2017/05/16 のログ
クライブ > 壁の向こうにと入れば聞いた人数が暮らすには十分な場所が見て取れ。
防壁を優先しているのか家の数が多くないなと眺め、中央の大きな建物に目を向ける。
集会所か何かのだろうと考え、こんな森の奥では色々と大変だろうと考えてしまうのはやはり人間の思考。
エルフである彼女やミレー族たちが居れば食糧に困る事はないだろうという事が浮かばずに。

騎士団に居た頃の貴族が行っていた、そして受けた扱いは聞いている。
それだけに貴族になった事が許せなかったのだろう、信じただけに酷い裏切りだと受け取り去ったのだと判ってしまう。
己は大丈夫だと思いたいが貴族になった以上何らかの原因で集落の保護が消える可能性は無きに非もあらずだと。

「あの時の30人にはレイカは救いの神なんだよ。
王都にいればいつかは貴族や商人に捕まるかもしれない恐怖から救ってくれたんだ。
俺だって立場が違えばそう呼んでるかもな」

案内された大きな建物は中に入れば食堂と判り。
数人のミレー族の素g他を見れば警戒されるとかと身構えるがその心配もなく。
笑って近づいてくる姿に笑みを浮かべて軽く手を揺らす。
こうやって会う前はどうしても知った顔に警戒されるのはどうしても答えると警戒していたがそれもなく、安どの表情を浮かべ元気だったかと話かけたりして

レイカ > 建物はいまだに簡単なつくりの家が5,6件並んでいるだけだった。
血縁関係という訳でもない、ただ一緒の場所で暮らしているというだけだ。
だけど、あの地獄を一緒に生き抜いてきた彼らは、もはや家族以上の絆で結ばれていた。
一つ屋根の下にいることなんて何の苦もなく、作業の効率も非常にいい。
食料に関しても、たくさん食べる子は確かにいるけれど、それでも困ることは一切なかった。

そう……今やドラゴンフィートの保護は風前の灯火だった。
王族に近い場所に行ったとは言え、貴族連合の数の暴力にはその力などおそらく無きに近い。
気に入らないから焼き払う、そんなことは簡単なのだ。
そうなったら…ドラゴンフィートと王都との戦争にでもなったら勝ち目なんてあるわけがない。
圧倒的に数で負けているのだから。
そんな場所に、私は皆を置いておけるはずがなかった。

「救いの神なんて…そんな……。私はただの偽善者で……。」

その偽善がみんなを救ってくれたと、ミレー族の一人が言ってくれた。
それがなんだか恥ずかしくて、そして嬉しかった。
ようやく自分自身を、ここまでしてようやく許せた。
見殺しにしてしまったミレー族に、ようやく許してもらえた気がした。

元気だったかと言われたミレー族は、笑顔でもちろんだと答えた。
彼らにとって、あの日護衛してくれたクライブには恩がある。
ぜひゆっくりしていってくれと言い残し、彼らは作業に戻っていった。

「あ、クライブ。お腹が空いているなら何か食べますか?
ちょうど、今朝とれたばかりの魚もありますし、何か作りますよ。」

クライブ > 家が人数に比べて少なく見えるのが気にはなる。
恐らくは血縁などは関係なく暮らしているのだろうかと問いかけたくなるができず。
王都にいる時も身を守るため生きるために身を寄せていたはずの彼らはある意味血縁以上の絆があるのだろうと。
そう思えば防壁を作ることを優先している様子にも納得ができて。

もし貴族の横やりに集落の自治の危険が迫れば戦う事になるだろう。
だがそれは彼女がいたときの話、居なくなった今ではそこまでして戦う義理もなく。
精々世話になった顔見知り達を逃がすために戦うぐらいだろうと傭兵としての冷めた思考が導き出す。
彼女がいたからこそ守っていたのだ、いなくなり居場所が判った今ではそこまでの愛着がある訳ではなく。

「レイカ、お前はそうだとしてもな。それで救われたんだよ、こいつらはな」

偽善でも救われた命があるんだと優しく語りかけ。
己以上に地獄を見てきた彼女が得れた安らぎ、苦悩から少しでも開放されたのだと思えば嬉しく。

あの集落で顔を見ないという事は腕に自信をつけ出て行ったか運悪く商人に
そう言う事があるだけに元気な姿を見せてくれた事はそれだけで安心できること。
己が護衛をした彼らが元気な姿に笑みを見せ、ありがとうと見送る。

「腹か?実はペコペコなんだよな。食料がやばくてここを見つけてなけりゃ戻るつもりだったんだ。
本当か?それなら一つたのむぜ」

彼女の言葉に嬉しそうに返せば席の一つに腰を下ろし。
本当に久しぶりの彼女の料理が食べられると子供のように笑みを見せて。

レイカ > その防壁も、まだまだ完成には程遠い。
この里をぐるりと一周するほどに建てようと思えば、この人数ではかなり長い時間がかかってしまう。
入口の部分だけは何とか、1年という時間をかけて完成させた。
泥を塗り、防火対策も万全にしたけれど…私はどうしても不安をぬぐい切れない。

「……クライブ、王都に火砲…というものがありますよね。
もし、もしもですよ…この里のことが知れて、王都がそれを持ち出したとして…私たちに対抗できる術は…ありますか?」

傭兵業を営んでいる彼だから、そのあたりの知識は豊富にあるはず。
別の力を借りるよりも、ここは…。
人間の中で一番信頼している彼ならば、この相談を持ち掛けられる。
そうだ、私には……彼がいる。

「先日、とある人が訪ねてきたんです…。
私たちに、ほかのミレー族と同じように結界を張るなんてことは到底できません…。
あの防壁も、実はそのためなんです…。」

結界を張れないミレー族の里。
それを護るためにはどうしても防壁というものは必要になる。
だけど…火砲を持ち出されたとして、あれが耐えきれるだろうか。

魚をさばき、鉄板に油を敷く。
調味料はさすがに自作できないので、これはふもとの小さな村で食料や労働力と交換している。
塩コショウを振り、軽く味を調えてから熱した鉄板の上で、軽くあぶっていく。
調理をしながら、私は彼に問うた。

あの防壁で、脅威をしのぐことはできるか…と。

クライブ > あの立派な防壁を見れば関心をしてしまったが里に入れば完成している個所は一か所と判り。
この人数であれだけのものを作ったのは感心するがやはり人でのせいか完成までにあと何年かかるかは見当もつかず。

「あぁ、最近はあれを配備してる隊もあるな、お影で背中が危なっかしくてな…。
ばれてあれを持ち出されたらか……聞きたくない答えだろうがレイカだからこそ言うが…無理だ」

戦場にいれば嫌でも目につく新しい武器や魔法の数々。
使い物になるものもあれば役立たずも多数ある中でも目立ったのが火薬武器。
遺跡から発掘される魔導武器に比べれば威力に劣るが誰にでも扱え高威力という代物。
その力は身をもって知るだけに隠さずに彼女に告げて。

「そいつがそんな事を言ったのか?
結解を張れないからあれを作ったのか……あれは確かに矢や鉛玉には十分耐えれる。破城槌でも持ち出さねぇとそうそう壊せないだろうな。
だがな、あれは運搬に手間がかかるんだ。こんな山奥に持ち込むなら森を切り開いで馬車を引けるような道を作らねぇと駄目だな」

耐火処理もしているのならば最悪は攻城戦の要領で打ち壊すしかないだろうと見た目の感想を告げ…。
だがそれでも火砲から撃ち出される砲弾には無力だろうと。
だが悪い話だけではなくその大きさから山奥に持ち込むのはほぼ無理だろうとも付け加え。

料理をする彼女の後姿を懐かしそうに眺めながら問われたことに一つずつ答えていって。

レイカ > そう、あとどのくらいの年月がかかるかは皆目見当がつかない。
圧倒的に人手が足りないのだから、無理もない話だ。
だが…それでもやり遂げなければならない。

「………やはり、ですか。」

無理だ、そうストレートに告げられると私の料理の手も止まる。
いい具合に焼けてきた魚を、熱しておいた鉄板の上にのせて、野菜と肉も添える。
腹ペコだと彼が言っていたし、できるだけボリュームがあるほうがいい。
塩コショウで焼いただけのそれだが、新鮮なものを調理したのだ。
味には少しだけ、自信があった。

「ええ、ここのミレー族は魔法などの知識がなくて結界そのものを張ることができないんです。
ですから、その対抗策として防壁を作ることにしたんですけど…。」

だが、悪い話ばかりではなかった。
森を切り開き、馬車を作るような手間をかけてまで襲うような貴族はおそらくいないだろう。
九頭竜山脈の奥地まで道を開こうと思えば、莫大な時間とお金がかかる。
そこまでの価値を、この里に見出すことになれば話は別だが…さすがに。
お金になるとはいえ、ミレー族の数が少ないのだからそんなことはしないと断言できそうだ。
だとしたら、人海戦術が一番可能性としてあるが、それに関しては問題ない。
もともと、それを想定しての防壁なのだから。

彼に料理と、備え付けのパンを出しながら私はさらに質問を続ける。

「あと…空からの侵入に対して、何か手立てがあれば…教えてくれませんか?」

クライブ > 「悪いな……大丈夫だって言ってやりたいんだがあればっかかな」

変に希望を持たせその結果大変な事になるよりははっきりと言った方が良いだろうという考え。
手が止まることに苦労して作ったものが無意味と言われればやはりショックだろうと。
料理も完成してきたのかいい香りのし始める事に腹の虫が鳴き始めて。

「元が元だしな、ないのは仕方ないな。本当なら魔法の心得でも教えれリゃいいんだがな。
けどな、あの防壁も悪くはねぇぞ。少々立派過ぎて作るのに難儀してるみたいだが」

山の麓でなら砦の囲いに仕えそうなほどの立派な防壁は山奥にあれば守るに十分な備えになるだろうと。
言ったとおりに山奥に火砲を持ち込むためだけに道を引く貴族は居ないとは思うが一応は気を付けておこうと考え。
それよりも心配なのは傭兵を雇った奴隷商人だろうと、それに関しては彼女の備えを信じ、必要なら戦場で培った情け容赦のない罠を仕掛けレば良いだけの話だと。

パンと一緒に出された料理に手を合せ、さっそくとばかりにいい焼け具合の魚に手を付け、肉、野菜、そしてパンと食べ進め。
ずっと食べたかった彼女の料理に舌包みを打ち。

「空からのか…?そうだな、一番手っ取り早いのが隠すぐらいか…。
例えばだがこの里の中に木を植えてだな、建物や防壁に木や森に見えるようにカモフラージュしちまって判らなくするっていう方法もいいと思うぞ。
見つからなけりゃ侵入もされねぇしな。見つかった時はボウガンや弓みたいな音のしないので撃ち落とすしかねか」

空からの襲撃と考えれば数がいないからには隠すのが一番いいと、それで無理なら音のしない武器…と経験で思い出して告げて

レイカ > 「いえ、経験ではクライブのほうがずっと頼りになりますから。
むしろ…無理だと言ってくれて助かりました。」

そう、やはりそんな重火器を持ち出すにはそれなりの広い場所が必要になってくる。
そうなればむしろ、対策も立てやすかった。
彼の知識は、本当に頼りになる。

「ふふっ…難儀はしてますけど、案外楽しいものですからね。
むしろ、皆自分たちの手で自分たちを護れるんだと、張り切ってますから。」

さっきのミレー族も、実は作業を少し休んでいたものの集団。
皆で立てていく防壁、それが完成すると皆自分の事のように喜んだ。
それを見るのが少しうれしくて、私もこの方法が一番いいと思っている。

奴隷商人に関しては、何ら問題はなかった。
この、森というのはかなり複雑な迷路のようになっている。
そこに迷い古部場、私独自の情報網がすぐに居場所を教えてくれる。
あとは、彼も知っての通り弓矢で彼らを射抜いていくだけだ。

食べ進めていく食事、もちろんお変わりだって十分ある。
足りなければ、また彼のために作るだけだ。
なんだか昔に戻ったようで…何時しか私の顔も、以前のように柔らかいものに戻っていた。

「木に見立てる……ですか、なるほど…その手がありましたね。」

確かに、天井を作るというのに似ているが、こっちは木漏れ日で日の光も確保できる。
野菜を育てる障害にもならないし、風で蓋をしてしまうよりも自然の流れを断ち切ったりもしない。
彼の妙案に、私の考えはまとまっていくようだった。

やっぱり……彼は本当に信頼できる。

クライブ > 「あまり褒められた経験でもないんだけどな。
そう言ってくれるなら助かる」

最悪はそんな事ないと怒鳴られる覚悟もしていたが彼女の言葉によかったと息を吐き。
己の言葉で対策を立てられるのならそれはそれでよかったと。

「案外楽しいか……今までを考えれば出来る事もある。
それで皆が助かるならやりがいもある訳か」

きっと今も防壁を完成させるために頑張っているのだと思えば彼らの思いが実る事を祈り。
もし完成した防壁を見る言葉出来れば己も喜びはきっと隠せないだろうと。

彼女にはこの場所では火砲よりも奴隷商人が怖いと告げたが実はそれほど心配をしているわけではなく。
森に慣れた彼女や彼らが居ればそうそうな相手でもない限りは撃退できるだろうと。

こうして彼女の食事をまた食べられたという喜びについ食べる速度もあがってしまい。
十分にあったお代わりも綺麗に食べきれば満足したというように腹を撫で。
まるであの頃に戻ったような彼女の柔らかな表情に笑みを向ける。

「やってくる奴らを始末するのに反対はないんだけどな。
何もないって思わせて来なくするって方法もあるってことだ。
戦争で陣地隠しに使うてなんだが役に立つなら使ってくれ」

あくまで例は出せるがこのような場でのカモフラージュはむしろ彼女たちの方が得意だろうと。
己の意見をさらに良い物にして里を守るために使ってくれると信じて。

「なあレイカ。迷惑じゃないなら数日居てもいいか。ちょとばかし作業を手伝っていきたいんだが…」

ふと思いついたようにそう言えば構わないかと伺うように見つめて。

レイカ > 彼の知識は、本当に頼りになることばかりだった。
傭兵でいろんなところにいたせいだろう、戦場の知識は私なんかよりもずっとある。
その知識で対策を練ることができるのだから、お礼を言いたいのは私のほうだ。

「今まで身を待ることすら封じられてきた彼等ですからね…。
あんな思いを、もうしたくないですから…私も、もう迷うこともありません。」

それに、迷いを消してくれたのも結局は、目の前にいる彼だ。
できることをして、そしてそれの後ろ盾になってくれる人たちの最初の一人。
それが彼なのだから…私こそ、彼に頭を下げるべきだろう。

綺麗に攫えてくれたお皿を見て、私もついついうれしそうに笑った。
あの頃の、まだ裏切りというものに合っていなかった時の集落での生活。
豊かだったかどうかはさておき、彼がいてくれた時間は、私の中では最高の時間だった。
その時間が戻ってきたようで…嬉しかった。

「何もなくても、しらみつぶしに探してくるのが彼等ですからね。
…そういうときは、少々手荒なことをしてでも地下杖kさせない…それが今のやり方ですから。」

でも…彼にこんな残酷になった私を見せてもいいのだろうか。
できるだけ話し合いで済めばそれでいい、だけどそういかないことのほうが多い。
だが、彼のいうカモフラージュの方法はかなりいい考えだと思う。
明日にでも、皆で話し合ってみよう…。

「え?……ええ、もちろん構いません。
私も、クライブとたくさんお話ししたかったですからね?」

積もる話なんかたくさんある。
1年分…今日一日では語りつくせないほどに。

しばらくは、私は彼と眠れない日々を過ごすことになるだろう。

クライブ > 敵を効率よく殺し、そしてそれから生き残る術。
それが彼女や彼らの役に立つのならばその知恵を喜んで教えよう。
その対策で彼女たちの里が守られるのならば安いものだと笑い。

「自分らの娯楽の為に他の奴らを弄ぶ奴らしな。
俺もレイカをそんな目に合わせるつもりはねぇぞ。ここの奴らも合わせたくないしな」

自分にとっては最初の気まぐれ、だがいつの間にか彼女の事だけは本気になって。
本気になったからにはたとえ命をとしても守ってやりたいという思いを持ち。
だからこそ彼女には礼など言われずとも知恵を貸すのは己の中では当たり前だと。

一年ぶりに味わった味はやはり美味くついつい食べ過ぎというほどに食べてしまい。
一度は思った傭兵を捨て普通の家庭を持ちたいという気持ちを思い出して。
あの幸せだった時間を今こうして感じられるだけで山奥にまで来たかいがあったと。

「その時はしかたねぇな。狩り尽くして近づく身の程知らずを判らせるしかな。
奪いに来るんだ、奪われるのも当然のことだ」

己にとっては手荒なことが必要であれば躊躇いなどはしない。
たとえ彼女が残酷になったとしても己はそれ以上の事をしてきている、だからこそ軽蔑や偏見を持つことはないと言い切れる。
己は必要であればどんなアイデアでもだろう、それが彼女たちの為になるならばと。

「こうして再会できたんだ。色々と手伝ってやりたくてな…。
それは俺もだぞ。レイカとは話したくて仕方なかったんだぜ」

会えなかった間に話したいことは沢山出来た。
その量はとても一日で話しきれるものではなく。

暫くは里に滞在し、彼女と共に眠れない日々を。
会えなかった時間を埋めるように過ごすだろうか。

ご案内:「ミレーの里」からレイカさんが去りました。
ご案内:「ミレーの里」からクライブさんが去りました。