2017/05/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にメンシスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からメンシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にキニスさんが現れました。
キニス > 「よし、次」

王城内にある訓練場。
そこのアリーナにて構えを解きながら周囲に居る騎士たちへそう告げる。
目の前には木製の剣を持った騎士が仰向けに倒れ、小さくうめき声を出している。

事の始まりは王都の所属の騎士団長に出会った時の事である。
王城内で広まりつつある自分の噂を聞きつけたその人物が是非、騎士団のメンバーに稽古をつけて欲しいと言ってきたのだ。
断る理由もなく、輪が広がればと思って快諾したが、今思えば間違いだったかもしれない。

存外に騎士団の皆々様も元気が良く、こちらの稽古について来てくれる。
それは良いのだがメンバーに対して教官が自分だけという状況。
教えたり技を実践したりで目が回り、疲労が溜まる。

そんな稽古を続け、最後は組み手をして欲しいとの要望。
「この人数を…?」と思いつつも断り切れず、今こうして一人一人相手にしているのだ。

手に持っている木剣の切っ先を地面につけ、柄尻に手を掛けて次の相手を待つ。

キニス > 「…」

やって来た次の相手。得物は…斧か。
木製のそれでも重量はそこそこありそうで、当たったら痛そうだ。
何とか流して隙を…

そう考えつつ、相手は雄叫びを挙げて斧を振り挙げて迫って来る。
左手だけで剣を持ち、簡単に斧を受け流せば、体当たり。
体勢の崩れた相手の足に自分の足を引っかけて簡単に転ばせれば、斧を持っている手を踏みつける。

「次!」

この調子で捌いていかないとダメそうだ。
斧を持った男をアリーナから退場させれば、周囲を見渡しながら次の相手を待つ。
…何だろうか、よーく目を凝らせば何処かで見たような冒険者の方々も見える。
何故こんなところに居るのだろうか。というか、冒険者とかって気軽に王城に入れたっけ?

少し疲労の溜まった体の高鳴る心肺を深呼吸で落ち着かせる。
あと少し、疲れた体に鞭を打ちながらそう心の中で復唱する。
最早、闘技場と化した訓練場の騎士団員やら冒険者やらに投げかけられる野次は、耳に入らなかった。

キニス > 次の相手、次の相手、次の相手…
一人一人、時間を掛けずに打倒していく。
剣を使う者、槍を使う者、短刀を使う者、拳を使う者…
それってアリなのって感じで弓とか魔法とか使う輩も居た。

「はぁ…はぁ…」

大粒の汗を額から流し、顎から地面に落ちる。
疲労も集中力も限界だ。
剣を支えにして膝を付いた頃には、何とか挑戦者も居なくなっていた。

「あ~…もう無理。死ぬ」

そのまま仰向けに倒れて肩で呼吸をする。
野次はやがてざわめきへと変わる。
そんなことなど露知らず、疲労にやられ、その場は倒れるしかできなかった。

ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からキニスさんが去りました。