2017/04/23 のログ
ご案内:「骨董屋”影の国”」にスーさんが現れました。
■スー >
――さて。本日も開店してるかどうかわからないくらいの暗い店内。
ぎしぎしと、音を立てる椅子の音が妙に不気味で。
ところどころに散りばめられた灯りが妙に幻想的な場所。
「……すぅ……」
今日も、そこの店主は。
ゆっくりまったりしながら、”時―きゃく―”を待つ
ご案内:「骨董屋”影の国”」にウルフェラさんが現れました。
■ウルフェラ > 店内に響き渡る椅子の音。
そこにぎぃ、と扉が開く音が加わった。
黒のフードに、大きなリュートケースを背負った人影が、店内へと
入ってきたのだ。
人影は入ってきた扉を丁寧に閉めて、こくりと頷くとフードを脱いだ。
緑と青が混じった髪に、異様な金色の瞳。透き通るように白い肌。
その無機質な目は、暗闇の中で揺らめく小さな光の欠片を捉えて、動く。
動き、動いて、その先に居るこの店の主人を捉えれば、ぱちりと瞬きを『行う』。
「挨拶/確認。……こんにちは」
あまり抑揚のない声で、彼女はそう口にした。
■スー >
扉があいたのがわかれば。
びゅうっと、風が店内に入り込む。
ゆっくりと、瞼を持ち上げて。
目を凝らす。フード、ケース。
瞬時に思い当たるのは、いない――が。
素顔が見えれば。
「……んぐ。おや、よく来たね。ひさびさかい?」
近くの”手帳”に手を伸ばし。名簿を開く。
確か、名前は――
■ウルフェラ > 「返答/肯定。久しぶり、です」
語って、店主の方へと小さな歩幅で近づいていく。
そうして目の前で止まれば、軽く頭を下げた。
前に比べれば、少しばかり動きのぎこちなさはなくなっているようにも思える。
近くで見れば分かるが、彼女の手の内には
何とも不気味なぬいぐるみが収められている。
それは、かつてこの店に初めて訪れた時に買ったものであった。
■スー >
――名前は、あぁそう。そうだウルフェラ、だったか。
商品購入の際、書いてもらう保証の兼ね合い
手帳を開けば大体思い出せる。
そぶりを見れば……なるほどとうなずいた。
「随分こっちになれたようだねぇ」
よいしょっと、一旦椅子から降りて。
寝起き用の飲み物の準備。
「――おや、今日はぬいぐるみになにかあったのかい?」
■ウルフェラ > 「感謝。ここに来てから、時間が経ちましたから」
その表情が少しばかり緩む。観察眼に長けていなければ、見逃してしまうような
小さな変化ではあったが。
「依頼/提示。以前に買ったこのぬいぐるみの手が、取れてしまいました。
貴女なら、直せるのではないか思いまして」
ウルフェラは手の内に大事そうに抱えていたそれを、すっと差し出した。
ぬいぐるみの手は確かに片方が取れていて、取れた手の先は腹の上に置かれていた。
■スー >
「そうかい、それはよかった」
かこんっと、魔動機。紅茶を作るために魔力を流して――
とぽとぽと、カップに注いでいく。
そちらに注目しているからか、表情は見えないが。
「その言葉を聞くと、詩はもっと良くなってそうだね」
かちゃっという茶器と皿がぶつかる音が店内に響く。
お盆に乗せて運びながら。
「――おや、取れたのかい。そんなに古いもんじゃなかったはずだけど――……大事にしすぎたかい?」
子供は気に入りすぎてどこにでも持っていくということがよくある。
大事だからと肌身離さずしていたのに、いや。
”いたからこそ”、起こってしまうこと。
「――わりと、子供っぽいやんちゃなところもあるんだねぇ?」
茶化すように言いながら、紅茶の入ったカップを差し出した。
バラの香りがする、紅茶だ
■ウルフェラ > 「質問。これは……?」
紅茶を淹れる為に店主が使っている機械を見て、ぱちりと瞬きを行う。
そうして、つかつかとその機械の前までいけば、様々な角度から眺め始める。
彼女が犬で尻尾を持っていれば、きっと大きく振っていたことだろう。
「懐疑。私の詩は、まだ未熟です。ただ、詩を歌うのは今までよりも
……何と表現すべきでしょう………今まで以上に、積極的に行いたい行動
となっています。お客さんは、『楽しそうに歌うね』と言っていましたが
……私には、よく分かりません」
自分の胸に手を当てて、少しばかり俯くウルフェラ。
「否定。町の子供に取られてしまったのです。見つけた時には、もうこの状態でした」
首を横に二、三度小さく振って、ウルフェラはまた俯いてしまった。
彼女が生きた人間だったらため息をついているところだろう。
■スー > 「”骨董”だよ」
いたってシンプルな回答。
どういう仕組みで、どう動いているのかなどスーは知らない。
なぜなら”意味がない”
スーは、白衣で身を包む、読書や難題に取り組むのが仕事の人種ではないのだから。
「魔力を流すと、暖かい飲み物が出る骨董品でね。魔動機、といったところか」
拾いもんだよと、付け足せば紅茶を口に含む。
薔薇の香りが鼻から抜ければ、心地よく息を吐いた。
「実感はないが、そう評価されているといったところかい?
いいじゃないか、客受けがいいってことは」
俯く少女に、からからと笑いながら。
「わからないのが、なにか問題かい?」
そう、問いかけつつ。人形を受け取る。
直せないほど、といったわけじゃなさそうだが、さて。
「治安がいいほうではないからねぇ。気を付けないと。ここあたりじゃ盗られたほうが悪いと言われちまうよ」
この損傷なら、保証内だ。
保証適用のギアスと、あとは”文字”が必要。
糸、針、紙、ペンを準備しながら言葉を紡ぐ
■ウルフェラ > 「質問/希望。この骨董品を、売って貰うことは可能ですか?」
ウルフェラはじっと魔動機を眺めた後に、率直にそう問うた。
彼女はじっと、店主を見る。真剣な眼差しに見えなくもない。
「問題。お客さんは、それは私の長所だと言っていました。
長所を指摘されたのなら、出来るだけより良く出来るようにしていきたい
と考えたのです。その、「楽しい」を出来るように……」
少女はそう語る。語りながら、今度は店主の手に渡ったぬいぐるみを
ただただ見つめる。
「肯定。確かに、治安は良くないようです。ここに来てから二回、襲撃を受けました」
■スー >
「――なんだい、ほしいのかい?」
欲しいと言われれば、もちろん提供しないわけはないが。
ただ、問題として二つほどある。
まず、スーが使っていたものになるという問題。
それでも譲ってほしいというからには、値段をまけたりはしない。
中古品だが、新品のそれ同様の金額を要求するということ。
もう一つは持ち運びの問題。
すごく大きいわけではないがやっぱ、それなりだ。
トランクにいれるわけにもいかないし、男手が必要になる。
それらの点を、指を出しながら説明していった。
「――すぐには難しいんじゃないかね」
”商人”として言葉を濁した。
どこかで似たような言葉を聞いた気がするが――
それを目の前の子がすぐにできるようになるとは思い難い。
「おや、二回程度かい。それで済んでよかったね」
さらっと、そんなことを言いながら。
手帳を渡して、ウルフェラの名前があるところに
親指の血判をするよう指示し――
自分はといえば、針と糸を持ち、双方に文字を宿らせて――
丁寧に縫っていく
■ウルフェラ > 「肯定/強調。……是非」
ウルフェラは店主スーの説明を、静かに聞いていた。
そうして二つの問題点を彼女が語り終えた後、自分が持っていた、
金貨の入った布袋の重さを確認するように取り出すと、首を横に振った。
「回答。持ち運びに関しては、問題ありません。
このように小さな身体ですが、力は出せますので。
しかしながら、一つ目の問題については解決できそうにありません。
今現在私の所持している金額では、購入は不可能であることが分かりました。
お金が貯まり購入が可能となったら、またここへ来ます」
スーの商人としての言葉に、ウルフェラは頷くことしか出来なかった。
しかし諦めきれないらしく、最後にまたここへ来ることを告げた。
「血判……」
自分の親指を見て、それから改めて店主の方へと向き直れば、ウルフェラは
こう口にした。
「謝罪/質問。すみません。血を流すことは不可能です。サインでは、駄目でしょうか」
■スー >
「――あぁ、すぐに無理ってのはそれもありそうだけど。”楽しい”を磨くって話もさ」
お金のことなら別にいいよと、手を振り。
集まったらまたおいで、なんて付け足した。
「――楽しいを、売れるようになったらそりゃ偽物で
感情を”意図して”売れるようになったら、化け物だよ」
商人として、金でそれを”買えて/変えて”しまうなら
そんなものは意味がない。そうではなく――
そんなまがい物ではないものを、少女は目指しているのではなかったか。
そう、彼女の恩師のように。
「――なんだい、血が出ないとかいう体質かい? なら、そこに赤い紅があるだろ。それで押しとくれ」
すらすらと、そちらを見ずに縫っていく。糸と針が光って――
手がぬいぐるみに、戻っていく
■ウルフェラ > 「困惑。売れる楽しいは偽物、意図して売るのは化け物……」
店主が発した言葉を噛み砕いて飲み込むには、未だ彼女の心は少々「鋼」に寄りすぎていた。
故に彼女が発した言葉を自分で何度か呟いた後、首を横に振った。
楽しいには偽物と本物があるのか、その違いは何なのか――。
意図、それが鍵なのか、云々――。
「肯定/感謝。その通りです。ありがとうございます」
ぺこりとお辞儀をして、少女は紅に指をつけて手帳に押し付けた。
すっかり元通りになりつつあるぬいぐるみを見て、そちらへ近づいていく。
■スー >
「――まだ、早いかもしれないね」
覚えておくといいかもね、と小さく口を動かせば。
そろそろ、縫い終わり。
口に糸を咥えて歯できれば。
しっかりと、元通り。縫い目もそんなに目立たない――
「はい、これで大体はいいだろうさ」
少女にぬいぐるみを渡しながら、ふぅっと一息
■ウルフェラ > 「了解。記録して、おきます」
こくりと頷くウルフェラ。
店主からぬいぐるみを渡されれば、それをひしっと優しく抱きしめる。
とても大事そうに。
「感謝。ありがとうございます。もう盗まれないように、一層注意をはらいます。
代金は、幾らでしょうか」
手の内にある布袋の口を開いて、金を数えながらウルフェラは問いかけた。
■スー >
「――代金? 何言ってんだい、保証期間内だ。無償だよ」
くあああっと欠伸を一つ。
肩が凝ったのか、腕をぐるんっとまわしながら。
「使えるのは、あと一回までだ。それを過ぎたら料金が発生するからね――」
紅茶を口に含み、いいねなんて。より老婆は笑みを深めて。
ぎしぃっと椅子に深く座った