2016/09/09 のログ
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」にレイカさんが現れました。
レイカ > 「……………。」

少しばかり、私は焦っていた。
ここ数日、弟が戻ってきていない…。

いや、あの子にとって何かあったとは思いたくなかった。
武術は会得しているようだったし、人と付き合うことを極端に恐れていることもある。
しかし、私が頑張ってといってまったばかりに、彼が人々と交流を持とうとして…。
そして、もしもその人物がバフートの人間だったら…?

「くっ………。」

落ち着け、きっと大丈夫だ…。
思い返してみよう、彼が一体どこに行くといっていたのかを。

レイカ > まず、1週間ほど前に彼はダイラスで武術を学んでくるといっていた。
勿論私は止めたけれども…彼が強くなりたいと願っているそれを、強く止められはしなかった。
ならばせめて一緒にいこうと思ったのだが…あいにく、仕事があってそれも出来なかった。
しぶしぶ、私は彼が独りで行くのを、了承するしかなかったのだ。

だが、彼は帰ってくるといったのだから、何も心配することはないと思う。
しかし、どこか私は心配性の気があるのか、不安で不安で仕方がない。

「…護るといった手前、何か危険なことになっていたら……。」

私は自宅の前を右往左往していた。
迎えに行くべきか、それともここに留まるべきか…。

ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」にレン・レイトさんが現れました。
レン・レイト > ボロボロの鉄槍を肩に背負う、小柄の少年。
数日の滞在のつもりが意外と長くなってしまったダイラスの滞在。
得るものは多くあり、これからも定期的に通うことになることを相談しなくてはならない。

その相談相手である姉は…心配しているであろうか。
やや早足に帰路をゆくと、家の前でうろうろしている姉を見つけて。

「姉さーーーん!」

夜故多少声を絞りつつだが、はっきりと届くであろう音量で姉を呼び、遠くから手を振り駆け寄ってくる。

…普段は姉をお姉ちゃんと呼ぶが、人前では恥ずかしいのか、姉さんと呼ぶことにしている。

レイカ > 「迎えに行くべき……よね、うん。
あの子一人にして、また人の闇を見せて…ようやく……。」

そう、ようやくあの子にも、人の光を見せられると思った矢先に、また暗闇に逆戻り。
そうなってしまっては、私はきっと彼の反対を押し切ってでも迎えに行くだろう。
あの人のことも愛しているけど、あの子も放っては―――。

「レン!?」

あと少ししたら、飛び出していくところだった。
もし、弟の声が聞こえなかったら…私は家においてあるプレートと弓矢、そして黒いローブを持って探しに行くところだった。
だけど、その弟の声が聞こえたとたん、私は安堵とともに――。

「レン!一体どこにいたんですか!
遅くなるなら手紙の一つも寄越してください、どれだけ心配したと思ってるんですか!」

――怒りを、彼にぶつけていた。

レン・レイト > 姉を見れば顔を綻ばせ駆けてゆく少年。
話したいことが沢山ある。
師ではなく、先生と呼べる人ができたこと。
自分の弱さを自覚したこと。
ホームシックというものを経験したこと…等
後から後からいろいろ出てきて何を離そうかと思うが

「————ッ!?」

姉のすぐ近くまで来れば気づいた彼女の深刻そうな表情。
そして、次の瞬間飛んできた怒声に

「ご、ごめんなさい…!」

すっかり借りてきた猫の様に委縮して。
先までの子供らしい明るい表情は、親に叱られ、反省と怯えが半々といったそれもまた子供らしい表情で。

レイカ > 勿論最初に言おうと思った言葉は、此れじゃなかったはず。
本当はお帰りといってあげたかったし、彼の経験したこともちゃんと聞いてあげたい。
しかし、最初に出てきた言葉は――此れだった。
彼がおびえているのは分かっているけど、心配をかけさせられた此方としては…。

「ダイラスで何かあったのかと思って、本当に…本当に心配したんですよ?
次の日には帰ってくるといっていたのに…、まさか危ないことにでも巻き込まれたのではないかと…!
もし、バフートの奴隷商人に捕まっていたらどうするつもりだったんですか!」

私は、彼に言ったはずだ。
”もう、決して死なないで”と…。
もし、彼が危ないことに巻き込まれて…死んでいたとしたら、私はきっとものすごく後悔するだろう。
彼の呪いの話は知っていても…彼の命は一つだけだと、私は思っているから。

「…いいですか、レン。
次から、遅くなるときには手紙を寄越してください…。」

彼のことを嫌っているから、起こっているわけじゃない。
愛していて、心配だから…私は怒りを抱いたのだ。
もっと、自分の身を大事にしてほしいと。

レン・レイト > 怒り、叱る姉の言葉を聞いて、しゅんと縮こまってしまう少年。
ただ不思議と…嫌な気持ちはなく、ただただ申し訳なさと…そして彼女に怒られるかもしれないが、嬉しさがこみあげてくるのが分かる。

今まで他者がぶつけてきたような理不尽で恐ろしい怒りじゃない。
彼女の言葉の節々には、愛情があるから。

少年は知らなかった。誰かを心配させるということはどういうことか。
誰かが心配してくれるとはどういうことか。
彼女が怒るのは、自分が彼女の知らないところでひどい目にあっているのではと不安だったからだ。
愛する誰かに大きな不安を覚えさせてしまったことを深く反省する。
そして同時にこの人は…姉は自分のことをしっかりと想ってくれていることを同時に知り…胸に、暖かいものが湧き上がってくる。

「はい。じゃなくて、いえ…その。……ごめんなさい」

ただ、手紙を書けといわれれば…一瞬ばつの悪そうな顔を上げて目をそらせば。

「…お姉ちゃん。僕…字、書けない…」

恥ずかしかったのか、情けなかったのか…少しうつむき加減にそう告げた

レイカ > こんな、純粋な怒りを抱いたのは久しぶりだった。
誰かを叱り飛ばすなんて、早々できる体験じゃない。
なにより、弟が大事だからこそ…私は怒りを抱いているのだと強く思う。

心配したし、不安にもなった。
もし、この子がまた一人で震えて、あの蘇るときの痛々しい悲鳴を上げていたら…。
それを嘲笑う人間がいたらと思うと、私の胸は本当に張り裂けそうになる。
だからこそ、私は彼が心配でたまらないのだ。

「……解ればいいんですよ…。…お帰りなさい。」

怒りが静まれば、彼が心から謝罪すれば…私はそれ以上何も言わず、微笑んだ。
ちゃんと言い聞かせればわかってくれる彼だからこそ、私はそれ以上責めることはなかった。
出来れば次からは手紙を――と、思ったけれども。

「………………。」

考えてみれば、ずっとひとりで生活していた。
ならば、文字の読み書きを教えてくれる人間がそばにいたとは考えにくかった。
レンのその言葉に、私は苦笑を交えて。

「じゃあ、どのくらい遅れるのか…そうですね。
封筒に、小石を拾って遅くなる日数分だけ入れて寄越してください。
あと……もし危ない目に合っていたら、レンの血を塗ってください。」

其れで、私はすぐに彼の元へと飛んで行くだろう。
しかし、文字の読み書きくらいは…教えたほうがいいのは間違いないが。

レン・レイト > 「…ごめんなさい、お姉ちゃん。…ありがとう、ただいま」

…姉にこんなにも怒られたのは初めてだった。
怒られて怖いと、もちろん思ったけど。
…姉が自分のことをしっかりと想ってくれているのが改めて伝わったから。
心配をかけたことを心から謝罪して。
そして…自分を想ってくれることに…ただいまといえる場所であり…自分の…「家族」となってくれた彼女に心からの感謝を伝えたくて、ぎゅっと抱き付く様に抱きしめただろう。

「…読みは多少は何とかわかるんだけど…」

それでも、独学である程度は身に着けた。
仕事で必要な言葉、店や方角、地図の記号など、そういったものは自分で何とかわかるようにしたけれども…書く練習はしてこなかったのだ。

「…うん。次から、しっかりそうします」

彼女の指示にしっかりと頷いて。
わざわざ危険だった場合のことも支持してくれて…そこにまた姉の優しさを感じて小さく微笑んだ。

レイカ > 「…お腹、すいてませんか?」

ろくなものを食べていなかった、というわけじゃないのは解る。
空腹だったら、この子は泣きながら私に近づいてくるはずだ。
だけど、それがないという事は…食事はちゃんと取っていたのだろう。
家の中に、簡単なものを造るだけの食材は蓄えてあるので…まず、何か食べさせてあげようか。

そんなことを考えていると、彼がまた抱きついてきた。
彼がそうするときは、大体何かを伝えたがっているときだった。
私は、その意を酌むとその背中を軽く摩り…頭に軽くキスを落とした。

「書くのが出来ないんですか……。
強くなるのもいいですけど、文字くらいは書けないといろいろと不便じゃないですか?」

今度、簡単な文字の書き方くらいは教えてあげたほうがいいかもしれない。
武を磨くことも悪いとは思わないけれども…やはり読み書きくらいはいっぱしにできないと。
私の弟と自慢したいのに、文字がかけませんなんて…なんだか、格好がつかない。

私は、彼をつれて家の中に入った。
そんな煮物はおいてない、広々とした空間だけど…あの廃墟地区の家と比べたら、雲泥の差だった。
ちゃんと床はあるし、部屋は壁と扉で仕切られている。
もちろん、お風呂だってついている。