋は、女が商う店に相違ない。華やいでいた表情をほんの幾らか翳らせて、眉を下げる。
一方の掌を頬へ添え、浅く首を傾けて。明るく笑う、青年の顔を、じ、と見る。時折睫を上下させ、紅い眸を瞬きに覆いながら。
■ルシアン > 恐らくは貴重な品物なのだろう。何人もの人に読まれてきた重みのようなものも感じられる。
文学という方にはなかなか疎いのだけれど、それでも表紙にある作家の名前には見覚えがある、程度の知識はあって。
大事な書物、丁寧に女性へと手渡し。
「ええ。貴女のお店で見つけたランプとか、他にもフォークとかの食器とか。
いつも使わせてもらってます。使いやすくて、子供にも優しい。ありがたいです」
良く来る、とはいえど多くて月に一度くらい、だろうか。それも物を買うとは限らない。
ウィンドウショッピングだけの時だってあるわけで、店員の側からすれば覚えていなくて当然だろうと笑ってみる。
だけど、便利なお店であるという評価。道具を使うものには分かるわけで。
「またいずれ、お世話になる事もあると思います。その時はよろしくお願いしますね。
お会いできて嬉しかったです。それでは…」
ぺこり、と一礼。そのまま、また書架の向こうへとゆっくり歩み去っていく。
期せずしての出会いは何処か嬉しい物であったようで…。
ご案内:「王都マグメール 王立図書館」からルシアンさんが去りました。
■オフェリア > 青年の顔を見詰めて、記憶を遡る。――が、憶えていると、微笑んで誤魔化すには少しだけ気が引けた。そんな程度には、訪れる客人は誰も穏やかな人間ばかり。
恐らくこの青年も、そう、なのだろう。記憶に無いのを詫びる代り、告げられる謝辞に笑みを戻し、緩く頭を振る。
「いえ、 此方こそ、有難う御座います。―この本、も、ですけれど。
今度お越しの際は是非、お声掛け下さいな。 これでもう、貴方のお顔はしっかり覚えたから」
別れを告げる青年に会釈を送る。きっと彼が見掛けたと言う、雑貨屋での振舞いと同じ様に。
やがて見送った姿が通路の角を曲がるのを見届けると、詩集を腕に抱いた女もまた静かに歩を進め、読書用に備えられた卓へと向かう。
――其れを読み終えた時は潔く、係に強請って代わりに棚へ戻して貰う、そんな心算でいた。
ご案内:「王都マグメール 王立図書館」からオフェリアさんが去りました。
ご案内:「第十三師団拠点」にヴェルムさんが現れました。
■ヴェルム > 王都より北に離れた場所にある第十三師団の拠点。
元より街道沿いに位置していることもあり周辺の治安維持にも一役買ってこそいるが、この場所に訪れる客人は皆無である。
広大な土地を利用した訓練場と宿舎などを裏手に持ち、表は以前の持ち主が立てたであろう屋敷を改修し、師団長や師団幹部の住居権執務室として利用している。
「流れが見えてくるか…」
第十三師団の目的はシェンヤン帝国との戦闘。
そのために各地から帝国に関する様々な情報を集めている、当然その過程で帝国以外の興味深い情報もあったりするが。
どの師団もこういった情報収集活動は行っているだろう、だが十三師団の間者の数も、情報提供者の数も他と劣っていない自負はある。
テーブルに広げられた地図は、この王国領のもの。
各地より集められた情報から、王国内に入ってきた帝国関係者を追跡し、その動きを地図に示して関係性を見極めようとしていた。
「…やっぱり、『山』か」
地図に帝国スパイの動きを線にして現していくと、線が濃くなってくる部分がある。
九頭竜山脈…この近辺での動きが活発であることは明白。
始皇に関する噂を肯定する根拠でもある、実に哀れな話になるが。
■ヴェルム > 始皇の噂が本当ならば、こちら期待しているものは出てきそうにない。
気になるのは以前と異なり、帝国においても役人の腐敗が進んでいるということくらいだが、これもアレの影響なのだろうか。
何かしらの変化があれば動くアテができるのだが、そう都合良くはいかない。
こちらの持つカードを使うのはもう少し先になりそうだ。
「あとは現実的な問題か…」
広げていた地図を除けると、すっかり放置していた書類の山。
サインしたところで誰が見るのかと思うところであるが、これも中間管理職のさだめか。
ふぅとため息をつけば、書類を一枚ぺらっと取り内容を精査し始めることにしよう。
「やっぱ身体動かすほうがいいなぁ…」
ご案内:「」からヴェルムさんが去りました。