2016/09/10 のログ
■レン・レイト > 「…ちょっと、すいてます」
長旅って程ではないし、休憩し食事もとったりもしたが。
それでも結構歩いてきたので、疲れてもいるし、小腹も減ってきていたから正直に言う。
「…レイカお姉ちゃんが……僕の、お姉ちゃんになってくれて……本当に良かった」
…姉が自分を愛してくれること。
孤独だった少年からその孤独を追い払ってくれた人。
家族になってくれた人。
感謝していると、自分も姉を愛していると最大限伝えたくぎゅっと少しだけ抱く力を強めたけど。
…ふわりと頭に口付けをされたのなら、この上なく嬉しそうに、ちょっぴりだけ恥ずかしそうに微笑んで。
また目じりに涙を浮かべながら甘える様に頬ずりをした。
「……不便、です。…でも読めるといっても全部読めるわけじゃないし…自身もないし……ペンを買うぐらいだったら食料買ってたから…」
なんて少し言い訳がましいが、文字をかける様になるほどの余裕が、彼の暮らしになかったことも事実だ。
でも、覚えたい気持ちはもちろん強くある。
そして姉に連れられて家の中に入る。
野宿か廃墟暮らしが当たり前だった少年にとって、風呂までついいる豪勢なもので、初めは落ち着かないこともあったけど。
今ではそこは確かに少年の帰るべき場所で。
本当の意味でも家なのだ。
■レイカ > 「じゃあ、簡単なものを造っておきますので、先に着替えてきてください。
あ、その槍はどうしますか?」
彼が、以前使っていたボロボロの槍を持っているのが、少しだけ不思議だった。
新しく与えた銀製の、少し刃渡りを長めにしている槍を送ったのに…まだそれを使っている。
勿論、愛着があるのはわかっているが、いざというときに折れてしまっては…と、武器に疎い私は思う。
「………私もそう思います…。」
甘えられるのは嫌いじゃないし、なにより…家族が、誰一人としていなかったのは私も同じだ。
ミレー族に育てられ、両親は既に他界しているのを知った。
だから…勿論あの人がいるから、孤独というわけじゃないけど…私にも肉親と呼べる人はいなかった。
だからこそ、なのかもしれない。
レンを、弟として迎え入れたのは、もしかして私も家族がほしかったんじゃないのかと。
それを、利用しているようで少しだけ申し訳ないけれども…彼の微笑を見ていると、そんなこともどうでもよくなっていく。
「……ふふっ、やっぱりレンはいい子ですね…。」
私は、少しだけ笑いながら彼をほめた。
理由は――「買う」と言う単語が出てきたから。
盗むという選択肢を選ばない彼は、やっぱり性根は真っ直ぐでいい子なのだとおもう。
■レン・レイト > 「はーい、着替えてきます。……この槍ですか?…これは……」
ボロボロの槍。初めて持った槍…と言うわけでもなく、消耗品と思っている武器だったが、思えばこの槍が一番長く自分と付き合ってくれていた。
「……今の僕は…まだまだ弱いということを知りました。…不死の呪いだけじゃない。……過去が呪いとなって現れることも」
姉に話した。
組み手での痛みと興奮によって過去の自分が感じていた負の感情が今の自分を塗りつぶすように湧き上がってきたこと。
それで先生となってくれた人に迷惑をかけたこと。
それでもその人は優しく許し、改めて自分の弱さに気づかせてくれたこと。
「…不死の呪いと違って…この呪いは克服できるものです。いえ、克服するんです。……だから、それを克服して、僕が自信をもって、『僕はドラゴンフィートのレン』だと言えるようになったら…姉さんがくれた新しい槍を使おうと思うんです」
そういう少年の眼にはあの小さな炎が灯っていた。
自分の弱さを知り、そして今は独りではないことを改めて知ったのだ。
だから、その弱さを克服するまでは、同じ弱さの象徴であるこの槍を使うことが、槍へのケジメにもなると、そう告げた。
「本当…!?…だったら、僕も凄くうれしいです、レイカお姉ちゃん」
姉も、自分が弟でよかったといってくれたのなら…これほどうれしいことはない。
その言葉に、また目じりからぽろぽろと涙がこぼれだすけれど、その顔はあふれんばかりの、本当に年相応な笑顔だった。
「……そんなことないよ」
盗むことすらできぬ程弱く、武を学んでからは盗む必要がなくなっただけで…もし必要があったなら自分だってやっていたのかもしれない。
でも…姉に褒めてもらえたのは嬉しかった。
■レイカ > 「……過去が、呪いとして?」
随分と不思議な言い方だったので、私はパンを切る手を止めて、彼のその話を聴いた。
ダイラスで怒ったことは、彼にとって非常に有意義な時間であったこと。
そして、そのせいで相手を傷つけてしまい、迷惑をかけてしまったこと。
だけど、そのおかげで…レンはまた一歩、強くなれたこと。
送った槍を使わず、ボロボロの槍をもち続ける理由を聞き――私は改めて感心した。
私は、戦いに離れるとき――髪飾りを。
唯一、母親からもらったと確信を持っていえるそれを、とある場所に預けた。
二度と、私が戦わないことを誓うために。
だけど、彼は…その、戦い。過去との決別を誓うために、あえてその槍を使っていた…。
戦いから”逃げた”私と、戦いと”向き合っている”レンとでは…話しにならないほど、差がある。
「……そうですか…、ですがレン、慌ててはいけませんよ?
無理をして、私のように体を壊しては元も子もありませんからね…ゆっくりとで構いませんよ。」
…彼の経験は、非常に大きなものだろう。
この経験は、絶対に彼にとって有意義なものになる。
その経験に、弟に恥じない姉になるためにも…やはり私ももっと強くならなければならない。
「当たり前じゃないですか…、レンを助けられたことは、私にとってもいいことなんです。
かつて、ミレーを助けられなかった私が、レンを助けられた…。」
自己満足だけど、私はレンを助けられたことに…非常に満足感を覚えていた。
ミレーを救えなかった私が、今回はそうじゃなかった。
まるで、罪が一つ抜け落ちたような…そんな感覚を、味わえたのだ。
■レン・レイト > 少年は戦うことを決めたから。
今のまま姉の組織に入れてもらっても、みんなの迷惑になるだけだから。
そのために…人を信じ、新しい力を手に入れるために…己が過去に向き合い、戦うことができる。
でも…姉に話せていないこともある。
少年が持ち込んだ数少ない荷物。
戟にも近い形状をした真紅の槍。
師よりもらい受けた嘗ての師の武器。
姉には異常な重さのそれを、扱えないからと、使えないから使えないと言っていたが。
本来ならばそれを使い鍛錬し、鳴らしていくべきなのに…少年にはそれができなかった。
…それは、自分を裏切った師と向き合えずそこに向き合うことから逃げていることの証拠で。
少年もまた、まだまだ…弱いのだ。
「うん、大丈夫です。ゆっくりと一歩一歩踏みしていきますから。……でも、はやくお姉ちゃんの力になれるようになりたいから、あわてないけど、なるべく早く成長するから!」
なんて、逸ることはないとっておきながら、すぐにでも逸りそうな様子。
「…そして、その助けられなかった分まで、ここにいる多くの人たちを助けたんですよ。…お姉ちゃんは…自分で思っているよりもすごい人です」
この集落の多くの人々も彼女に救われたという。
ただ、僕がその中でも一番救われたんだと心の中で主張するぐらいのジェラシーは許してもらいたい。
何故なら、自分は彼女の弟で、一番救われたのだからこそ、その証拠にやりたいことがあるのだから。
「そしてその人たちの分以上に僕が将来、沢山の…ミレー族だけじゃない。虐げられている人たちを沢山、『お姉ちゃんが救った』僕が救って見せます。」
■レイカ > ある種、彼の覚悟はここの組合長に似ているのかもしれない。
どこまでも真っ直ぐで…自分の信念を貫こうとするその姿は、どこか彼と被って見えた。
けど…その先にあるものに、私がいる。
どこまでも私を慕い、帰ってくるその弟を、本気で護りたいと…そう、強く思う。
「ふふっ…楽しみにしていますよ、レン。
でも、私の力になろうとはしないでください…、レンはそんな小さな器に収まるとは、思っていません。」
私は、彼にはもっともっと大きな存在になってほしいと、そう思う。
私すら追い越し、ここの集落を護る要として、その大きな炎を宿してほしいと。
それを見守るのも、私の勤め…なのかもしれない。
「…大袈裟ですよ、レン。」
私は…そんなに助けた覚えはない。
ただ、以前廃墟地区にいたミレー族を、この拠点まで引っ張っていった話は聴いたかもしれない。
今まで、私があの場所でどれだけ彼らに尽くしてきたのか…位は。
だけど、それが彼にとって私の武勇伝のように聞こえるのは…些か恥ずかしい思いもあった。
パンを半分に切り、その中身をくりぬいてソーセージを挟み、ケチャップ出味付けする。
簡易的なものだけど、それを更に乗せて、レンへと手渡した。
「…でも、もし私が救えたのならば……。
見捨ててしまったミレーにしてみたら、きっと偽善者がと罵るでしょうね……。」
今でも時々悪夢を見る。
彼らが私に手を伸ばし…呪いの言葉を吐き続ける悪夢。
でも…それでも私は、もう留まることはない。
私の背中には、背負いきれないほどの沢山の命が乗っているのだから。
彼の決意の言葉に、私は…やはり、どこか嬉しさを感じていた。
「……大樹は一日にして成らず、されど撒かれた種は必ず芽吹く…ですね。」
■レン・レイト > 「…小さくないです。一番身近な…大切な人の力になろうとしないで、どうして見ず知らずの人の力になれますか」
姉の力に鳴りたいということを小さいことと姉が言えば、珍しくこちらが不機嫌に、少し怒る番。
自分の大事な人をないがしろにして、他人に尽くせるものかと。
自分にとって姉の力になることも、大きな目標の一つなのだと力説して。
「大袈裟なんかじゃないですよ。…誰よりもお姉ちゃんに救われた、僕が言うんですから」
大袈裟だという彼女に首を振りくすり、と微笑む
自分がどれだけ救われたか。
今、自分が見ている視界は今までとはまるで違う。
そして人間不信もこのまま少しづつ解消していければ…もっと変わって見えるのだろう。
彼女は…自分の世界を変えたのだ。
そしてそれはきっとほかの多くもそうだ。
ならば、彼女は多くの世界を変えたことになるのだ。
姉が作ってくれた夜食を頬張り、美味しいと伝える。
「……それは、わからないです。でも…虐げられていた僕からすれば、そんなこと関係ないと思います。お姉ちゃんが加担していたのならともかく…。誰も助けてくれないのは当たり前で…虐げてきた相手のことはともかく…そのほかのことはきっと覚えていないし…」
そういって半分食べた夜食をいったんおいて、姉を見据えれば
「虐げられ、抜け出せない人たちからすれば…最終的に、死は安息なんじゃないかと思います。安息にいたっとなら…『どうして自分たち』…と思うより、同族を救ってくれてありがとうって、思うんじゃないかな」
姉にはもしかしたら自分の言葉が少し厳しいものになるかもしれない。
そしてこれはあくまで少年の主観によるものだ。自分が不死だからかもしれない。
それでも虐げられてきた少年にとっては当時……死んだ他者は…それこそ死ぬほどうらやましいと思っていた。
「……んん?」
自分の主観で物を離したが、難しい言葉はわからない少年。
■レイカ > 「……すいません、どうしても自分を卑下してしまう、私の悪いクセですね…。」
彼は、私の力になることを第一の目標にしている。
ならば、それを小さいといってしまうのは、確かに彼にとって失礼に当たるだろう。
そのために強くなろうとしているのだから…私は、その場でただ見守るだけだ。
世界を変えることは、とても難しい。
私にそれができるのかと聴かれたら、私は今までなら首を横に振っていただろう。
しかし、今では――この目の前に、救われたと笑う少年がいる。
そして、ミレー族たちを助けたのは私だという…。
どこか嬉しい反面…やはりどこか申し訳ない気持ちもあった。
もっと早く行動を起こしていれば、もっと多くの命を助けられなかっただろうかと…。
勿論、私は全能なんかじゃない。
だから、せめて…掌に乗るくらいの世界くらい、護りたい…。
昔に比べ、私は……彼の言うように、強くなれているのだろうか。
「…ありがとう、ですか……。
どうでしょうね…、やはりもっと早く助けてほしかったと思うかもしれませんし…。
人の心ほど、読めなく複雑なものはないと思いますよ、私は…。」
でも、レンの素直な心だけは、いつも見透かせる。
私への感謝、頑張ろうという前向きな気持ち。
全て、私にとって”強くありたい”と思う原動力の一つだった。
「大きな人間には、一日ではなれない。けど、努力したら必ず大きな木になれるという、ミレー族の御伽噺の一説ですよ。
さあ、それを食べたらお風呂に入って、先に寝てしまってください。
私はちょっと、軍部へ報告がありますので…。」
彼を一人にするのは忍びないが…さすがに、組織に属していないレンを軍部へ連れて行くことは出来ない。
ゆえに、今日は先に寝てしまってもらおうと思うけれども…おそらく、レンはおきているのだろう。
だから、早めに片付けて戻る、と約束し…私は一度、家から外へと出るのだった。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」からレイカさんが去りました。
■レン・レイト > 「…分かってくれたらいいんです。でも、あまり自分を卑下しないでくださいね?」
姉が分かってくれたなら、うんうんと満足そうに頷くのだろう。
姉は少年が思うほど強くないと思っていても。
誰かを救う力を持っていることは、少年が証明しているのだから。
「…うん。しっかり一歩一歩頑張ります」
姉が分かりやすく教えなおしてくれれば、しっかりと頷いて見せて。
先に寝てろと言われれば、ええ~と、ちょっぴり不満そうにするも、すぐに聞き分け、夜食を食べて、風呂に入り、床に就くだろう。
…しかしやっぱり姉が思った通り、彼女が戻るまでは起きていたことだろう。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」からレン・レイトさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にデリアさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」にレン・レイトさんが現れました。
■デリア > 流石は規模のある街の宿屋、超絶豪華というわけではないが、部屋はしっかりしているし、綺麗で汚れも無い。
少なくとも、寝るだけに取るような小村の宿とは大違いだ。
吹き抜けで空の見える風呂場からはすっかり日の暮れた綺麗な夜空まで見える。
「いいものだな、ゆっくり湯につかりながら眺める夜空は……」
先ほどまで、激しい戦闘をしていたのも、それで致命傷に近い怪我をしたのも忘れてしまいそうだ。
それくらいに、風呂の湯は心地よく、リラックスできる。
そろそろかと、一緒に入ると約束をしている少年の方へと視線を向け。
■レン・レイト > 「………っ」
がらりと戸を開け、浴室に入れば、恥ずかしそうにしている少年の姿。
小柄ながらも、ネコ科の動物の様に薄いがしなやかな筋肉のついた身体。
やや、もじもじと視線を外しつつも、そっと湯船につかるだろう。
恥ずかしながらも、横に座ったのなら、少年なりの親愛の情をと、怪我の様子が気になっているため。
今までは水浴びばかりだったが、…やはり風呂はいい。
子供のころと…最近、姉の家に住むようになってからはよく入るようになった。
ほう、と心地よい声がこぼれる。
■デリア > 四六時中裸でいる自分と違って、当たり前だが普段は服を身に付けている少年。
その裸体に、意外と体は細いのだなと、まじまじと見つめてしまい。
少年のスペースを作るように少し体を横に移動させ、
「少し温まったら体も洗ってやろう」
と、少年の頭をくしゃくしゃと撫でてやり
■レン・レイト > 彼女からすれば裸であるのは当たり前なのだろう。
しかしいくら凄惨な過去を送ってきた少年にも、羞恥心はあるから。
……平常心、平常心と心の中で何度もつぶやいているが。
「…だ、大丈夫ですよ!自分で洗えますから!」
身体を洗ってくれるといわれれば、条件反射で目をぐるぐると回すような勢いであわてながら返してしまう。
それでも、頭をくしゃくしゃと撫でてもらえるのがとても嬉しかったから、心地よさそうに目を細めて、つい子供らしい年相応な表情を見せてしまう。
「先生がよろしければ、僕がお背中を流しますよ」
■デリア > 最初に出会った頃と違い、恥かしがったり泣いたりと、殺気立っていた時からは考えられない変化に思わずクスリと笑みが零れ。
背中を流してくれる、との言葉に、まさか少年からそんな言葉が出てくるとは思っていなかったため、少し意外そうに「ほう……」と呟くが、すぐに小さく頷き
「そうだな、それならお願いしよう。ただし、私もしてやるからな?」
とお互いに背中を流す約束を半ば強制的にとりつけ
、一旦湯船から上がって石造りの床に腰を下ろし。
■レン・レイト > 先生には恥ずかしいところを多く見せてしまった。
今日も、多大な迷惑をかけてしまったのに、彼女は僕を責めずに諭してくれた。
だからこそ、信頼し、尊敬したのだ。
だから、少しでも何かできないかと思って提案したのだが。
「お、お手柔らかに…」
彼女もしてくれるといえば、きっと断ることはできないのだなと子ことで理解して。
そうして備え付けの石鹸と小さなタオルを持って来れば、こすり、包み、泡立てる。
「それでは、失礼しますね」
そういってごしごしとタオルをこすりつけるようにして、子供の少年からすれば、大きい彼女の背中を泡立ててゆく。
そのまま、加減はどうかと聞くのだろう。
ほとんどこんな経験はなかったから…こうして誰かと風呂に入り、そして背中を流せることに不思議と…楽しさと嬉しさがこみあげてくる