2017/01/14 のログ
イーヴィア > (おじさん、と言いかけて、おにーさんと言い直した辺りに…思わず、小さく笑った
まだ、状況を全て飲み込めた訳ではないけれど
もし、今彼女が本当に10歳の状態なのだとしたら
何よりも両親の居ないこの状況では、酷く不安な筈だ
――其の位の頭が回るまでには、己も、何とか。)

……いんや、そんな訳無いさ。 女神様に誓って、俺は悪い事はしないよ。

(両手を掲げて見せ、彼女の前でおどけて見せよう
己に害する意志が無い事、悪者ではない事を主張して
――其れから、少しだけ、考える。 考えて、考えて。
其の間も、彼女から視線は、逸らさぬ儘で。)

―――……テイア、おにーさんはな、テイアのお母さんとお父さんの知り合いなんだ。
君のお父さんとお母さんに、暫くの間、君を預かって欲しいと頼まれてね。

(―――己の事を知らないと言うのなら。 なら…おにーさん、だ。
少女へと、ゆっくりと語り掛ける様に、其の目を見て話しては
再び、其の掌を、そっと己が掌で包み込もうとしながら)。

テイア > 「ほんとにほんと?」

じーっと普段の女とは違う、幼い視線が疑うように男を見つめる。
男の姿に違和感がある気がする、とじーっと瞳は男の姿を見つめてふとある事に気づく。

「ほんとに悪い妖精じゃないの?おにーさんの耳なんか変だよ。長くないし、ミレーみたいに獣の耳でもないし。」

森に住む人外は大抵耳や身体的特徴がみられるが、彼にはそれが見えなかった。
エルフのように長い耳でも、ミレー族のように獣の耳をもつわけでもない。
まるで猿のように丸い形の耳は、もしかしたら猿の形の悪い妖精が化けているのかと疑いの目に変わる。
ドワーフももちろん森に存在しているが、彼らとは違う体型の男からその種族は想像に浮かばず。
女の言葉から、『人間』という種族、身体的に特徴のない種族というものを見たことがないことがわかるか。

「おとうさんと、おかあさんの知り合い?ふたりともどこかにお出かけしてるの?もー…わたしだって一緒にいきたかったのに、もう10歳だよ、一緒に行けるのに…。」

じっと瞳はそらされずに男の紫を見つめている。
男から聞かされる話に、不安そうな瞳は次第に不満げな色が混じっていく。
両親が遠出をするときに、あずけられるのは初めてではないらしい。
もちろん、起きていきなり預けられているという状況は初めてだったが。
知らされる事実に、むぅっとむくれ不満を漏らす。
再び手のひらが重ねられて、あたたかなぬくもりに包まれる。
父のものだと思っていた、夢現のなかで感じていたぬくもりた掌にかえってくる。
まだ体温の低い体には、その温もりが心地よく安堵をもたらして、女は表情を緩め。

イーヴィア > 嗚呼、ホントにホント。
此れでもドワーフなんだぜ? ただ、おにーさんはずっと遠い所から来たんだ。
キミの知ってるドワーフとは、ちょっと違うだろ?

(正確には、ドワーフと称される土精の類だ
この国で言う其れとは、ちょっと違うのだと説明しながら
己が耳を軽く摘んで、引っ張ったりして見せよう
少々褐色の濃い肌以外は、人間とそう変わらない形
其れに見覚えが無いのだとしたら、エルフの里に居た時期か
少なくとも、王都の辺りに居たとは思えず)

………そう、大事な大事な用事が在ってな。
だから、暫くは此処で過ごすんだ。 ……と言うか、今まで疲れて熱出してたんだぞ?

(――今の今までな、とか、少しだけ作り話を混ぜて説明しよう
下手な話を混ぜてしまえば、己には答えられはしない
疑いを凭れてしまえば、今の彼女にとってこの状況は
恐怖と不安以外の何物でもないだろうから
これが一時的な物なのか如何かは判らない、けれど
今は、こうするのが一番だと、そう考えたが故に。)

……まだ、動くと頭がふらふらするだろうけど…大分良くは為ったみたいだ。
……喉は乾いてないか? ……白湯で良いなら、直ぐに飲める。

テイア > 「ドワーフ?ほんとに?うん、森であったことがあるドワーフって顔も体も大きくて、横に広い感じで。」

種族を告げられ、意外そうに二色の瞳がまん丸に大きく見開かれる。
耳をつまんでひっぱるのに、髪の間から丸い形の耳が見える。
イメージにあるドワーフとはまるで違う体格をまじまじと珍しそうに見つめ。
まだ外の世界を知らず、両親に愛され無垢なままに森に育まれていた時期の少女が女の中にいる。

「むぅぅ…おとうさん、明日には狩りにつれてってくれる約束だったのに…。
 え、うそ。覚えてない…じゃあ、わたしが熱だして寝てる間におとうさんもおかあさんもいっちゃったのかぁ」

拗ねた顔と声音が不満を口にする。
しかし、熱を出していたと言われれば表情は驚きに変わりと、普段の女からは考えられないほどにころころとよく表情が変わって見えるだろう。
確かに言われてみれば、狩りの約束をしたあとからの記憶が曖昧だ。
不確かな記憶は、容易に作り話を女に信じさせて安心を与えていく。

「うん、ふらふらする気がする。さっきも目の前がぐるぐるして気持ち悪かった。ん?んー…ちょっと喉渇いてるかも。」

父母の知り合いで、悪い妖精ではないとの疑いが晴れれば女の警戒心は薄れていく。
体調の悪さも、男の作り話を信じさせるには十分すぎるほどで。

イーヴィア > そうだぜー、俺もな、こっちのドワーフに会った時は、全然違って口開けたもんなァ。

(きっと、其れも地域性の一つかも知れないが、実際己も驚いた物だ
だが、この地に来てから本来在るべきドワーフと言うイメージが
此処では彼らみたいな体形の者達を示すのだと知ってからは
比較的、自分が少数派なのだと言う事は意識する様になった
無論、時折自分のように、人間に近いタイプの仲間も見かける
とは言え、矢張り今の少女にとっては、当然珍しいだろうと理解は出来る)

……お父さんとお母さんも、其の心算だったのさ。
でも、急にキミの熱が上がったのと、突然用事が出来てね。
仕方なく、おにーさんのトコで預かる様にしたのさ。

(――出来るだけ、嘘は吐きたくない。 けれど、彼女を安心させる方法が、今は他に思いつかなかった
実際、彼女の体調が戻り切って居ないのは明白だ
例え意識が戻ったとは言え、先刻まで枯渇し切っていた魔力だ
流石にそう簡単には戻らないだろう
病み上がりなのだと思わせることで、ゆっくりと休ませる事が出来れば良いと
そんな考えを持ちながら――ふと、少女の掌を包む、自分の掌
其の左の薬指へと嵌められた指輪の、其の力を発動しよう

――己には彼女程の魔力は無い。 彼女の傍に居る事で、この森に居る事で
少しづつ指輪へと溜め込んだ力は、其れでも普段の彼女の魔力量には程遠い
けれど、少しでも、其の力を彼女へと還元させられれば――
――発動する治癒の力と共に、指輪の中にあった魔力が
次第に彼女の身体の中へと、ゆっくりと、流れ込んで行くだろうか)。

テイア > 「ふぅん、じゃあおにーさんのおとうさんもおかあさんも、みんなそんな感じなんだ」

遠いところから来たという男、その男もまたこちらのドワーフの姿かたちに驚いたという。
男が特別変わっているわけではなく、その遠い場所では男のようなドワーフが普通なのだと理解して。

「そうなんだ…。残念。熱が出なかったら一緒につれてってもらえたかもしれないのにな」

至極残念そうに、女がしょんぼりと嘆息する。
どうしてそんなときに熱がでちゃうかなぁと、自分の体の不調を憎らしく思い。
生命の維持すらあやしいほどに枯渇していた魔力、今は維持程度には回復しているがやはり動くにはまだ足りない。
それは、体の重さと足りない血と魔力からくる目眩で不調を自覚させている。

「なんか、手をつないだところからぽかぽかする。」

冷えた指先に血が巡っていくように、じんわりとしたぬくもりが掌に伝わり、そこから手首、腕…とゆっくりと全身へと巡っていくあたたかな感触。
元々膨大な魔力量を誇る体に対しては少ない魔力であるが、それでも体の重さや不快感を消してくれるのに、ほうっと息を吐き出して心地よさそうに目を細め。

イーヴィア > そうだぜ、俺のお父さんもお母さんも、爺さんもばあちゃんも、皆こんな感じさ。

(――まるで、小さな子相手に喋る様な、自分の言葉
なのに、目の前に居るのは、矢張り如何見ても、彼女なのだ
それが、酷く不思議な感覚。)

……そうだな、お父さんとお母さんも、一緒に行けなくて残念そうにしてたよ。
ま……兎も角、今はゆっくり休んで、身体を治す。
元気が出て、歩いたり出来る位になったら…、……此処を、案内してやるから。

(少女にとっては、見知らぬ場所、見知らぬ土地だろう
けれど、だからこそ、安全であると言う確信と、一寸した興味を覚えてくれれば、良い
若しかしたら、刺激を受けて、思い出す切欠になるやも知れない
そんな事を思いながら――指輪の力を、譲り渡して行く
魔法とは無縁、自ら扱う技量も才能も無い自分が、今は悔しいが
彼女が、暖かいと、そう感じてくれるのなら――ふ、と、笑って。)

……おにーさんの、おまじない、さ。
……テイアが、早く元気になれる様に…って、ね。

(右掌を舞い上げ、毛布を少女の肩まで掛け直してやる
そうして、また其の片掌を包み込んでは――指輪に篭められた力が
一度枯渇するまで、彼女へと与えきる、か。
――そうして、指輪が発動を終えれば。 一度掌を離してから
直ぐ隣のサイドテーブルに載せられていたポットから、温めの白湯をカップに注いで。)

――ゆっくり、起きれるかい? ……少し、湿らせる位でも飲むと良い。

テイア > 「そっかぁ。うん、そうだね。体を治して、もっともっと丈夫にして、次の時は連れて行ってもらわなくっちゃ。
 此処って、森じゃないの?」

父も母も、祖父母もドワーフとはいえ男と変わらない体格だというのに、ふぅんと興味深げに聞いて。
男の言葉に素直に頷く。
しかし、続いた言葉に女は少し首をかしげて問いかけた。
確かに、ガラスのような壁、床の室内は見たことがない。
木々や自然を利用する住居に慣れた自分にとっては、馴染みのない空間。
しかし今まであずけられる時は、森の知り合いや親類の家であったから今回もそうだろうと思っていた。
月の加護を受けた、大きな湖を抱く深い深い森は女にとって生まれ故郷でもあった。
ただ、女の中の少女の記憶にある森は、今よりももっと深く、もっと広くもっと豊かであっただろうが。

「なんかね、お日様の下で日向ぼっこしてるみたいで、手のところからあったかいお湯が流れてくるみたい」

ゆっくりゆっくりと流れ込む力は、魔力の枯渇する体に巡り冷え切った体の芯が暖かくなっていく。
微睡むように目を細めて、なんどか深く息を吸い込み、そして吐き出す。

「うん、ありがとう。……?」

言葉に再び瞳を開くと、体を起こしていく。
まだ少しくらりと目眩はするが、それでも最初にはねおきた時ほど不快感は少ない。
カップを受け取る手が視界に改めて入ると、どこか違和感を覚える。
カップが小さいとは思えないが、普段感じているよりも手にしっくりくるような…そこから肩へと伸びる腕が長いような。
そんな違和感を抱きながら、カップを両手で包み込むと息を吹きかけ、こく、と温い温度のそれを飲み下していく。

イーヴィア > そうだな、其の時までに、ちゃんと治さないとだ。
……森の中っちゃ森の中さ、ただ、テイアの知ってる森とは少し違う、な。
……ルミナスの森って、知ってるかい?

(――ふと、彼女へと投げ掛けてみる、森の名前
幼少期、彼女が過ごしただろう、己の知らぬエルフの棲む森の中
其処とは異なれど、けれど王都の周辺で、最も其の時代の気配を残した此処は
彼女が、長く過ごし、統治し、護って来た場所でも在る
記憶に、引っ掛かれば良いと思いながら、試す様に告げては
少女へとカップを渡そう
先刻よりも、多少はマシなのだろうか、もしふらついている様子なら
片腕で其の背を支えようとするけれど。)

――――――……吐き気がしたり、気持ち悪くなったりしないか?

(長い間、水の中に浸かっていた其の身体。
幾ら聖域が其の身を少しずつ癒していたとしても、一切の栄養を採れぬ状態であれば
当然魔力的な要素だけじゃなく、身体も今は弱っている筈だ
様子を伺いながら、そして、改めて考える――この嘘は、果たして何時まで保つのだろう、と
咄嗟の判断では在るけれど、彼女を元に戻すには、此れで良いのだろうか
そっと、寝台の淵へと腰を乗せては、其の顔を見詰めながら
――思わず、少しだけ、表情を翳らせて)。

テイア > 「うんっ、おとうさんとおかあさんが帰ってくる時までに元気になってびっくりさせる。
 私の知ってる森と違うの?…んー?聞いたこと、ないかなぁ。
 私の住んでる森はね、月の女神様が降りてきた森だよ?」

記憶の中にあるのは、
まだ境界もなく、ただただ深く大地を覆う森。
まだルミナスの森と外から見たときの名前も持たない、月の女神の森。

ただ、少女の口から語られるのは今まさにいる森の過去の姿であっただろう。
血も足りない体は、まだふらつく。
その体を腕で支えられ、身をあずけながら温かな湯気をたたせるカップに口をつけていく。

「大丈夫、お湯がおなかの中に染み込んでくみたいに感じる。…なんかね、私の体、変じゃない?」

空っぽの胃に入ったお湯が、優しく体に染み込んでいく。
しかし、その感覚にほうっと息を吐き出したあと身を起こした自身の体を見下ろす。
腕はすらりと長く、胸元には母のような膨らみが見える。
それに、視線の位置もなんだか高いような…実際に立ち上がっていないからあまり視線の位置に実感はないが。
膨らみはなんだか恐くてさわれずに、戸惑いの瞳を男に向けると、その表情には翳りが見えた気がした。

「どうしたの?」

イーヴィア > そうだな、其のほうが吃驚するし、其れに何より喜ぶさ。
……そうか…、……いや、でも、テイアの知ってる森には、きっと近いから
だから、出歩ける様にもなったら…少し、外も歩こうか。

(――彼女の反応は、乏しい。
いま、彼女が本当に、10歳の時の彼女なのだと再認識して少し落胆したけれど
其れならば、其れで…、……覚悟を、決めた。
記憶が戻るまで、己に出来る事なんて限られている
ただ、出来得る限り彼女の傍へと着いている事だ
片腕に掛かる彼女の、其の体躯の重みを感じながら
――つい先日まで、笑っていた其の姿を思い返して、双眸細め)

――――……! ……嗚呼、ごめんな、おにーさんぼーっとしてた。
……えっと…、…そうだな。 ……………。

(一瞬、彼女の声で我に返っては。 誤魔化すように、笑って見せたけれど
其の後に続いた、其の身体に対する違和感については…上手く、言葉に出来なかった
どう、伝えるべきなのか。 或いは、誤魔化すべきなのかが、思い至らない。
笑顔だけれど、沈黙すると言う気まずい状況が、僅かな間、続くだろうか)

テイア > 「うん?なんだかよく分かんないけど、早く治るようにするから連れてってね。」

知っている森に近い?
と首をかしげるが、なにせ情報が少なすぎて想像すらできない。
いずれ外に連れて行ってくれる言葉に、今はしっかりと頷いて体を治していくしかない。
警戒をといて、人懐っこい笑みを浮かべる女の表情は、やはり常と違いどこか幼く印象が異なる。

「……?…寝てる間に大人なるっておとうさんよく言ってたけど、こういう事なのかなぁ。おとうさんとおかあさん、帰ってきたらびっくりするだろうなぁ」

沈黙のあと、はっとしたように男が返事をする。
言葉に詰まる様に、不思議そうに見上げ首を傾げたあと、新たな問いかけが男へと投げかけられる。
それは、どこか納得したような声ですらりと伸びた手を翳してみたりして。
少女の周りには、同じ年頃の同族はいなかった。
周りは大人ばかりの環境で育ち、たまにミレー族の子供と遊ぶことがあるくらい。
自分だけ体が小さいというのは、いつも少女の疑問だった。
問いかける少女に、少女の父はいつも困ったように笑いながら、そう少女に告げていた。
その言葉を思い出しながら、少女の中で戸惑いは納得へと変わっていくか。

ご案内:「ルミナスの森」にガリアさんが現れました。
ご案内:「ルミナスの森」からテイアさんが去りました。
ご案内:「ルミナスの森」からイーヴィアさんが去りました。