2016/02/26 のログ
ご案内:「洞窟らしき場所」にリーゼロッテさんが現れました。
リーゼロッテ > この洞窟に迷い込んでかなりの日数が経過してきた。
生物の体内を思わせるような肉の空洞と、その下地として続く石畳の空洞。
その二つが入り混じった場所は魔族が作ったのやら、魔物が作った巣なのかも分からない。
少女が分かっているのは自力で抜けださなければ、二度と出れず、命を繋ぎ止めるものを失えばあっという間に終焉する現実だけ。
唯一の安息の地と、木の根が岩を突き破り、地下水で作られた小川の傍で少女は眠っている。

「……」

とはいえ、意外と身なりは綺麗にしている。
ライフルを抱えたまま眠りこけているのも、今日一日の行動でくたくたになったから。
木からサポニンを四苦八苦して取り出し、魔法弾を撃ちこみ、そこから小さな果実を生み出させて香料をつくりだす。
二つ合わせて香り付きの洗剤を作ったり、水や食べ物を周囲でどうにか調達したりと、生き長らえるのが精一杯。

「……ぅ」

ゆっくりと船を漕いでいた頭がガクリと沈む。
はっとして眠気で蕩けた瞳を開いて辺りを見渡すも、薄暗い洞窟が続いているだけ。
何もない、それを確かめると再び意識が眠りへと落ちていく。
洞窟の中に漂う甘い香りには、未だに媚毒が混じり、眠っていても欲を煽り続けていた。
嫌でも上がっていく体温に体力が奪われ、自然と実を守るように眠気が深くなってしまう。
かくん、かくんと頭が浮き沈みを繰り返しながら静かな寝息を立てて眠り続ける。

ご案内:「洞窟らしき場所」にレティシアさんが現れました。
レティシア > (洞窟内のとある空間の一角が歪み、現れた裂け目から、ローブのフードを深く被った女が姿を現す。
地面へと降り立ち、周囲に漂う甘い香りに、スンっと鼻を鳴らした女の眉間には皺が刻まれる。
甘い香りには、媚毒が含まれる事は容易に知れるが、女の正体が淫魔のせいなのか、この場所を作った誰かより女の魔力の方が勝っているせいなのか、女にとってはそう影響を与えられる程ではないらしい。
鬱陶し気に右手を払えば、周囲の香りは霧散してゆく。
そのまま、何かを探すように、意識を集中させて、ゆるりと周囲を見回せば、何かを見つけたのか、洞窟内で流れる小川の方へと爪先を向け)

………あぁ……いた……。

(小川の傍で、ライフル銃を抱えて、眠っている少女の姿を見つければ、ほっとした表情を浮かべて、そちらへと近づいてゆく。
少女の傍まで近寄り、膝をつく。彼女が呼吸をしている事を確認し、大きな怪我をしていなさそうだと思えば、更に安堵の吐息を零す。
そのまま、肩へと指先でそっと触れ、妹の名を静かに呼んで)

…リーゼ?……リーゼロッテ?

リーゼロッテ > 水が湧き立つ傍、比較的平らで綺麗な場所にライフルを抱きかかえたまま、膝も引き寄せるように丸まったまま眠りこけている。
ところどころ浅い擦過傷はあるものの、大きな怪我はない。
けれど、その肩に触れると以前に触れた時よりも熱がこもっているのが伝わるはず。
肩に感じた感触に、ピクリと体が跳ねると寝ぼけ眼がゆっくりと姉の姿を見つめる。

「……」

反応はなく、ぼぅっとその顔を見上げていた。
呆けた表情のまま数秒ほど姉を見つめると、小さく体が震えていく。
眠る前までの行動すら、半分ほど理性を抑えこんで壊れないようにと意識を封じていた。
それを、今目の前に起きている出来事が一瞬にしてその理性を引き戻そうとしている。
無意識に自我が壊れない様にと、閉ざされた意識が浮上しかけるも、緩やかに頭を振ってしまう。

「……嘘、ぃゃ…ヤダ…こんなの、見せないで…っ」

これが現実なら嬉しくてたまらない。
けれど、幻覚だったら、もう二度と立ち上がれない。
それぐらいに姉の存在が強すぎて、喜びすらも怖くなってしまう。
虚ろな表情のまま瞳から幾筋も雫が伝い落ち、声が震えていく。

レティシア > (少女の肩口へと触れると、衣服の上からでも判る程に、その身体が熱い。
熱でもあるのだろうかと、もう片方の指先を少女の額へと伸ばそうとした所で、相手の瞳が開かれる。
こちらを見つめる、青い瞳と視線が合えば、にっこりと笑みを浮べる)

…リーゼ……?

(いつもなら、可愛らしい笑顔が返ってくる筈なのに、その表情は呆けたまま。
訝し気に眉を顰めていれば、触れている相手の身体が震えだす。
そして、その唇から吐き出される言葉に瞳を瞬かせれば、今の少女にとって、己は夢現の存在なのだと合点がゆく。
女は両腕を伸ばして少女の身体を抱きしめると、その頭へと指先を伸ばし、髪を撫でつつ)

…リーゼ、しっかりなさいな…嘘じゃないわ……本物のあたしよ?

(表情を寄せれば、頬を濡らす雫を舌先で舐め取って、大丈夫と囁きながら、まるで幼子をあやすように、その背を撫でてやり)

リーゼロッテ > 視線が重なり、大好きな人の微笑みが見える。
何時もなら嬉しさが溢れて飛びついてしまうのに、抱きつこうとした瞬間に消えてしまったら…と恐怖が上回ってしまう。
震えが止まらず、嬉しさが振り切って怖くすらなれば否定を紡ぐものの、体を抱きしめられる感触に熱、髪が指の間を流れる心地よさ。
それはこの洞窟に入る前に感じて、とても遠ざかってしまった現実。
前に比べると少々痩せ細ってしまった体は、骨の感触が当たりやすくなったことで、少しだけ抱き心地が悪いかもしれない。
改めて呼びかける声に、一層震えが強くなるとライフルに触れていた手は姉の背へと伸びていく。
届けば、その背中にぎゅっと指先でしがみつくように現実を確かめようとするだろう。

「姉様…ほんと、なの? 姉様…」

頬を這い上がる暖かな感触、それも、囁かれる音色も全て記憶と一致する。
震えが強くなるものの、表情が徐々に動き出し、喜びの涙へと変わればポタポタと一層涙が溢れてぎゅっと姉の胸元に顔を埋めようとする。

「姉様…リーゼ…もう、会えないって思ってたんだよ? もう、出れないって…ずっと、ずっと…」

嗚咽混じりに喋る声は何度も途切れて、しゃくり上げながら必至に思いを伝えようとするも、思うように音にならない。
ぎゅっと、現実を噛みしめようとするかのように、力強く抱きしめていく。

レティシア > (己の腕の中の震える身体は、更に華奢になったよう。少女を抱きしめる感触で彼女がどれだけの時間、この空間に閉じ込められていたのかが知れる。
もし見つけるのが、もう少し遅かったら…と思えば、嫌な想像しか思い浮かばない。
己の声が届いたのか、こちらへとすがり付くように腕が伸ばされ、抱き締められれば、女も抱き締め返して)

…えぇ、本当に貴女の姉様よ…。

(先程とは違い、少女の意志を感じさせる、確認するような問いに、女はにっこりと笑みを浮べて頷いてみせ。
更に瞳から雫を溢れさせる少女の頬を指先で拭うと、己の胸元へと顔を埋めた少女の髪を撫でつつ)

…ん……そう……偉いわね、リーゼ……こんな所でよく頑張ったわね……。

(しゃくり上げる少女の言葉を頷きながら耳にして、笑みを浮べながら、宥めるように頭を撫でる。
己を抱き締める相手の力が籠れば、もう大丈夫と囁きもして)

リーゼロッテ > 細くなり、浅い傷が残る体からは媚毒とは異なる甘い香りが漂う。
何時もの香りとは、少し違うすっきりとした香り。
髪も何時も程ではないけれど、指の間を滑るほどに手入れがされてあり、女であろうとしたことで理性をつなぎ留めて活力をとどめていた。
抱きしめ返されると、安堵の吐息を零しながらくたりとその体に寄り掛かる。
夢ではないと確かな答えを得れば、撫でられながら嬉しそうに頬を緩めていた。

「森とか…山で迷っても大丈夫なようにって…学校の時習ったから……でも、出口とか全然分からなくて…」

普通ではない洞窟にそもそも出口が有ったかも疑わしい。
ぽつぽつと呟きながら心を穏やかに満たしていくと、ふと顔を上げて。

「でも、姉様…どうしてここが分かったの?」

きょとんとした表情で見つめながら、首を横に傾けて問いかける。
ここに迷う前は九頭竜山脈で戦いの援護をしていたものの、隼から落下してからは思念の疎通も出来ず閉じ込められいた。
姉が魔族だと気づいていない分、ここへの到達方法が分からず、子供のように分からなそうな表情を浮かべて見つめていた。

レティシア > (こんな場所で幾日も迷っていただろうに、身綺麗にしている少女に、感心する。
愛らしい容姿に目が行きがちだが、彼女の意志の強さを今更ながらに実感もして。
すっかり力を抜けてしまった小さな体を抱き留めつつ、繰り返し、滑りの良い髪を撫でてやり)

…そう…でも、さすがに学校の先生も、自分の生徒がこんな所で迷う事になるとは思わなかったでしょうねぇ………え?

(こちらを見上げる少女に、自分がなぜ、ここが判ったのかと問われると、女は考え込むような表情を暫く浮かべてから、首を傾げて)

…リーゼ、貴女、あたしが差し上げたピアスの片方を持っているでしょう?それが貴女の居場所を教えてくれてよ?

(クスリと笑いながら、己の左耳のピアスを示しつつ、これが呼び合うのだと種明かし。彼女には己は魔法使いだと言ってあるから、きっと魔術の一種か何かだと思ってくれるに違いないと思いつつ。己のピアスの気配を追っていたのは、確かだが、それも出来たのも、この洞窟を作った者より己の魔力が勝っていたから、成せる事で…その事は告げる訳もなく。
少女が見つかれば、長居は無用とその身体を抱え直して)

…さぁ、帰りましょう……参謀さん達も心配しているのよ……送ってあげるから、もう少し眠って…。

(帰りもまた、空間を渡るつもりだから、その額へと口づけを落としてから、少女に再び眠るようにと促して)

リーゼロッテ > 女らしさが失われたら、一層生きる力を失ってしまっていたはず。
姉がそんな事に感心しているとは気付くことなく、掌の感触に心地よさそうに目を細めながら姉の胸元に顔を埋めて、安堵のままに脱力しきってしまう。

「そうかも…だって、ちょっとしたサバイバルぐらいっていってたもん」

可笑しそうに微笑みを浮かべて力なく笑っていた。
冗談じみた言葉に笑えるほどに心も落ち着いてきたところで、辿り着いた理由に一瞬言葉が途絶えてしまうものの、まだつかれている少女に誤魔化しの言葉とは見抜けない。
そうなんだと説明に耳を傾けて、納得したように微笑みば自分の右耳に飾られた、姉のピアスに触れる。

「姉様と…そんなに深くつながってたんだね、嬉しい…」

抱え上げられる体は、何時もより少々軽く簡単に抱き上げられるはず。
浮遊感と共に口吻を受け止めると、こくりと小さく頷いた。

「参謀さん…ザムくん、皆に…心配かけちゃった…」

促されるがまま安心の温もりに包まれ、瞼が何度か瞬く内に力を失っていく。
すとんと閉ざされた瞳、唇からは浅く寝息が溢れる。
姉の思惑通り意識を失い、あどけない寝顔を晒すと、あとはされるがまま…。

レティシア > (己が語った、ここまで辿り付いた訳を少女が、容易く信じる様子に女はホっと胸を撫で下ろす。
いつかは、己が魔族だと告げなくてはならないと判っているのだが、まだ今はその時期ではないとも思う。
己との繋がりを素直に嬉しいと口にする少女を抱き締め、抱えると、ポンポンとその背も柔らかく叩いて)

…えぇ、あの参謀さんが、血相を変えて、あたしの元へといらっしゃったから……早くリーゼの顔を見せて、安心させてあげなさいな…。

(まどろみ始めた少女の耳元で告げながら、己の元へと常とは違う取り乱した様子の彼女の参謀を思い出せば、女はクスクスと笑いだす。人なら不謹慎だと言われそうだが、女は魔族なのだから、そんな常識はないらしい。
直ぐに意識を手放した少女の表情を見詰めれば、小さな吐息を零して)

……あの人と言い……この子と言い……どうして、あたしの周りの人間は危なっかしいのかしらねぇ…

(つい先日も自分の恋人を助けに山に入った事を思い出せば、つい口端にも笑みが浮かぶ。
ヤレヤレと小さく肩を竦ませてから、少女の身体を抱え直し、片手を空間を裂くように払う。
そして、生まれた空間の裂け目へと、少女を抱えたまま姿を消してゆき――
辿り着いた先は、女の棲家か、少女の部屋か、それは本人のみが知るのみで――)

ご案内:「洞窟らしき場所」からレティシアさんが去りました。
ご案内:「洞窟らしき場所」からリーゼロッテさんが去りました。