2016/10/28 のログ
ご案内:「設定自由部屋」にクラーラさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」にソル・グラディウスさんが現れました。
クラーラ > 風呂場での事、殺し合いを挑まれたものの、そんなものに応じるつもりはなく。
彼を説き伏せて着けた落とし所は、魔剣抜きでの戦いだった。
とは言え、岩を殴って壊せるほどの贅力があるのなら、それだけでも十分使い手の強さがある。
実剣を使うなら、それは彼が望んだ殺し合いと然程変わらないかもしれない。

「……」

そうして準備したのは王国軍の訓練場の一つ。
彼との戦いのために空けておいたそこには、この女だけが彼を待っているように見える。
実際は、建物の中に治療ができるものが控えており、何かあっても対処できるようにと考えていた。
そして、開けた訓練場には、色んな剣が木製の台に掛けられ並べられている。
普通のロングソードからクレイモア等など、重さや長さも様々だ。
そしてこの女も何時もの魔剣ではなく、軽めのロングソードを一つと、ダガーを二振り腰から下げている。
彼がやってくるであろう方角、そとと通じる扉の方をじっと見つめて待っていた。

ソル・グラディウス > 「~♪」

口笛を吹き、軽い足取りで通路を歩く一人の男性。
昨今のイライラ様子からは打って変わって、如何にも楽しそうにその扉へと近づく。
いつもの黒づくめの服装と帽子で通路を行くが唯一違う点は背中にいつもの魔剣を装備してないということ。
扉の前へ来て立ち止まったら、胸に手を当てて鼓動を感じる。

「ふふふ…いやいや、落ち着け、落ち着け」

鼓動はこれからする行為への期待でバクバクと大音量で振動していた。
二、三回深呼吸してそれをいくらか落ち着ければ扉を開けて、訓練場へと入っていく。

「…よぉ!」

訓練場に入れば、広々とした空間に武器の置かれた木製の台。
そしてその中央には意中の女性が居た。
彼女へ大声で挨拶すれば、木製の台へと近づいて武器を選択する。
顎に手を添えて、どの武器にしようか迷った結果、クレイモアを手に取り、ハンドアックスを二挺を取り出し腰に下げる。
武器を選べば、彼女から一定の距離を置きて位置へとつく。

「さっさと始めようぜ!待ちきれないよ!」

大声でそう言って、彼女へ剣先を向ける。

クラーラ > 「この間ぶりだね……武器は色々揃えてあるから、好きなのをどうぞ?」

先日とは違う、何処か楽しそうな様子を見せる彼の姿にクスッと微笑みながら台の方へと促す。
剣に斧、槍等など、色んな武器の中から彼が手に取ったのは3つ。
どちらもパワー系な武装と見えれば、あの夜の岩砕きから想定したとおり。
早速と距離を取って切っ先を向ける彼に変わらぬ笑みを見せつつ、ロングソードを抜いた。

「いいよ……あと、約束。致命傷になったらストップだからね? 建物の中で魔術師の人、待機してるから。あと魔法使ってもいいけど……それも殺さないように使ってね」

とは言え、お互いが同レベルなら殺そうとしても殺しきれないラインになるとは思っている。
念のためと手合わせで殺し合いではないことを告げると、身を低くして構えを取る。

「落ちたら開始だよ?」

ゴルド硬貨を手に取り、親指で弾く。
キィンと音を立て、回転して上がっていく硬貨。
夕暮れの空へと吸い込まれ、見えづらくなってから金属の光沢で赤を反射させながら落ちてくる。
チリンと地面にぶつかった音共にスタートすれば、まずは回避と受け流しを主体に考えながら、彼の動きを確かめることにする。

ソル・グラディウス > 彼女がロングソードを引き抜けば、彼の顔は瞬く間に笑顔になる。
クリスマスプレゼントを前にした子供のようにワクワクと落ち着きのない様子で彼女の言葉を聞く。

「わかってる、さぁ!さぁ!!さっさと始めるぞ!!」

解っていると口では言うものの、まるで耳に入ってない様子で彼女へ戦闘開始を催促する。
彼女が低く構え、コインを親指で弾けば…
そのコインが地面へと―――落ちた。

コインの金属音が訓練場に鳴り響くと同時に足を踏み込んでその場から彼女の元へ急接近する。
高速で動き、彼女の眼前まで接近すれば、右足で思いっきり地面を踏み込む。
右足を中心に地割れととてつもない衝撃、振動を発生させ、彼女の体勢を崩そうとする。
それと同時に踏み込んだ右足を利用し、クレイモアを横に振るう。

クラーラ > この戦闘狂っぷりに血の気の多さが混じらなければ、良い人で終わっていたのになんて思うと、子供っぽい彼の仕草に困ったように微笑む様は、小さな体付きのわりに大人っぽく見えるかもしれない。

コインの音が響くと、パワータイプとばかり思っていたけれど、瞬発力の高さに少しばかり驚きながら身構え、魔力を充填していく。
踏み込まれた瞬間、足元が崩れるほどの力と振動に驚きながらも魔法を唱えた。

「パルスアップ……っ」

魔法の電流が、神経伝達の速度を上げていく。
横薙ぎに振るわれた刃を、まるでテープの早回しの様に素早い動きで身を屈めて避けると、直ぐにバックステップをして距離を離す。
パワーも速度もある、耐久力は…自分よりも在るはず。
一撃受けただけでもマズいかもと思えば、今度はこちらから距離を詰めるように地面を蹴って加速する。
ジグザグに動き、剣の射程より少し手前で自身の右手側へステップし、鋭い挙動で撹乱を狙いながら、動き回る。
チャンスが見えれば、突き刺さらないように調整されたロングソードの切っ先で胴体狙いの突きを放つだろう。
刺さらないとは言え、当たればとても痛いことに変わりない。

ソル・グラディウス > 「…!」

相手の体勢が崩れ、完璧に決まったと思った攻撃。
しかし、クレイモアは虚空を裂き、先ほどまで彼女が居た部分はただ空気が漂ってるだけであった。

僅かながら、魔法を唱えた声がすると目の前の彼女が加速してジグザクの軌道を取りつつこちらへと接近してくる。
その動きを目で追いつつも魔剣が無く能力が大幅にダウンしているために完全には追いきれず
彼女が接近し、ロングソードの突きが迫ってくる。
目を見開き、防御しようとするもそのスピードに追い付けずに脇腹にロングソードの突きが命中する。
骨の砕ける嫌な音がし、激痛が胴体を走る。

「くっ、はははは!!」

痛み。その感触を味わうと笑い始める。
子供のような無邪気な笑顔で声をあげ続け、目を見開いて彼女を見る。
狂気の混じったその瞳で彼女を見据えてクレイモアを振るう。

クラーラ > 速度で撹乱しての攻撃は彼の脇腹へと命中する。
手応えはたしかにあったものの、彼がそれに笑い声を上げた瞬間、ぞわりと悪寒が身体を駆け抜けた。

(「この人、やっぱおかしい…っ」)

自分に手傷を負わせるだけの相手、それを楽しめる余裕。
殺さないとなっているとは言え、それでも危険な戦いであることには変わりないのに、心底楽しんでいる。
狂気混じりの瞳に気圧されつつも、振るわれたクレイモアをバックステップしつつ剣でガードした。

「っぁ……!?」

その衝撃だけでも腕がしびれ、浮かせた身体が体制を崩し、地面を転がる。
すぐさま体を起こして膝立ちになるも、彼を止めるならもっともっとダメージを与えねばならない。
確りと両手に剣を握り締めて、彼の追撃に備える。

ソル・グラディウス > 「ははははは!!楽しいよなぁ!?愉しいよなぁ!?」

肋骨の何本かが折れ、それでも怯んだ様子はなく地面を転がり距離を置いた彼女へそういう。
彼の口角は裂けそうな程大きく吊り上がっており、眼も歓喜と狂気の混じった黄金の瞳をしていた。
見た目の色とは相反し、その奥底にはどす黒い感情が渦巻いていた。

「まだ終わってねぇぞ!休んでんじゃねぇぇええ!!」

左掌に小さな炎を発生させればそれを彼女へ投げる。
炎は瞬く間に拡大し、巨大な火球が彼女を襲う。

それの影に隠れ、彼女へ接近していく。

クラーラ > 「普通は……そういわない…っ」

生きるか死ぬか、その瀬戸際を楽しんでいる彼の狂気に嫌な感覚を覚えるばかり。
太陽の様に輝かしい心なのかと思いきや、夜闇の様に欲が濃く渦巻く。
けれど、純粋な欲望だからこそ選ばれたのかなんて思考する予知もなく、炎がこちらへと迫ってきた。
身構えていた余裕もあり、それ自体は横に飛んで回避するも、先程までいた位置に彼が見えない。
だとすればと避けた方角へと視線を向け、彼の姿を確かめる。
魔力が溜まるまでまだ少し掛かる今、出来る反撃は剣を片手で保持しながら、左手がダガーを抜き払う。

「っ!」

抜刀するようなモーションから、そのままダガーを投げ放つ。
横回転して迫るダガーは、妙なモーションから投げたとは思えないほど、真っ直ぐ素早く彼に飛翔するだろう。
これでは大したダメージにはならないだろうけれど、彼の次の手を潰せれば、反撃に転じられるはずと考えてのことだ。

ソル・グラディウス > 火球は訓練場の奥の壁へと向かっていき、壁へと激突すれば大爆発を起こす。
爆風が命中した壁の部分を覆い、熱風が僅かながらこちらへと吹いてきた。

「ぎゃぁはあはあははは!!じゃ、ふぅつうじゃあなあいってことだなぁあ!」

狂気じみた笑いと声でそのように言いながら彼女へと走っていく。
熱風をものともせず、飛んできたダガ―を手の甲で受け止める。
甲にダガーが突き刺さり、掌まで貫通するもそれを気にした様子はなく彼女へと接近を続けた。

数歩だけ走って、次の瞬間、目一杯足を踏み込んで彼女へ急接近する。
チェンジオブペース。
スポーツなどで用いられる移動方法で意図的に移動スピードを調節することによって相手の防御が自分の攻撃に対応できなくさせる技。
それを用いて彼女へと接近すれば、剣を振り上げて攻撃する…と見せかけて、右足を振り蹴りを入れようとする。

クラーラ > ダガーを切り払うか、避けるかと思っていたが、まさか手で受け止めるとは思いもしなかった。
おまけに刃が深々と突き刺さり、貫通までしている。
普通ではない、自分でも言っているが彼は狂い人といっても過言とはいえない。

「このっ……」

急激な加速でこちらの狙いをずらそうとしてくるも、反射速度を上げているのもあり、反応が一瞬ズレても、強引に身体の動きを合わせに行く。
剣を振り上げるのを見たと同時に、魔法を唱えながら一歩踏み込む。

「オーバーロード…!」

筋のリミッターを電気で一瞬だけ解除し、身体に高い負荷を与えながら破壊力を引っ張り出す捨て身気味の魔法。
これで剣を振るって彼に当たれば殺しかねないパワーが出てしまうが、狙いは彼をもう一度遠ざけること。
振りかぶったところに踏み込み、肩を軸に体を捻る様に回転させて体当たりを叩き込もうとする。
所謂 鉄山靠と言われるような体術に近いものだが、全身の力を一瞬だけ全開で吐き出し、彼の勢いと重ねて激しい衝突へと変えようと試みる。
確りと両足も力を解除しているので、小さな体が岩のように地面に吸い付く。
ただ、蹴り狙いとは読めていない分、タイミングをずらされれば、こちらのほうが不利な状態でもあった。

ソル・グラディウス > 「っ…!?」

タイミングをずらそうとするも、それに引っ掛からずにむしろ一歩踏み込んでくる彼女に驚愕の顔をする。
剣でも蹴りでも近すぎて射程内には入らず、彼女の強化された体当たりを受ける。
体は瞬く間に後ろへと吹き飛び、そのまま訓練施設の壁に叩きつけられる。

「が…はっ…!」

壁の壊れる轟音が訓練施設に鳴り響き、ついでに骨がいくつか折れる音が聞こえた。
その衝撃に目を見開いて、口から血を吐き出す。
壁に叩きつけられれば重力に従って地面に膝を付いて跪く。

「うっ…ごほっ、ごほっ!!」

血と吐しゃ物の混ざったものを口から吐き、その場で咳き込む。
捨て身気味の体当たりは彼に相当効いたようでそこで数秒間悶え苦しむ


「…俺はバカだ。何をやってたんだ」

口元の汚れを払えば、立ち上がって手に刺さってるダガ―を引き抜く。

クラーラ > 先程の突きよりも確かな手応え、身体に反動として返る衝突の力は全身に強烈な衝撃となって襲いかかる。
ビキビキと繊維が断裂する音に、骨が激しく軋む音。
巨躯をあれだけ吹き飛ばしたのだから、小さな体には捨て身の攻撃とそういなく、彼の方へと振り返りながら両膝が崩れ落ちる。

「はぁっ……はぁっ……」

魔法を載せての連撃より、こっちのほうが彼には堪えるだろうと考えたけれど、胃の中身をぶちまける様子が見えれば勝負あったかと思っていた。
明らかにダメージは大きい、それなのに立ち上がる様子にぎょっとしながらも、こちらも立ち上がる。
全力で動けば数分もせずに、身体が限界を超えてしまうだろう。
ともすれば、相手に追い打ちをかけるべきなのだが…。

(「今やったら……」)

死にかねない。
そう思うと、それ以上の行動が取れない。
彼が立ち上がるさまをじっと見据えながら、これ以上を望まないことを祈るばかりだった。

ソル・グラディウス > 「はぁっ…っつぁは…っ」

剣を支えにして、フラフラと覚束ない足取りで彼女の方へと向かう。
息が荒く、深呼吸してそれを整えようとするも上手く呼吸が出来ずに血を吹きだしてしまう。
吹き出した血を拭いながらも彼女の元へ、一歩、また一歩と接近していく。

視界がぼやける。
頭がくらくらする。
体中が痛い。
彼女は今、どんな状態なのだろうか。まだ一撃も与えてないからピンピンとしているのだろうか。
わからない。わからない。わからないが…

「…さてと、まぁ…反撃しなきゃなぁ…」

息を吹き返し、そう告げる。
体はボロボロで満身創痍の筈なのにまだ続けるつもりらしい。
しかも、吹き飛ばされる前に比べて狂気も血の気も引いて『らしく』なっている。

先ほどと同じように左手で巨大な火球を放てば、今度は彼女の近くで爆発するよう火球に斧を投げる。
そして先ほどと同様に火球の影に隠れつつ接近して爆炎と煙の紛れつつ、彼女の右に回り込んでクレイモアを横に振るう。

クラーラ > 「ちょっと……もうダメ、終わりにしないと」

千鳥足にちかい歩みで進みつつ、血を吐き出す様子はどう見ても満身創痍だった。
こんな状態で攻撃を受けたら、誰がどう見たって致命傷になりかねない。

「そうじゃなくて……もうダメ、死んじゃうから駄目…っ」

再度制止の言葉をかけるも、届いたかもわからない。
再び放たれる火炎弾に、回避をしようとするも両膝が笑って動けない。

「っぁ……!?」

剣で切り払おうと構えれば、近くで爆発する炎に吹き飛ばされ、地面を転がる。
どうにか体制を整えて、膝立ち状態になると、横薙ぎの刃が迫っていた。
こうなるとカウンターしつつ前に飛び出し、被弾を抑えるのが最良となる。
けれど、そんなことをすれば彼が死にかねない…。
結果、両手でロングソードを握りしめ、刃を受け止めるものの、力での衝突では対抗が出来ない。
ギャリンと金属の擦れる音と共に横へと流され、再び転がった。
受け止めたとは言え、剣脊が身体にぶつかり、全身を打ち付けられながら痛みに意識が揺れる。
うつ伏せになったまま、どうにか起き上がろうとするも、地面の上で藻掻くばかりだ。

ソル・グラディウス > 剣の一撃がやっと彼女へ命中し、相手が地に伏せた。
普通ならしめたと思い、追撃をして止めを刺すところであるのだが、その違和感に気付きその場に立ち止まる。
痛みにもがき苦しみ、立ち上がろうとジタバタする彼女の近くに行き、しゃがんで顔の位置を低くする。

「てめぇ、最後…お前ならあの攻撃に対応できたろ?」

彼女を見下げつつそう聞く。
顔を下に向ければ鼻先や顎先から血が垂れて地面へと落ちていく。
何故、彼女があの場面で自分にカウンターを与えなかったのか理解できず頭を抱える。

理由を探り、もしや彼女なりの作戦なのだろうかと考え、しゃがんだ体勢は保持しつつも剣を強く握りしめる。
もし、また別の策で攻められたら一溜りもない。作戦を実行に移す瞬間に真っ二つにすると殺気をピリピリと放つ。

「答えろ。作戦か?何故反撃しなかった?」

金色の瞳で彼女を睨みつけながらそう聞く。

クラーラ > (「防御しても…こんな…」)

剣で受け止めても、まるで軍馬に突撃されたような強烈なダメージが身体にのしかかる。
体中が痛みで悲鳴を上げる中、近づいてきた彼の影がこちらへと掛かる。

「……そう、だね」

突撃して突きを放つなり、何なり、色んな攻撃手段は出来た。
けれどそれは突撃して攻撃し、彼の攻撃を封じるという方法が取れて成り立つもの。
放たれる殺気に苦笑いを浮かべつつ、仰向けに転がった。
この状態では起き上がるまで何も出来ない、降伏に近いもの。

「約束…殺しはしない、後一撃、叩き込んで内蔵壊れたら死んじゃう。だから防御したの」

何となく…それでも手を抜いただのと怒るのだろうなと思えば、困ったように笑うしかない。
先程の一撃を受けた時点で、もうこちらには対応するだけの力はなくなっていた。

ソル・グラディウス > 「…甘い女だ」

その言葉を聞けば、ため息を深く吐く。
呆れた様子で彼女を見れば、剣を置いて、彼女の横に座る。
頭を抱え、「こんな女にボロボロにされたのか」と恥ずかしそうにつぶやく。

「うるせぇんだよクソが。こんなもん死んでるのとそう変わらねぇだろーが
 あぁ、クソムカつく。クソ。

 ……クソ。このバカが……何でこんな所でいい女と出会っちまうんだろうな」

顔を隠し、殺しはしないという事を告げられ罵倒雑語でそう返す。
そして、笑う彼女の頭へ手を伸ばし、流れに沿うように髪に触れる。

クラーラ > 「…だから、指南役で……師団長とか、そういうのはしなかったのかも、ね?」

彼の殺気が消えていくのがわかると、安堵の笑みを浮かべながら呟く。
甘いと言われればその通りで、軍人向きの性格ではないと思えてしまう。
クスクスと笑っていると、呟く言葉にムスッと頬を少し膨らませた。

「こんなって…言い方酷いと思う。 そんなことない、イキてるんだから死んでない、それに……貴方は太陽の剣を持つに値する強さがある。だから死んじゃ駄目、貴方も魔剣も、出会えてよかったんだから」

太陽のように力強く、そして表面で爆ぜる黒点の火柱の様に強烈な剛の剣。
そこに技が入るだけで、普通の剣士なら魔剣の力無しでも簡単にやられてしまいそう。
自分は反射速度が上がったから対処ができたという、運のよさに恵まれただけだ。
死んではいけない人だと、穏やかに微笑みながら紡ぐも、不意打ちの言葉にぴくっと振るえる。

「……っ…そんなこと…ない。そんなこと…」

いい女という言葉に頬が赤くなっていき、そっぽを向いて視線をそらしてしまう。
金糸は指の合間で絹糸のように流れ、戦う仕事をしている割には手入れのいい感触を返すだろう。
撫でられるのも少しばかり恥ずかしくて、顔を背けたまま彼の方を見れない。

ソル・グラディウス > 「はは、らしいわ。…そっちの方が似合ってるわ。お前、あんまり人殺しに向いてねぇし」

その言葉を聞けば納得したように笑って視線を逸らす。
彼女の甘さが軍属の役職にまで響いてると知り、勿体ないと思う反面似合ってると考える。
改めて訓練場を見渡してその惨状を眺めつつも、彼女の紡がれる言葉を聞く。

「……わかった。約束する。」

死んではいけないと言われ、彼女に視線を向けぬままそう答える。
剣を持ってからは多くの人々から呪詛のように怨念の言葉を投げかけられた。
その中で、戦った相手で初めて言われた言葉に頬から熱いものが伝わる。
それを拭って、彼女に察されないようにすれば、照れた様子を察知してものすごいスピードで振り向いた。

「ふっふっふ…髪もサラサラで気持ちいいなぁ…こんな状況じゃなきゃあキスの一つはしてやれたんだがな」

少し気持ち悪い笑みを浮かべつつ、彼女の髪を撫でる。
触り心地のよいその金糸を何度も何度もいじりつつ、背けた彼女の顔を覗き込もうとする。
いつもの彼の調子が戻ったようで揶揄いがいのある彼女をとことんいじる。

クラーラ > 「……そうだね、人殺しは…向いてないかも」

本当に嫌だと思った相手には容赦しないけどと、近々の記憶を探りながら思った言葉は伏せておいた。
それは多分、自分以外だって変わりなく当たり前に思うことかもしれないから。

(「……やっぱり良い人」)

本当に悪い人は涙も流さないだろうしと思えば、男のプライドが現れるまでに間があったのも、彼がほんとうに涙を流したから。
見てないというようにわざと目を閉ざし、微笑みだけを残す。

「……っ…いらない、そんなの…っ…」

そっぽを向いた先に滑り込む彼の瞳に、一層恥じらいは深くなる。
これでまた反対を向けば、彼のおちょくりに乗っているようなもので、振り向かないでいれば恥ずかしいばかり。
真っ赤なまま視線だけを下へと逸らすものの、彼の様子がよく見えてしまうので、恥じらいを誤魔化そうと必至なのがバレバレだろう。

「……もう終わりっ、ほら…治療。ちゃんと直して、生き続けて貰わなきゃ」

建物から終わったのかと言いたげに術士が顔を覗かせれば、手を振ってこっちに来るように促す。
自分よりも先に彼の治癒を行うようにお願いし、術士も想定以上の怪我に驚きながら魔法と薬での治療を行うだろう。
その合間も彼がからかうなら恥じらって視線から逃げつつ、夕焼け空が紺色に染まりつつ、今宵の幕を閉じるだろう。

ソル・グラディウス > 「あぁ…何、その生き方を損なうな」

何か嫌な事を思い出した様子の彼女にあまり深くは追及せずそう告げる。
ふと彼女の顔を見れば何故か目を瞑り、微笑んでいる。

もしや見られた?
そう考え、ハッとなると顔が真っ赤になる。
涙なんて他人に見せたことはなく、自分も枯れたものだと思ってた所なのに
彼女に優しく言葉を掛けられ、それと同時に涙を見られるなんて生き恥もはだはだしいと顔を真っ赤にさせる。

「わかった。じゃ、今度な?」

彼女の顔を覗き込めば真っ赤になったそれが視界を多い、満足そうに笑顔になる。
先ほどの涙を見た仕返しと言わんばかりに頭を撫でて揶揄う言葉を飛ばしていく。
やはり軍属の騎士だからだろうか。色恋沙汰には疎いようで少し揶揄うのが楽しくなってくる。

「……あぁ、ありがとう。もう少し、人生頑張ってみるか」

彼女の言葉を聞けば、術士が来て治療を開始してくれる。
傷が瞬く間に癒えていき、体に残っていた違和感や嫌悪感、痛みが全て噓のように消え去っていく。
勿論、その合間も揶揄うのはやめず、恥じらう彼女を見て楽しむ。
こうして、一先ずは彼のイライラの原因は解消できた。いつかまた、彼女と出会うことを楽しみにしつつ、この日は終わりを告げた―――

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