2022/02/22 のログ
■ラファル > 人間では無いから、幼女は空を飛んで居ればそれで十分満足感を覚えている、其れこそ、犬が散歩をするかのように。
空から見てきたものと、地面を歩い見るモノは違うのである。
だからこそ、幼女は学び、共に歩くことを悦ぶのである。
近場で見ていて、それでも、新たな驚きを、発見を教えてくれる師匠の知見に、経験に、感謝を覚える。
そして、楽しいから懐いて、共に歩くのだった。
「え?でも……師匠、マグメールはこの国と戦っているんだよね?
それなら、之は、戦術、戦略的に十分に使えるよね?お宝と言って良いレベルの情報、だよね?
それを放置しているのも変だし、それに、正直今の所、正確過ぎるぐらいに、正確だよ?」
彼女の学びの大半は、彼の、師匠からの教えである。
だから、地図に関する認識などに関しては、幼女は似通った感覚がある。
この地図の精度は、一般兵の部屋に転がって居て良いものではなく、厳重に管理されるべき場所にしまい込まれるレベルだ。
とは言え、考えても判らない、国の考えが判らないので、それ以上は。
地図に関しては、師匠がよこせと言わないなら、出す気はなかった。
師匠が知るべきではないと思っているからだ、必要と思うのなら、少女に渡すように言うはずだし。
知識は、共有すべきものとしないものも、有るのだ。
厳命に関しては、あい、と確り頷いて、地図をしっかり懐へと。
「うーん、と。それは、前に師匠と行った、空中の城のような物、だよね。」
空に飛んで入り込んだ魔族の城。
そこには、風の属性に有る魔族の死体ばかりの城、彼らは風属性の武器防具を持っていたから。
それを作る工房なのかもしれない、と考えて。
幼女は、竜であるから、闘気などは人の比べ物にならないほどにある。
だから、荷物を持つことにしている、闘気を使い、忍術にある、実態のある分身を複数作り、維持し続けられる。
さらに言えば、その分身をそれぞれ、自分と同じように、スキルも含めて再現して動かすことが出来るから。
技の一号、力の二号、エロスのv3と、今回は、三体出している。
手数が必要な時には、分身は便利なのだ。
「ん……と。
詰まるところ、魔力を集める性質がある鉱物、と言う事、だよね。」
金行が集まる、力が集まると言う事はそう言う事だね、と。
爆薬を仕掛けている様子を見て、ふむふむ、と頷いて。
「あーい!」
師匠の合図に、ラファルは風を纏い、走り始める。
風を纏えば向かい風を無効にして、加速も直ぐにできる。
とっとと、爆破の範囲から逃げて、衝撃波から身を護るために、師匠と自分に厚い風の壁で。
■影時 > 「その筈、なんだがな。
……だが、ラファルよ。かの国はこの土地の何処其処を治めている何やらと戦ってるンだ?
戦略、それに戦術、どちらに於いても正確な地理というのは欠かせん。ああ、全く以て間違いじゃあない。
が、俺は今もそうだが、何を以てタナール砦やら何やらに攻めてくる主体そのものと云える奴と、見えたコトは無ぇんだよ。
名有りと云えるような奴と戦ったことはあっても、それこそ、雲を掴むような感覚でしか無いんだよな、未だ」
此の土地、領域における地図を脅威と見る、重要視できる出来る者がまずどれ程存在するかどうか。
軍師を気取るつもりはなくとも、今までの生業の関係上、軍略については多少なりとも知識を持ち合わせている。
ズラリと並んだ騎馬、兵士などのいわば目に見える駒ではなく、盤上を制するがための戦略眼がこの魔族の国でどれほど養われているかだ。
魔族の国の領地と云える領域にて、奥深くまで安全に踏み入る過程までを記したものがあれば、其れは脅威となるだろう。
だが、其処に無視できない難所が数限りなくあるなら、地図を流布されることとなっても、問題としない可能性がある。
「ただの人間にはどう足掻いても無事ではいられない」という前提があるからこそ、放置している――かもしれない。
或いは、わざと流布させることで物見遊山気分の愚者を招き入れ、餌食としたいのか。
まさに、一介の抜け忍風情には知りようもないレベルの話だ。
深謀の為せる技かもしれないし、思慮の欠片もない愚かしい小噺かもしれない。
「ああ。この前と似たような奴、だ。何があるかはともかく、見知らぬものがあるってなら……確かめてみたくはなるよなァ?
行けるだけの可能性を揃えられるってなら、猶更よ」
だが、今の己は冒険者である。一銭の価値云々でもなく、心躍る未知を得る愉しみを味わいたい。
唸るような財宝で身を膨らませるのではなく、誰にも言えなくとも心を満たす物を堪能したいのだ。
「そういうこった。若しかしたら単なる鉱脈があるのかもしれンが、こうも妙な具合を返してくれるってのは気になるよな」
当たるも八卦当たらぬも八卦。仮に外れだったら、その時はその時だ。
己が放った氣を吸い取り、肥え太るではなくとも不気味な位に脈動するような気配すら予感させるのは、十中八九何かがあると。
予感して仕掛けた火薬に点火し、景気よく爆発を背にしながら地に身を投げ出す。
ぶわっと爆心地から放射状に広がってゆく衝撃波、爆風を身を低くして凌ぐ。さらに弟子が紡ぐ風の壁があれば、殆ど被害はない。
そうして砕け失せた岩があった場所の下に、ぽっかりと穴が開く。奥に――奥に。明らかに何者かの手が入った石壁のような遺構の影を見せて。
「……“忘却されし白銀の魔工房”、だったか。絶対噂を流している奴が居るだろうが、如何にもな名前というのはいいもんだ。考える楽しみがある」
噂の名を、ぽつと口にする。
魔族の国にはマグメール王国では産出しない非常に希少な鉱石の鉱脈があるという。
地中に潜むそこは白銀に煌めく鉱床が洞窟内に露出し、煌めいている。
その地を領土としていた魔貴族、魔王は其処を直轄地として鉱脈に隣接した工房を作らせた。
そこで数々の武具や装飾品が生まれたが、いつしか工房は地殻変動で埋もれ、時の彼方に忘れ去られた――のだという。
そんな真偽も分からぬ噂の由縁を、確かめに来たのだ。
■ラファル > 「………あ。」
師匠の指摘によって、理解する。確かに、誰と戦っているのか、と。
魔族の国というのは、地域であり、マグメールのような固定の一つを指しているわけではないはずだ。
それこそ、様々な国が居て、様々な魔王が居る。そのうちだれと戦っているのだろうか、と。
確か。師匠の国のような状態だっただろうか、一つの地域が一つの国となり、相争っているような国。
それを考えれば、この地図の意味は。
正確性はただ、この国の中を歩き回る事の出来る実力がある人間がいる、という証左でしかないのだ。
「―――うん!
面白そうなものがあるだけで、行く理由になるよね!」
思考を止めることにした。
今の目的は、この国で戦を起こすことではない。ただただ、この地域にある、謎を、冒険をするために来た。
それを堪能することになるのだった。
戦争なんて、心が渇く様な事は、止めておこうと言う事だ、碌な事でもないし、楽しい事でもない。
だから、師匠の提案する冒険に、全力で乗っかかるだけだ。
「うーん……?流石に、鉱石とかに関しては、見ても良く判らないかなー。
魔力があるとか、その流れ、とか、価値程度しか。
そう言う意味なら、ドワーフさんあたり、連れてきた方がいいかなーとか思うよ。」
一応、ある程度の財宝などの知識は、有るのだけども、ドワーフのような変態的な鉱石鑑定能力などは無い。
魔力の流れとかそう言うのは見ることできるから、そう言う意味では師匠よりは良く判るはずだけど。
とりま、見てみるしかないと、おもう。
大きく口を開いている、地下への入り口、何があるんだろ、とワクワクするのである。
ゾンビとかは居てもおかしくないかも―とか、考える。
力の二号を前に出すのもいいのだけど……それはそれで、罠を検知する楽しみが減るかも、だしと。
「そのまんま、名前で考えるなら……白金や、ミスリルあたりを加工している工房、なのかな……?」
マグメールに持ち帰ればいいお金になるだろうというか。
トゥルネソルで加工して売るのもいいはずだし、師匠も、自分で必要な分以外はそうする積りなのだと思う。
新しい武器、一寸ワクワクする。
だって、腰の刀―――緊急時しか使えないから。
■影時 > 「国を挙げて戦ってる、ならまだ分かるンだがなぁ」
過去にマグメール王国軍の師団の一つが魔族の国に出征した、というコトがあったが、未だ知る範囲で大きな軍事的な動きを見た記憶がない。
その逆は頻繁に大なり小なり起こっている印象がある。
タナール砦の奪い合いの情景は、最早日常茶飯事とも言えるくらいな気さえする。
群雄割拠しているのかと言えばそれも違う。故郷の大名たちが土地を争っているのかと思えば、其れもまた違う。
このような荒野には、見向きもしないのか。耕作という概念がないのか。では、どのようにして日々の糧を得ているのか。
未知が多すぎる。それらの悉くを詳らかにしたいのであれば、力なきものは寄せ付けないとも言いうるほどに。
「然り。まっこと然りよ。外れだったらその時はその時だ。笑って酒で飲むとしようじゃねェか」
戦うのは嫌いではないが、戦乱を起こすつもりはない。
武勲は欲しいものが勝手に取ればいい。身を重くする財宝は、沢山持つつもりはない。
虚心に響く何かを。其れが何であれ、楽しめるものであるかどうか。その点にこそ重きを置く価値を見いだす。
「みすりる、とか何やらなら見たり触ったりはしたンだが、其れとも違うってならまずは見ねぇとだな。
持ち帰られるだけの何かがあれば、一番良いんだが」
貴重な金属でできた剣が店先に飾られていれば、駆け出し冒険者達が欲しがって、値札を見て愕然とする情景はよく見るものだ。
美しく輝く武具というのは、見掛け倒しではない何かを秘めているが故に純粋なものをよく引き付けるのかもしれない。
自分達の手管だと、どうしても投擲した後に回収が望めないものは高くしようがないのが非常に悩ましいが。
一先ず、持ち帰られるものがあるかどうかを望みたいものだ。そう思いつつ、弟子を伴って露出した入り口の方へと進んで行こう。
爆発ですり鉢状にくぼんだ爆心地は岩の破片や欠片がゴロゴロとしている。其れを踏み越え、迂回しながら腰裏の雑嚢に差し込んだ松明を引き抜く。
一旦足を止め、再度取り出す火打石で着火し、入り口に投じる。炎が消えるかどうか、それとも燃え立つかどうかで呼気の有無と、不穏な瘴気の噴出の有無を探る。
「……――異常はない、か。
が、何か妙な具合を感じる。ラファル、荷物持ちの分身はこの辺りで警戒も込みで待機させとけ。最悪の場合、残りの火薬を全部使って爆破してもいい」
炎は消えず、奇妙に燃え立つなどの異常を認めることはない。だが、何だろうかこの感覚は。入り口の奥から、何か。僅かに活力を吸われるような違和感を覚える。
真逆な、と思いながら弟子に言葉を送り、腰の太刀も含めて装備を確かめれば先導するように先に進む。
投じた松明を回収すれば、奥に向かって掲げる。明らかに手の入った石積みの壁が見える。だが、進路は明らかな入り口のそれではない。
いわば、ぶつ切りになった通路を爆破で強引に抉じ開けたかのよう。奥から冷えた空気が、地表に向かって登ってゆくのを風として捉えつつ。
■ラファル > 「確かに……国とは言わずに、部隊、レベルで戦ってる……よね。」
其れに、戦う場所は、最近に関してはタナール砦ぐらいか。
この国に、最近出兵したと言う事は聞いていない、成程、と頷いた。
幼女は、あまり気にして居なかったのだ。この国の事を。
しかし、調べるべきかどうか、で言えば――――今は其れよりも大事なことがある。
「うん!今からワクワクドキドキ楽しい、ダンジョン探索、お宝探索ー!」
戦いに快楽を覚えるタイプではなくて、ラファルとしては、戦闘というのは手段でしかない。
邪魔なものをどかすために、行う物でしかないから。
宝物に関しては――――良いものは持って帰れればいいな、という位か。
ワクワクドキドキして、楽しい事、遊べれば、それが一番いいか、という位で。
「ミスリル……ではないんだね、というか、師匠、判るの?
うん、取り合えず、持って帰れるのがあればいいね。」
因みに、前回手に入れた武器防具は―――見事に売れ残っている。
お店の良い所にちゃんと置いてあるが、買おうという人が居ないらしい、なので、リスは一寸幾つか在庫処分をした。
と行っても、必要とするところにプレゼントしているので、問題はない筈。
ラファルに関しては、基本的に爪とか蹴りとか牙とかブレスとか、術とかいろいろあるが。
武器は使えないのである、使うための制約が色々とある。
なので、武器が手に入るのは、わくわくしてしまう。
使えないものよりも、使えるものが欲しいのであった。
「あいっ、了解ー!
と言う事で、分身Sは待機ね!ここから、空気を送ってちょーだいね。
万が一は、師匠の言う通りね!」
分身達と、ラファルが敬礼、器用な事。
ダンジョンの中の酸素、今まで埋まっていたとすると、空気が、酸素が腐っている可能性も有るから。
シルフなどを呼んで、空気をしっかりと流して歓喜をすることにしよう。
直ぐにできる筈ではないので、師匠が松明を投げて調べている間に、空気を入り口から流して置く。
自分も入って空気を流す、その為の中継も考えないとな、と。
■影時 > 「他所の国との小競り合いがあるにしても、なァ。今ンところで知りえる限りだと派手過ぎる動きは見当たらねえな」
表沙汰にはならない影の諜報合戦の域まで踏み込むなら、また違うかもしれない。
今のところ号外で聞くにしても、大軍や大部隊がぶつかり合うレベルの戦いというのはまばらな印象がある。
余所者には関係ないと割り切るわけにも、いかない。
派手な軍の動きがあれば、臨時の傭兵を募る依頼が挙がることがある。冒険者としては無視が出来ない。
「鬼が出るか蛇が出るか。はたまた、何もわからねえ代物が出てくンのか。愉しみだ。
……――魔力を蓄える性質と、さっき言ったろう?
材質として魔力を含んでる金属とかはよく聞くが、蓄えられるというのは、海綿みてぇに“吸い込める”ってことだ」
戦闘は達成すべき目的の前では、手段の一つでしかない。今の場合であれば、障害を打破するための最短手段だ。
無用な戦いをせずに消耗を抑えられるか。それとも、どうしてもゴリ押ししなければ先に進めないようなものがあるのか。
其れなりに遣れる、できるであろうと思っても、時と次第によっては単なる自惚れでしかないと思い知らされる。
故に世の中は面白い。其処で一点、先に進むに当たって留意すべき事項が浮上する。
「で、あれば。
そこに在りながら、魔力を勝手に吸い出してゆく程の何かの塊が存在するということは、在りえねぇとは言い切れんと思っている」
氣力もまた然り、と。諸説あるが魔力と氣の力を同一視する考え方も皆無ではない。
前回手に入れた風の属性を持つ武具や今己が纏う鈍色の胴鎧のようなものとは、また違った何かがある可能性がある。
それらは恐らく前提として、魔力を吸って蓄積することが第一となるのだろう。
その裏付けとして、進入口に踏み込み奥に進むだけで少しづつ、力を僅かに、ほんの僅かだが吸い出されるような感覚を覚えないだろうか。
其れは竜であったとしても、例外ではない。漏出する魔力や氣があれば、其処を足掛かりに引きずり出すような違和感。
「空気の差し入れは程々でいい。さっきの爆発を、感づかれている可能性だってあるンだ。身の守りも合わせて優先しておいてくれや」
万一の際の始末も大事だが、分身には見張りの役割としても期待できる。
だが、このダンジョンに於いては一つ懸念すべき事項がある。
氣や魔力を吸い出されてゆくと云うのは、分身の維持にも差し障りが出かけねないという懸念だ。
器用にお互いに敬礼してみせる風景を見れば、いかにも弟子らしいと笑うが、覆面の下で幾つか気になる点を思い描く。
それらを確かめるためにも、今は松明を掲げて前に進もう。真相、真実はきっとその先にこそある。
■ラファル > 中断します
■影時 > 【次回継続予定】
ご案内:「魔族の国」からラファルさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」から影時さんが去りました。