2017/05/25 のログ
ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」にリスさんが現れました。
リス > 平民地区の一角、その奥の方に隠れるようにひっそりと開いている店がある。
 その店は女の子限定でしか入店できず、女の子が、女の子を求めて来店する。
 店主も、給仕も全員女の子でそういう趣味を持ち合わせているらしい。
 二重にされている入口の扉を開き、入ってくるひとりの少女。
 店主に視線を這わせ、駆け寄ってくる給仕に身分証替わりの会員証を渡す。
 それを見れば、直ぐに席へと案内される。

 別に会員制という訳ではない。
 本当に女の子かどうかが問題なのである。
 二重扉のうち最初の扉を開いた時に、物理的に、魔法的に女性かどうかを調べられる。
 女性と確認されたら、会員証とともに店の中に入れてもらえる。
 両性具有でも、自分は女性だと伝えたら、ちゃんと入れてくれた。
 店内は20人が入れるかどうかのお店で、ちゃんとしたカフェである。
 ほかにお客さんはいないらしく、少女はのんびりとした足取りでちょっと奥の方にあるテーブル席に移動して腰を下ろす。
 そこからだと入口がよく見えるし、入口からもよく見える。
 コーヒーを注文してから、誰か来るといいな、と小さく呟く。

リス > 基本的には、女の子同士。
 精神が女の子なら、両性も許容してくれるらしいこの喫茶店。
 そして、最大の特徴は、そのまま奥の部屋で人知れずの密会ができること。
 そんな風にしなくても、そういう宿はたくさんあるけれど、店主の意向でこういう形をとっているそうだ。
 拘りというものなのだろうか、ちょっとよくわからないけど、そういうものなのね、と思っておくことにする。
 まあ、それで助かっているのだし。

 コーヒーが運ばれてくる。
 エッチ目的の店とはいえ、飲み物も、食べ物も凄く質は良い。
 ただ、女の子だけで食べて飲んでわいわいするだけでもすごく楽しそうだ。
 ああ、それもいいかもしれない、なんて思いながら、珈琲をすする。
 いい匂い、豆もいい物を使っているようだ。
 体の芯まで温まる気がして、ちょっと顔がほころんでしまう。
 そして、ちょっとばかり小腹がすいたところに見える誘惑。
 あまぁいケーキとか、ケーキとか。
 食べたいな、と思うものの、食べるとお腹の周りが。
 ただでさえ、柔らかめなのにこれ以上は、とは思うけど食べたい。
 理性と葛藤の、板挟み

リス > 「うーん……」

 一時間程度ではあるが誰も来ない。
 今日は日が悪いのかも知れない。
 もしかして、誰か来ていても、ケーキを食べるかどうか悩みすぎて見落としていたのかもしれないのだけれど。
 それはまあ、あっちに放り出しておくことにしよう。
 どうしようかしら。
 少女はじぃ、と眺める。
 
 ケーキは食べたい、でもでも。
 ふと時間を見ると結構いい時間だ。
 もう少しだけ待って、ダメなら帰ろう。
 ケーキは諦めた模様。

リス > 「……流石に今日は日が悪かったかしら」

 というか、時間が悪かったのかしらね。
 少女は軽くため息を吐いた。
 コーヒーの代金を支払い立ち上がる。

「じゃあ、またいずれ。」

 次にいつ来れるかはわからないけれど。
 また来れる時には来るわ、としょうじょはみせをあとにするのだった。

ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」からリスさんが去りました。
ご案内:「ミレーの里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 防壁の建築を進めるさなか、私は食堂のすぐそばにある畑で野菜を作っていた。
もちろん、食料としてなら狩りをしてくれるミレー族がいる。
彼らが捕ってきてくれる動物や魚をさばき、食料として備蓄しておけば食べるのに困ることは、そうそうない。

だが…それじゃ栄養が偏ってしまう。
適度に野菜も取らないと、どうして美緒委が持たれたり病気がちになってしまう。
私が以前住んでいたミレー族の里も、狩りだけでなく野菜も作っていた。

「はい、それも収穫してください。」

私は、手伝ってくれているミレー族の子供に指示を出した。
防壁の建築は、現場を監督してくれる人を一人とあとは大人が総出でやれるほどに、効率が良くなった。
その間、女子供たちは手が空くのでこうして収穫や、栽培を手伝ってもらっていた。

皆、虐げられて逃げてきたミレー族だ。
自分たちのために野菜を作り、そしてみんなで収穫して食べる。
そのことを幸せに感じてくれている…楽しんでくれている。
私も、自然と笑みを作りながら、葉野菜を籠の中に入れた。

ご案内:「ミレーの里」にウィルバーさんが現れました。
ウィルバー > フィールドワークは教師をしていくうえで重要な仕事だ。
外に出ることで中では得られない発見をすることがあるし、何よりずっと同じ建物に籠っていると息が詰まる。
なので、今日は思い切って王都から外れたエリアまでやってきた。 この辺りは王都では暮らすことができない立場の者達が隠れ住んでいる場所があちこちあると聞いていた。
漆黒の翼で空を切り、地上を見下ろしていると壁のような物を作ろうとしている一団が見えた。

興味を持ったので、少し離れた場所に降りた後、人の姿になってからゆっくりと、警戒されないようにとっておきの柔和な表情を浮かべてから近づいていくことにした。
「こんにちは、ご精が出ますね。」
あまり近づきすぎると100%警戒されるだろうから、銃を使っても届きそうにない距離から声をかけた。
大丈夫、ここまで気を配ればイケルはず。

レイカ > 「…………っ!!」

野菜を収穫している間、いきなり声を掛けられた。
私は振り向き、その人物が…ここにいないはずの人物がいるのを見ると、警戒心をあらわにした。

防壁を作っている最中とは言え、ドリアードの情報網を張り巡らせている中を私に気づかれずに、ここまで来るのは不可能。
じゃあ、私に気づかれずにこの里に入り込むにはどうすればいいか。

答えは簡単、空からの侵入しかない。
まだ空からここを隠せるだけ、中央の大木は育ち切っていない。

一番恐れていたこと…空からの侵入を許してしまった。

彼の考えは少し甘かった。
いくら警戒されないように、柔和に行こうとしてもここの里に暮らしている皆は、非常に警戒心が強い。
外からやってきた人物に対して、恐怖心を抱いているミレー族は突然の来訪者に、おびえたような眼差しをむけ。
また一部の人間は、逃げるように家に走っていった。

「………何者だ、空からくるなんて……魔術師か?」

ウィルバー > うわあ、やってしまった。
昔、道で可愛い猫ちゃんに食べ物を与えようとしたらフーーーッと叫ばれ逃げられた記憶が蘇る。

怯えた目を向けるミレーの子や、家屋に逃げ出す背中に違うんだよと叫びたい所である。

「そう、僕は街の方で魔術とかを教えている先生なんだけどね。 人に物を教えるには自分もそれなりの経験と知識がいるんだよ。
だからこうしてフィールドワークとかよくするんだよ。」
鼓動が早くなるのを感じる。 おそらく額には脂汗も浮いてるかもしれない。

こちらに問いかける女性はここのリーダーだろうか。 怯える子たちとは対照的に鋭い気迫を感じる。

「君たちはあれかい? 事情があってここまでやってきたクチかい?」
正直、目の前の女性はちょっとどころかかなり怖いが、知識欲には抗えない。
気付けば口だけは滑らかに動いていた。

レイカ > 「フィールドワーク……?」

魔術を教えている先生、ということはコクマ・ラジエール学院の関係者か。
…余計に不味い相手に見つかってしまったと、私の額に汗が浮かぶ。

あの学院は、貴族階級の人間を多く取り入れていることを知っている。
その貴族に、ここのことを知られたらどういうことになるか…。
最悪の場合も考慮しなくちゃいけない。

このままこの男を返すわけにはいかなくなってしまった。
口封じ、もしくは何か対価を支払って個々のことを黙っててもらわないといけない。
警戒したまま、私は彼をじっと視た。

「………そのことに答える義理はない…。
フィールドワークは結構だが…ここにはキミの役に立つような情報はない。
せっかく来てくれて悪いが…お引き取り願おう。」

ウィルバー > 交渉の基本は相手の仕草をよく見ること。 その中に何かしらのヒントがあることが多いからとどこかで聴いた。
相手の額に汗が浮かぶ。 …どうやら警戒をさらに強めてしまったようだ。
恐らく、リーダーっぽい女性は王都でそれなりの地位を務めたことがあるのかもしれない。
ウソをつけるような状況でなかったとはいえ、不味いことを口走ったものである。

「そう構えないでよ。 学院には居ることは居るけど、別に出世欲があるわけじゃないし。
それに君らのことを売ろうなんて気は更々ないからさ。 そうだ、なんら授業とかしてあげてもいいよ。 僕、こう見えて教え方が分かりやすいって評判なんだよね。」
いよいよ女性の眼がはっきりとモノを語りそうなレベルに強くなってきた。
そろそろ拳で語ってくるかもしれないと念頭に置きながらも、生徒に説明するようにゆっくりめに語ることにした。

しかし、こんな時に不謹慎だけどこのリーダーっぽい人、綺麗だよね。

レイカ > 「…………っ…。」

私の目は、人間の種族を判断できる。
彼のオーラの色は赤、つまり魔族ということになる。
魔族が学園で生徒を教えていて、しかもフィールドワークをするなんてそんなバカげた話があるのかと、問いただしたくなる。

だが、身分を隠し、種族を隠して王都に住むものは数限りなくいる。
その中の一人、だと思えばそこまで違和感はなかった。

「………授業?…魔術の授業か…。」

…そんなことをして彼に何の得がある?
王都で暮らしているなら知っているはずだ、ミレー族一人でいったいどれだけのお金が手に入るのか。
この場所には、30人ほどのミレー族が生活している。
それを知らせるだけで、情報量としてどれだけ手に入るだろう、想像するのも面倒だ。

だが、落ち着かせようとゆっくり語っている彼の目に、うそを感じ取ることができない…。
信用はできないけれども、少なくとも人間の味方という訳ではなさそうだ…。

「……一つ聞きたい。
授業をしてもいいというが…それによって君に何の得がある?」

こういう時は、話をするのが一番いい。
私だって、警戒はするがそう簡単に殴り掛かるような単細胞じゃない。

ウィルバー > なんだろうか。 全身を何かで貫かれる、または覗かれるような気分がした。
なるほど、彼女は何か特別な魔術を持っているようだ。
ならばこっちのことはだいぶ察しがついたようだ。
まあ、街の中でも一部にはばれてるだろうからそれはいいのだが。

「魔術だけじゃないよ。 文字が書けない子には文字も教えるし、剣の授業も多少なら見てあげるよ。」
口角を気持ちだけあげて、自分なりに柔和な顔を強調してみる。
営業スマイルはそれほど得意ではないので、逆効果にならないことを期待する。

「教えるのが好きだから教師してるんだし、得って言うなら教えることだけど?
もうばれてそうだから言うけど、僕らの種族って酔狂な奴が多くてさ。 僕もその中の一人だね。
だから楽しいことが出来ればそれいいんだよね。 君らと違ってそれが得になるか損になるかはあまり考えてないんだ。
どうかな? ここの子らにとってはそう悪い話じゃないと思うんだけど。」
酔狂と言うのは本当だ。 少なくとも僕は楽しいことをして暮らしたいと常々思っている。

レイカ > 「…………。」

酔狂な種族……いや、私の知っている魔族はもっと残酷なはずだ。
騎士団にいるとき、私もいやというほど魔族と戦ってきた。

だが…どうしてだろう。
彼のいうことに嘘偽りなんかまったく感じないし、むしろその営業スマイル?に好感が持てた。
人間じゃないというだけじゃない、彼のその考えがとてもよく理解できるから。

魔族には変わり者が多い、そのことを私が知っているからこそなのかもしれない。
自然と警戒も解けて、笑みすら浮かべてしまっていた…。
負けたのかもしれない、けれどもまあ…いいかと思った。
彼のことを信用してもいいと。

「まったく…私が知っている魔族は本当に酔狂な人が多い…。
わかった…私もここの子供たちには読み書きを教えなきゃと思っていたところだ。」

だから、彼が教えてくれるというならばそれでいいだろう。
もちろん最初は警戒するだろう、だが彼のその笑いを見ればすぐに打ち解けられるかもしれない。
しばらくは、監視役として私がついていることになるが。
ただ…一つだけ約束してほしいことがある。

「だけど…王都に戻ってもここのことは絶対に他言無用で願いたい。
理由は…まあ、言わなくても理解してもらえるな…?」

ウィルバー > どうしたことだ。 静かになってしまった。
この沈黙はなかなかキツイ。 だが、下手に口を挟むと怒られそうだし。
多分、彼女の知っている魔族とは少し違ったのかも知れない。
まあ、それを言うなら人間も色んな人が言うのでお互い様ではあるが。

「いやいや、僕らの種族としか言ってないからね?
魔族ってのはあくまでそっちの推測だからね。」
ここは釘を差しておこう。 最悪、こっちがお尋ね者になる。

「交渉成立だね。 なら、早速にも教えてあげようかな。 まずは読み書きの方がいいかな?
いきなり魔法はきついし、少なくとも自分で調べたり出来るだけの知識は付けてあげたいしね。」
彼女の許しをえ、且つ彼女の協力を得られるのなら恐らく子供たちに教えるのはそう難しくないだろう。
僕は張りつめた空気が解れていくような気がして、全身から力が抜けたような気がした。

「勿論、黙っておくし君らが話したくないことは言わなくていいよ。
ただ、僕の方からもお願いしていいかな?」
すっかり気が緩んだ僕は、彼女のもとへと近づこうとしていた。
途中で静止されなかったら、彼女の耳元で彼女にだけ聞こえる程度の声量で囁くだろう。

「たまにでいいから、君の血を僕に飲ませてくれないか?」

レイカ > 「だが、魔族に準ずる者だろ?…隠しても無駄だよ、私にはわかるんだ。
だけど…私の友人に、変わった魔族がいてね…その所為かな、キミには警戒こそすれど、敵じゃないって思える。」

むしろ、私にとって魔族と呼べるのは、今は人間だ。
以前、誰かに問われたことがある。
人間と魔族の違いって、いったい何なのかと…。
私はその問いに、まっすぐに答えることが…当時はできた。
人間の敵、人間に害をなすのが魔族なのだと。

だが、今ではどうだ。
人間もミレー族にしてみたら、魔族そのものじゃないかと確信できる。
だから、今の私には魔族だろうと人間だろうと、敵であるという事実があるだけでいい。
そして、彼はその敵ではないと確信できる以上、私はこれ以上彼を警戒する意味がなかった。

「そうだな、先に読み書きを教えてあげてほしい。
魔術に関しては…ここに適性がある子や、人がいるなら教えてあげてくれ。
ここの皆は、魔術の心得なんかまったくないから…。」

だから、ミレー族特有の結界も晴れないのだ。

彼から言われるお願い。
私がお願いをしたのだから、こっちが蹴るわけにはいかないだろう。
それを聞き入れてくれたのだから、こっちがその申し出を受け入れるのは当然だ。

地がほしい、その言葉で彼が何なのかをはっきりと理解した。
私の目は、漠然と種族を見分けることができるが、細かいところまではわからない…。

「わかった、だがたまにだぞ…?
あと…私はレイカ、そう呼んでくれ。」