2016/12/17 のログ
■サロメ >
『そうであるぞ。部下の戦いぶりを見ておらなんだのか?
人間程度の魔力だけであれだけの氷の魔法を扱いきれるものか。
妾の手助けがなければ云々カンヌン───』
不満げな言葉は続く、やがてハッとしたように声色が変わって
「ンン。そうだな。
刹那的に生き急ぎ、朽ち果てる道も好かろうとは思っていたが、
その生き方の模範となるお前がその具合では主も死にきれまい。
───我が主を蝕んでいるのは端的に言えば呪いだ。
お前がいなくなり、心の折れかけた我が主にとどめの一撃を加えた魔族がいる。
心を砕き、肉欲をひたすらに増大させる、淫心の呪詛にも似たものよな。
魂の奥底までがそれに食い潰されるまでそう時間はあるまい」
つらつらと、その現状を語る魔剣
宝玉は僅かなもの悲しさを現すように朧気な光を灯し続ける
■オーギュスト > 「あー、あいつは優秀だし、俺は魔法に疎いからなぁ」
なにせ、魔法は一通り初級魔法が使えるだけ。
あとは魔神の血晶を使った時魔法だが、あれは系統が違いすぎる。
「――やっぱり呪いか!
どこのどいつだ!?」
思わず大声を出してしまい、はっとして口を塞ぐ。
サロメが起きてしまってはマズい。
■サロメ >
『騒ぐな。───知ったところで、何がお前にできるかはわからんぞ』
氷の魔剣は常にサロメと共にあった
剣として持たれぬ間も、霊的存在として常にその側に
たとえ、主であるサロメが正気を失おうと、
その存在をを知覚し、記憶し───
「先ず、直接我が主を陥れたのアダン・フェリザという男だ。
王城にも顔を出す腐った貴族のうちの一人だな。
以前我が主を囲ったのも確かあの男だった筈だが…まぁそれは置いておこう、次だな。
今、我が主を蝕んでいる呪詛の主はラヴィア・エーテリウスという王侯貴族だ。
どうも、人間ではないようだがな」
立て続けてに出てきたその名前は、
王国の中でも名のある…いわば上役達である
何ができるか、と問うたのもそのためだろう
■オーギュスト > 「――確定か。にしても、エーテリウス……ちっ、そんな事だろうと思ったぜ」
あの日尖塔に来た女。やっぱり一枚噛んでいた。
どころか、黒幕の一人と言っても差し支えなかった。
「そのアダンとかいう男には生まれた事を後悔させてやるとして、だ。
ラヴィア・エーテリウス。王族に連なる貴族らしいが、なにもんだ?
やっぱり魔族か」
その辺りは調査しなくてはならないが、問題は、だ。
今、この瞬間サロメを蝕んでいる呪いだ。
「そいつらの始末は後回しだ。
今は解呪が先――呪者を始末すればいいってんなら、話は別だがな」
■サロメ >
『魔族であるかどうかは定かではない。
妾とて主の脇で状況を見ていたに過ぎぬからな。
その辺りは足があるお前達で調べるほうが早いだろう』
明滅する宝玉
口調や言葉こそ冷静なものの、
サロメの側から離れられない歯痒さもあるのだろう
『…さて、妾も呪詛にはとんと疎くてな。氷結の魔法ならばなんでも来いといえるのだが。
すでに術者の手を離れたモノか、今もつながっているモノか。
後者であれば、術者を殺せば消沈するだろうが……。
そうでなかった場合は、口を割らせることができなくなるからな』
■オーギュスト > 「――あぁ。第九師団と、それにテイア、あとは密偵連中にも頼むか」
目的さえ分かれば、ツテはある。
すぐさま調査を開始しよう。もう、時間が無い。
「呪詛に関しては、どうしても専門家に見せる必要があるか……
何か、強力なマジックアイテムでもありゃ楽なんだが――」
もしくは、あの場所。
あの島ならば、もしや……
■サロメ >
『それにしても意外だな』
宝玉の明滅が強くなる
『我が主が追いかけていた背中、
オーギュスト・ゴダンがここまで部下想いだとは知らなかった。
我が主の代わりに、しっかりと記憶しておくとしよう』
■オーギュスト > 「……あ?」
いきなり何を言い出すかと思えば。
しばし無言の後、剣に向かって言う。
「サロメが正気に戻っても、言うんじゃねぇぞ」
まったく、確かにどうかしている。
だが――
(ちっ、情が沸いたか……)
こいつは家族だ。
見捨てるわけにもいかない。
そう、自分に言い聞かせる。
「それよりも、だ。お前はなんだ、自由に動けんねぇのか?」
■サロメ >
『ふッ……いや失礼。
人間というものは成熟した後も、周囲の環境で変化を続けてゆく。
精神面の成長というのは年齢を問わないということだ。
その魂に流れる時間が凍っていない、良いことだな』
宝玉の光が優しげなものへと変わる
……ある程度成れると、なんとなく光り方で感情が読めそうなものだった
『主の意識がある時ならば、魔力を借りて一時的に霊的質量を持つことができる。
しかしまぁそれもこの剣と紐付いたもの、独り歩きできる時間も短い。
まぁ、お前が此処にずっと現れないようなら、妾から尋ねるつもりであったが』
■オーギュスト > 「何処が成長だ、どこが……」
ガリガリと頭をかきながら嘆息する。
我ながら、似合わない事をしている。
だが、そうあれと願ってしまったのだ。走り続けるしかない。
「――そうか。お前にも探ってもらう、って事はできねぇか。
しゃあない、サロメのお守りを頼むぐらいしかできねぇな」
やれやれと嘆息しつつ考える。
――なんで、サロメに呪いなんぞかけたんだ、あのエーテリウスとかいう奴は
「おい、そのエーテリウスとかいう奴、サロメに何か言ってたか?」
■サロメ >
『言おうと言うまいかと悩んでいたが…。
主をこの状態にした術者の女…エーテリウスは、
お前を焚き付けることを目論んでいたようにも思える。
状況が左右し、思いのままとはいかなかったようだが───、
いやあれだけの大火事を起こせばそうとも言い切れんか』
少し心惑うように宝玉の光が揺れる
『"駒"として使われたのだ。
たとえ死んでいても機能する、利便性のある駒として。
大きな戦い、争いの火種となることが出来る…お前に文字通り火を入れるためにな』
■オーギュスト > 「――なぁるほど、な。ったく、大火事にしなくて正解か」
不思議と冷静でいる。
そう、いつだってそうだ。魔族相手に熱くなったら負けだ。あれらはそうやって愉しんでいるのだ、状況を転がす事を。
「ふん、まぁいいさ。
全能の力を持つ奴はいつだってそう――全てを己で転がそうとする。
己の都合の良いようにしか考えない。
だからこそ」
だからこそ、つけいる隙がある。
引っ掛ける事が出来る。
「反撃開始だ。第七師団を――俺を舐めたツケを払わせてやる」
■サロメ >
『お前を信じ続けた我が主を壊してしまえば、
かのオーギュスト・ゴダンであれば怒り狂い、大きな戦乱の火種となる。
───そう目論んでいたのだろうが、宛てが外れたな』
ふわふわと明滅する宝玉は、どこか安心したような様子
「妾はずっと我が主と共にお前を見続けてきた。
我が主は愚直とも言える人間だ。お前に言いたいであろうことは解る
今は水底で救いを待つだけ故に妾が代わりに言おう。
オーギュスト・ゴダン。お前を信じ続けよう…最後のその時まで」
やがてその光は薄れ、宝玉の中へと戻ってゆく
そしてそのまま、アイスブランド──魔剣ゼルキエスは沈黙した
■オーギュスト > 「――ふん。その火で自分が焼かれる事になるとも知らずにな」
吐き捨てるように言うと、光の消えた魔剣を眺める。
まったく、言いたい事だけ言って消えやがった。
魔剣と、そして――サロメを見て言う。
「俺も、お前に言う事がある。最期になんてするんじゃねぇぞ」
ぶっきらぼうに言うと、オーギュストは駐屯地を後にする。
やるべき事に、少しだけ、道筋が見えてきた。
■サロメ >
眠り深いままに、その身にオーギュストからの言葉を受けて
───ほんの僅かだけ、その寝顔が微笑んだようにも見えた …かも、しれない
ご案内:「第七師団駐屯地」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「第七師団駐屯地」からサロメさんが去りました。