2017/05/21 のログ
ご案内:「王都 貧民地区」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 久しぶりに組合長からの連絡が届くと、そこには現状の王都と、組織への補給についてが多くを占めていた。
特に今気になっていたのは、まだ彼が組合長だけの地位を持っていた頃、権力争いとなった相手だ。
自分も彼女を間近で見たのもあり、中々に大変なことになりそうだと思っていたが……連絡は想定外の答えだった。

『恐らく、こちらに手をのばすことはないだろう。一度脅して以降、此方に対する行動が見受けられない。妙な噂も聞いているが、それは可能性程度と考えたとしても、此方に関与する率はかなり低いと見ている』

後は静かに互いの様子を静観し、好きあらば突っつくぐらいだろうかという物。
無警戒はなしとしても、今まで以上の警戒は大丈夫だろうというもの。
安堵したところに、併せて届けられた吉報は、魔法銃の改修キットの完成と、試作魔法銃の完成。
これにより、魔法銃は大半が連射能力を手に入れ、集団で見た際の火力を大幅に強化することとなった。
コストも掛からずの結果だった為、併せて作られたのが、新型の小型魔法銃の試作型。
一緒の包みに入っていたそれは、今までと違い、メカニカルな形状にみえ、中心にある回転シリンダーが特徴的だった。
今は腹部の革ホルスターに斜めがけにして入れているが、使い勝手もよく、いい事尽くめに、久しくはっきりと笑った気もする。
だからか、この退屈が何時もよりも異様に身にしみて、何をしているのやらと言った心地になるのは。

「……いないというのは、喜ばしいのですけど、ちょっとさみしいです」

貧民地区にぽつんと建てられた簡易テントと、その下でカンテラに照らされるテーブルと椅子。
テーブルの上には書類が幾つか、そしてテントの傍には掛札がある。

『チェーンブレイカー出張斡旋所』

少し人員を増やそうということで、こんなところで募集を募っているのは、やはりミレー族の駆け込みがあるだろうと思ってのこと。
しかし、今日は誰も現ること無く、夜に差し掛かっている始末。
くぁっとあくびを一つしながら、両肘をテーブルの上に載せ、頬杖をついたまま、退屈そうに目を少し伏せながら小さな溜息を零す。

ご案内:「王都 貧民地区」にリュウセンさんが現れました。
リュウセン > 王都 貧民地区にいそうな貧民の格好をした襤褸布を纏った、
傍から見ればミレー族な女がこそこそと何かから逃げる様な足取りで
テントのある所へと足早に近づき、テントの外から中の様子を窺う様な素振りをして。
決しておずおずと中に入るとか、駆け込むように入るとかそんな動きをせず、あくまで外から眺めるそんな不審な行動。

「…」

フードを深くかぶり その中で狐耳が伏せ気味に垂れ、
ローブに隠された狐尻尾が心なしにゆらんと揺れるばかり。
ただ フード奥底から見える瞳だけは生気ある色合い。

レナーテ > そろそろ出張所を畳んで帰ろうかなと思い始めた頃だった。
ふと、視野に飛び込んだのはボロ布を被った女らしい姿。
何かから逃げ惑うような様子が見えると、傍らに立てかけてあった魔法銃を手に取り、ガシャッと増幅弾を束ねたクリップを押し込みつつ立ち上がる。
眠そうだった表情は一気に引き締まり、丸メガネの向こうは落ち着いた聡明な雰囲気を感じそうな色に落ち着く。

「……?」

そのままくるのかと思いきや、何やら此方の様子を伺うような素振りがみえる。
銃に驚いたのだろうかと思うと、銃口を真下に向け、攻撃が出来ない状態にしつつ、ハンドガードに添えていた掌を彼女の方へ差し出し、おいでと言うように小さく手招きしながら、柔和に微笑みかける。

「こんばんわ、身構えたのに驚かせてしまったのなら失礼しました…。何か、逃げ惑う様子が見えたので、賊に追われているのかと…」

狐耳に尻尾、ミレー族らしい様相ともいえるそれに視野を向けてから、瞳を見やる。
それほど疲れ果てたと言った様子は感じず、まだ健常そうに見えた。
ここらに住まう人なのだろうかと思いながら、向かい側にある席を掌で示しながら進め、此方も向かい合うように椅子に腰を下ろす。

リュウセン > 傍から見ればミレー族だ 中身は全く違う魔族とも言われる存在。
ただ 現状はボロイ薄汚れた完全に狐娘。ローブで見えにくいが抱え持つボロボロの布で覆われた何かも持っている。
それは隠すように持っており至極大切そうに持っているともいう。
逃げる様に此処まで来たのは その抱え持っている何かのせいだった。

「…、……!」

(キョロ、キョロキョロ タッ)
左右見て 確認後 一気にテントの中へと走り込み中へと入り込もう。
銃は確かに飛び道具でもあり 訓練次第と威力次第で飛び道具の中では強さは高い。
まぁ 怖いというのもあるけど、それよりは手招きされれば入る位は出来た。

「こ、こんばんは。…賊…まぁ 追われているのもあるけど…い、いや、これを預かってほしいの。」

全体に薄汚れ放題の狐耳と狐尻尾と外見総身。席に着くなり、
抱え持っているというかローブから隠せる程度の大きさの布で覆われた何かをテーブルに置こうと。
至極大事に静かに 音もたてずに 簡易に言えば大事そうなワレ物を扱う様なそんな置き方。

レナーテ > ボロの布の中に何かを抱えているような様子があるも、それが何なのやらと言った様子で首を傾げる。
手招きに応じ、中へと入ってくる様子は、かなり俊敏なのもあってか、ミレー族だろうと思い込んでしまう。

「これ、というのは……?」

挨拶の後、汚れの見える姿から差し出されたのは、大きな布で包まれた何か。
割れ物を扱うように大切に差し出されたそれと、彼女の間で視線が行き来するも、唐突なお願いに困惑した様子で彼女を改めて見つめる。

「預かって欲しい……ですか、私個人でのお話じゃなくなってしまうので、預かる前に聞きたいことがあります」

苦笑いを浮かべ、即答しかねる理由を告げると、こつんとテーブルを突っつく。
それは彼女が持ってきた品物を指し示すような仕草。

「これは……どんな物なんですか?」

王都と協力関係にある自分達が、それに反するものを抱えてしまうと、後々面倒なことになる。
周りに仲間が居ないのもあってか、確かめるように問いかけると、ちらちらと周りを見渡す。
テントは天井だけ布が貼られたもので、前後左右には布がない。
こうして見渡すだけでも、異変があれば見つけやすいはずと見渡す。

リュウセン > 賊に渡されれば 悪い様にされる。
王家に渡せば 確実に利用される。
人族に奪われれば 売買で売られてしまう。

はっきり言って この抱え持ってきたモノは本来だったら 隠し通すしかない。
が、一週間でこの様だ、正直 それなりの組織なりミレー族を保護しているという場所に持っていくしか選択肢がない。

「これ 卵。 一週間位 色々と逃げてきたけど 正直 限界」

卵を布で覆い隠し テーブルに置いて 視線が交われば意を決して言葉を紡ぎ始める。
薄汚れて微妙に匂いも漂い兼ねないが まだ落ちるところまでは落ちていない。

「余り …そうだね、卵 竜の」

竜の卵がこの布の中にある。ワイバーンとか一部の将軍が使っているらしいが、其れ系統の卵が此処に。
本来だったら 王都の王家なりに差し出さないとならないが それが此処に。
預けるのが駄目であれば この話はなかったように、願いは取り下げる積り。
長居はそもそもできないようだ だって このテント 防音性欠如してる。
狐耳の女は時折 フードに隠されているが 耳を動かして辺りを探る仕草。

レナーテ > 「卵、ですか……何か希少動物とかのでしょうか」

卵と告げた答えに、先程の仕草に納得がいく。
それなら割れないように丁重に扱うものだと。
ぼそぼそとした途切れ途切れの言葉使いも何処か気になるも、竜の卵と聞けば、少しだけを見開き、驚きつつも納得にいたる。

「……動きつつ、もう少し詳細を。移動手段は準備しますので」

テントはそのままに、ポーチの中から打ち上げ花火のような筒を取り出すと、地面に置き、中に色の付いた粉を入れて準備する。
導火線らしい部分に火を灯すと、筒の方へ火が灯るまではまだ時間が掛かりそうだ。
立ち上がり、銃を斜め下に銃口を向けるようにして構えれば、こっちですと言うように小さく手招きし、細い路地へと誘おうとする。

リュウセン > 「竜 これ以上は此処でいうのは自殺 行為。」

竜の卵自体 強度性は相当高い。多分落としても割れない筈。
ただ布で隠したのは希少価値が高すぎる為に布で覆ってしまえば紛らわせるかもと浅はかな知識で隠しただけ。
あと 喋りは あまり多くを語る様なお喋りでもないので、最低限的に絞ったらこの結果に。

どうやら動くらしい。いや、これ 何処に持っていくの??

テントそのままにするのか、彼女の迅速かつ無駄のない動きを眺めてる。
言われるがままに そっと卵の隠された布を持ち上げ 手招きのままに細い路地へとついていこう。
その後どうなるかは全く考えてもいない。

レナーテ > これ以上はここで言えない。
その言葉に頷きながら先導すると、細い路地へと入り込む。
そこは壊れかけた家々が軒を連ねて出来上がった迷路のような場所。
それこそここらへんの地理に詳しくなければ、抜け出すのが難しい様なポイントでもある。
路地に入ってから間もなく、打ち上げ花火がオレンジ色の光弾を空へ上げた。
それは救援要請であり、回収要請でもある印。
遠く離れた集落の仲間が確かめれば、次に信号を上げたところへ直ぐに回収に迎えるように準備をすすめるのだ。

「預かるとしても、それを貴方はどうするつもりなのですか? 本来なら人里離れた山奥などで安置するものかと思いますけど」

そんなものを抱えている理由を問いかけつつ、さらにさらに奥へと進む。
ここを抜ければ、焼き討ちにあって開けてしまった更地へとたどり着く。
そこまで行ければ、改めて信号弾で空からの回収が要請できるはず。
それを目指し、慣れた動きで角から角へと索敵を繰り返しつつ、狭い路地で小銃を取り回していく。

リュウセン > 細い路地に入り込んでしまえば どうなるのだろうとついていったが、
まぁ 慣れた物でないと迷宮の如きの狭さで出るのも 物理的に難しい。
この手の荒事に詳しい賊や専門のモノでないと追ってきた処で撒くのもやりやすいと言ったところか。

…何かが空に向かって 花火が上がった、何かの合図らしい。
何かしらの合図であれば 何かしら起きるのだろう。
フード奥底から見る女は時折 耳を動かして尻尾を揺らし、

「私は 雲隠れする。ナニ 私だけなら自分の身は守れる。
 そう 本来だったら 人里離れた処がいいのだけど 竜の卵は狙われているから 安置して即効持ってかれるのがオチ。
 それなりに腕の立ち 同属を保護する組織なら 預けてもいいと思う」

卵はそう本来だったら 人里離れた処に安置するのがいいのだが
そこまで持って行け無さそうだ、持っていく道中 奪われそうな気がする。
大体 もうどのみち 預かるしか道が無かった。彼女についててこてこと歩くなり移動をしていく。
こちらは 移動の最中も 警戒心マックスで付かず離れずでついていく。

レナーテ > 「雲隠れですか……いえ、此方で預けっても、ずっと抱えるには無理があります。孵化してしまえば、いずれ大きな竜になり、隠しようがないです」

結局彼女がこの卵をどうしたいのかが、まだみえてこない。
悪用されたくないのか、それともこれに何か思い入れでもあるのか。
唐突に始まった逃亡劇の中、留守を任されるだけあり、冷静に判断しながら改めて告げると、通路の向こうが開けていく。
ささっと顔を出して引っ込め、瞬時に敵がいるかどうかの索敵を行い、安全を確かめると、静かに更地へ飛び出していく。
大振りな動きで周囲を確かめると、ライフルから左手を離し、その手で信号銃をケープの中から引き抜き、空に向けて引き金を引く。

「貴方が引き取りに来るまでの期間、そして貴方の意図……それ明確にしてもらえないと困ります」

空に放たれた信号弾、それを見れば大きな隼がすぐにやってくるだろう。
彼女に振り返りつつ、改めてそれを確かめようとし、撃ち終わった信号中は再びケープの中に収めていく。

リュウセン > 「そう 逃げるに限る。 孵化後は竜の意思のままに。
 預ける期間は 竜の孵化まで が正しい。…そんなの大きくならないのだけど。」
 
竜のどの種なのかは口に出さず、ただ竜とだけ告げている。
大きさはこのくらいの大きさで、と大まかに示した大きさは 体長50センチほどの小さい種の竜だった。
悪用されれば ありていに言えば 国一つ吹き飛ぼう。小さくても竜は竜だ。
そんなもの悪用はされたくはない、孵化後は明確な意思疎通が図れるので、竜の意思に聞けと付け足し程度に告げておく。

ややあって 更地に出た また 信号を空に向けて打ち出した、
何かしらが空から来るのか であれば そろそろ これを預けるとしよう。

「私は九尾であり異世界のモノ。 竜は竜の意思で預かっているモノ。
 意図はナニ 真の平穏を求めている。いらぬ争いは不要。私の役目は此処までだ。
 では預ける。あとは 孵化後の竜に聞いてくれ。… さらば」

彼女にそっと包みを差し出すなり 女の足元が複雑な魔方陣で覆われーそしてカッと眩い光を伴って
女がいた処を照らし―光が収まった時には 女の姿は影も形もなかったという。

ご案内:「王都 貧民地区」からリュウセンさんが去りました。
レナーテ > 「……? 意思疎通が取れるということですか?」

彼女の言いようからすれば小型の竜ながら、人のような自我があると受け取れる内容。
だが、生まれて直ぐの竜がそんな簡単に意思疎通が出来るのやらと思っているものの、隼が近付いてくれば、彼女の差し出した卵を受け取る。

「キュウビ? 聞いたことのない種族ですね……って、まったく意図がわからないのですがっ!?」

そうこう言っているうちに彼女の姿が消えてしまう。
まるで嵐のように去りゆく出来事に、ぽかんとしながら、降下してきた隼の背には、別の少女の姿。
どうしたのと言いたげに訝しむ姿に、小さく溜息を零しつつ、着地した隼に飛び移り、少女の背中にあるリュックサックに卵をしまっていく。

「白昼夢でも見たような気分です、とりあえず行きましょう」

撤収と少女に告げると、隼はあっという間に空へ消えていく。
その後の竜がどうなったかは、今は知る由もない。

ご案内:「王都 貧民地区」からレナーテさんが去りました。