2016/09/27 のログ
ご案内:「九頭龍山脈麓の集落・ドラゴンフィート」にミリーディアさんが現れました。
■ミリーディア > なるほど、良い賑わいだ。
そんな事を考えながら、今、少女は一人でこの場所を散策していた。
現在位置は確か…観光地区、とか、そんな名称だったはずだ。
本来の目的はこの集落の視察、だが、それをそのまま来た目的として伝えてしまっては面倒だ。
なので、入る前にされた質疑応答では観光としておいた…実際に目的の半分以上はそれだったのだが。
もう2人程の同行者も居たのだが、一緒に行動するのも鬱陶しいと思い、商業地区でも調べてきてくれと追い払った。
まずはどこに何があるのか、それだけを見て歩みを進める。
連中を行かした商業地区の先は何もないが、この観光地区の行った先にチェーンブレイカー…だったか、そんな名前の連中の拠点があるはずだ。
ご案内:「九頭龍山脈麓の集落・ドラゴンフィート」にアーヴァインさんが現れました。
■ミリーディア > 種族間も感じられない、雰囲気もなかなか良い。
魔王らしき存在がこの場所へと向かっていたが…関心も向かずスルーをしたか、入ったが所謂性格の良い者で何もしなかったのか、何かしたが形跡を完全に消したか、そんな感じだろう。
…面倒なので後者は勘弁願いたいものだ。
とりあえず、観光地区を抜けつつも、しっかりと後で寄ってみようと思った店のいくつかをチェックしておく。
そして、その先にある警備門へと辿り着いた。
まぁ、さすがに一般人立ち入り禁止、なんて感じなのだろう。
門の側に居る数人のミレー族を軽く眺めてから、さて、どうしようか?と軽く考える。
■アーヴァイン > 観光地区の賑わいの中、門をくぐり、ミレー族の組合員を率いてやってくる集団があった。
ミレー族はやはり少女が多いが、それでも王都にいるミレー族と比べて、生き生きとしているし、自信にも満ち溢れている。
そんな彼等の中心にいる男は、何やらレクチャーをしながら警備門の方へと向かっていく。
「今日の実習のように、偵察は気づかれないことが肝心だ。偵察から狙撃班へ移るにしても、身を潜めて移動の音も痕跡も最大限抑えていくのが大切だ」
机上研修の事を実践に試しに言ったわけだが、自然に慣れた彼等とて、溶け込むほどに自身を隠すのは大変らしい。
難しいなんて言いながらも、魔法銃を肩から下げて揺らし、一団は門の前へと辿り着く。
『組合長、おかえりなさい!』『お疲れ様です!』
門のそばにいる歩哨達の挨拶に、穏やかに微笑みかけながらお疲れ様と、彼も彼等をねぎらう。
今日の訓練を終えた新人達が疲れたーと、心地よい疲労感に満ちた声を上げつつ、敷地内へと入っていく。
これから風呂に食事、ちょっとした座学と訓練を受ける合間も忙しさに満ちている。
新たな仲間を見送ると、ふと小さな少女を見つける。
青い年頃の少女が集落にいるのは珍しいことではないが、こんな組合の敷地に近いところで見るのはあまりない。
変わらぬ笑みを浮かべたまま、彼女の方へと歩み寄っていき、近くまで寄れたなら少し屈んで視線の高さを近づけるだろう。
「どうかしたかな、こっちは警備とかの場所であまり見て回るところはないんだが…?」
露骨に迷子かなんて問いかけるのは少々気がひけるのもあり、当たり障りない言葉で問いかけつつ、彼女の様子を見やる。
■ミリーディア > 位置的には、門と観光地区の区切りとの間に立っている形だろうか?
いい加減に考える事さえ面倒だ、少しばかりこっそりと中に入り込んで…とか、考え始めたところで変わった集団が目に入る。
まぁ、ここでは変わったなんて事はないかもしれないが、少なくとも王都ではそう受け取られるだろう。
何せ、ミレー族、しかも少女ばかりの団体様ご一行なのだから。
ここまで来るのに普通にミレー族も居たのだが、こうもミレー族ばかりというのは…それこそ、何だろう?と考えさせられる。
しかも、肩に下げた懐かしい武器を持ち歩いてだ。
そんな中、一人の人間の男性に目がいった。
明らかにこのミレー族達を連れ立っている存在、そして聞こえる組合長との呼称。
あぁ、なるほど…あの男性がここの…集団の行動や発言から、出来る限りの情報を得ようと試みる。
それは、ミレー族達が敷地内へと消えていくまで続けていた。
と、ふと視線を戻せば、先程の男性がこちらに視線を向けていた。
そして、ゆっくりと近付いてくるが…はて?と軽く首を傾げた。
初対面…と思ったのだが、どこか、記憶の片隅に引っ掛かるものがあったのだ。
顔を覚えるのは得意だが、何せ長く生きている、それだけ覚えている人数も膨大で…さすがに顔は覚えているが、名前や何をしているか、とかはなかなか思い出せない。
そんな事をしていれば、男性は近くで屈み視線を合わせるだろう。
まるで子供のような対応である…まぁ、実際に見た目は子供だ、仕方ない。
「あぁ…いや、何だ、ここには初めて来たのだが、どこに何があるのか色々と興味が湧いてな?
見て回っているうちに、あの門のところまで来てしまった訳だ。
あの先には行けそうもないしな、戻ろうかと思っていたところさ」
見た目と反して、どう見ても子供らしからぬ口調で語る少女。
別に子供らしくやっても良いが、記憶に引っ掛かる相手だ、もし相手も自分を知っており、思い出されでもしたら…そんな事は出来ない。
■アーヴァイン > 肘ぐらいまでの長さがあるケープに、スッキリとした戦装束。
スカートかズボンかは少女達の好み次第だが、一種の制服のようなそれも、見た目の整いとは裏腹に防具としての補強も施されている。
そんな少女達を見送った後、彼女の元へと近づくと思っていた以上に大人な口調の言葉が返る。
少々驚いたのか少しばかり目を丸くしていたが、苦笑いを浮かべながらなるほどと頷いていた。
「すまない、可愛らしいので子供扱いになってしまった」
義妹よりも小さく幼いのもあり、思わず子供扱いしてしまったのを詫びるも、こちらもほんの僅かだが彼女に対して記憶に引っかかるものがあった。
何処かで見たような…見た目というよりは、その声の音が気になっていく。
「重ねての失礼になってしまうのだが…何処かでお会いしていないか? 君の声に何故か記憶があるんだ」
昔、軍に所属していた頃は色んな師団に駆り出されて、戦場に立っていたが、読み書きができぬミレー族が、己の魔力だけを練って使うという魔法弓について、言葉を交わした事があったが…夜だったのもあり、声ばかりが記憶に焼き付いていた。
詳細が思い出せぬまま苦笑いで問いかけながらも、何処だろうかと思い出そうと記憶の中をめぐる。
■ミリーディア > そういえば、ここに来る際に少しだけ聞いた気がする。
この麓の集落が一部の連中に嫌われている理由の一つが…多分、あのミレー族達のような存在だろう。
なるほど、確かにあんな光景を見ては大人しくしているなんてのはないだろう、そう思う。
改めて少女達の消えた後を軽く見遣ってから、男性へと向き直る。
少し表情の変化があるのは、反応が予想外だった、というものだろう。すぐに分かるのは…少し、あれだ。
「気にしなくて良い。毎度の事だ、いちいち気にしていては疲れてしまうよ」
この言葉は、初対面の相手に大概はいつも使う事になる言葉だ。
…が、どう考えても目の前にいる男性が初対面とは思えない。
それは、その男性も似たようなものを感じているようなのだが。
「あぁ、君も感じていたか。何やら儂も何か引っ掛かりを感じていてな?
すまないが、君の名前を聞かせて貰えるか?聞けば思い出せるかもしれん」
お互いに同じ違和感だ、やはり会った事があるのは間違いない。
だが、不思議と相手の名前を聞かない方が良いような、そんな永年の勘のようなものが働いていた。
が、やはり興味には打ち勝つ事は出来ずに、聞いてしまう。
名乗りあうのに自分の名をまず出さないのは、相手が先に思い出し何か気を起こすのを防ぐ為だ。
■アーヴァイン > 王都ではお目にかかることのないであろう光景は、貴族達の反感を買う事もあるが、師団の私有地とあって下手なことは出来ない。
そんな力の傘の下に生まれた集落だからこそ、自由も秩序も見ているのだろう。
「そうか? いや…本当に失礼した。男としてはしてはならない事をしてしまった…」
潜入工作兵をしていた頃に習った教訓は、今でも覚えており、こうして日常でも為になることは多い。
そして、禁忌を一つ犯してしまったとなれば、深々と頭を下げて謝罪するほどだ。
「奇遇…というよりは、あったことがあるんだと思う。名前か? アーヴァインだ、ただ…軍属の頃の話で言うなら、メテオサジタリウスといったほうが…記憶にあるかもしれない」
人馬宮の如く、空に向かって魔法の矢を放ち、それを流星群のように降り注がせて敵を焼き払う。
そんな魔法の技術のほうが、軍属の出会いであれば印象深いだろうと思い、昔の二つ名を応える。
軍属で記憶にあるかもしれないというのに、この男は依然としてペースも気配も変わらない。
もし、危険な輩なら忘れることはないからで…多分、仕事で知り合ったのだろうと、警戒はせず、柔らかなほほ笑みを浮かべる。
■ミリーディア > ともあれ、なかなかに珍しい光景を見れたのは少々得した気分になれるかもしれない。
だが、さすがにそれを聞いて五月蝿そうな連中には細かな説明は止めておこうと決めておいた。
「生真面目な男だな、君は。儂が良いと言っているんだ、それで良いじゃないか。
余り細かい事をぐじぐじと気にしていては、気苦労が絶えんぞ?」
いちいち丁寧に謝罪をする男性に、軽く溜息を付いて言葉を返す。
その光景が、いつも自分の機嫌を気にしてぺこぺこと頭を下げる連中と重なって見えたからだ。
自分はあの手の連中は非常に好かない。
「………」
男性の名乗りを聞き、沈黙。
聞いてはいけない事を聞いたかのように、額に手を当て軽く俯く。
名前を聞いて、更に二つ名を聞き、はっきりと思い出したからだ。
つまりは…名乗れば、自分の正体も立場も分かってしまう。
そうなれば、何で自分のような者がこんな場所に来ているのか…ある程度は予想が付いてしまうからだ。
が、名乗らせておいて名乗らない訳にもいかない…仕方が無いのだ。
何とも言い難そうな、そんな困ったような表情を浮かべて言葉を紡ぐ。
「間違いなく会ってはいるな、アーヴァイン君には…ミリーディアだ」