2020/09/27 のログ
ご案内:「魔族の国」にフルーアさんが現れました。
■フルーア > (少女にとって。ニンゲンであるか否か。それは差別の、或いは敵対の理由にはならない。
敵か味方か。好きか嫌いか。それらは皆、それぞれの存在個々に対して判断する物。
寧ろ最近までは。同じニンゲンよりも、魔物、怪物、そちらの方が身近に存在していたのであって)
「――素敵な友達。君達にとっても。遭えると良いね…?」
(などと語り掛ける相手は。少女の中に潜み、こちらの世界を窺う異界のモノ達。
さて。王国において、魔族、というと。全く以て良い噂を聞かなかった。
戦争相手だの。人を襲う存在だの。魔法や呪いの権化だの。
あまりにも一方的で、それでいて漠然としすぎていて。まるで詳細が分からなかったので。
こうやって実際に脚を運ぶ事にしたのである。
移動は異形のモノ達が何とかしてくれるので。自分の足で歩き始めたのは、つい先程から。
取り合えず。今歩いているのは、どうやらニンゲンの国との境目にあるらしい…山の麓。
ぽつぽつと森や林が拡がり、真っ直ぐに、長い街道が先へと伸びて。
だが、人の…ではないが、住人の姿、街の光景などは見当たらない。そういった物を求めて街道を歩き出す)
ご案内:「魔族の国」にアムネジアさんが現れました。
■アムネジア > 人と魔の領域の境目。
長い街道沿いにある大きな木の切り株。
樹齢1000年を超えたという巨大で、けれども朽ち果てた其処。
少女が、歩く先にある其処に――“彼女”は背中を預けていた。
ニンゲンでも、魔族でもない自分にはその境目が相応しいとでもいうように。
或いは、まるで、今日ここで出会う相手を待っていたように、そんな趣で。
「おや――随分と、面白いお嬢さんだね。」
そんな言葉。
まろやかで滑らかな声音で奏でられるそれは、少女の耳朶にも届いただろうか。
白く、透き通るような彼女を捕らえた蒼い瞳。
瞳の中に紅を散らした眼差しを、そっと細めれば、唇が淡く微笑を形作る。
そのまま、彼女が目の前に来るのを待つだろう。
会話に差し支えない距離にまで差し掛かれば「今晩は」なんて挨拶をかけるだろうけれど。
■フルーア > 「………?」
(風の向こうに声を聞いた、気がした。
小首を傾げるようにして、一旦立ち止まったものの。再び歩き出すまでに、差程の時は掛からなかった。
何か、誰か、居るというなら。まずは行ってみなければ、確認のしようもない。
時にそれは無謀や蛮勇と言われるのかもしれないが…少女にとっては。単純明快に考えただけの事。
再度の歩み。それもまた、決して長くはないだろう。少しばかり進んだのなら、直に。
声の主であろう誰かを見出す事が出来るのだから。きっと、先と同じ。彼女の声を聞いたなら)
「ぅ――ん、こんばんは。…ねぇ。君って魔族?魔物?
思ったより…僕等と変わらない格好なんだね、ぇ?」
(馴れ馴れしい。きっと。少なくとも大半のニンゲンは、そんな風に感じるだろう少女の態度。
腰を下ろした彼女の前へと辿り着けば。視線の高さを合わすかのように、膝に手を着き上体を倒し気味に)
■アムネジア > 此方に歩いてくる少女の姿を蒼色が捕える。
そして、挨拶に言葉返す彼女。その金色に宿っているのは好奇心だろうか。
上体を傾けて視線を向けながら零れる問いかけ。
幼げなその響きに、蒼色は微笑う。紅色を混ぜながら、笑んで。
「残念ながら、どちらも違うよ。お嬢さん。
それよりも、他人を詮索する前にまずは名乗るのが礼儀じゃないかな?」
窘めるような言葉。
けれど、そこに混じるのは会話を楽しむような彩。
そのまま、ゆるりと右手を伸ばす。細い指先が銀色の髪の毛に触れようと。
適うならば、少女の頭を緩やかに撫でてやろう。
緩く指先を曲げて、銀色の糸の髪の毛の感触を確かめるような手つきで。
「僕はアムネジア。
魔族を期待していたのなら、申し訳ないね。
そうだね。わかりにくく言うなら、君の“中”にいるものに近くて、遠いものだ」
まるで詩でも吟じるように柔らかく己の呼び名を名乗る。
ざわりと、一瞬だけ、何か悍ましい気配がその瞳を過ぎって、消える。
二人しかいない筈の木の虚の傍に無数の気配が浮かんで、消える。
さながら、“初めまして”の挨拶のように。