2017/06/07 のログ
ご案内:「森」にルーフェンさんが現れました。
■ルーフェン > 王都から半日ほど行った深い森
王都からそれ程離れていない割には近づく人間は然程無く、自然と獣が多く、狩り(素手)には打ってつけな場所であった
そんな場所に久々に訪れれば、森はシン、と静まり返っており、獣の気配がさっぱり消えていた
今日は腹いっぱい食おう、そう決めていたドラゴンは、あ然として何事があったのか、と森の中をさまよい歩けば、
出るわ、出るわゴブリンの集団…
木の木陰に、湖の畔に、廃坑の暗がりに…雲霞の如く、そこいらじゅうにいるゴブリン…
こんな連中がどこからか湧いてくれば当然、獣たちは退散するわけで…
そこへひょっこりとやってきた腹を空かせたドラゴンは狩場を荒らされた、と烈火の如くキレまくった
そこいらにいるゴブリンを千切っては投げ、拾ってさらに千切るくらいには暴れまくったのである……
―――というのが、3日ほど前の話で
暴れまわったドラゴンに、なぜだか集まったゴブリンたちも四分五裂。ガス欠になったドラゴンはすっかり疲れ切った
所で、食うのは諦め、水でも一口飲もう…と湖の畔で、掌に水を掬った所で力尽きた…
水辺に打ち寄せる波に、突っ伏すように倒れた姿は、故あって入水自殺をしたものの、
湖の精霊かなにかに嫌われて波で押し戻されてきたようなざまである
「……ぷっあっ、今、起きた!」
3日ほど眠っていたが体力が戻れば、ばばっ、と立ち上がる
次の瞬間、腹が鳴り膝をついた…次第に、冷静になり自分の置かれた状況を思い出し始めた
腹が減った…濡れた髪をガシガシ、と掻き乱してから、淋しげに鳴る腹を撫で付けた
ご案内:「森」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > (諸国漫遊の旅、なんて言えば聞こえはいい。要するにあっちこっちふらふら、行く宛の無い根なし草。喜びヶ原から漕ぎ出したばかりの旅路、向いた足先はそうとも知らず、相手の狩場のテリトリーだった。三日前に並み居るゴブリンたちがひぃひぃ言って尻尾巻いて逃げ出した事もつゆ知らず。呑気に偶然通りかかる道すがら)
んーっ。気持ちいい森だなあ。あ、湖!ちょうどいいや。水補給して休憩しよっと。――って、誰か居る……?
(見つけた湖。湖面のきらきらと同じぐらい瞳をきらきらと瞬かせると。そのすぐそばで何やら急に立ち上がった人影。見た目はどこかの旅人のようで。そっと後ろから挨拶しようと片手を上げたところ聞こえたのは淋しげになるお腹の音。思わずくすくす、笑みを零せば相手の耳にも届く)
よかったら――ごちそうするよ?隣人さん?
(旅は道連れ。よくよくそう聞かされて育った自分には、出会った人は皆隣人なのだ。それがドラゴンだとは知らぬまま。そっと声をかけつつ、敵意が無い事を示す柔い声音で。身体にくくりつけている旅荷物から取り出したのは昨日作ったばかりの燻製ベーコンがいくつか。それを片手で示しながら相手のほうへと)
■ルーフェン > 「水ばかり飲んでも…腹がたぷたぷするだけ…」
ぐわぐわと鳴る腹を擦っても腹が満たされるわけでなく…
自分がどれだけ寝ていたかはよく判らぬが流石に今回は百年単位ということはないだろう
ともすれば、これから狩り(素手)に出向いたとしても、獲物が穫れる気がしない
近頃は陽気も良かったようだから、千切った破片がそこら中で嫌な匂いを放っている…敏感な獣は余計に近づかない
のではないだろうか
「……―――っ?」
声を掛けられれば、む?とそちらへと視線を向けた
その湖の湖面のように輝く瞳に…で、なく…彼女が取り出した芳しい香りのベーコンに
…空腹とは恐ろしいもので、彼女の手の中で輝かんばかりのベーコンを見せつけられた瞬間、
彼女がこちらに近寄ってくるのにも構わず、恐ろしい速さで飛びかかった
小麦のような健康的な肌を持つ、華奢な体躯を毒牙に……とか言うんではなく、
艶やかな飴色に輝く、燻香香る肉塊を竜牙にかけんとして飛びかかったのである
■タピオカ > 空腹の胃袋に水やりするほど寂しいことはない。飲んだらちょっと空腹感は紛れても一時しのぎ。道中はらぺこではさぞお辛いでしょうと差し出したベーコン。こちらへ向いた視線は濃紺の瞳。ややきつめの目つきは飢えと、どこか複雑な色が見えた。湖面の光に彼の黒髪が透け、ほんのり青さを帯びる様子が見え。ほらほらいかが?とにっこり笑みを向けた表情が驚きに代わり)
「え……わあっ!?」
(まるで何日もひもじい思いをしていた子供の目の前に焼きたてのパンを差し出したよな勢いに足を止めて、びくりと肩を震わせ。反射的に身構えようとするが、遊牧民秘伝の燻加減と塩加減にて生成された肉塊に向けて飛びかかってくる様子を伺い知ればぱちぱちと丸めた瞳を瞬かせ、睫毛を弾ませた後に目尻を緩める)
そんなにお腹すいてたの?ほら、どうぞ。
(彼の手のとりやすい位置へと両手で捧げられる肉塊)
■ルーフェン > しゃー、とか。そんな声のような呼気を漏らしながら彼女……ではなく、彼女の手にしたベーコンに飛びかかった
驚いた様子の彼女などは視線に写っていないのか、意にも介さぬ様子で、捧げられるベーコンを素早くひったくり犯も
かくや、というような早業で取ったかと思えば、既に口元へ運ばれている
「…んまい」
そして、一瞬で冷静になる
最初こそ、勢い良く食べ進めていたが、次第にゆっくりとした速度になっていき…幾らか腹に物が入り、
味わう余裕が出始めた所で、ようやく彼女の方へ視線をちらり、と向ける
「香りも良いし、肉は好きじゃが…少々、塩辛い…
恵んでもらってなんじゃがな…主は毎日、こんな肉を食っているのか?」
身体に悪いぞとか、付け足すのだが、食べることは辞めない
口と手は動かし続けながら、視線は彼女をマジマジと観察するように、遠慮なく向けられる
こんなに塩が効いたものを食ってばかりいるから、薄い身体をしているのではないだろうか…
内心、ドラゴンはそんな事を考えたりするが、流石に物を食べながら言葉を喋ることはドラゴンにも出来なかった
…結局、何のかんのいいつつも、ぺろり、とベーコンを食べてしまえば、はふ、と息を吐いて
「ようやく心地が付いたわ…助かった…で、主はこんな所で何してるんだ?」
胃袋にはまだまだ、余裕があるのだが、一先ず、眼の前の彼女のことをたずねることにした
ひょっとしたら、何かの拍子にさらに食い物をもらえるかもしれない、とか思っていたりいなかったり
■タピオカ > 「あは。塩辛かった?だってこれ、保存食だもの。ちゃんと調理するともっと美味しいよ?ポトフスープにするとか。パンと一緒に食べるとかね」
ちらりと向けられた視線にはそう答える。そのままでも十分おいしい栄養源だけれど、たとえばここの湖で水を集めて木の枝から薪を集めて火を起こし、手間暇かければさらなる香ばしさの食物を提供する事はできる。先の勢いなら、まず空腹そのものを満たしてあげたほうが良さそうだった。という判断だ。時々威嚇音めいたしゃー、という呼気が聞こえた事にやや小首を傾げるが、2、3度瞬きをするのみでその事はさておき。ベーコンを食べ終えてひと心地ついたよな台詞にはこくりと頷いて。よかった、と微笑む。
「旅をしてるのさ。一族の掟で、1人で旅に出て色んなものを見たり、体験する事になってるんだ。例えば、はらぺこの隣人さんにベーコンあげたりね。……おにーさんも旅の人かな?この先にあるっていう王都に戻る途中でご飯が尽きちゃったとか、そんな感じかな」
なんだか彼の視線がうろうろしてるよな気がする。質問に答えながらも、身体にくくりつけている布袋の後ろから林檎をひとつ取り出した。「まだ欲しい?」とばかりにそれを相手の目の前に差し出しては会話を続け。
■ルーフェン > 「色々と考えるものじゃなあ…食うことに関しては本当に人間はどうかしてる…」
彼女の言葉に判ったような判っていないような表情で頷くが、これまでの経験で、人間が食べるという事に関して
並々ならぬ知恵と工夫を凝らしていることは十分に知っていたし、その事に関して言えば、ドラゴンも敵わない、と
思っている
良かった、と彼女が微笑みを浮かべれば、旨いぞ、偉いぞ、となぜだか偉そうに返して
「一族の掟?なんだか、仰々しいのな…
わしもまあ、似たようなもんだな…近頃は王都の周りでフラフラしておる」
物見遊山じゃな、と付け足してかはは、と笑えば彼女の手には林檎があって
当然、まだ腹が減っていたから、断る理由もなく彼女の差し出してくれた林檎を受け取り、しゃりしゃり、と
食べ始める
「…とは言っても、人間の主が王都で見るものなんぞあるのか?
デカいし、広いが人間の住む街なんてどれもこれも似たり寄ったりではないか?」
あっ、と言う間に林檎を食べ、最後に残った芯もぽん、と口の中へ放り込み咀嚼してしまうと、そんな疑問を口にして
首を傾げてみせた
■タピオカ > 「人間はどうかしてる?……ってことはおにーさん人間じゃないの?」
旨いぞ偉いぞと言われたらますます笑みを深めるけれども。ふと呟かれた言葉には疑問を覚えて、まじまじと濃紺の瞳を見つめよう。古めかしい物言い、浮世離れした雰囲気。見た目は人間だけど、どこかが長い年月分ずれてる感じがする。
「そうなんだ。あぁ、そうだ。少し前近くを通りかかったキャラバンの人が、このあたりにゴブリンがやたら増えてるって教えてくれたよ。フラフラするならおにーさんも気をつけたほうがいいかもね」
まさか目の前の人(竜)が少し前に蹂躙しまくったとは想像もできず、相手にしてみれば余計なお世話を口にするのは単に湖のそばでお腹をすかせていた彼がなんだか心配になったからだ。林檎はよく熟れて果肉が締り甘酸っぱい。もうひとつ取り出せば自分もしゃり、と一口かぶりつく。
「王都そのものを見たいんだ。僕の故郷はずっと田舎、メグメールの北の奥で。地平線以外はほとんど何もなかったから。王都はとっても都会だって聞いたから、色んなお店とかお城とか見て回りたい。――おにーさんは都会とか見慣れてるっぽいね。港湾都市ダイラスっていうとかは行った事はあるの?」
最後の芯が彼の口の中に運ばれていく様子を見て、やや目を丸めた。野性的な人だなあ、とその後すぐ唇が笑みを形づくって。
■ルーフェン > 「ん?ああ…おう、ドラゴンじゃ」
ベーコンか林檎か、歯の間に挟まっているのが鬱陶しく、近くの小枝をガジガジしながらあっさりと正体を晒す
隠しているわけでもなく、己の種族に誇りさえ持っていたからそれはもうあっさりと
青緑の瞳が、こちらを見つめればパチパチ、と目を瞬かせてから、咥えた小枝をぷっ、と吐き捨て
「あー…おう、あれなあ…一杯いたからなあ…まだその辺におるかもしれないな?
あやつら、どこにでも湧いてくるなあ…わしの狩場も荒らされ放題だったわ」
未だに湿った髪をかしかし、と掻きながら彼女の話に頷く
彼女が腰に佩いた曲剣を見れば、まあ彼女も使うのだろう、とは思ったが、主も気をつけるがよかろう、と付け加えた
「…ふぅん、わしもかつては北の方に住んどったわ
と言っても、ずーっと、ずーっと北の方だったが…あれじゃな、同郷みたいなものだな?
怖いぞー、王都は…鉄の武器で武装した連中が彷徨いとるし…顔も性根も悪い連中がわんさといる」
彼女が田舎から出てきたと判ったらにひひ、と犬歯を覗かせて笑い、不安を煽るような口調で言った
言っていることはそんなに的外れではないかもしれないのだけれども
「…ダイラ、ス…?そういえば、行ったような行ってないような…?
―――ほんで、主よ。王都でどうやって生活していくつもりじゃ?見物しとってもそんなもん、2日3日あれば、
大概のモンは見て回れるじゃろ?」
彼女がかぶりつく林檎の甘酸っぱい香りに口の中に唾液が分泌してくる
まだまだ、腹は減っているから、どうしたものかとあたりを見回し、口寂しさに
適当な野草に手を伸ばせばもしゃもしゃ、と食べるが数回、噛んだどころでうえぇ、と吐き出したり
■タピオカ > 「そうなんだ、ドラゴン。……ドラゴン!ドラゴン!?ドラゴン!?」
近くの小枝かぶりつきに行った、その人間とは違うレベルの挙動を見せる彼にやや戸惑いつつも素直に頷きかけ。空の王者とも言う怪物の種族が目の前のその人だと信じられない。急に飲み込む事ができないドラゴンという言葉を繰り返しながら、驚きに両足をぱたぱた足元で踊らせながら。あの、ドラゴンってこんなおっきくて、翼あって、炎はいて……と忙しないジェスチャーを繰り返しては彼を何度も見上げて。
「わしの狩場って……!もしかしてこのあたりもおにーさんの狩場ってやつ?ドラゴンのテリトリー?ごごごっ、ごめんなさい!」
主も気をつけるがよかろう、と言ってくれる様子だと怒っている風には見えない。ただ、無断で人の庭に踏み入れるのは人にもドラゴンにも非礼だろう。あわてて頭を深く下げた。曲刀の腕には自信があったが、それとこれとはまた別の話しで。
「ずっと北……。いつも雪で閉ざされてる白煙郷のあたりかなあ。へへっ。同郷だね。改めてよろしく!僕はタピオカっていうんだ。――ううう。怖いなあ……顔も性根も悪いって……。ねえ、ドラゴンさんは王都によくない思い出でもあるの……?」
犬歯が覗く様子。なるほど、どこか動物的なイメージはここからかと納得しつつも。同郷のくだりには声音を高くして喜び。おどろおどろしい、絵本の中の悪者が登場するよな王都紹介にはまんまとひっかかって。身を縮こませるよな格好。ふと思いついた疑問を彼に投げかけた。
「うーん……。王都についてからどう生活するか考えてなかったよ。路銀もずっと続く事もないだろうから……。これでも剣の腕に覚えはあるから、ボウケンシャギルドっていうとこでお仕事貰おうとおもってるんだ。それで、それでだめなら……えっと……」
相手のごもっともな指摘に少し悩むように瞳を瞑って首を傾ける。腰の剣に手をやっては一瞬で鯉口を切り、刃部分を少し露出させる。そんなやり方で腕を披露しては戻した。他に生活手段といえば、都会の女の子が誰もやっているという春売りなんだろうか。そう思い当たればやや頬も赤らむ様子で口ごもり。
「って、ドラゴンさん、その草は苦い雑草だよ。もうひとつあるよ?」
もしゃもしゃ林檎を頬張っていると、うえぇぇって雑草吐いちゃう相手。慌てて最後のひとつの林檎を取り出せば相手に差し出してみせ。
■タピオカ > ともあれ、随分長居してしまったな。とそう感じて。
「ドラゴンさん、そろそろ僕、王都へ向かうね。縁があったらまた会お?」
林檎をお腹に収めてしまえば、少し傾く太陽の光に気づいて。湖に寄れば水筒の水を補給した後にひらりと片手をあげる。彼の反応を見たあとにこの場を後にするだろう――