2017/05/15 のログ
ご案内:「ミレーの里」にレイカさんが現れました。
■レイカ > 入口の防壁の防火対策も終わり、ついに側面の防壁に着手し始めた。
また、大きな大木を一本ずつ、皆で力を合わせて立てていく。
太くて大きい、大木。
ドリアードたちに協力してもらって、大きな木をいくつも分けてもらっていた。
彼女らには本当に、感謝してもしきれない。
森という自然の要塞で、彼女らの協力がなければこんな里、きっとすぐに壊滅させられてしまうだろう…。
「……………。」
だが、私の心はどこかもやもやとしたものに支配されていた。
わかっている、こんな防壁を立てても、ドリアードに協力してもらっても。
空からの侵入にはどうしても無力なのだ。
飛行能力を持っている魔族は多いし、人間の魔術師の中には飛行の魔法を使える人もいる。
それらを考えると、やはり空に対しての防御というのは重要なのだろう。
先日やってきた魔族の言葉が…どうあっても引っかかるのだ。
「やっぱり……あの人たちにも協力を求めるしかないのかな……。」
できれば、あの人たちを巻き込みたくはない。
だけど…私の力だけではどうしても…。
悩み、悩んでも答えは全く出てこなかった。
ご案内:「ミレーの里」にクライブさんが現れました。
■クライブ > 「確かこの辺りだったか…?しっかしなんでこんな場所なんだ」
拠点を変えてから繰り返す警邏や山狩りの折に捕まえた傭兵崩れから締め上げた話。
曰く山脈の奥地で建造物を見たという話の確認へと足を運び。
こんな奥地にそんなものがあるのかと探索に入り数日、いい加減食料も心ともなくそろそろと引き返そうかと考え。
その時に遠目に何かが目につきもしやと近づいていく。
「驚いたな…本当にありやがったな。しかも結構立派じゃねぇか…」
恐らくは入口なのだろうか防壁を遠目に眺め、これは正面から近づくのは危ないと感じれば迷わずに正面ではなく側面へと足を向ける。
見た感じではまだ側面は完成していない様子にうまくいけば防壁の内側が見れるかもしれないと考えて。
■レイカ > 私の力なら、風の天井を張って空からの侵入を防ぐこともできるかもしれない。
精霊、シルフィードの力を使うのは昔から慣れているし、何より私が初めて力を借りた精霊だ。
しかし、そんなことをしてこのあたりの気流が乱れ、風の流れが変わってしまうと大変なことになってしまう。
自然の流れ、それを大切にできないと精霊の力はすぐに失われてしまう。
私が悩んでいるのも、そのことが原因だった。
「…いっそのこと、天井を作って明かりを確保する……?
そんなバカなことできるはずがないし……。」
明かりを、太陽の明かりを消してしまうのはあまりにも愚行だ。
作物が育たなくなるし、なによりすべての生命の源。
太陽から身を隠してしまうなんて、そんなことは生き物ということを真っ向から否定することになる。
私が考えをまとめ上げられていない最中―――耳飾りが震えた。
「………侵入者か…。皆、ここを頼む。」
私は、弓をもって外へ飛び出した。
防壁の側面はまだ完成していないし、こっちの防御はまだ薄い。
森が生い茂っていても、里の中はすぐに見えてしまう。
私は―――いつものように奇襲のように。
”彼”の目の前に、静かに着地した。
「…………。」
■クライブ > 回り込むついでに防壁を見ればここで調達したと思われる太い木々を立てたもの。
これだけの防壁が作れるならばどこかの騎士団崩れ、もしくは山賊が合流したのかとも勘ぐってしまい。
なるべく音をたてないようにと気を付けはするが装備と身体の大きさのせいで茂み近くを通るときはどうしても音がしてしまう。
移動すれば鳴る音がここの主達に聞こえない事を祈り回り込むように地形や人の目がないかと警戒をして。
「あと少しで見えそうだな…この薮さえ抜けりゃ……」
念のためとラッパ銃を手に持ちいつでも撃てるようにして身を屈めて薮の向こうへと静かに向かい。
薮を抜け防壁の内側が見える…と目を凝らそうとすれば目の前に音もなく着地をする影。
ばれたか、と慌てて身を下げ銃口と共に視線を上げば見える女の姿。
その姿を見れば…何故ここにと傭兵としては絶対にしてはならない思考停止が一瞬置き、茫然とした顔で見上げ続ける。
■レイカ > 「…………え?」
いつものように、音もなく私はその目の前に着地した。
見上げる視線にも、いつものように殺気をありありと浮かべて威嚇する。
だが、その威嚇は一瞬でなくなった。
その姿を見上げれば―――忘れない、忘れられるはずがない。
裏切られ、心を壊した私であっても…彼の姿だけは、絶対に忘れられるはずがない。
「クライブ………クライブ…っ!!」
会いたかった、どうあっても会いたかった。
心を壊し、この里を作り始めて人間を恨み、ミレー族の敵を滅ぼし。
そんな私でも、どうしても会いたかった…愛しい彼。
突き動かされるまま、私は彼に抱き着いていた。
■クライブ > はっきりと感じる目の前に着地した相手からの殺気。
反射的に発砲しなかったのは全く相手の数が判らない状態で場所を知られては困るという本当からの静止。
だがその事を今は心から感謝するしかなく。
「レイカ…か?本当に……お前か?」
だが一瞬にしてきた殺気、そしてその女の顔を見れば思考が止まるのも仕方なく。
見下ろす姿は己が大事にすると決めた大事な存在。
彼女を、彼女が守りたいものを守ると誓った忘れる事のない存在なのだから。
「レイカ…無事だったのか。心配したぞ…」
彼女が里からいなくなりともかく探した。
奴隷市でエルフが出ると聞けば襲撃に、貴族が買ったという話を聞けば殴り込んでまで探した愛おしく大事な彼女。
抱き着いてくるその身体を受け止めて抱きしめ、本当に今ここにいるとその感触に、もう一度会えたという喜びに身を震わせる。
■レイカ > 「はい、ほんとに私です……レイカです。」
嗚呼、懐かしいにおい…。
あの集落を離れ、この場所へとやってきて一年間…。
彼のことを思わない日も、会いたいと思わなかった日も一日もなかった。
クライブがいてくれたらと、何度思ったことだろうか。
だけど、今こうしてあえてまた抱きしめてくれている。
そのことが、本当にうれしくて…。
ただ、さんざん探させてしまったことは本当に申し訳なく思った。
何も言わずにここにきてしまったことを、どれだけ後悔しただろうか…。
「すいません……本当は伝えようと思ったんですけど…。」
移動にかかる時間、そして彼がいつ帰ってくるのかわからなかった以上。
私は皆を連れて、何も伝えずにここに来るしかなかった。
せめて書置きだけでもと思っていたのだけれども…。
「それにしても、よくここがわかりましたね。
こんな山奥にまで足を運ぶなんて…もしかして、何かの……お仕事、です…か?」
………そうだ、再会を喜んでいるけれども…彼も傭兵だ。
まさかとは思いたくない、だけれども先日の傭兵の言葉が頭をよぎる。
貴族が、彼に依頼をしてここに調査に来たのなら……私は、どうすればいい。
ここのことを知られてしまうわけにはいかない、ここは…ここには私が護らなければいけない皆がいる…。
恐る恐る、私は彼に…たどたどしく、ここに来た目的を聞いた。
■クライブ > 「そうだよな。俺がレイカを見間違える訳ねぇよな」
こうして抱きしめればわかる彼女の事が。
どんな時でも己を落ち着かせどんな疲れでも忘れされてくれたにおい。
居なくなった最初は近辺を探し、そしていくつもの奴隷市や貴族を襲撃してまで探し求めた。
それほどまでに彼女は己にとってのいなくてはならない存在。
見つからずに半年も経った頃はもしやという考えもあった。
だが今こうして抱きしめている事に会えてよかったと本当に嬉しくて。
色々と言いたいことはあったが会えてしまえばそれすらも忘れてしまう。
「何、考えがあってのことだったんだろ?こうしてまた会えたんだ。
謝らなくていい」
いくら彼女やあの集落を守る為だったとはいえ離れ過ぎていた己こそがそもそもの原因。
もっとそばにいることようにしていればと後悔しかなく、謝るのであれば己なのだからと。
「まさかこんな場所にいるとは俺も思ってなかったぞ。会えたのは偶然なんだよな。
まあ、仕事といや仕事なんだが……」
再会の嬉しさのあまりに思わず抱きしめ彼女の匂いや感触を求めてしまった。
しかし落ち着き冷静になればここで会ったという事は確実にあの防壁の向こうの関係者という事なのだろう。
彼女にならば打ち明けてもいいのだがどうしても傭兵の頃の依頼人を明かせないという決まりが口にするのをためらわせてしまうのだが…。
「仕事には違いないがどっちかと言えばな調査だ。集落の近くで捕まえた怪しい猟師が山奥で建造物っぽい物を見たって話を聞いてな。
魔族や貴族どもの私兵、山賊なら面倒事になるから来たって訳だ」
本来なら隠さないといけない事なのだが…彼女には隠し事はしたくないと困った顔で小さく告げて。
■レイカ > 見間違えられるとしたら、私の目だろう。
あの時よりも余計に鋭く、そして殺気まで放つようになってしまった。
その所為で、目はより吊り上がって柔らかさが消え失せているかもしれない。
あの集落から離れて、もう1年ほどが経過していた。
その間、彼がどれだけ私を探してくれていたのかを考えると、やはり謝罪の言葉が先に出る。
考えがあってのこと…というよりも。
あの場所にいられない、とある私の心情の変化があったというべきだろう。
だから、私はあの集落から離れてここに来た。
彼も知っている、30人のミレー族と一緒に。
「…………仕事、ですか?」
お願いだから、最悪な予想は外れて。
そんな願いを、私は頭の中で繰り返していた。
彼が敵に回ったら、私はどうしたらいいのだろうか。
以前のように体を売ることもできる、彼ならばどんなに激しくされたってかまわない。
そんなことを考えながら、彼の話を体を震わせながら聞いた。
恐怖心、不安、そういった感情が私の中にこみ上げる…けれど。
「…あ、そ、そうだったんですか……。よかった…。
其れでしたら心配ありません、この壁の向こうは、あの日…。
廃墟地区から連れ出した30人のミレー族がいるんです。」
彼の説明で、私は心底安心した。
そういうことなら、彼が敵に回るなんてことはありえないはずだ。
彼も知っているはず、廃墟地区から連れ出した30人のミレー族を。
■クライブ > ようやく会えたんだと彼女の顔を見つめれば以前よりも鋭くなった眼つき。
だがその程度では見間違るはずはなく、殺気とて愛する彼女からのものなら耐えられる。
以前のような柔らかさは今は見れないがまた見れるはずだと信じて。
あれからあきらめかけた事もあったがそれでも希望は捨てずに探しこうして会えた事だけで報われて。
難しい事はあまり考えないがあの安全と言える集落から出たのであれば彼女には何か考えはあったのだろう。
だからこそそれを聞くなど野暮な事はせずただ抱きしめる。
「あぁ、仕事だ…と言っても集落で受けたのだからな。変な依頼人じゃないぞ」
殺気の事を考えれば恐らくはこの場によからぬ事を考えるものが来た事がある。
もしはそう言う者からの依頼と思われたのだろうと見当がつき。
もしそうだとしても今の己は依頼人よりも彼女の事を優先する身であって。
「もしレイカが考えてたような依頼だったとして俺がお前のいる場所を売ると思うか?
適当に誤魔化して消えてもらうに決まってんだろ…。
…あの時に護衛をした奴らか…。全員連れてきたのか」
彼女の言葉を聞き防壁の内側にいる者たちの事を聞けば納得をする。
それと同時にいなくなっていたことに気が付かないほどに動揺していたのだと改めて感じれは恥ずかしくなってしまい。
「ここにレイカがいて…誰がいるかもわかった。
こりゃ報告は出来ねぇな……」
ここを知ればきっと保護という話が出るだろう。
元々は集落にいたミレー族たちなのだから、だがそれを連れて出た彼女の思いもあるだけにどうしたものかと…。
■レイカ > 「………あの集落で、ですか…。」
私は、彼からそっと離れた。
もちろん抱きしめられるのが嫌になったとか、そういうのじゃない。
彼に、この壁の向こう側を見てほしいためだ。
だが、彼が依頼を受けた先、あの集落だということに、私は非常に複雑な思いを浮かべた。
最近、その集落の長が貴族になったという話を聞いた。
それもかなり、王族に近い家の養子になったという話だ。
私は、それで裏切られたのだと思った…。
あの集落を、貴族がどう思っているかなんて知りつくしていると言ってもいい。
クライブという情報網から聞いた話を知っていたがために。
集落としてではなく、貴族となったあの男を…私はひどく恨むようになった。
ミレー族の楽園を作っているはずだったのに…それを虐げる側になったのだから。
だから私は、もうあの集落に戻るつもりなどなかった。
「はい、あの時に護衛してもらった皆です。
事情を話したら、自分たちも行くって聞かなくて……。
最近では、私のことをレイカ様なんて呼ぶんで、ちょっと恥ずかしいくらいなんですよ。」
くすくす、と私は少し笑っていた。
こういうところは以前と変わらないと思うけれども…どうだろうか。
彼を引き連れながら、私は壁の向こう…30人程度が暮らしているミレー族の里へと案内した。
ここに招き入れる人間は、私が認めた人だけだ。
「……あの場所は…危険ですから。」
ぼそり、と私はつぶやいた。
■クライブ > 「あぁ、あそこだ。今はあそこが拠点だからな」
離れる彼女にどうしたという目を向けて。
だがそれは直ぐに防壁の向こうを見せてくれるのだろうと判り。
彼女と出会ってから王都からあの集落へと拠点を変え今なおそうしている現状。
彼女の表情がわずかに変わった気がしてどうしたのかと気になるのだが…
その原因が集落の長の軒だろうと眉をしかめる。
彼女の貴族を嫌う理由や思いは聞いて知っている。
長がミレー族の楽園を作っているはずなのに貴族になった事が気に入らず、そして信じられなくなったのだろうと。
ただでさえあの集落は貴族からよくは思われておらず、近頃は不穏な空気も感じる事すら多い。
だからこそ集落を出たのかとはっきりとした理由が思い浮かんで。
「あの時のは全員来たって訳か。
あいつらからしたらレイカの傍こそが安心できる場所なんだろうな。
レイカ様か、良いじゃねぇか。それだけ慕われてるんだからな」
笑う姿にようやく笑みが見れたと嬉しそうに肩の力を抜き、いまだ持ったままだった銃をしまう。
その以前と変わらない姿に安堵をして彼女に連れられて壁の向こう側の里へと案内される。
もし帰れと言われればここの秘密は胸に封じ誰にも言わないつもりだった。
だがこうして案内されることの、いまだに認めて貰えている事が嬉しい事を隠してついて歩く。
■レイカ > 壁の向こう側は、生活するには十分なスペースがあった。
家の数はそこまで多くはない、だけど中央には大きな建物を建てた。
そこは皆が利用する食堂、料理当番はもちろん私だ。
狩りをしてくれるミレー族もいるので、食糧事情はそこまで困っていない。
むしろ、豊作の時は余ってしまう始末でどうしようかという時もある。
30人という小規模なものだが、それでも十分回っていた。
そう…私は貴族が大嫌いだ。
あの傲慢な態度、そしてすべてが自分中心で回っているかのような下卑た笑い。
その一員になったというだけで、もはや彼のことは信用できる人物ではなくなっていた。
あのミレー族の集落も、いつ利用されて滅ぼされるかと思うと…いてもたってもいられなくなった。
声一つで消える集落に、皆をいさせるわけにはいかない。
その時、初めて私はあの集落の危険度を認識した。
「慕ってくれるのはいいですけど…様付けされるほど私は偉くないですよ。
ただ、ここの皆を護りたいからここにいるだけですし…。」
私は、一番大きな建物に彼を案内した。
食堂として使っている場所には、ちょうど何人かのミレー族がいた。
私の姿と、クライブの姿を見て…彼らは警戒どころか笑いながら近づいてきた。
彼も慕われている、少なくともほかの人間よりもずっと。