2016/04/28 のログ
ご案内:「王国軍駐屯地」にヴィクトールさんが現れました。
ヴィクトール > 合同訓練に参加した時の事だった。
前に比べ、明らかにミレー族の数を増やし、彼らの強みを活かした軍勢を整えたものの、奴隷ごときを並べて一端の兵隊気取りかと陰口を叩く王国軍兵に、兄が呆れた笑みを見せていたが…自分は呆れ顔で済ませられるほど大人ではない。

「おい、暇だしちょっと遊びでもしようぜ?」

こちらから持ちかけたのは賭けのある手合わせだ。
負けた方は勝った方の言うことを聞く、ただそれだけ。
奴隷と罵ってはいるものの、美麗な整いをした少女も多く、卑下た笑みをみせる兵士達にこの男は内心ほくそ笑んでいた。
いざ手合わせが始まれば、その理由は簡単にわかるからだ。

「……ったく、弱ぇなお前ら」

これで5人抜き、サシでの勝負でオマケに実剣で刃を交える戦いだが、誰も怪我はしていない。
全て喉元に刃を突きつける寸止めで5人倒しているからだ。
そうして、倒した輩にはうちの兵士の陰口を叩くなと厳命し、力を以って存在を主張していく。
少々周りがざわついて、将校にもバレかねないが気にしない。
大剣の切っ先を土へと突き立てれば、眼前に群れる雑魚共ににやりと笑う。

「おら、どうした? 俺に勝てりゃお望み通り、うちの部隊の女を抱かせてやってもいいぜ。 勝てりゃあな?」

ロングソードのように軽々と大きな刃を振り回す腕力、魔法の力も発揮する必要が無いほどの戦闘経験の差。
珍しく切り込み隊長らしい実力で、乱暴ながらに兄の手助け…になるかも分からない手合わせを続けていた。

ヴィクトール > (「まぁ、こうも雑魚ばっかだと兄貴の心配とかほとんど意味ねぇだろ」)

たまに王都側に魔族やらが紛れ込んでいることがあるという話だ、とはいえ、こんな兵士達にまぎれている方がレアなことだろうが、あまり頭が良くないタイプ故に気づいていない。
現状はといえば、たかだか傭兵からの成り上がり程度にいいようにされて憤る雑魚しかいなかった。
次の相手が前に出ると、通常の兵装として支給されるロングソードではなく、小型のダガーを二刀構えている。
なるほどと、それに納得しながら、合図のコイントスをすると、ゴルド硬貨がキィンッと甲高いゴングを鳴らした。

「いくぜ!」

大剣を構えたまま突っ込んでいくと、それよりも早く相手が飛び込んでくる。
懐に入れば小型の刃物のほうが有利、それは間違いない。
だが、それぐらいは彼とて自身の弱点は理解している。
寸でのところでバックステップをすると、相手の距離計算を狂わせつつ、大きく捻転しながら刃を斜めに振りぬく。
ゴゥッ!とけたたましい剣風を巻き起こし、それでも兵士を傷つけることなく、肩口でピタリと剣を止め、風が顔を叩くだけだ。

「お前も陰口禁止だな」

ニヤリと笑いつつ命令を下すと、盛大な舌打ちをしながら兵士は機嫌悪そうに土を蹴って下がっていった。

ヴィクトール > そうしてただ白星を重ねるだけの手合わせが続いていき…。
ご案内:「王国軍駐屯地」からヴィクトールさんが去りました。